筆洗/米国の政治ジョークを集めた本で、(2017/09/28東京新聞)
米国の政治ジョークを集めた本で、こんな小咄(こばなし)を読んだ。子どもが政治家の父親に、「裏切り者って何?」と尋ねた▼父の答えは、「裏切り者というのはこっちの党からあっちの党に行くやつのことだ」。子どもが「じゃあ、あっちの党からこっちの党に来る人は?」と聞くと、父は答えた。「それは、改心者っていうんだ」▼つい先日、民進党の一部議員が離党し、「小池新党」に加わろうとした時、彼らは「裏切り者」扱いされた。だが、政界の秋空の何と移ろいやすいことか。民進党全体が「こっちからあっちに行く」ことになりそうだというのだから、小咄の子どもならずとも、目を白黒させるしかない▼衆院が解散されたきのう、民進党は新党「希望の党」への「合流」を打ち出した。だが、それで、どういう方向に向かう流れができるのか。政権交代可能な二大政党制を再び目指すというが、たとえば世論を二分してきた改憲や安全保障法制をめぐり、どんな流れをつくるのか▼こんな政治小咄もある。激しい選挙戦の中、ある候補者が「当選したら、まず何をしますか」と尋ねられた。候補者の答えは、「当選したら何をするかは今の私の心配事じゃない。私を今、悩ませているのはもし当選しなかったら何をするかってことです」▼「合流」の向かう先をきちんと示せなければ、この候補者を笑うことはできまい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092902000127.html
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政治屋と政治家(2017/09/28東京新聞)
夜回りで何度か都内の自宅を訪れたことがある。破綻した日本長期信用銀行の処理を主導した金融再生委員長時代だったと思う。一つ一つの質問に、こちらが恐縮するくらい丁寧に誠実に答えてくれたことを思い出す。・・・谷垣禎一さんが次期衆院選に出馬せず引退するという報に触れ、残念な気持ちでいっぱいだ。昨夏、趣味のサイクリング中に転倒、大けがをした。総選挙は来年と予想してリハビリに努めていたが、突然の解散−来月総選挙となり、やむなく再起を断念した、と周囲は説明した。本人の胸中は察するに余りある。歴代の自民党総裁経験者の中でただ一人、首相や衆院議長など三権の長に就くことがなかった。だが財政、金融、法務など政策面と人柄から数少ない真のステーツマンだった。ステーツマンとは国民の畏敬の念を集める政治家を指し、私利や党利を追求するポリティシャン(政治屋)と明確に区別される。では、このご仁らはどちらか。首相のお友達に便宜が図られたかが疑われる問題の追及から逃げるかのように臨時国会の召集を拒み、ようやく開くかと思えば審議なしに解散へ。自分たちに有利となるタイミングばかりを考え、憲法の定めだろうが、権力側として守るべき節度や作法や矜持(きょうじ)だろうがお構いなし。選挙に勝つためなら何でもありという人たちだ。政治屋か政治家か。選ぶ側の目こそ問われるだろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017092702000135.html
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「真の普通選挙」葬られ無念 「雨傘運動」3年 香港で集会(2017/09/28東京新聞)
【上海=浅井正智】香港で行政長官選挙の民主化を求めた「雨傘運動」発生から三年となった二十八日、香港島の政府庁舎前で市民数百人が集会を開いた。三年前のこの日、警官隊が群衆に向けて催涙弾発射を始めた午後五時五十八分に合わせ、参加者は三分間黙とう。雨傘運動での死者はいないが「真の普通選挙」が葬り去られたことに無念の気持ちを表した。催涙弾に見立てて水蒸気を噴霧。当時の音声も流し、衝突の様子を再現した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201709/CK2017092902000109.html
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(社説余滴)ほんとうに強い人とは 小村田義之(2017/09/28朝日新聞)
戦争で一気に問題が解決することはありません。ひとたび人の命が奪われれば、恨みを残し、新たな対立の種となり、さらに平和を遠ざけてしまう。それも現実なのです。最近、思います。ほんとうの強さとは何でしょう。たとえば、思いやりのある人こそ、ほんとうに強いのかもしれません。他者への想像力を持ちながら、忍耐づよく問題を軟着陸に導く。それが出来るのが強い人ではないでしょうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13156469.html
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(2017衆院選)岐路に立つ平和 作家・半藤一利さん(2017/09/28朝日新聞)
「これからの日本の針路が戦争と平和のどちらを主軸に進むのかを左右する、極めて重要な選挙だと思います。岐路に立つ日本で、冷静な議論が求められるときに、安倍さんが今回、『国難突破解散』とおっしゃって危機感ばかりをあおっていることに強い違和感を覚えます。国難といって現在、最大の問題は北朝鮮情勢でしょうが、これはご自分がつくっていませんか、自作自演の危機ではないか、と申し上げたい。安倍さんは国連総会で、今は対話の時でなく圧力をかけるべき時だと述べてきましたが、それでは危機を高めるばかりです」「昭和史で似たようなケースがありました。日中戦争が始まった後、ドイツが間に入って和平工作を手がけました。まとまりかけたのですが、現地軍がこれを無視して進撃を続けて当時の首都南京を陥落させてしまう。和平の条件をつり上げて中国国民党を率いていた蒋介石を怒らせてしまう。この時、近衛文麿首相が『蒋介石政権を対手にせず』と言い放ち、解決は遠のきました。結局、戦争は泥沼化していきます。このように和平の結実は実に微妙なものです。それを勇ましい言葉で台無しにした歴史の戒めを思い起こします」・・・「以前、麻生太郎副総理がナチスドイツの手法を引き合いに、『ある日、気がついたらワイマール憲法が、ナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか』と言って問題化しました。しかし集団的自衛権の行使容認について、憲法を変えずに、閣議決定で可能にした。まさにナチスの手法を学んだようです」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13156456.html
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『論』 原発と米軍基地 経済効果 安全あってこそ(2017/09/28ヒロシマ平和メディアセンター)
■論説委員 下久保聖司
東京電力福島第1原発事故を目の当たりにしたわれわれは、裏付けの定かでない「安全神話」など、うのみにすべきではなかったと肝に銘じている。それでも今なお、原発のある地域の首長や経済関係者らは原発再稼働を説く。「地域振興に役立つ」「地元が元気になる」と。ただ、地元への経済効果について、誰もが納得するデータや数字が示されたという話は聞かない。目からうろこが落ちる一冊に出合った。今春出版された「崩れた原発『経済神話』―柏崎刈羽原発から再稼働を問う」(明石書店)である。新潟県の地方紙、新潟日報が原発誘致の経緯などを検証したシリーズ連載をまとめている。 ・・・中でも第1章の「地元100社調査」が目を引く。東電が原発を置く柏崎刈羽地域の地元企業をコンピューターで無作為抽出し、建設や運送、サービス、小売りなど多岐にわたる業種の経営者に記者が直接尋ねている。
現実を浮かび上がらせた問答の一部を抜粋すると―。
原発建設、運営、定期検査に直接関わる仕事を受注したことがあるか? 「ない」66社原発交付金が投入された事業の受注は? 「ない」86社他にも原発が停止している現状でも売り上げが減っていないとの回答が3分の2を占める。経済効果を唱えてきた政財界や東電には厳しい結果といえよう。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=76907
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柏崎刈羽原発「適合」 フクシマが認めない(2017/09/28東京新聞)
「ほかとは審査のレベルが違う」と言いながら、原子力規制委員会はすんなり、柏崎刈羽原発再稼働への道を開いた。フクシマは認めてくれるだろうか。規制委は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非にかかわる審査に際し、原発運転の「適格性」という、法律に定めのない領域に踏み込んだ。福島の事故を引き起こした東電に再び原発を動かす資格があるかないかの判断だ。・・・東電の隠蔽(いんぺい)体質の根深さを、私たちも忘れていない。二〇〇二年、原子炉内のひび割れを隠すなど点検記録の改ざんが長年続いていたことが、内部告発で発覚した。・・・ 福島の事故処理にかかる費用は、現時点で二十二兆円近くに上ると試算され、さらに膨らむ見込みという。そのうち十六兆円を東電が負担する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017092802000138.html
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筆洗/一八八八年の夏の早朝、ドイツ・マンハイムに住む三十九歳のベルタは、息子二人を連れて家を出た。(2017/09/28東京新聞)
一八八八年の夏の早朝、ドイツ・マンハイムに住む三十九歳のベルタは、息子二人を連れて家を出た。「実家に行く」との書き置きをして▼彼女の夫カール・ベンツは、さんざん苦労して自動車を発明した。だが、「馬なし馬車」はさっぱり売れない。ならば、それがいかに便利か自ら証明しようと、夫に内緒で旅行に出たのだ▼母親の住む街まで片道百キロ余。燃料パイプが詰まればヘアピンで直し、点火装置が壊れればゴム製の靴下止めで直した。そうしてベルタは「史上初の自動車長距離旅行」を成し遂げた女性となった▼自分の手で、自分の行きたい場所に車を走らせる。そういう当たり前の「自由」を長年にわたり求めてきたのが、サウジアラビアの女性だ。自らハンドルを握ったために「社会の秩序を乱した」と逮捕された人もいる▼それでも、運転解禁を求める動きは絶えなかった。それは「女性が自分の思いで行動すること、自由を獲得する象徴だから」だと、東京大学・特任准教授の辻上奈美江さんは話す。そんな願いがかない、ついに女性の運転が来年、解禁されることになったというから、かの国の女性にとっては、大きな一歩だろう▼ベルタの大胆な自動車旅行は、世間の見る目を変え、車社会へと道を開く一歩となった。サウジの女性が自らハンドルを握るようになった時、どんな変化が起こるだろうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017092802000137.html?ref=rank
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(「安倍政治」を問う 2017衆院選:2)北朝鮮「危機」、政権が強調(2017/09/28朝日新聞)
安倍晋三首相は流動的な北朝鮮情勢のもと、衆院解散に踏み切る。今回の衆院選は、弾道ミサイル発射など北朝鮮の挑発活動がやまない中で行われる異例の選挙戦だ。ただ、国民の危機意識を利用するかのような選挙手法で、「北朝鮮」以外の論点を吹き飛ばしかねないとの批判もある。・・・ただ、北朝鮮情勢が緊迫する中で国民のショックと恐怖を見込んだ衆院解散には、識者の批判も強い。「大本営発表」などの著書がある近現代史研究者の辻田真佐憲氏は「Jアラートが鳴る中での今回の総選挙は『ショック療法』であり、本来問われるべき争点を隠すための露骨な政治手法だ」と指摘する。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13154813.html
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ひきこもる我が子、将来どうする 親亡き後の生活設計、FPらが支援(2017/09/28朝日新聞)
厚労省の定義に沿って、内閣府は15〜39歳を対象に調査。全国で推計54万1千人いるとの結果を、16年に発表した。山梨県、茨城県、島根県、佐賀県、岩手県洋野町が13〜17年に実施した調査では、ひきこもっている人の過半数が40歳以上という結果が出ている。内閣府も今後、40歳以上を含めた全国調査を行う方向で検討しているという。KHJは全国のひきこもり経験者119人と家族399人に調査し、今年3月に報告書をまとめた。当事者年齢は平均34歳、ひきこもり期間は平均11年、40歳以上は平均15年だった。家族は平均64歳。05年の調査時と比べると期間は3年長く、当事者年齢は5歳高くなり、長期高齢化している実態が浮き彫りになった。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13154789.html
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(魂の秘境から:4)原初の渚 夢のあわい、ひとひらの蝶に 石牟礼道子(2017/09/28朝日新聞)
パーキンソン病というやっかいな患いに捕まって、十数年になる。療養先の病院では、ベッドから車いすに移るにも遠慮せず看護師さんを呼ぶよう、言っていただいている。それでも起居のたびにお世話になるのは、どこか気兼ねするものである。先月のこと、洗面所ぐらいは自分で、と考えたのが間違いだった。気がつくと、離れて暮らす妹や姪(めい)たちが病室のベッドを取り巻いていた。「お姉ちゃん、また心配させてから」。聞くと、一人で立とうとして転倒し、右大腿(だいたい)骨を折って気を失っていたのだという。
九十を超えて大腿骨を折るのはただ事ではない。・・・ 二十数年前に対談させていただいた時のこと。有機水銀に汚染された不知火海は見るに忍びないとわたしが漏らすと、ミホさんは我がことのように同情を寄せてくださった。それが形ばかりでないことは、深い色をたたえた眸(ひとみ)を見ればわかるのだった。海が汚染されるということは、環境問題にとどまるものではない。それは太古からの命が連なるところ、数限りない生類と同化したご先祖さまの魂のよりどころが破壊されるということであり、わたしたちの魂が還(かえ)りゆくところを失うということである。水俣病の患者さんたちはそのことを身をもって、言葉を尽くして訴えた。だが、「言葉と文字とは、生命を売買する契約のためにある」と言わんばかりの近代企業とは、絶望的にすれ違ったのである。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13154777.html
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アインシュタインが予言の「重力波」、欧州でも観測(2017/09/28朝日新聞)
アインシュタインが約100年前に存在を予言した「重力波」の観測に成功したと28日、イタリアなどの国際共同研究チームが発表した。重力波は2年前に米国で初観測され、今回が4回目。欧州で観測されたのは初めて。重力波は、非常に重い天体が高速で運動すると、より強く発生する。今回の観測は8月14日。2015年に初めて重力波をとらえた米国2カ所にある観測施設「LIGO(ライゴ)」に加え、欧州の観測施設「Virgo(バーゴ)」でも同時に観測された。地球から18億光年離れた場所で太陽の31倍と25倍の重さの二つのブラックホールが、互いの周囲を回りながら合体して発生したとみられる。Virgoは長さ3キロのパイプをL字形に直交させ、内部に通したレーザー光を使って重力波をとらえる巨大な装置。フランス、イタリアなど欧州の20カ国が参加してイタリアのピサ近郊に設置。観測開始からわずか2週間後に重力波をとらえた。
http://digital.asahi.com/articles/ASK9X0495K9WPLBJ002.html?iref=com_rnavi_arank_nr04
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(「加計・森友」を問う 2017衆院選:下)「森友」問題、背向けたまま(2017/09/28朝日新聞)
「神風」は吹いたのか――。大阪地検特捜部の捜査が進む森友学園問題。学園側と安倍晋三首相の妻昭恵氏の親密さに、人々の疑念の目が向けられた。森友学園が小学校用地として得た大阪府豊中市の国有地は、更地の鑑定価格から「ごみ撤去費」として8億1900万円が値引きされ、1億3400万円で売却された。分割払いOK。売却額は、当初非公表。国の実務にしては「特例」尽くしだった。・・・野党が追及した通常国会が今年6月に閉じたあとも疑惑はさらに深まっている。8月には、財務局側が16年3月下旬、学園側に「いくらまでなら買えるのか」と尋ねていたことが複数の学園関係者の証言で判明。事前の価格交渉を「ない」とした財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長の国会答弁は、虚偽だった疑いが指摘されている。9月には、財務局職員が「ゼロに近い金額まで私はできるだけ、努力するという作業をやっています」などと語る音声データ(16年5月録音)が残っていたことも明らかになった。・・・解散の意向を表明した25日夜、安倍首相は「誠実に丁寧に説明してきた」とテレビのインタビューで繰り返した。木村さんは言う。「政府が説明するということ。これは民主主義の前提です。『記録がない』『処理は適切だった』と繰り返すのでは、国民は判断することさえできない」この問題にかたくなに背を向ける政権のもとで、民主主義のプロセスはあまりに軽んじられている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13154936.html
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ドイツ総選挙 寛容社会を守ってこそ(2017/09/27東京新聞)
ドイツ総選挙でメルケル首相が続投を確実にした。反難民の新興右派政党が第三党となり国政に進出する中での四期目となる。寛容な社会、人権など欧州の価値観を、毅然(きぜん)として守り抜いてほしい。メルケル氏の保守、キリスト教民主・社会同盟が第一党、ライバルながら現在大連立を組む中道左派、社会民主党は第二党の座を守った。保守と小政党による連立を模索するが政策の隔たりが大きく、大連立継続の可能性も残る。・・・ナチスへの反省を踏まえた寛容で多様な社会づくりこそ、戦後ドイツが国是としてきたものだ。移民や難民と共存していく知恵を絞り、「選択肢」の過激化や勢力拡大に歯止めを掛けてほしい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017092702000136.html
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「クルド独立」賛成9割超 周辺国反発、新たな火種(2017/09/27東京新聞)
【アルビル(イラク北部)=奥田哲平】イラクからの分離独立の是非を問うクルド人自治区の住民投票は二十六日、開票作業が進み、地元メディアの途中集計では賛成票が九割を超えた。投票に猛反発しているトルコなど周辺国は制裁措置に踏み切った。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討が進む中東地域に新たな不安定要因が生まれた。「バイバイ、イラク」。自治区の中心都市アルビルにある世界遺産の城塞(じょうさい)周辺では二十五日夜、投票を祝う市民が集まり、車から身を乗り出して赤白緑の旗を振り続け、花火があちこちで上がった。弟を一九八〇年代に旧フセイン政権との戦闘で失った画家ベルダウィさん(56)は「何十年も、この瞬間のために戦ってきた」と涙を浮かべた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201709/CK2017092702000122.html
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ドイツ総選挙 看過できぬ右派の台頭(2017/09/27京都新聞)
欧州連合(EU)をけん引してきた「欧州の盟主」メルケル首相の続投が確実とはいえ、不安材料を抱えた再出発となった。ドイツ連邦議会(下院)総選挙は、メルケル氏が率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党を維持した。一方で、大連立を組んだ中道左派の社会民主党(SPD)は大敗し、反難民を掲げる新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」の国政進出を許した。既存政党への支持が衰えつつある欧州政治の潮流が再確認された選挙と言える。メルケル氏は4選を果たしたものの、保守与党は単独過半数に届かなかった。SPDは連立を解消する意向で、まずは安定政権樹立に向けた連立交渉が焦点となる。・・・フランス上院選でもマクロン大統領の中道「共和国前進」の勢いが鈍った。独仏のつまずきはEUの立て直し、さらには欧州統合の深化を損ないかねない。欧州席巻が懸念された一時の勢いはないが、極右勢力の台頭は止まらない。どんな波乱の種が芽吹いているのか注視すべきだ。メルケル氏が4選目の任期を全うすればコール元首相に並ぶ16年の長期政権となる。質実でぶれない姿勢は評価が高い。欧州だけでなく、大きく揺らぐ国際社会での指導力発揮を期待したい。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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通天閣の人情「これがほんまの忖度や」 立ち呑み屋ママ(2017/09/27朝日新聞)
通天閣の近く、「立ち呑(の)み小春」ののれんをくぐると、「でも、忖度で値引きはないで」。店の経営者福島千津子さん(71)の先制パンチを浴びる。店名は八代亜紀さんの演歌「立ち呑み『小春』」に由来する。歌では、訳あって東京から大阪に帰ってきた女性「なっちゃん」を、それとなく事情を察する通天閣の人たちが、「泣くな」「べそ掻(か)くな」と皆で励ます。「これがほんまの忖度や」と福島さん。・・・義理と人情に厚いといわれる大阪。森友学園への国有地売却問題では「籠池夫妻はめっちゃおもろいけどな、夫婦漫才みたいで」。一方で、「納得いかへん」との声も聞こえてくる。突然の解散・総選挙に、「小春」の客も怒っている。カウンターにいた男性(66)は「国会での追及から逃れたいんかい。疑惑は解消するどころか再燃してるわ」と手厳しい。
http://digital.asahi.com/articles/ASK9S666RK9SUCLV00M.html?iref=comtop_8_03
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「ニュース見てると腹が立つ」 解散表明の夜、酒場では(2017/09/27朝日新聞)
25日午後6時、北九州市小倉駅南口近くの焼き肉酒場「白頭山 駅前店」。店内のテレビに安倍晋三首相の姿が映し出された。さあ、首相が解散を発表するぞ。その瞬間、客がソフトバンク×楽天のプロ野球中継に切り替えてしまった。降って湧いた解散に、人々の関心は薄いのか。「いや、関心がないわけじゃないが、ニュースを見ていると腹が立ってくる」と別の男性客(66)。グラスを飲み干し、続けた。「野党が求めていた臨時国会をようやく開くのに、冒頭解散とは何やね。訳分からん。権力を維持したいというのが狙いやないか」
http://digital.asahi.com/articles/ASK9S65PRK9SUCLV00K.html?iref=pc_rellink
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浮かび上がる焦点 加計学園、建設中の校舎(2017/09/27朝日新聞)
、加計学園の獣医学部が立地予定の愛媛県今治市では、工事用の明かりで建設中の校舎が浮かび上がるように見えた。そしてまた、この獣医学部こそが衆院選の一つの焦点にも浮上している。首相は学部新設に関する自らの関与を強く否定する一方、野党は「疑惑隠し解散」だと批判する。社会面で改めて問題の背景を問う。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13153105.html
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(「安倍政治」を問う:1)首相の解散権、国民の選択権制約 衆院選(2017/09/27朝日新聞)
安倍晋三首相が、臨時国会の冒頭で衆院を解散すると表明した。いまの憲法のもと、首相の衆院解散権は政界では「伝家の宝刀」ともてはやされてきた。ただ、安倍首相の今回の権力行使には「むき出しの党利党略」との批判が強く、この制度をいまのまま温存することへの疑問が膨らんでいる。・・・だが、国民が主権者となった現代では、むしろ首相が王様のように国民代表のクビを切れる解散制度の方が時代にそぐわなくなってきているのではないか。首相は25日の記者会見で解散にいたった理由を説明したが、どう取り繕っても野党の虚を突いた党利党略の判断だったことは否定しようがない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13153179.html
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