(社説)施政方針演説 未来を拓くと言うなら(2017/01/22朝日新聞) 「未来を拓(ひら)く。これは、すべての国会議員の責任です」通常国会が開幕し、安倍首相が施政方針演説でそう訴えた。一人ひとりの議員が「未来」を思い、議論し、合意形成をはかる。それはあるべき姿だ。だが演説を聞く限り、首相の本気度には大きな疑問符がつく。たとえば沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題である。「最高裁判決に従い、名護市辺野古沖への移設工事を進める」「必要なことは、実行だ。結果を出すことだ」と言い切った。一方で、たび重なる選挙で示された沖縄県民の「辺野古移設反対」の民意や、県との対話をどう進めるかについてはまったく語らなかった。沖縄の未来をつくる主人公は沖縄に住む人々だ。その当たり前のことが、首相の演説からは抜け落ちている。・・・ 「意見の違いはあっても、真摯(しんし)かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこう」首相は演説で、民進党など野党にそう呼びかけた。だが先の臨時国会での安倍政権のふるまいは違った。首相は「私が述べたことをまったくご理解いただいていないようであれば、こんな議論を何時間やっても同じ」と言い、与党は採決強行を繰り返した。少数派の異論や批判に耳を傾け、よりよい合意をめざす。それこそが「建設的な議論」の名にふさわしい。一定の審議時間が積み上がったからと、数の力で自らの案を押し通すやり方を「建設的」とは言わない。 <社説>海兵隊ヘリ不時着 防止策は普天間即時閉鎖だ(2017/01/22琉球新報) (日曜に想う)「考える人」から「思う人」へ 編集委員・福島申二(2017/01/22朝日新聞) 「白バラ」と呼ばれたグループはドイツの良心として語り継がれる。手もとにあるその本には、自分たちの意見を社会に広めるために「謄写機をぜひ持つべきだ」という学生の言葉が繰り返し記されている。ネットなどない時代、学生らはタイプライターで原紙を打ち、一枚ずつ手で刷って密(ひそ)かに配布した。ビラの末尾にはきまって「本紙を複写し、さらに配布されんことを!」といった呼びかけがあった。巨大で凶悪なプロパガンダ組織だったナチスに小さな謄写機で必死に抵抗し、ついに捕らえられた学生たちに胸が詰まる。 今のように携帯から瞬時に発信、リツイートできる時代だったら、若く聡明(そうめい)な彼や彼女の運命は違っていただろうかと、想いはそこへ飛んでいく。 「ポスト真実(トゥルース)」という聞き慣れない言葉が、昨年来、またたく間に世界に流布した。好ましい言葉ではない。平たく言えば、事実や真実よりも感情的な言辞や虚言、あるいはうその情報に民意が誘導されていく状況をさしている。・・・思えば、白バラの若者たちが命がけで抗したヒトラーも、「ポスト真実」の土壌から台頭した独裁者だった。人は小さなうそより大きなうそにだまされやすいと平然と述べ、大衆の理解力は小さいが忘却力は大きいなどと、寄り添うふうをしながら徹底して大衆を蔑視した。・・・ 政治家を「考える」タイプと「思う」タイプに分けるなら、政権を去ったオバマ氏は前者であろう。挑発より説得を、対立より協調を擁護する手法は、ときに非力に見え、優柔不断と批判も浴びた。だがそれも、分裂への地鳴りが常に響いている多様な米社会のもろさ、民主主義に内在する(今回のような)危うさを深く認識すればこその「考え」であったと推察する。トランプ氏は後者だろう。好き嫌いを軸にものごとを判断し、保水力のない心は思いを衝動的に吐き出してしまう。往々にしてこのタイプの方が決断力に富み英雄的で、強く見えるのが厄介だ。トランプ大統領の誕生は、「思う」がもてはやされ、「考える」が面倒がられるネット時代の必然かもしれない。米の民主主義がもたらした世界への劇薬であるのは、いまのところ間違いない。 トランプ大統領 「国益」至上主義では危うい(2017/01/22京都新聞) 「オバマ否定」の羅列 トランプ新政権の政策は、オバマ前政権が力を入れてきた施策に対する「否定」の羅列である。対外政策は、環太平洋連携協定(TPP)の離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、不法移民を阻止する国境の壁の建設など、保護貿易主義と排外主義が色濃い。人、カネ、モノの自由な移動を是とする自由貿易路線から世界一の経済大国が急転換すれば、関係国の企業や労働者に大きな苦痛と負担を強いる。そのことを意識しないのだろうか。オバマ氏が提唱した「核なき世界」の理想も消えた。米ロ関係を改善し、ウクライナ問題で科した経済制裁の解除と引き換えに核軍縮を持ちかけるというが、現実的な「取引」とは思えない。 内政面でも、国民皆保険を目指した医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃を決めたが、法外に高い医療費を放置したままでは、低所得者は医療を受けられなくなる。環境規制を緩和するというが、国立公園での石炭や原油の掘削を認めれば、取り返しがつかない自然破壊を招く恐れがある。・・・ 心配なことは、閉塞(へいそく)感を背景に「米国が第一」のような利己的ナショナリズムの政治が世界に拡散していくことだ。「国益」最優先となれば、貧困対策や人道支援、環境対策などは後退し、協調より利権争いが幅を利かす帝国主義時代さながらの殺伐とした国際社会に逆戻りしかねない。 ・・・こうした風潮を見ると20世紀前半の暗い時代が思い浮かぶ。思想家の柄谷行人氏は著書で「ナチズムが人を魅惑したのは、将来に向かって現在を耐えるのではなく、『今ここ』で現在の諸矛盾を解消してしまうような幻想を与えたから」と分析する。トランプ氏の演説にも通じるものがあろう。 パキスタンで爆弾テロ、20人死亡 反政府勢力が犯行声明(2017/01/22CNN) (政治断簡)怖い強いコワい 政治部次長・高橋純子(2017/01/22朝日新聞) ・・・一強かつ強権。イケイケドンドン太鼓を好き放題打ち鳴らしている感のある首相だが、色川色の眼鏡で色々見直すと――。1次政権の時は全勝を狙い、力任せに勝つには勝つがロスも多く、1年でポキッと折れて大負け越し。翻って今、とにかく長く首相でいるために、捨てられるものは捨てる。戦後70年談話や慰安婦問題をめぐる日韓合意、昨年の真珠湾訪問。従来の主義主張に照らせば齟齬(そご)があるはずのこれら、勝ち星としてではなく、大きく負け越さないための星として積まれているのかも。一世一代の大勝負、憲法改正で勝つために……怖い? いや、手強(ごわ)い。しかし本当にコワいのは、そんな首相と相対する側の「負け癖」だ。色川は、負け続けると身体の反応が違ってくると言う。「感性がにぶくなって、負けを負けとして認識できなくなる。これが怖いんだ」 例えば先の国会、「カジノ法」をめぐる民進党の迷走や蓮舫代表のどうにも芝居がかった語り口は典型だろう。本気で怒っている、その熱が伝わってこない。野に在る者が野性味を手放したら、ナメられるだけだぜ。現に首相は施政方針演説で「国会の中でプラカードを掲げても、何も生まれません」。だが、言論の府をおとしめているのはそもそも誰か。「何も生まれない」なんて首相に言われる筋合いは、ない。 負け癖を払って野性を取り戻せ。まずは腹から声を出すのだ。 トランプ米政権船出 建国の精神を忘れるな(2017/01/22東京新聞) |
施政方針演説 未来は切り開けるのか(2017/01/21京都新聞) 高浜2号機でクレーン転倒 原子炉補助建屋が一部破損(2017/01/21東京新聞) 関電、核燃料数259体と修正 当初58体と説明、クレーン転倒(2017/01/21東京新聞) 日本、通商戦略厳しく トランプ政権「2国間交渉」に軸足(2017/01/21東京新聞) 「他国軍へ援助、米軍劣化」 トランプ氏、駐留費見直し示唆(2017/01/21東京新聞) 首相施政方針 同盟を不変とする誤り(2017/01/21東京新聞) 天下りあっせん 文科省だけだろうか(2017/01/21東京新聞) 「米国第一を推進」 トランプ大統領就任 雇用・移民、国益優先(2017/01/21朝日新聞) 野党、気分新たに出陣 共産、国会開会式に出席 蓮舫氏は白い和服姿(2017/01/21朝日新聞) ワシントン、歓声と抗議 デモ数記録的、小競り合いも 米大統領就任式(2017/01/21朝日新聞) ・・・ トランプ氏は17日、ツイッターで「人々が記録的な数字でワシントンに流れ込んでいる」と発信。だが、就任式前日から当日にかけての首都はむしろ、抗議デモの参加者と厳戒態勢を敷く警察官の方が目立つ。2009年のオバマ氏の1期目の就任式では、首都全体が新大統領の誕生に沸き、支持者が沿道をぎっしりと埋めた。だが今回、米当局が事前に推定した聴衆は80万人前後で、8年前の約180万人の半分以下。約100万人の4年前と比べても少ない。一方で、記録的となったのはデモの数だ。20日も朝から太鼓をたたきながら、「ノット マイ プレジデント(私の大統領ではない)」と声を上げる抗議者たちがいた。20日だけで63団体、前後を合わせると99団体がデモを予定し、大半が抗議目的だとみられている。過去の例ではベトナム反戦運動と重なった1973年のニクソン大統領の2期目の2万5千人が過去最多とされるが、これを大きく上回る可能性もある。 キリン、ブラジル事業撤退へ 赤字で子会社売却を検討(2017/01/21朝日新聞) (わたしの紙面批評)トランプ大統領の誕生 現実に「目をつぶる」報道の危うさ 宇野重規さん(2017/01/21朝日新聞) http://digital.asahi.com/articles/DA3S12757707.html (声)許せぬ「保護なめんな」の上着(2017/01/21朝日新聞)会社員 冨田康行(愛知県 48) 神奈川県小田原市の生活保護担当職員が、「保護なめんな」などの文字をプリントしたジャンパーを着用して保護家庭を訪問していたそうです。何ともやりきれず、許せない話です。それぞれ事情を抱え、時には引け目を感じつつ、市町村に生活保護の相談に来ている人は少なくないでしょう。担当者と心が通い合わないと、「こんなに卑下してまで生きてゆかなくても」と思ってしまう人もいることでしょう。そうして、資格はあるのに遠慮してしまう人がいる一方で、不正受給する人も確かにいます。ですが2012年度の厚生労働省調査では、生活保護費全体に占める不正分は0・5%。その後増えているとしても、全体からすればごく一部です。それなのに、市職員が今回のような不正受給ばかり強調する行為をすれば、善良な受給者まで白眼視されかねません。生活保護は、人として生きていくための最後の砦(とりで)です。その「人としての尊厳」に思いが至らない担当職員、身内の資産までさらさなければいけない制度、貧困は自己責任という人々の意識。これらがなくならない社会を残念に思います。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12757713.html (声)天下り、文科省に道徳あるのか(2017/01/21朝日新聞)大学非常勤講師 今野博信(北海道 59) 文部科学省が国家公務員法に違反して、前局長の早稲田大学への「天下り」を組織的にあっせんした疑いがあることが分かった。前川喜平事務次官が引責辞任に追い込まれ、次官を含む幹部7人が懲戒処分された。これで一件落着なのか。教育行政を受け持っているのだから、ほかの省庁以上に、次世代の範となる振る舞いが期待されているはずだ。ところが、実際はどうだっただろうか。文科省が受け持つスポーツに例えれば、こういうことだ。スポーツには、どの競技者にも公平なルールがある。ところが、ばれてしまえば謝るが、ばれなければ構わないという「範」を子供たちに示してしまった。もしくは、「うちには一般のルールは適用されない」という思い上がった意識があったのだろうか。そんな役所がつかさどる教育行政が2018年度から順次、小中学校の道徳を教科に格上げし、子供たちを評価しようとしている。評価する資格があるだろうか。それこそ、小中学校は授業で文科省の今回の天下り問題を取り上げ、子どもたちから道徳的な「評価」を受けるべきである。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12757712.html (風 バンコクから)「逃げ水」民主化、沈黙の中 大野良祐(2017/01/21朝日新聞) <お知らせ>ポール・マッカートニー公演(2017/01/21朝日新聞) ◇東京ドームで4月27日[木]、29日[土][祝]、30日[日]、各公演とも午後6時30分開演。 |
トランプ氏、異例の就任式へ あす未明(2017/01/20朝日新聞) http://digital.asahi.com/articles/DA3S12755999.html (時時刻刻)次官辞任、動いた官邸 世論警戒、幕引き急ぐ 天下りあっせん問題(2017/01/20朝日新聞) 「共謀罪」新設、2国だけ 外務省説明、条約締結に必要なはずが(2017/01/20朝日新聞) 武器提供拡大へ法案 中古装備無償譲渡を可能に(2017/01/20朝日新聞) マンション販売、契約率7割切る 7年ぶり(2017/01/20朝日新聞) (地球24時)「重大な懸念」共同声明 ロヒンギャ人権侵害(2017/01/20朝日新聞) (社説余滴)続くオスプレイの残骸回収 野上隆生(2017/01/20朝日新聞) ・・・ 事故後、米軍は大きな残骸だけを回収し、あとは放置した。荒木さんが現場に行くと、潮流が変わるほど岩礁が傷つき、海中には機体やプロペラの破片、金属片、ワイヤなどが無数に残っていた。荒木さんはさっそく、仲間と残骸回収を始めた。周囲には「米軍に任せるべきだ」という声もあったが、「放置しておくと危険。ウミガメが誤って食べる恐れだってある。一日も早く安全な海を取り戻したい」と考えたからだ。荒木さんの活動や集落の要請に後押しされ、ようやく米軍や沖縄防衛局も回収作業を始めた。だが、事故から1カ月が過ぎてもまだ、多くの破片が残ったままだという。事故後、沖縄では「オスプレイ配備撤回」の声が一段と強まっている。60年前に那覇市長に就任した瀬長亀次郎氏は、日記に「民衆のにくしみに包囲された軍事基地の価値は0(ゼロ)にひとしい」と記した。日米両政府はいまこそ、この言葉をかみしめるべきだ。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12755853.html (声)若い世代 日本の政治にもっと関心を(2017/01/20朝日新聞)高校生 団塚萌那(神奈川県 15) 政治経済の授業で政治について討論した。日本の選挙の投票率が低いとの意見が出た。私は米国の大統領選挙の盛り上がりぶりを思い起こした。開票の日、米国の学校では大統領選の話題でもちきりだったという。SNSでも、盛んに意見が投稿されていたそうだ。一方、昨年の参院選では、20代の約65%が棄権した。選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初の国政選挙だったが、若者の関心は薄かった。それなのに米大統領選挙への日本人の関心は高かった。トランプ氏が問題発言を繰り返していたからだろうか。他国の政治について語る前に、自国の政治にもっと関心を持つべきではないか。国会中に居眠りしている議員が日本の将来を握っていると考えると、私は恐ろしいのだが。 被爆、279人の証言者 「ナガサキノート」県内版で連載3000回(2017/01/20朝日新聞) 長崎原爆をめぐる体験を伝えようと、朝日新聞の長崎県内版で毎日連載している「ナガサキノート」が、18日付で通算3千回となった。これまで体験を語った被爆者らは279人。老いのため語りづらくなった人も、犠牲者を思い声を上げ続ける人もいる。残された証言を受け止め、伝え続けようとする次世代もいる。・・・ 16歳のとき、爆心地の北1・4キロの親友宅で被爆した保信さんは50代後半から語り部活動を本格化。2010年8月9日の平和祈念式典では被爆者代表の「平和への誓い」で、「原爆を、核兵器を絶対に許すことはできない」と述べた。東京の高校生への講話後、美喜江さんは保信さんと相談し講話の依頼を断ることにした。美喜江さんも被爆者。「生き残った一人として意思を示していく責任がある」と思ってきたが、「(夫に)間違った話はさせられない」との気持ちが勝った。・・・ ■高齢化、減る語り手 連載3千回に合わせ、連載で取材した人や遺族にアンケートを実施した。取材結果も合わせると、高齢化する被爆者が語れなくなっている現状が浮き彫りになった。2008年8月10日に始まった「ナガサキノート」では279人に話を聞き、取材時にすでに亡くなっていた16人は遺族の証言や資料をもとに伝えた。アンケートは昨年、連絡先がわかる249人に依頼、172人から回答があった。回答者の平均年齢は83歳(遺族を除く)だった。体験を語る機会について尋ねると、47人が「増えた」と回答。15人が「減った」、9人が「語れなくなった」と答えた。279人のうち28人が亡くなっていることがわかり、病気や高齢で回答できない人も7人いた。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12755986.html 特殊詐欺被害7億4000万円 京都府内、昨年も高水準(2017/01/20京都新聞) ガンビアにセネガル軍派遣(2017/01/20京都新聞) 官僚の天下り 組織的関与の根は深い(2017/01/20京都新聞) 名ばかり管理職 今や過重労働の温床だ(2017/01/20京都新聞) ヒンズー教団体は歓迎 イスラム教敵視(2017/01/20琉球新報) 「在沖米軍 台湾移転を」 米国務副長官候補が提言(2017/01/20琉球新報) <社説>報道立ち入り規制 表現の自由を侵す暴挙だ(2017/01/20琉球新報) <社説>世界遺産に沖縄推薦 政府は姿勢改め登録実現を(2017/01/20琉球新報) 社説[文科省天下り問題]霞が関の悪弊、総点検を(2017/01/20沖縄タイムス) |