(1条 憲法を考える:6)加害の歴史、向き合うのは誰(2019/05/06朝日新聞) ・・・岐阜大学の講座「平和学」では17年から毎年、渡部さんのことを取り上げている。非常勤講師の今井雅巳さん(67)は「学生は戦争の現実を初めて知って驚く。天皇の軍隊が何をしたのか、加害や抵抗の歴史が伝えられていない」と語る。天皇の地位は、敗戦に伴って危機を迎えた。連合国の一部から昭和天皇を「戦犯」として裁くよう求める声が上がる。だが、連合国軍総司令部(GHQ)は占領をスムーズに行うため、戦争責任を不問にした。1条で「主権者」だった天皇を「象徴」に変え、戦力の保持を否定した9条で「平和国家」への転換を国内外にアピールした。 戦後しばらく、国内にも戦争責任を追及する声はあった。南原(なんばら)繁・東大総長は道義的責任を強調し、昭和天皇の退位を求めた。だが、「元首」としての昭和天皇の責任を正面から問う視点はほとんどみられず、国民自らの手でけじめをつけることはなかった。・・・今月3日の憲法記念日。明治大学のホールが約1200人の市民で埋まった。昭和天皇を題材にした連載小説を執筆中の作家高橋源一郎さん(68)が講演し、平成の天皇による「慰霊の旅」の理由に言及した。 「戦争責任を問われないまま、昭和天皇がやり残したことの贖罪(しょくざい)の旅をやってきたのではないか」 (地球24時)エボラ死者、1千人超(2019/05/06朝日新聞) AP通信によると、イルンガ保健相は3日夜、疑いも含めたエボラ出血熱による死者が1008人に上ったと説明した。2014年に西アフリカのリベリアなど3カ国で流行して1万人以上の感染者が亡くなって以来では、最多の死者数だという。国境を接しているルワンダやウガンダも警戒を強めており、すでにワクチンを配布している。 (声)非正規には重苦しい10連休(2019/05/06朝日新聞)作業所勤務 大柴博明(千葉県 50) 重い連休が終わろうとしています。10連休を楽しんだ人はいると思います。でも、非正規の労働者や失業中の人は難儀しています。収入は、働かない期間は、ありません。外出すれば、お金がかかります。結局、自宅でゴロゴロする以外ないのです。公務員や正社員は、休んでも給料は変わりません。それに対して、失業者はもちろん、非正規労働者、パート、アルバイトの人にとって、何と重苦しい連休なのでしょうか。 平成から令和になった今の時期に、明暗がはっきり分かれたと思います。格差があっても当たり前と思う人は少なくないかもしれません。それぞれの運命なのだと。しかし、これからの時代、格差が少なくなる社会になって欲しいです。誰もがこの国に生まれて良かったと思えないようでは、幸福度が高い国家とは言えないと思います。 (通わぬ言葉:4)広がる攻撃、銃から下着まで(2019/05/06朝日新聞)
北九州市議の村上聡子さん(53)が事務所に届いた段ボール箱を開けると、注文した覚えのないベージュ色のブラジャー16枚がぎっしり詰まっていた。美容ドリンク、青汁、まな板なども立て続けに届いた。昨年6月のことだ。「嫌がらせが、とうとうこんな手段になったのか」。信じられない気持ちだった。 その2カ月前、前川喜平・元文部科学事務次官の講演会の司会をした。事務所の電話がそれから鳴りやまず、「オマエの家族をのろってやる」という脅迫状が届いた。「前川氏が政権に批判的な発言を続けることと関係があるのかもしれない」と感じた。身体的な苦痛はないが、かつて朝日新聞阪神支局襲撃事件などで言論に向けられたむき出しの暴力と悪意の根は同じだ、と村上さんは感じている。・・・ 東京都八王子市の障害者施設職員、菱山南帆子さん(30)の元には昨年9月、保湿クリームや化粧水が3日間続けて届いた。 菱山さんは国会前での改憲反対デモに加わってきた。「帰れ」「女のくせに」。街頭やツイッター上で罵倒されることは何度もあったが、物が届くのは初めてで「動機がわからず、気持ち悪かった」。・・・1990年1月、長崎市役所に銃声が響いた。市政担当で庁舎にいた高橋さんが玄関に駆けつけると、地面に血だまりがあった。本島等(もとしまひとし)市長(当時)が胸を撃たれ、重傷を負っていた。 その1年余り前の88年12月に本島氏が市議会で「天皇に戦争責任はある」と述べたことが背景にあった。昭和天皇の病状が悪化、「自粛ムード」が広がった中での発言で、撤回を求める右翼活動家が長崎に集まり、実弾入りの脅迫状も届くなど緊張が高まっていた。本島氏が発言を覆すことはなかった。 「戦争体験に基づく本島さんの率直な問題提起に、議論ではなく、銃弾を返すとは。事の重大さと思想の空っぽさの落差が悲しい」自由に物が言える社会を求めて集会が各地で開かれ、市民団体に集まった署名は発言以降、38万筆を超える大きなうねりとなった。「市民の運動が言論の自由を支える『時代の柱』だった」と高橋さんは振り返る。 |
<社説>きょうこどもの日 子の権利守っているか(2019/05/05琉球新報) 仏デモ25週目、参加者は最少 全国で1万9千人(2019/05/05琉球新報) 『沖縄の怒り』 理不尽さに鋭く切り込む(2019/05/05琉球新報) 「どちらとも言えない」「分からない」という中立を装う立場が幅をきかす。《国民の政治的リテラシー低下》と氏は指摘する。《人権や自由が抑圧され……国連特別報告員に警告を受ける今の日本でさわやかな沖縄人や上品な女性でいるより、怒れる沖縄女性でありたい》と氏は決然と述べる。・・・《東京で通訳の手伝いでオリバー・ストーン監督とピーター・カズニック氏の末席を汚した》という経歴を持つ著者は、名桜大の英語の教授を務め、国際会議で同時通訳をこなす国際的な体験の持ち主である。氏の怒りは辺野古問題にとどまらない。暴走するアベ政権全般に向けられている。理不尽な事象への激しい怒りを述べる彼女であるが、本書と同時に発刊した詩集『沖縄から 見えるもの』においては、実にナイーブな知性と感性を見せてくれる。本書と併せて薦めたい本である。 こどもの日に考える 時代を創る人たちへ(2019/05/05東京新聞) <一人一人の人間が、我一人立つという気持ちを持てるかどうかなの。我一人立つというのは、“何くそっ”という気持ちなの。そうすると不思議なことに隣の人も立つんだよ−>。同感です。・・・今、時代の節目に立った時、“1/6の群像”たちは「平成は貧困の時代だった」と振り返っているのでしょうか。経済協力開発機構(OECD)が二〇〇五年に公表した報告書によると、一九九〇年代のバブル経済崩壊直後、日本の貧困率は加盟国中すでにワースト二位でした。 これを真摯(しんし)に受け止めず、「一億総中流」の“昭和の夢”に溺れていたのは、私たち大人です。責任を逃れるつもりはありません。 意見や願い 自由に 「子どもの権利条約」30年(2019/05/05東京新聞) 民間ロケット、宇宙到達 日本初高度100キロ以上に(2019/05/05東京新聞) マドゥロ大統領演説「米軍の攻撃に備えよ」 ベネズエラ(2019/05/05朝日新聞) マドゥロ氏は4日、軍事大学を訪れ、射撃訓練などを視察。3500人の士官候補生を前に演説したという。視察後にはツイッターに「永遠の忠誠! 決して裏切らない!」と投稿した。このところ連日、軍を視察し、組織を引き締めている。 ネットがさらす被差別部落 議論避けた社会、深めた差別(2019/05/05朝日新聞) 公開したひとり、神奈川県に住むプログラマーの男性(40)は、取材にこう答えた。「被差別部落の場所を正しく知ることが、部落問題の議論の土台になる。公開は研究の自由にあたる」。自分がつくった地名リストによって差別を受ける人もいるとは思うが、「極めて少ない。差別をなくすために公開するメリットの方が大きい」と強調した。 しかし、この「リスト」が人々を傷つけている。出自を自ら名乗り出ることと、第三者から一方的に公開されることは違うとして、被差別部落出身者がリストの削除を求めて提訴。裁判は続いている。近世で被差別階層とされた人たちが住んだ場所に由来する差別。さらされるのは地名だけではない。被差別部落だとする映像に不安をかきたてるような音楽を重ねた動画、「部落は犯罪が多い」など、根拠のない情報があふれる掲示板。・・・川口さんは「社会には、引っ越して住んだり、親族の結婚で部落出身者と関わったりすることで、自分まで『部落側』にくくられたくない、という意識が残る」と指摘。人々の理解のなさからくる忌避意識が「リスト」と結びつき、差別が深まるという。 メディアにも避ける意識があった。70〜80年代、被差別部落をめぐる差別表現で反差別団体から抗議を受けた後、正しく理解して報道するというより、差別問題そのものを扱わない傾向がみられた。 (子どもたち、守れますか 学校の死角)繰り返される、学校の事故(2019/05/05朝日新聞) (1条 憲法を考える:5)君が代斉唱、統合の象徴?(2019/05/05朝日新聞) 君が代は、大日本帝国憲法下で主権者である天皇の神格化を支えた。敗戦をはさみ国民に主権が移っても、君が代と天皇を関係づける声は根強い。君が代を国歌とした1999年の国旗国歌法の審議では、政府は「君」について「象徴天皇」とする見解を出した。新憲法は「思想・良心の自由」を保障している。だが、東京でも不起立を理由にした処分者が出た。 大阪では、条例ができた直後に戒告処分を受けた7人が、処分の撤回を求めて府教委を訴えた。7人の不斉唱の理由はそれぞれだ。親の戦争体験、被爆2世、在日朝鮮人や被差別部落の子どもとの交流……。内心の自由をかけて「歌わなかった」というより、「歌えなかった」のだった。・・・大阪地裁の判決は18年3月。7人の振る舞いが式典を乱すことはなかったと認めつつ「特異な行動に及んだ」として訴えを退けた。これは最高裁が11年に次々と示した判断に基づく。 起立斉唱は「一般的、客観的に見て式典における慣例上の儀礼的な所作」で、「思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面がある」としても、不起立不斉唱という行為は「社会一般の規範と抵触する場面において制限を受けることがある」とした。 この判旨について、上智大学の江藤祥平・准教授(37)=憲法学=は「面従腹背のすすめ」と読み解く。「腹では従わなくてもいいけれど、面構えだけはみんなと同じにしなさい、ということ」 さらに、こんな見方も示す。「君が代を押しつける権力者の真の動機は、右を向けと言ったときに右を向く従順なしもべをつくり、左を向く『非国民』をあぶり出すことにある」 |
(時時刻刻)安倍改憲、笛吹けど 森友・加計で与野党対立、議論進まず(2019/05/04朝日新聞) 首相は、自ら改憲に向けてのろしを上げた2年前の5月3日を振り返り、それを受けて自民党が昨年まとめた憲法9条への自衛隊明記を含む「改憲4項目」を紹介。「令和元年という新たな時代のスタートラインに立って、国の未来像について真っ正面から議論を行うべき時に来ている」と訴えた。だが、首相の思いとは裏腹に、国会での議論はまったく進んでいない。 「いまの改憲論はフェイク」憲法学者・樋口陽一氏の危惧(2019/05/04朝日新聞) 「そうです。軍備拡大への歯止めがなくなり、あらゆる戦争を遂行できることになりかねません。そういう認識をきちんと共有しないまま提起されている今回の改憲論は『政治的な主張』と呼べるレベルのものではありません。フェイク(虚偽)です」 ――自衛隊を書き込む改正について国民投票が行われたら、賛否はどうなると見ますか。 「予測はしませんが、単なる個人的な見方を言うならば、現政権の下、安倍晋三氏とその周辺が旗を振る形での改憲ということであれば、幅広い支持には至らず挫折するでしょうね。言葉を積み重ねることで公共社会に共通の枠組みを築き続けていく――そういった文明社会の約束事をあまりに軽んじる政治家たちだからです」 ・・・「もし『国民の支持で首相になったのだから、私がすべてを決めて何が悪いのか』という首相がいたとすれば、それはあしき国民主権です。ヒトラーが権力を掌握していく際の論理だったのですから。国民主権という言葉を使うときにはそういうリスクがあることを知っておくべきでしょう」・・・「日本では、遠くから見れば表面的には大きな波風が立っていないように見えるのかもしれませんが、フェイクが横行し、すべての議論の前提である『言葉が持つはずの意味』が失われています。深層で何かが溶解し始めた状況、頑丈だと思われてきたものが崩れ去り始めている感覚があります」 ひめゆりの思い、語り継ぐ次世代 資料館30年(2019/05/04朝日新聞) ・・・資料館には30年で計2200万人以上が訪れた。ただ、証言員を務めた元学徒30人のうち13人が死去。現在資料館の活動に関われるのは6人で、全員90代だ。 高齢化が進む中、資料館は継承の方法を模索してきた。2004年には「当事者が語れなくなっても伝わるように」と展示をリニューアル。戦後70年となった15年には、戦後生まれの職員が講話を引き継いだ。 (書評)『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』 菅野久美子〈著〉(2019/05/04朝日新聞) 孤独死は年間3万人に達するという。自分たちの近隣にもゴミ屋敷はあり、家を探せば妙に安い物件もある。孤独死しかねない人も思い浮かべられるだろう。我々が作ってきた社会だ。ハイテク利用の見守り、第三者が支援するレンタル家族、孤独死保険、対応策も紹介される。特効薬はない。この現実を見つめたい。 「一方通行の言論、危機感」 阪神支局襲撃32年(2019/05/04朝日新聞) 「9条は世界の宝だ」「憲法審査会を早く」 憲法記念日、護憲派・改憲派が集会(2019/05/04朝日新聞) 平和憲法 令和も守る 施行72年集会に6万5000人(2019/05/04東京新聞) ダビンチ没後500年 歩み寄り 仏伊大統領、天才たたえる(2019/05/04東京新聞) |
世界最大級の闇サイト摘発 欧米当局、百万人超利用か(2019/05/04東京新聞) ざんねんな絶滅 私を死なせた犯人は?(2019/05/04東京新聞) 高額の治療薬 誰でも使える態勢に(2019/05/04東京新聞) グアム移転 24年10月にも 沖縄海兵隊 米軍が現地に伝達(2019/05/04東京新聞) 今こそ立憲主義 青木、渡瀬さん―政権の民意無視批判 浦添で講演会、1100人来場 憲法記念日(2019/05/04琉球新報) |