(政治断簡)「脅威」に屈しないリベラルを 編集委員・松下秀雄(2017/10/30朝日新聞)
戦争で特に関心をもったのは、そのメカニズムだ。たとえば「敵の脅威」。戦争の遂行には国民の支持や協力が欠かせない。そこで、しばしば「脅威」が誇張され、捏造(ねつぞう)される。大量破壊兵器があるといったり、敵の攻撃をでっちあげたり。以前も紹介したけれど、ナチス・ドイツの国家元帥、ゲーリングはこう言っている。「我々は攻撃されかけている」と訴え、「国を危険にさらしている」と平和主義者を非難すれば、人々は意のままになる。このやり方は、どんな国でも有効だ――。
自由な社会でも、狂気の指導者がいなくても、不安に働きかける手法は通用する。衆院選の光景をみてこの話を思い出し、胃液が逆流するような苦さを感じた。安倍晋三首相は各地の街頭で、真っ先に「北朝鮮の脅威」を訴えた。こんな演説、時の首相から聞いた覚えはない。むろん戦争をしたいのではなく、票が増えると踏んだのだろう。麻生太郎財務相は、自民大勝の選挙結果には「明らかに北朝鮮のお陰もある」と吐露している。・・・ 世界に「自国優先」、白人至上主義に類する「多数派優先」の自己中心政治が広がっている。日本も似たようなものだ。こんな時こそ、多数派か少数派かにかかわらず、一人ひとりの生、自由、人権を大切にしなければ! 不安にあおられ、手放さないようにしなければ!それらを重んじるのが「リベラル」という立場。護憲か改憲か、保守か革新かといった線引きを超え、ともに声を上げる時ではないか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13205014.html
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核なき世界 他に道なし 旧ソ連元大統領・ゴルバチョフ氏、本紙に語る(2017/10/30東京新聞)
【モスクワ=栗田晃】東西冷戦の終結に指導的な役割を果たした旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ元大統領(86)が、モスクワで本紙の単独インタビューに応じた。三十年前の一九八七年、当時のレーガン米大統領と中距離核戦力(INF)廃棄条約を結び、核保有大国が初めて核軍縮に踏み出した経験を踏まえ、「『核兵器なき世界』に代わる目標は存在しない。核兵器廃絶を成し遂げないといけない」と強く訴えた。 ゴルバチョフ氏は九一、九二年に長崎、広島の被爆地を訪問した。八六年のチェルノブイリ原発事故当時はソ連共産党書記長として事故対策を指揮。二〇一一年に東京電力福島第一原発事故を経験した日本との共通点も挙げ、「原爆投下や原発事故を経験した国は、核兵器廃絶との戦いの先頭に立つべきだ。それは日本と(旧ソ連を継承した)ロシアだ」と強調した。また、核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の制定に貢献した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))のノーベル平和賞受賞決定を「ノーベル賞委員会は極めて正しい判断をした」と祝福した。
<ミハイル・ゴルバチョフ> 1931年生まれ。85年にソ連共産党書記長に就任し、ペレストロイカ(改革)やグラスノスチ(情報公開)を推進。米国との間で核軍縮を進め、東西冷戦を終結させた。90年、大統領制導入とともにソ連最初で最後の大統領に就任し、ノーベル平和賞を受賞。91年末、ソ連崩壊とともに退任し、その後は「ゴルバチョフ基金」総裁として講演や執筆活動などに取り組む。今夏にも18作目の著作「楽天家のまま」を出版した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017103090070447.html
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第4次安倍内閣 国会軽視してはならぬ(2017/10/30東京新聞)
来月一日に召集される特別国会での首相指名選挙を経て、第四次安倍内閣が発足する。「謙虚」「真摯(しんし)」との言葉を違えず、国権の最高機関である国会を軽視するような政権運営をしてはならない。先の衆院選で「勝利」した安倍晋三自民党総裁は一日、首相に選出された後、同日中に第四次内閣を発足させる見通しだ。現閣僚を全員、再任する意向だという。現在の第三次安倍第三次改造内閣は八月三日に発足した。しかし、その後、臨時国会が開かれたが冒頭で解散され、各閣僚は所信を語らないままだ。極めて異例である。背景に、国会を軽視する安倍内閣の姿勢があると指摘されても仕方があるまい。・・・加えて、学校法人「森友」学園への国有地売却や同「加計」学園の獣医学部新設も、引き続き国会での解明が必要な問題だ。共同通信社の九月下旬の世論調査では、政府の説明に納得できないとの答えが八割近くに上る。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017103002000125.html
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<社説>ヘリ飛行再開追認 弱腰やめ米軍と交渉を(2017/10/29琉球新報)
やはり選挙向けのポーズにすぎなかったのか。そう思わざるを得ない政府の弱腰がまた露呈した。東村高江に米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着し炎上した事故で、防衛省は米軍の同型機飛行再開の判断を追認した。・・・今回の追認でも、小野寺防衛相は「自衛隊の知見に照らし、米軍が合理的な措置を取ったと判断した」とお墨付きを与えた。日米地位協定の壁もあり、そもそも日本は事故機の捜査さえもできていない。派遣した自衛隊員も米軍が許す範囲での調査にとどまった。首相や閣僚が「県民に寄り添う」と繰り返す言葉とは裏腹に、政府の軸足は沖縄にはない。県民の生命と財産を守るために、怒りや恐怖、痛みを本気で共有しようとしていないことは明らかだ。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-604042.html
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陸自隊員が訓練中に自殺か、大分 日出生台の演習場(2017/10/29琉球新報)
陸上自衛隊第4師団司令部(福岡県春日市)は29日、大分県の日出生台演習場で訓練中に行方不明となった第16普通科連隊(長崎県大村市)の男性2等陸曹(32)が、演習場内で携行のロープを木に掛けて首をつった状態で見つかり、死亡が確認されたと発表した。遺体に不審な外傷などはなく、自殺の可能性があるとみて調べている。司令部によると、2等陸曹は同日午前0時すぎ、雑木林で発見された。訓練で使った銃剣(刃渡り29センチ)や小銃といった武器は現場に残っていた。2等陸曹は27日深夜、2人一組で相手の陣地を偵察し攻撃する訓練中に行方が分からなくなった。
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-604289.html
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中間貯蔵施設が稼働 最終処分地、めど立たず 福島(2017/10/29朝日新聞)
東京電力福島第一原発事故に伴う除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設(福島県双葉町、大熊町)が28日、本格稼働した。県内各地で除染土が仮置きされたままの状態は解消に向かう。30年以内に県外で最終処分することになっているが、受け入れ先のめどは立っていない。・・・施設の貯蔵容量は約5万立方メートルで、視察した伊藤忠彦環境副大臣は「フレコンバッグ(汚染土)を一つでも早く生活圏から取り除いていきたい」と語った。・・・環境省によると、福島県内で出た汚染土は約1520万立方メートルあり、仮置き場のほか、家の軒先や学校の校庭など約15万カ所に保管・埋設されている。このうち1250万立方メートルを20年度までに中間貯蔵施設に搬入する予定で、自治体や住民は本格稼働を歓迎する。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13203851.html
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核廃絶決議、問われる整合性 核禁条約に賛同しない日本(2017/10/29朝日新聞)
日本が提出した核兵器廃絶決議が144カ国の賛成で採択された。核兵器禁止条約に触れず、核兵器の非人道性の表現を弱めたことなどから、核保有国である米英仏の支持を得られた半面、賛成は昨年から23カ国減った。被爆国として核廃絶を訴えながらも、核禁条約に賛同しない日本の核政策は、今後も国際社会で整合性を問われる。・・・唯一の戦争被爆国の日本は1994年以来、毎年、国連総会に核廃絶決議案を提出し、核軍縮を世界に呼びかけてきた。決議には加盟国に対する「勧告」程度の強さしかないが、それゆえ、核を巡る立場の違いを超えて、多くの国々の賛同を得ることができる。昨年は167カ国から賛成を取り付け、日本政府が世界の核軍縮分野の「橋渡し役」としての存在感を発揮することを可能にした。
http://digital.asahi.com/articles/ASKBX52GGKBXUHBI01C.html
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核廃絶決議、賛成23カ国減 国連委、禁止条約触れず(2017/10/28琉球新報)
【ニューヨーク共同】国連総会第1委員会(軍縮)は27日、日本が主導し1994年から毎年提案している核兵器廃絶決議案を賛成144、反対4、棄権27で採択した。賛成は昨年から23カ国減り、棄権は10カ国増えた。米国の「核の傘」を考慮し日本が参加を見送った7月採択の核兵器禁止条約に直接触れず、非人道性に関する表現も後退した。条約推進国は決議を批判し、一部が賛成から棄権に転じた。同種の決議は24年連続の採択でこれまでは賛成国が漸増してきた。今回の投票結果は唯一の被爆国として核廃絶を訴える一方、条約に加わらない日本の核政策に国際社会から疑問が投げ掛けられた形だ。
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-603580.html
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<社説>高校不登校・退学最多 貧困の連鎖絶ち希望を(2017/10/28東京新聞)
貧困と不登校、高校退学が関連していることを示す調査結果が発表された。貧困の連鎖を断ち、希望が持てる施策が必要だ。文部科学省の2016年度問題行動・不登校調査によると、私立を含む県内の高校生の不登校者数は1510人。千人当たり32・3人で全国平均の2・2倍、全国最多だった。中途退学者は1098人で退学率は全国平均の1・5倍、全国最多だった。県立高校での不登校の要因は「『無気力』の傾向」が最も多く29・3%だった。表面上「無気力」としているが、中身を精査する必要がある。県が3月に発表した高校生の実態調査の中間報告によると、困窮の中で育った生徒は学費や昼食費、交通費を稼ぐため、アルバイトに追われている。過半数は週4回働いている。「無気力」に見えるのは、アルバイトで疲れ、学業がおろそかになっているのかもしれない。中退の理由の内訳に「経済的理由」6・8%、「家庭の事情」4・7%がある。背景に貧困があると考えられる。アルバイトでも金が工面できず学業を諦め、自らの進路を絶たれる生徒がいる。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-603472.html
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アスベスト判決 国は責任をかみしめて(2017/10/28東京新聞)
肺がんなどを引き起こすアスベスト(石綿)の対策を怠った。国やメーカーの責任を東京高裁が認めた意味は大きい。健康被害を受けた建設労働者は他にも大勢いる。新たな救済制度を考えるときだ。アスベストの危険性の指摘は西欧では古い。一八九六年に英国で肺疾患症例の報告がある。一九三〇年には国際労働機関(ILO)が会議でアスベスト問題を取り上げている。この議事録は日本でも旧内務省が抄訳している。世界保健機関(WHO)がアスベストのがんとの結び付きを明言したのが、七二年とされる。危ない鉱物でありながら、戦後も使われたのは防火性や断熱効果に優れた資材だったからだ。かつ丈夫で加工しやすく、安価でもあった。・・・判決は「国は石綿粉じん曝露による広汎(こうはん)かつ重大な健康被害のリスクが生じていることを把握し得た」としたうえで、「規制・監督権限の不行使は許容される限度を逸脱していた」と断じた。つまり、防じんマスクの義務づけや石綿含有建材の表示などさまざまな予防策を講ずることができた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017102802000174.html
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筆洗(2017/10/28東京新聞)
『文学効能事典』(E・バーサドほか著)は、病や悩みに効く古今東西の小説を紹介する案内書だ・・・▼『文学効能事典』は「人をいじめてしまうとき」の薬として、エイジー著『家族のなかの死』を挙げているが、入手困難。かわりに処方したいのが、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』だ▼主人公は、いじめを見て見ぬふりをした自分、理不尽な暴力に足がすくんでしまった自分の弱さに悩み、発熱して寝込んでしまう。その枕元でお母さんが語る言葉は、まさに特効薬だ▼八十年前、「右へ倣え」の全体主義の時代に、自分の頭で考える大切さを説いたこの名作は最近、漫画(マガジンハウス)にもなり、大いに売れているという。時代が求める「読む薬」なのだろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017102802000123.html?ref=rank
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カタルーニャ 独立宣言 スペイン上院 自治権制限を承認(2017/10/28東京新聞)
【パリ=竹田佳彦】スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題で、州議会(定数一三五)は二十七日に本会議を開き、「独立した共和国」と明記した決議を賛成多数で可決し、公式に独立を宣言した。一方、スペイン上院は同日、自治州の閣僚解任や議会解散など自治権を制限する措置を賛成多数で承認。双方の対話が実現できないまま、対立は長期化することになりそうだ。・・・
<カタルーニャ独立問題> カタルーニャ自治州は独自の文化を持ち、2010年前後のスペイン経済危機で住民が中央政府に不満を募らせたのを背景に独立派が州議会の多数を握った。州政府は10月1日、独立の是非を問う住民投票を強行。約9割が賛成だったとして非公式な「独立宣言」と「宣言の効力凍結」を同時に表明、中央政府に対話を求めた。政府は拒否し州自治権の制限に向け動きだした。(共同)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201710/CK2017102802000133.html
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麻生氏「北朝鮮のおかげ」波紋 野党、反発/二階氏「ジョーク」(2017/10/28朝日新聞)
衆院選で自民党が大勝した理由について「北朝鮮のおかげ」と語った麻生太郎副総理兼財務相の発言が、波紋を広げている。与党には「ジョーク」でかわそうとする動きもあるが、北朝鮮情勢が緊迫する中での衆院解散には元々批判があっただけに、野党は反発を強めている。麻生氏の発言は26日夜、自民党議員のパーティーで。自民党の勝因について「明らかに北朝鮮のおかげもありましょうし、いろんな方々がいろんな意識をお持ちになられたんだろう」と語った。・・・ 立憲民主党の長妻昭代表代行は記者団に「危機を利用したととられかねない発言だ。政府ナンバー2の発言で、世界に誤ったメッセージを出すことがあってはならない」と述べ、国会で追及する構えを見せる。共産党の小池晃書記局長は朝日新聞の取材に「『国難利用解散』だったということ。自民党の議席を守ることしか頭にないことがはっきりと出た」と批判した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13202129.html
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「質問封じ」、野党は批判 時間配分、自民大勝で再検討案(2017/10/28朝日新聞)
衆院選で6割の議席を占める大勝を収めた自民党が、国会での質問時間配分を変え、野党側を減らす見直しに動き始めた。政府に対するチェックという国会の機能の根本に関わる問題だけに、野党からは「野党の質問封じ」との批判が上がっている。・・・ 野党側は警戒を強める。立憲民主党の辻元清美国対委員長は朝日新聞の取材に対し、「野党重視の時間配分は、野党時代の自民党も主張していたことだ」と政権・自民党の姿勢を疑問視。共産党の小池晃書記局長も「野党の質問封じとしか取れない。いったいどこが『謙虚』なのか」と、安倍首相が選挙後にたびたび口にしている「謙虚」という言葉を使い、政権の姿勢を批判した。自民党内でも「姑息(こそく)な手段だ」(若手衆院議員)との声が漏れる。・・・大山礼子・駒沢大教授(政治制度論)は「今回の提案は言語道断。国会審議は事実上、野党の活躍の場となっている。議席数に基づく配分は、国民の少数派の声を聞かないということであり、国民を分断する行為だ」と指摘した。曽根泰教・慶応大教授(政治学)も「与党には党議拘束がかかり、質疑は儀式化している。与党議員たちにはこれまでの国会審議のあり方を抜本から見直し、政府を問いただし、政策提言する覚悟まであるのか」と語る。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13202128.html
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(けいざい+ WORLD)アマゾン本社、誘致過熱 「次のシアトル」、238地域名乗り(2017/10/28朝日新聞)
ネット通販の世界最大手アマゾンが、本社を置く米北西部シアトルとは別の場所に、新たに同じ規模の「第2本社」をつくろうとしている。北米全土から候補地を募ったところ、締め切りの19日までにカナダ、メキシコも含む計238地域が名乗りを上げた。税の軽減策や土地の提供にとどまらず、奇抜なアイデアで出し抜こうとするなど、主だった都市が繰り広げる争奪戦は過熱の一途だ。・・・応募した地域は税金の軽減策や土地の提供、インフラ整備など、優遇策を競い合わざるを得ない状況だ。最大70億ドル(約8千億円)の優遇策を示した州もあり、特典は史上最大規模に膨らむとの予測もある。どう転んでも最大の勝者はアマゾン自身というわけだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13202147.html
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院内感染?3人死亡 同じ種類の菌検出 千葉大病院(2017/10/28朝日新聞)
千葉大学病院(千葉市中央区)は27日、8月下旬〜9月下旬に同病院で亡くなった40〜60代の男性入院患者4人から、3種類の抗生剤が効かない「多剤耐性緑膿(りょくのう)菌」が検出されたと発表した。うち3人は院内感染の可能性が否定できないとしている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13202230.html
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