hokkaido miyagi ibaragi fukusima sizuoka ehime kagosima saga simane fukui isikawa niigata hokkaido aomori miyagi ibaragi fukusima sizuoka ehime kagosima saga simane fukui isikawa niigata hokkaido aomori miyagi ibaragi fukusima sizuoka ehime kagosima saga simane fukui isikawa niigata hokkaido aomori miyagi ibaragi fukusima sizuoka ehime kagosima saga simane fukui isikawa niigata 原発立地の説得、買収のお金。安全と必要性を洗脳するための宣伝広告費。原発村に落ちるお金。メンテナンスと廃炉にかかるお金。どれも巨額のお金です。そして福島原発のようにひとたび事故が起こると、国家そのものがぐらつくほどのコストがかかります。

 

原発の「負の学習曲線」
<電源三法交付金>
■そもそも「電源三法交付金」とは・・・・迷惑料
■使い道は限定なしに
■圧力団体と支援組織
■地域の豪華施設
■屋上屋を重ねて
■不当支出
■実現不可能な事業へ、多額の予算
<電力のコスト計算方式>
■電力自由化がもたらすもの
■ヤードスティック方式 まやかしのコスト新評価方式
<電力のつくり過ぎと原発>
■原発「出力調整運転」はチェルノブイリ原発事故の素
■原発稼働率75%の舞台裏
■余った電気はどうするの?
■電力を捨てる「発電所」 揚水式発電
■水式発電所の使命は、電気を消費すること
<送電費用>
<バックエンド事業>
■今は「資源」、でも将来は「ゴミ」・・・明らかに含まれていない費用。
"不動の原発政策"・・・惰性でつづく原子力


原発の「負の学習曲線」

多くの産業部門では、業界が発展し、経験を積み、関連技術も進歩するのとともに、一定の業績を上げるのにかかる費用は低減していくのが普通だ。これは「コストの学習曲線」などとも言われる。だが、原発の場合、年を追えば追うほど、総容量が増えれば増えるほど、1キロワット当たりの発電容量に対するコストが増えていることが分かる。米国の専門家はこれを「原発の負の学習曲線」と呼んでいる。原子力のコストがなぜ、これほどまでの「負の学習曲線」を描いているのかについては諸説あるのだが、経験を積めば積むほど、放射性物質の管理や安全対策などにコストをかける必要が次々に生じてきたことが大きな要因であることは否定できない。対称的に「正の学習曲線」を描いて、コストが着実に下がっているのが太陽光発電である。(米バーモント大学の研究グループが09年6月に発表した報告書から

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<電源三法交付金>
いわゆる電源三法とは、1974年6月3日に成立した次の3つの法律をさしています。

■電源開発促進税法
■電源開発促進対策特別会計法
■発電用施設周辺地域整備法


電力会社は販売電力量に応じ、1,000キロワットアワーにつき425円を、電源開発促進税として国に納付しています(電源開発促進税法)。このうち、 190円が電源立地勘定で、235円が電源多様化勘定(2003年10月法改正により「電源利用勘定」に名称変更)となります。2003年予算で、この税の総額は4855億円になります。(電源開発促進税率は、今後段階的に引き下げられる予定。)もちろん最終的にこの税金の負担は、消費者が電力料金に上乗せされて支払っています。納められた税金は、特別会計に組み込まれ、発電所など関連施設の立地及び周辺市町村に対し交付金などの財源にあてられます(電源開発促進対策特別会計法)。

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■そもそも「電源三法交付金」とは・・・・迷惑料

交付金制度の制定は1974年。そのころ通産省(当時)資源エネルギー庁の委託で作られた立地促進のパンフレットには、次のように書かれていました。「原子力発電所のできる地元の人たちにとっては、他の工場立地などと比べると、地元に対する雇用効果が少ない等あまり直接的にメリットをもたらすものではありません。そこで電源立地によって得られた国民経済的利益を地元に還元しなければなりません。この趣旨でいわゆる電源三法が作られました(日本立地センター「原子力みんなの質問箱)。」 つまり本来三法交付金は、原発が地域開発効果を持たないことに対する補償措置以外のなにものでもないのです(清水修二福島大教授「原発を誘致する側の論理」1988)。しかし、「雇用効果がない」などとあからさまにいってしまうと、元も子もないので、その後の歴史の中で「地域振興」というまやかしの姿が与えられてきました。そして現在の交付金のしくみでは、電力やエネルギーとは全く無縁の「地域振興」がまさに目玉になった内容へと変身しています。

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■使い道は限定なしに

この交付金の仕組みは2003年10月1日に法改正されました。これまでこの制度は、交付金ごとによって「公共施設の整備」や「電気料金の実質的割引」、「産業の導入・振興」などと用途が限定されていましたが、改正により各交付金を「電源立地地域対策交付金」の一つにまとめることで、現行交付金制度の対象事業が全て実施できるようになりました。また、新制度では、他の交付金や別の財源で整備した施設の維持運営費にも活用できるようになりました。さらに、改正の大きな特長としては、新たな対象事業として、「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったことだそうです。

従来の交付金は、「箱物」行政の典型で、公民館・体育館など半恒久的な建築物建設にしか使えず、建てることは建てられても、維持運営費などには使えないものでした。その結果、そうした建築物の維持運営費が、自治体予算を圧迫している状況が生じていました。改訂によりほとんど自治体の独自予算のように、何にでも使える交付金になりました。交付金という名前の、甘いアメを用意して、原発を誘致してもらおうという作戦でしょう。 またこの改訂で、これまでこの交付金の対象であった火力発電所の立地地域を、対象から外しました。原発立地の地元へのアピールをより鮮明にするためだそうです。

個々の自治体にどれくらいの交付金が支払われるかというと、出力135万kwの原発が建設される場合が、資源エネルギー庁のホームページに紹介されています。

◎建設費用は約4500億円。建設期間7年間、という前提
◎運転開始10年前から、10年間で391億円。
◎運転開始後10年間で固定資産税も入れて計502億円。

■至れり尽くせりの金額でしょう。

それでも原発の新規立地が進まないのは、やはり命・安全と引き替えに、危険性と隣り合わせの財源を、住民が受け入れないからでしょう。しかし、一部の人たちには、目をくらませるほどの金額になっていることも事実です。

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■圧力団体と支援組織

この交付金は、実質的にほとんど原子力発電関連の自治体に交付されています。関連する自治体の間では、この交付金を団体交渉で獲得するためや、有効な利用法を探るため「全国原子力発電所所在市町村協議会」「全国原子力立地市町村商工団体協議会」なるものが作られていて、活発なロビー活動をしています。

全国原子力発電所所在市町村協議会 http://www.zengenkyo.org/
全国原子力立地市町村商工団体協議会 http://www.jcci.or.jp/machi/dengen/kyougikai.html

さらにそうした自治体の活動を支援するために、1961年に設立された経産省の外郭団体「財団法人日本立地センター」という組織があります。2004年の総事業費は約20億円。

財団法人日本立地センターhttp://www.jilc.or.jp/

その中で、各地の自治体を結ぶ広報・PA(パブリック・アクセプタンス)活動や、研修事業などを担当しているのは、

財団法人日本立地センター・エネルギー部 http://www.enepa.ne.jp/

これらの組織の、予算規模もさることながら、その予算に裏付けされた活動は、各種広報誌発行(対象地域別に7種類の定期刊行物を発行)、TV・新聞・ラジオ等のマスメディアを利用した情報提供、まちづくり・まちおこし、農業振興・漁業振興、小中学生向けの教材作成、学校への講師派遣、高校生クイズ大会、原子力エネルギー問題を考えるセミナー開催、都市部住民と原発関連施設立地自治体との交流、まさにお金に飽かしてありとあらゆる活動をしているといってもいいような内容です。

しかし、こうした支援を受けている立地地方自治体は、それでは活性化しているでしょうか? これだけなりふり構わぬお金をばらまいていますから、たしかに地元は一見"潤って"います。立派な公民館・コミュニティーセンタやら、陸上競技場・体育館などのスポーツ施設、学校やら病院やら、軒並み豪華な施設が建設されています。

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■地域の豪華施設

福島県東部の太平洋に面した浜通り地方のほぼ中央に位置する福島県双葉郡楢葉町。人口8300人余りのこの町の町役場に隣接する三階建ての「町コミュニティセンター」は、収容人員八百人の大ホールを有する双葉郡内最大の文化施設です。国の電源三法交付金を使って建設し1985年にオープンしました。年間を通じてコンサートやミュージカル公演などが行われ、町民の文化活動の核になっています。しかし、現在維持管理には年間七千万円ほどかかります。催し物の主催者が支払う使用料だけではとてもまかない切れないようです。

電源三法交付金は、発電所の立地を早めに進めることを大きな狙いとしているため、発電所着工から短期間で自治体に支払われます。三法交付金のうち、楢葉町がコミュニティセンター建設に活用した「電源立地促進対策交付金」は発電所の着工から運転開始の五年目まで、道路建設、教育文化施設などの整備に充てることができます。町は同センター以外にも、陸上競技場や野球場などを配置した町総合グラウンド、天神岬スポーツ公園などの施設を交付金でつくりました。いずれの施設も今年間二千万円以上の維持管理費を必要としていますが、それが自治体の財政を圧迫しています。こうした状況は各地の立地自治体に共通しているようです。福島民報2002/5月29日(水)掲載記事より

そうした全国の立地自治体が連帯した前述の「全国原子力発電所所在市町村協議会」という組織では、お互いの情報交換や、新たな地域振興の道を探っています。が、本来そうした組織の目的は、自治体の「自立」をめざした運動であるはずです。しかし、高額の施設をつくってしまうと、その維持管理だけでも膨大な費用がかかり、その費用を調達するだけのためでも、族議員を巻き込んでさらなる補助金を獲得するかたちの運動になり、ますます自立から遠ざかる、そんな構図が見えてくるようです。 電源三法交付金は、発電所の立地を早めに進めることを大きな狙いとしているため、発電所着工から短期間で自治体に支払われます。三法交付金のうち、楢葉町がコミュニティセンター建設に活用した「電源立地促進対策交付金」は発電所の着工から運転開始の五年目まで、道路建設、教育文化施設などの整備に充てることができます。町は同センター以外にも、陸上競技場や野球場などを配置した町総合グラウンド、天神岬スポーツ公園などの施設を交付金でつくりました。いずれの施設も今年間二千万円以上の維持管理費を必要としていますが、それが自治体の財政を圧迫しています。こうした状況は各地の立地自治体に共通しているようです。福島民報2002/5月29日(水)掲載記事より

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■屋上屋を重ねて

前述の全国原子力立地市町村商工団体協議会(会長:北村柳之助敦賀商工会議所会頭)が2000年10月に結成されて、自民党などに圧力をかけた結果、その初仕事が2000年暮れ、「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法(原発立地特別措置法案)」の制定として結実しました。原子力関連施設のみに対象を限定した新たな補助金です。補助対象地域を、地元を中心に設置される「立地会議」の決定に任せる、つまり対象地域を曖昧にし、公共事業への政府の補助率を嵩上げし、使途を拡大しました。しかも、自治体の負担分については、地方債を発行できるようにして、その償還を地方交付税で行なえるようです。つまり、自治体の財源に一切負担をかけずに、様々な援助を受けられるわけです。バラマキ政策のなりふり構わぬ拡大といえるでしょう。

この補助金の目的は、"「原発を立地してよかった」と言えるような地域づくりに邁進"するためだそうです。(同商工団体協議会HPより) これまでの電源三法交付金がかえって立地地域の自立を妨げてきた反省は微塵も見られません。所詮こうした補助金は一時しのぎのカンフル剤にすぎませんし、慢性的な地方自治体の赤字体質は、構造的な問題ですから、どこであれ補助金で一時的に潤っても熱が冷めたらまた同じことの繰り返し。地元の商工会を中心に、さらなる補助金獲得運動を展開する羽目になることでしょう。

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■不当支出
 
電源立地交付金を巡っては、各地に黒いうわさがありますが、例えば2001年に会計検査院が2億8000万円の不当支出を指摘した事件があります。

新潟県刈羽村が政府の電源立地促進対策交付金を使って建設した生涯学習センター「ラピカ」で、ずさんな工事が行われていて、交付金2億6000万円を含む事業費約2億8000万円が不当支出に当たると会計検査院に認定されました。この「ラピカ」は本館と茶道館、陶芸館などの施設で、99年秋に完成しました。総工費約62億円のうち交付金は約57億円。政府に無断で設計変更を行うなどの不正工事が次々と発覚。空調の配管を勝手にさびにくいステンレス製に変更したうえ、1300 万円の腐食防止装置をそのまま設置するなど、経産省の調べでも計248カ所の無断変更が見つかり問題にしていましたが、会計検査院は2億8000万円の不当支出のうち、交付金相当額は約2億6000万円と算定しました。さらに、施設建設などに使われた事業費約55億円(うち交付金約50億円)も、十分に効果を上げておらず「不適切な支出」に当たると指摘しました。

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■実現不可能な事業へ、多額の予算

電源開発促進税の電源利用勘定からは、核燃料サイクル開発機構に対して補助金が出資されています。ここ数年減額されてきているとはいえ、2003年度予算で1171億円の予算がつけられて、核燃料サイクルの開発が行われています。核燃料サイクルはまだ実用化していませんから(実用化される見通しもあまりありませんが)、純粋に研究開発・技術開発に関わる政府予算でこれほどの厚遇を受けているものはそうはありませんし、核燃料サイクルの構想自体が袋小路に陥っていながら、これほどの予算をつけるのは不可解としかいいようがありません。ちなみに、ロケット打ち上げなどを行っている「宇宙航空研究開発機構 (JAXA)」(宇宙科学研究所(ISAS)航空宇宙技術研究所(NAL)宇宙開発事業団(NASDA)を吸収統合)の2003年予算総額は約1730億円です。

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<電力のコスト計算方式>

■総括原価方式
■電力自由化がもたらすもの
■ヤードスティック方式 まやかしのコスト新評価方式

■総括原価方式

そもそも、電気の値段はどのようにして決められるのでしょうか。我が国では電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」という方法で計算されています。この方式は、発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決めるやりかたです。

つまり、電力会社を経営するすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されているという、決して赤字にならないシステムです。これを電気事業法が保証しています。普通の民間企業ならば、利益を生み出すために必死でコストを削減する努力をするはずですが、電力会社はどんなにコストがかかろうと、法律によってあらかじめ利益まで保証されているのです。戦後の荒廃の中から経済復興をはかるために、公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策ですので、日本が経済発展をするためには一定の歴史的役割があった方式ということもできます。しかも、電気事業法は電力会社の地域独占も認めています。沖縄を含め全国を10のブロックに分け、それぞれの地域内では特定の電力会社以外、電力を売ることができませんでした。つまり、電力会社には市場で競争するライバルがいなかったのです。電力会社は民間企業であるとは言いながら、これほど手厚く法律によって保護されている企業はありません。産業が高度化し、多様化している現在、エネルギーも石油やガスなど多様化しているわけで、電力だけが優遇されている電気事業法の仕組みは、歴史的使命を終えているのではないでしょうか。

この電気事業法に守られて、電力会社はコストを考えることなく、設備などを増強してきました。どんなにコストをかけようと、必ず儲けが保証されるわけです。というよりコストをかければかけるほど、儲けが大きくなるしくみですから、原子力発電所など高価な設備をつくればつくるほど儲かることになります。しかし、その結果、電力会社は市場の競争原理にさらされることなく、日本の電力料金は欧米諸国にくらべひどく高くなってしまいました。

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■電力自由化がもたらすもの

市場の競争原理の働かない日本の電力料金は世界有数の高さといわれています。さすがに、これでは世間の批判をかわせないということで、1995年からは電力事業の部分的自由化が段階的にはかられていて、順次拡大されています。一般の企業などが発電した電力を売ることができるようになったり、また、電力会社以外の電力を買うこともだんだんできるようになっています。まだまだ制約は多く、完全自由化に向けて議論をしているところです。電力事業が完全に自由化されれば、原子力発電は経済的に不利だということが、あぶり出されてしまいます。このことは当の電力会社がもっともよく知っているはずです。

それだからこそ電力会社が電力の自由化をおそれている最大の理由は、原子力発電を抱えているために、市場での競争に負けてしまうことなのです。ですが、「原発は安い」といって推進している建前からいって、そんなことは絶対に言うわけにはいかないのが電力会社の苦しいところです。

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■ヤードスティック方式 まやかしのコスト新評価方式

1996年からは、「総括原価方式」に加えて「ヤードスティック方式」というコスト評価方法を採用しています。これは、当局側の言い方によりますと次の通りです。

ヤードスティックとは「物差し」、「尺度」という意味で、ヤードスティック査定とは、電気事業者間の継続的かつ自律的な効率化競争を促すため、総括原価主義の枠組みを維持しつつ、事業者間の効率化の度合いを共通の尺度で相対評価し、査定を格差づけする制度。(Japan Power News HPより 2005年)

つまり、各電力会社の事業報告をもとに、理想的なコスト水準(=「ヤードスティック」)を算出し、それとの比較で各社の効率化の度合いを評価するのだそうです。とはいえ、基本的なしくみとして「総括原価方式」は維持されていますから、全ての経費を原価に算入できることは従来通りです。ところが、この「ヤードスティック方式」の導入と同じ時に、「経営効率化の成果を明確にするためには、事業者の努力とは無関係な要因により変動する燃料費を外部化する必要がある。」との考え方から、「燃料費調整制度」なるものが導入されました。(同上HP)
 これは、皆さんが電力料金を支払うときに、「燃料費調節額」なる名目で支払わされている料金のことです。使用電力量に対して一定の割合(燃料費調整単価、東京電力05年2月現在0.19/kwh)で加算されていて、3ヶ月ごとに見直されています。石油価格の変動や、為替レートの変動により燃料調達費が大きく変動した場合のリスクを、電力会社はほとんど完全に免れることのできる仕組みです。総括原価方式をさらに完成させた仕組みといえるでしょう。

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<電力のつくり過ぎと原発>

■電力消費の少ないとき・・・最少電力消費量時

原子力発電所にとって、揚水式発電所が不可欠になってくるのは電力需要が最少の時。とりわけ、年間を通じて電力需要がもっとも少ない4月の午前3〜5時頃とか、全国の工場が休みに入っていることの多い正月、1月2日・3日の未明の時間帯が問題です。2000年4月のピーク電力は12,130万kwほどですので、そのときの最少時には、これより遙かに少なくなっているはずです。このときにどんなことが起こっているかというと・・・・

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■電気のつくりすぎ?

「流入式水力・地熱」や「原子力」の電力供給はほとんど変化していません。春や秋の電力需要のボトムの時には、これらの電力供給量よりも需要が下回ってしまうのです。つまり、電気が余ってしまうのです。電気は余らせることが出来ません。つくってしまった電気は、その瞬間に使わなければなりません。というより、電気というのは使う分だけ、発電されるといったほうがいいかもしれません。だったら、割合の大きな「原子力」の発電量を下げればいいではないか、と思うでしょう。ところが「原子力」はそうは簡単にいかないのです。原子力発電というのは、巨大なシステムで、All or Nothingといった動き方しかできません。ON と OFF しかないのです。これは、例えば、巨大なジャンボジェットのようなものです。ジャンボジェットは、高度1万メートルを、巡航速度時速800kmほどで飛行しているときは、巨体であっても安定して飛行することができます。しかし、速度を落とした離着陸の時には、非常に不安定になり、事故も離着陸時の前後5分間ほどに集中しています。原発もこれと同じで、動き出したら次の定期点検まで最高出力で運転し続けるしかないのです。

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■原発「出力調整運転」はチェルノブイリ原発事故の素

原子力発電の原子炉も同じような状況があります。原子炉も、出力を落として運転しようとすると、とても不安定な状態になります。そのような運転の仕方を「出力調整運転」といいますが、「出力調整運転」の試験をしていて事故になってしまったのが、あのチェルノブイリ原子力発電所の事故(1986年ウクライナ、当時のソビエト)です。チェルノブイリ原子力発電所の原子炉は日本の原子炉とは構造が違うことは確かですし、日本の電力会社や原子力安全委員会など政府系の組織は、様々な「規則違反」があって事故になったのだと、人為的ミスを過大に強調しています。しかし、程度の差こそあれ、「出力調整運転」を行えば、不安定になることにはかわりありません。日本でも商業炉で「出力調整運転」試験を行いました(伊方原発2号機で1987年10月と1988年2月)。その危険性故に大きな反対運動も起こり、それ以来実施されていません。

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■原発稼働率75%の舞台裏

原発は稼働率が高くて、優れた電源であると宣伝されています。2000年の実績で全国の原発の設備利用率は75%と報告されています。これは、原発が効率がいいからではなくて、むしろ、出力調整ができないために、全出力で優先的に動かしていたためといえます。原発はこのようにしか動かせないのです。このような使い方を、「ベース電力」と呼んでいますが、ベース電力は昼も夜も同じ出力で運転していますので、時間に応じて需要が変化する運転「負荷追従運転」は、原発以外の石油・石炭・LNG火力や、ピーク時には揚水式水力も加わって、まかなわれています。その結果、年間を通じると水力は22%程度、火力は51%程度の稼働率になってしまいます。これらの電源が故障など不具合で運転出来ないのではなく、電力会社の都合で動かしていないのです。ベース電力としての原発は、一基あたりの出力が大きい分だけ、故障などにより停止してしまうと、電力供給に大きな穴を開けてしまうおそれがあります。そこで、無停電を至上の命題としている電力会社はバックアップ用の電源を用意しています。つまり、原発を増設すると同時に、本来ならば廃棄するはずの火力発電所などを廃止せずに温存しているようです。ですから、設備容量の剰余分はどんどんふくらんでいきます。もちろんそうしたバックアップの費用は、原発の建設費用計算に含まれているはずはありません。

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■余った電気はどうするの?

さて、原発の「出力調整」ができないとなると、余った電力をどうするんでしょうか。電気は余らせることができませんから、何らかの形で使うしかありません。深夜、電力を消費してくれるところを探して、電力会社はあの手この手のやり方をしています。「負荷平準化」という用語は、電力使用量のピークをずらす(ピークシフト)・抑える(ピークカット)という意味で使われることが多いようですが、逆に、電力使用量の少ないときに使用量の底上げ・ボトムアップをするという、このような意味でも用いられています。いずれも、昼間と夜間の電力料金に格差をつけて、割安な夜間電力をどんどん使ってもらおうという作戦です。

■電力使用量ボトムアップの例
●夜間に建築物などを照らし出すライトアップ。
●深夜電力を使う、電気式温水器、蓄熱式空調システム、エコアイス、ヒートポ ンプ式給湯器、エコキュート
●オール電化住宅(電気温水器などで深夜電力に依存している。)

一般家庭では、電力料金契約として夜間電力を安く設定した、「電化上手」とか「おトクなナイト8」「おトクなナイト10」というような料金制度があります。「おトクなナイト10」の場合、2005年3月現在、昼間は29.0850円/kWhでやや割高ですが、夜10時から朝8時までの10時間は 6.6675円/kWhと、通常の従量電灯契約20.6430円/kWhに比べると約70%引きという料金設定です。(いずれも、第2段階料金、税込み)まさにダンピングといってもいいような値段ですが、深夜電力が余って、原発を止めざるをえないような事態を招くよりはましだという経営判断があるのでしょう。
そして、こうした電力会社の経営戦略に私たちの生活は引き込まれて、ライフスタイルまでもが変わってきている側面があります。例えば、深夜までコウコウと照明をつけているコンビニエンスストアなどはその典型といえるでしょう。ちなみにコンビニ店一軒の消費電力は、一般家庭の50倍近くになるということです。

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■電力を捨てる「発電所」 揚水式発電

「ベストミックス」とは?
電力会社の発電方針は、いわゆる「ベストミックス」ということをうたっています。刻々と変わる電力使用量に応じて、地熱・流入式水力・原子力・石炭火力・LNG火力・石油火力・揚水式水力などの発電方法を組み合わせるといういうものです。このうち、地熱・流入式水力や原子力はベース電力とされ、常時定格出力で運転されています。昼と夜とで大きく変わる電力消費に対応するため、その他の発電方法が利用されています。これを負荷追従運転といいますが、なかでも各地に建設されている揚水式発電所は、わずか数分で発電量を上下させられることから、負荷追従運転にもっとも適した発電というように最近は宣伝されています。しかし、原発に偏重した現在の体制は、このベストミックスのしくみにもゆがみを生じさせています。

■揚水式発電所は原発の付属施設

そもそも、揚水式発電所はどうしてつくられるようになったのでしょうか?
全国に42か所(2000年9月現在)、1,472.4万kw分の揚水式発電所が建設されています。そもそも揚水式発電所は、必ず原子力発電所と対になって建設されているもので、揚水式発電所の建設費用は、原発建設の必要経費の一部といってもいい性格のものです。実際、揚水式発電所がなければ、余剰の夜間電力を"捨てる"場所がなく、原発の運転に支障を来すからです。最近は、揚水式発電所が原発に必ず併設されていることを、電力会社は一般向けの説明では認めたがりません。もし、原発に必要不可欠のものとなれば、原発の建設コストに揚水式の発電所の建設費用を含めて当然ということになってしまい、原発推進の根拠である経済的優位性をおびやかす、不利な材料になるからです。しかし、昔は堂々と原発に不可欠のものであることを説明していました。

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■電気の捨て場・・・・揚水式発電所の出番

どんなときに余剰電力が生まれるかは、「電気のつくり過ぎと原発」を参照してください。電力会社の言ういわゆる「ベストミックス」による発電方式でも、現在原発の比重が大きくなりすぎて、電力が余ってきてしまいます。余剰電力を使い尽くす最後の切り札として、登場するのが揚水式発電所です。揚水式発電所というのは、次のような仕組みです。原理は、山の上と下に二つのダムを造り、昼は上のダムから下のダムに水を落として、その力で発電をします。夜は逆に、原発などの余剰電力を、昼間発電機として用いた水車に送り込んでポンプとして用い、下のダムの水を上のダムに汲み上げて貯水し、昼間の発電に備えます。上部ダムの水が下のダムから汲み上げた水だけであれば「純揚水式」、上部ダムにその上流から河川が流れ込んでいれば「混合揚水式」と分類されます。揚水式発電所の発電能力はきわめて大きく、全国の水力発電所の能力のランキングを作成すると、上位23位までは揚水式発電(混合揚水式含む)が占めています。あの有名な黒部第四ダムを使用する黒部第四発電所は33.5万kwで29位、無名に近い岐阜県本巣市(旧根尾村)の奥美濃発電所(2位)でも黒部第四の4倍以上150万kwの出力を持っています。ちなみに世界最大の揚水式発電所は東京電力神流川発電所で282万kWの出力があります。

揚水式発電所がどうしてこれほど出力が大きいかというと、落とす水量が桁違いだからです。奥美濃発電所がフル稼働のときは234G/秒の水を落としますが、それを下池(上大須ダム)で受けるからよいものの、そのまま下流へ流せば大洪水になります。例えば7月から9月までの期間、月曜から金曜までの1日について運転パターンを見ますと、揚水時毎秒約190トンの水を揚げ、発電時毎秒約234トンの水を落としています。ダムの水位は一日のうちに約30メートル上下します。黒部第四ダムの総貯水量は14884.3万Gですが、川浦ダムの総貯水量はその12%弱、1720万Gで有効貯水量は900万Gです。発電・揚水でダム湖の水の52.3%を上げ下げするのです。ですから、揚水式発電所の発電時間は最大で8〜10時間です。後は、電気を使って水を揚げなければ、発電できません。まさにマッチポンプ式発電所です。 

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■水式発電所の使命は、電気を消費すること

発電能力が大きいということは、それだけの電力が必要だからというわけではなさそうです。夏の昼間の電力消費ピーク時にできるだけ大きな電力を瞬間的に供給する必要はたしかにありますが、そうした発電能力としてよりは、その発電機をポンプとして用いたときの能力が大きいことが揚水式発電所には必要条件なのです。つまり、原発の余剰電力を余すところ無く使い切るためにできるだけ一度に大量の電力を消費する必要があります。ですから、"発電能力"も大きくなるのです。揚水式発電の問題を考えるときには、そこに投入された電力と、発電電力の割合も問題になります。揚水式発電所は電力を使って電力をつくる、別名「"電力 "発電所」ともいわれます。あるいは、非常に効率の悪い「蓄電池」ということもできます。おおむね、エネルギー効率は、揚水につかった電力に対して70%といわれています。元々の原子力発電のエネルギー効率が約35%といいますから、これらの数字から計算すると、揚水発電のエネルギー効率は35%?70%=24.5%ということになります。しかし、電力会社にとって、原発を維持するためには、効率をあげることや、エネルギーを節約することは二の次で、ともかくも余剰電力を使い切ることが大切なのです。また、揚水式発電所の建設コストや、電源別の発電容量コストなど、統計上は、水力発電に分類されています。揚水式発電所独自のデータは公表されていません。中部電力が2001年に水力発電と揚水式発電とをわけたデータを公表したそうですが、翌年からまた公表されなくなったそうです。

岐阜県藤橋村に建設予定であった国内最大級の徳山ダム・杉原ダムの建設費用で計算すると、ダム建設総体とは別に発電所建設費用のみで費用総額は約1,551.8億円。計画出力は42.4万kwですから、発電容量コストは1kwあたり約36.7万円となるはずです。

一方、資源エネルギー庁は、揚水発電としての妥当な開発費の上限は20万円/kw程度としているようです(2000年3 月10日の国会答弁より)。徳山ダムに設置される発電所の建設費用があまりにも高いことを指摘されましたが、政府の答弁は「徳山発電所は混合揚水式であり・・・・・徳山発電所の電源開発単価と、純揚水式発電所の電源開発単価を単純に比較することは適当ではないと考えている。また、徳山発電所及び杉原発電所の両発電所は、中電による平成二十年度以降の電力の供給に必要なものであり、両発電所を建設する意義は十分あるものと考えている。」(内閣総理大臣森喜朗 内閣衆質一四八第七号2000年七月十一日)というものです。ちなみにこのダム計画は2004年4月、大幅な計画変更が承認され、下につくられるはずであった杉原ダムは建設中止になり、従って揚水式発電は消滅、発電出力も大幅に計画縮小され計画出力は15.3万kwになりました。発電コストはいくらになるのか不明です。要するに、将来の電力供給のために意義を認めればいくら高くても良いということなのですが、普及の必要性が同じように叫ばれている風力などの新エネルギーにこれだけのコストをかけることが出来れば、新たなエネルギー源として十分対抗できるのではないでしょうか。

揚水式発電を原発本体の建設費にプラスして考えた場合、コストを押し上げる要因になることは間違いないでしょう。

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<送電費用>

送電に関わる費用には送変電設備そのものの建設費用と、その保守・管理費用があります。さらに、送電線の抵抗から生じる送電ロスも計算しなければなりません。

ばかにならない送電ロス
送電線と変電所の建設・保守・管理費用

■ばかにならない送電ロス

このうち送電ロスは、距離に比例し、送電電圧を高くするほど小さくなります。そこで日本の電力会社は100万ボルトという世界でもまれに見る高圧の送電線を開発しました。しかしそれでも日本全国では、現在でも総発電量の5%ほどが失われていることになるそうです。2000年度、資源エネルギー庁の概算によれば、全国で1年間約458.07億kWhの損失になるそうで、この数字は、「100万kW級の原子力発電所6基分」の発電量に相当します。原子力発電所は、火力に比べ消費地からかなり離れたところにあります。東電の場合、火力発電所は横浜から千葉にかけての東京湾沿いに立地しているのに対して、直線距離にして福島第一・第二、柏崎刈羽原発で東京都心から約200km、東通原発に至っては550kmもの距離があります。水力発電所は都心部から100〜150km圏にありますが、水力発電所の発電容量は一般水力のみだと全発電容量の3%強しかありません。ちなみに、原発と切っても切れない関係のある揚水式発電所は全発電容量の10%です。従って、水力の合計は約13%ほどですから、送電ロスの大部分は原発に関係したものといってもいいくらいです。

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■送電線と変電所の建設・保守・管理費用

日本で開発された100万ボルトの送電線は、鉄塔の大きさがどれも高さ100m以上に達します。そのような鉄塔を何百も建てて、発電所から都会へ電力を送っています。送電線の末端には、送られてきた電力を実際に使えるようにするために、大規模な変電所が設置されています。当然送電線と変電所の建設・保守・管理費用は巨額なものとなります。 東京電力の場合、公開されている2002年度の損益計算書によると、送電費として4001.76億円、変電費用として2118.17億円かかったことになっています。この年の電力販売量は2819億kWhですから、単純に計算して送変電費用として1kWhあたり約 2.17円かかっていることになります。前述のように火力は消費地東京の比較的近くに発電所があるのに対して、原子力・揚水式水力はいずれも遠隔地にあります。このように発電容量・電源別販売電力量・送電距離などいろいろ考えると、あくまでも目安として考えるだけですが、この送変電費用のかなりの部分は原発・揚水式発電関係のものだといえないでしょうか? 従ってその分は、原子力発電の影のコストとして計算に入れるべきだと思います。

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<バックエンド事業>

廃炉費用・・・・ほんとはいくらかかるの?
核燃料再処理・・・・半分だけね?
負担者はだれか
予測不能 未来へのツケ
今は「資源」、でも将来は「ゴミ」・・・明らかに含まれていない費用。
不可能な前提
オルターナティブ
"盤石の原発政策"・・・惰性でつづく原子力


原子力発電所で、燃料製造・発電所建設・運転などの「フロントエンド事業」に対し、原子炉の廃炉費用や放射性廃棄物の処理、核燃料サイクルにかかわる事業を「バックエンド事業」と呼んでいます。このうち、すでに手当のすんでいるのが廃炉費用です。1989年より電力料金の中から、各電力会社が積み立てて廃炉に備えています。

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■廃炉費用・・・・ほんとはいくらかかるの?

日本原子力発電(電力会社9社が出資する企業)によると、標準的な原子炉1基の解体から放射性廃棄物の処分までに必要な廃炉費用が、2002年6月の段階で約550億円といわれていました。これだけで現在52基ある商用原発をすべて廃炉にするとなると、約3兆円かかることになります。これは東海第二原発・出力111.1万kwをモデルにした試算で、モデルでは解体費用が388億円、原子炉圧力容器などの放射性廃棄物の処理・処分費用が157億円、合計で545億円という見積もりを根拠にしています。しかし、実際に解体が始まっている、東海原発出力16.6万kwの場合、解体に約350億円、廃棄物の処分に約580億円、合わせて何と約930億円もの見積もりがなされています。 初めての廃炉処理ですから、いろいろなことを試しながらやるにしても、あまりにも見積もりがいい加減にすぎるのではないでしょうか。実際に100万kwの原発を廃炉にするのにはどれくらいの費用がかかるのか。今稼働中の原発すべての解体費用は? それに伴う積立金はいくら必要なのか? そして、我々の負担は、どれくらい増えるのか、とてつもないツケがまわってきそうです。

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■燃料再処理・・・・半分だけね?

使用済み核燃料の処理・再処理をめぐって、2003年に電気事業連合会は費用の見積もりを今後80年間にわたり総額18.8兆円と試算しました。 うち再処理事業費用が11兆円,高レベル放射性廃棄物処分に係る拠出金は2.6兆円。見積もりは,今後40年間までに発生する使用済核燃料のうち,約半数の約3.2万トンを六ヶ所再処理工場で再処理,残りの約3.4万トンは中間貯蔵にまわすという想定で行われています。

18.8兆円のうち,MOX燃料加工費用,ウラン濃縮工場バックエンド費用は,燃料加工に関わるのでフロントエンドとし、中間貯蔵費用も再処理に直接関る費用ではないので今回の措置の対象からははずすようです。したがって、このバックエンド事業の対象は,15.1兆円となるようです。この、MOX燃料というのは、原子炉でプルサーマルを行うための燃料です。現実には、そのプルサーマルの試験を行おうとすると、データ改ざんなどの不祥事も重なって原発地元で反対運動が起き、試験すら行えない状況が続いています。

■負担者はだれか

15.1兆円については,電気利用者から徴収することになるそうです。これまでに発電した分の処理費用、2.7兆円については、これから特定規模電気事業者(民間の発電事業者)の利用者からも徴収するという仕組みだそうです。つまり国民すべてが負担するということでしょうか。これまで、さんざん原発の低コストを訴えてきたのですから、電気事業者が負担してもおかしくないとはおもうのですが、このあたりで電力会社も本音が見えてきました。例えていえば、大食漢が自分勝手に(制止の声も振り切って)これまでさんざん飲み食いしてため込んだ代金請求を、今店に入ってきたばかりの新しいお客(特定規模電気事業者*)にも一緒になって払わせようとするようなものです。しかも、こうした理不尽な仕組みが、「電気の安定供給」ということを錦の御旗に、まかり通ってしまう状況は、恐ろしいといわざるを得ません。

*特定規模電気事業者:1999年度の改正電気事業法(2000年3月21日施行)により新たに認められた事業で、電気の小売自由化の対象需要家に電力会社の電線路を使って電気を供給する電気事業です。

 

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■予測不能 未来へのツケ

現段階の技術では正確な試算が不可能な費用もあります。将来費用が高騰しそうなものとして、例えば、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体やTRU(超ウラン)廃棄物の地層処分の費用です。この技術は世界でもまだ確立したとはいえません。なんとなくこんな風にできるという構想はあるものの、実証されていませんから、今の段階で経費を見積もってもその妥当性を判断することは困難だとおもわれます。特にTRU廃棄物については、まだ何の制度もできていません。どこまで地層処分にするのか,放射能レベルも決まっていないのに正確な見積もりが出せるとは思えません。そもそも、これら廃棄物の処理が本格化するのは、数十年後、放射能レベルをある程度下げてからのことです。「タイムラグ」があると表現されていますが、その間の物価変動のみならず、社会情勢の変化は想像の域を超えることでしょう。基本的に未来の世代に大きな負担を強いることには代わりありません。


■今は「資源」、でも将来は「ゴミ」・・・明らかに含まれていない費用。 

今回の試算にはウラン濃縮過程で発生する劣化ウランや再処理過程で発生する回収ウランの処分費用は入っていません。将来再利用することを考えて「資源・資産」ということになっているようです。しかし、再利用するためには、そのための技術開発・設備投資に六ヶ所村の再処理工場に匹敵するような巨額の投資が必要になるはずです。しかも、利用できるU235の密度は低いため、再利用される割合はきわめて少なく、その分コストはかかります。技術的な困難も相当なものになるのではないでしょうか。結局は廃棄物として処分することになる可能性が高いと考えられます。今回の試算には、廃棄物として処理する費用はもちろんのこと、貯蔵するための費用も見積もられているのでしょうか。

再処理をしてつくられたプルトニウムのMOX燃料は、一度きりの使用で使用済みになります。しかし、そのMOX燃料をさらに再処理するとすれば、別タイプの再処理工場が必要になり、その建設費用など含めると費用は30兆円ほどにもなるというのです。使用済みのMOX燃料は、再処理後の高レベル放射性廃棄物ガラス固化体に比べると発熱量が6倍ほどにもなり、50年間冷ましたガラス固化体と同レベルにまで冷ますには数百年はかかります。(朝日新聞より)その間、必要となる保管に関わる費用は、今回の試算には含まれていないようです。この使用済みMOX燃料も、将来のために「資源」として貯蔵するというのでしょうか。それにしても、たとえ百年間にしても、半端な年数ではありません。今から百年前、日本はまだ明治時代でした。ご存じの通り、日清戦争や日露戦争に明け暮れて、先進国に追いつき追い越せの軍拡競争をやっていた時代です。いまから百年後、いったい日本はどうなっているのでしょう。そんなときまで確実にツケを残すことを私たちはすでに行っているのです。

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■オルターナティブ

再処理に対して、直接処分という別の道、オルターナティブもあるはずです。試算によると、核燃料再処理は使用済み燃料をそのまま直接処分するのに比べると、 1.5〜1.8倍高いといいいます。1家庭当たりに換算すると、年間 600〜840円の負担増になるというのです。これならばたいしたことないと思うかもしれません。でも再処理を始めてしまうと、これまで述べてきたように実際にこれだけで済むという保証はありません。総合エネルギー調査会電気事業分科会・コスト等検討小委員会の報告書の数字を使って単純に計算すると、再処理の結果つくられるMOX燃料の値段はウラン燃料の約13.5倍となってしまうようです。具体的な数字をあげると、4300tUウラン燃料の節約のために12兆円を超えるお金が必要となるそうで、それと同じに使うことが出来る代替のウランの取得価格は9000億円だそうですから、これで実に13.5倍にもなるわけです。資源の「節約」というだけでこれほどの費用がかかるのはおかしいとは思いませんか?

引用:コストから原発を考えるプロジェクト
http://fukurou.txt-nifty.com/cost/

また、六ヶ所村の再処理工場建設には、結果からいうと2兆4千億円もかかったようです。それでも現実には今ならまだ間に合うこともあります。つまり、工場は出来たけど、実際には動かさない、つまり再処理をしないという道もあります。後始末費用は操業しないままのほうがはるかに安いといいます。いったん再処理を始めてしまうと、施設が放射能により高度に汚染されるため、解体するのに1兆5500億円かかるそうです。操業しなければ、4500億円だということですが、別に解体もしないでそのまま「記念物」としてとっておけばいいと思うのですが。

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"不動の原発政策"・・・惰性でつづく原子力

2004年10月原子力委員会は原子力に関わる長期計画をまとめました。この中で、核燃料再処理に関しては、核燃料サイクル路線の維持を決めました。その理由として、路線を変えるとこれまでの投資が無駄になるとか、これまで様々な施設を受けて入れてくれていた青森県と国・電力との信頼関係が壊れるとか、再処理技術が継承されなくなるなどといったことをあげています。路線を維持・続行すれば、「これまでの投資」を何十倍も上回る負担がかかってくることについての議論は行われなかったのでしょうか? 当面の責任問題に終始して、将来の世代に対する責任を放棄した決定と言わざるを得ません。この決定は、再処理工場の稼働に実質的GOサインを出したことになります。2005年1月からは、模擬ウラン燃料などを用いた「ウラン試験」が行われ、2006年3月からは、次の段階の「アクティブ試験」で、六ヶ所村の施設は放射能に汚染されてしまったようです。国民の負担はどうでも、これまでの行きがかりを捨てきれない体質が問題です。しかし、窮極的に費用を負担するのは私たち国民ですし、私たちの子孫全体に、より大きな負担がかぶさってきます。国民とその子孫全員の問題としてとらえる視点が必要ですし、国民全員の問題として議論する必要があります。
あなたならどう考えますか?

参考:Green Hands
http://members.jcom.home.ne.jp/greenhands/index.html

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よくわかる原子力-電力政策の問題点(原子力教育を考える会)ホームページより
http://www.nuketext.org/mondaiten.html


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