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20182019


<POINT NEWS187>2016/10/28・・・(ヒューマニズムの視点で捉えよう、判断しよう)

記憶しておきたい新聞記事見出し2014〜2016

sankaku187sankaku
2016/10/28sankaku10/30

 


 

(憲法を考える)届かぬ少数者の声 改憲勢力3分の2、問われる民主主義(2016/10/30朝日新聞)
民主主義は、すべての人が平等であることを基礎とするが、物事を決める時にすべての人の意見が一致するとは限らない。だから多数決を使って、多数派の意見を全員の意思と「みなす」。ところが昨今どうもこの「みなす」が忘れられ、単純な「数の多さ」が絶対視されがちだ。改めて考えたい。多数決は民主主義にとって重要なルールだが、絶対のルールではない、ということを。・・・かつて「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄が最適」と話した防衛相がいた。本土への基地移転が議論されても、候補地からの反対の声でつぶれる。沖縄県民が基地反対を主張する代表を国政に送っても、多数決では勝ち目がない。抗議の声を上げ続けるしかない――。そんな中、沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設現場で今月、大阪府警から派遣された機動隊員の一人が、抗議活動をしていた市民に「土人」と言った。松井一郎大阪府知事はツイッターで、表現は不適切だとしつつ「出張ご苦労様」とねぎらった。ネット上には隊員を擁護する意見も散見された。・・・ 多数決は一見、フェアなルールのように見える。だが少数民族や性的マイノリティーなど、常に少数派に置かれる人たちは、多数決で勝敗が逆転する可能性は極めて低く、勝負自体がフェアと言えない。多数派の意見をただ押し通すことは、少数派にとっては暴力と変わらない。多数派の専横を防ぐ仕組みが、立憲主義だ。多数決でもだめなものはだめ。多数派も奪うことのできない人権の保障や権力分立などを憲法で定める。・・・笹倉さんは言う。「民主主義で重要なのは全員一致に向かおうとする努力と情報公開、そして熟慮だ」民主主義では、民意に従うことが大事だ。ただし民意の表れ方は、決め方によって変わる。「絶対の民意というものはない。私たちができるのは、よりまともな決め方を使うことだけです」と、坂井さんは話す。決め方は、多数決だけではない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12633449.html

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(社説)台湾の脱原発 民意を映す政治の決断(2016/10/30朝日新聞)

9年後に原発をゼロにする。この目標に向けて、台湾が一歩を踏み出した。日本の福島第一原発事故から教訓を真剣に学んだ取り組みであり、その行方に注目したい。台湾は日本と同じく、資源に乏しい。中国と対峙(たいじ)し、国際的に孤立していく緊張の中で1970年代に原発導入を図り、現在は3基が稼働している。だが地震などの自然災害が多いことも日本と共通する。福島の事故を契機に、脱原発の市民運動が大きなうねりとなった。建設中だった第四原発でトラブルが続いて原発政策全般への不信感が広がった面もある。こうした動きを受け、民進党の蔡英文(ツァイインウェン)氏は年初の総統選で脱原発を公約の一つに掲げて当選した。同時実施の議会選も民進党が過半数を占め、政策決定の障害はなくなった。関連法の改正案は年内成立の見込みだ。・・・原発が国民党独裁政権下で始まった事業であったのに対し、民進党は以前から反原発の姿勢で、電力事業へのしがらみがない。政権交代がそのまま政策転換を生む形になった。台湾社会ではすでに原発を疑問視する声が主流だった。前の国民党政権も、世論に押されて第四原発建設を凍結した。脱原発は、政治が指導力を発揮したと同時に、政治が民意を正確に反映した結果といえる。日本でも原発の再稼働への懸念は強く、最近も鹿児島、新潟両知事選の結果に示された。しかし国策に大きな変化がないのはなぜか。台湾の決断は日本のさまざまな問題を考えさせる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12633424.html

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(声)風刺マンガ、反骨と笑い今後も(2016/10/30朝日新聞)主婦 芝崎みちる(福岡県 68)

 21日は、朝刊の政治風刺マンガに大笑いした。「ことわざ大辞典」の上に倒れた石破茂・前地方創生相の上に安倍晋三首相が座り込み、得意げに指を3本立てている。辞典の項には「石破の上にもう三年」の文字が。自民党が総裁任期延長を事実上決めたことを受け、3選が可能になった安倍氏が、次期総裁候補と目される石破氏を押さえ込んだ様を描いている。端的なことわざのもじりもピッタリだ。時事ネタを即座に取り込んで一目瞭然の作品に仕立てるのは、難しいことだ。だが、この作者の針すなお氏も、同欄の他の描き手も、笑いを織り交ぜた反骨精神を発揮し続けている。何かと上に物を言いにくい空気の当世だが、庶民の目線で笑える作品を今後も届けてほしい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12633432.html?ref=pcviewpage

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週のはじめに考える 言葉たちの“声”を聞こう(2016/10/30東京新聞)
 危機言語・方言サミット。聞き慣れぬ響きです。その奄美大会が来月、鹿児島県与論町で開かれます。消滅しかねぬ地域の言葉をどう継承しようかと。世界のおよそ六千の言語・方言のうち、約二千五百が消滅の危機にあると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が公表したのが七年前、二〇〇九年のことでした。日本については、北海道のアイヌ語が消滅危機の恐れが最も高い「極めて深刻」に分類され、ほかに八丈語(東京都)、奄美語(鹿児島県)、国頭(くにがみ)、沖縄、宮古、八重山、与那国語(以上沖縄県)の七方言が「重大な危険」「危険」に分類されたのです。国立国語研究所副所長の木部暢子(のぶこ)さんは、動植物を例に「言語の絶滅危惧種です」と説明します。むろん国内外の言語学者ら専門家や、それぞれの地域が、ユネスコが指摘するまで、手をこまぬいていたわけではありません。存続の危機にさらされつつある“お国言葉”の継承活動や調査、研究をかねて続けてきました。指摘の八つの言語・方言を次世代にどう継承していくか。・・・

◆差別の動きと密接に
 日本の「標準語」と、話し言葉の方言の関係も似ています。昭和三十年代ごろまで、標準語教育を推進するための「方言札」が沖縄や東北、九州などの小中学校にもありました。方言を話した子どもに、罰として首からぶら下げた木札です。しかし、これには「“高等”な東京の文明を受け入れるため、子どもたちのためを思って木札で方言の矯正を促した」と、別の見方をする研究者もいます。もうひとつ、重要なのが地域共同体の衰退と言語の関連です。ただでさえ人口減少、過疎化が進んでいる現状に、東日本大震災のような大災害がひとたび起これば、地域共同体の崩壊の危機を招く恐れは強まります。お国言葉の消滅危機と地域共同体の消滅危機は、ある意味で表裏一体なのです。言語、方言について示唆に富んだ学問的検証があります。一つは言語学者の故馬瀬良雄さんが中心になってまとめた「長野県史・方言編」です。九百ページを超す膨大な労作の最後で、長野県の方言がすべて共通語(標準語)に塗り替えられることはあるまいと結んでいます。「そのような事態が起こるとすれば、それは長野県の文化が創造と発展をやめた時である」と。・・・さまざまな場でグローバル化という言葉が飛び交っています。でも、それは、欧米発の経済至上主義に傾きすぎてはいないでしょうか。多彩な言語・方言の喪失は、世界観の同質化、ひいては文化のグローバル化の否定につながりかねないのです。言い換えれば、固有の文化を創造し続ける限り、地域の言葉はすたらないということでしょう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016103002000126.html

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「勤め先ブラック」4人に1人 20・30代男性は3人に1人「思う」 連合総研調べ(2016/10/29朝日新聞)
会社勤めの人のうち、4人に1人が「自分の勤め先が『ブラック企業』にあたる」と思っているとの調査結果を、労働組合の中央組織・連合のシンクタンク「連合総研」が28日発表した。20〜30代の男性では3人に1人にのぼった。・・・連合総研は「長時間労働などの違法状態を続ける『ブラック企業』の状況は改善されていない。労働組合を中心にチェックを強め、企業に改めさせることが必要だ」と話している。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12631687.html

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いじめの把握  子らのSOS見逃すな(2016/10/29京都新聞)
2015年度に全国の学校が把握したいじめは、過去最多の22万4540件に上った。文部科学省の問題行動調査で分かった。京都府は2万5279件で、千人当たりは90・6件と全国1位。滋賀県も最多の2665件だった。ただ認知件数が増えたのは、ささいないじめも積極的に掘り起こそうとの意識が学校現場に浸透してきたため、と肯定的に受け止めたい。いじめがより表面化して数字が実態に近づいたと言える。いじめ防止対策推進法が定める子どもが心身に大きな被害を受ける「重大事態」は313件、いじめ自殺も9件あった。大津市で11年に起きた中学2年生のいじめ自殺をきっかけに、同推進法が制定されたが、なお悲劇が後を絶たない実態が浮き彫りにされた。いじめの兆候を見逃さず、学校内で情報を共有することが悲劇を防ぐことにつながる。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20161029_3.html

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<社説>土人発言抗議決議 沖縄差別の政策やめよ 国民と県民の分断強める(2016/10/29琉球新報)
 県議会はヘリパッド建設現場での機動隊員による「土人」「シナ人」発言について「県民の誇りと尊厳を踏みにじる」とする抗議決議、意見書を可決した。政府、警察は重く受け止めるべきだ。ただ決議の文言調整で当初の「機動隊撤収」は削除され「警備体制の改善を求める」との訴えにとどまった。自民会派は「市民側にも暴言があった」との意見書案で対抗し、与党・中立会派の決議案を賛成多数で可決した。県議会の抗議を全会一致で示せなかったのは残念だ。県民が共有する怒りと抗議が分断され、国民世論への訴えが弱まった形だ。

偏見を再生産

 県議会の会派が分断され、決議が全会一致とならなかったことを政府は内心、喜んでいることだろう。しかしそれは大きな間違いだ。今回の差別発言問題は県議会、県民の間だけでなく、国民と県民にも大きな分断と亀裂を生じさせたからだ。機動隊員の「土人」発言に県民は激怒した。だが「シナ人」発言に戸惑った県民も多かったのではないか。20代の機動隊員が、死語に近い「土人・シナ人」の言葉を発したことも不思議だった。ネット上で国策の基地建設に反対する県民が「土人・シナ人」呼ばわりされ、県民を異端視し偏見を助長する言説が流布されていることが背景にある。・・・ 県民世論が反対する辺野古新基地建設を巡り政府と県が対立を深める中で、政府の「基地と振興のリンク」が公然化した。沖縄担当相の「選挙と振興のリンク」など、沖縄に対する「アメとムチ」の政策が、県民分断の背景にある。政治学の用語に「分断統治政策」がある。「支配される側を分断し、統治者への反発を抑える」統治法で、植民地政策の常套(じょうとう)手法だ。沖縄の歴史は日米両政府による分断統治の歴史と言っていい。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-384868.html

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(社説)核禁条約交渉 被爆国が反対とは(2016/10/29朝日新聞)
「被爆国」として、日本は核兵器廃絶の先頭に立つのではなかったのか。核兵器禁止条約の制定に向けた交渉を来年始めるという決議が、国連総会第1委員会で採択された。123カ国が賛成、38カ国が反対した。核兵器を法的に禁止する枠組みについて、国連が本格的な議論に乗り出すのは画期的なことだ。だが、日本は核保有国の米ロ英仏とともに反対した。これまでも日本は条約交渉に慎重だったが、反対表明は、より核保有国に近い立場をとると宣言したに等しい。理解しがたく、きわめて残念だ。広島、長崎の被爆者や内外の平和NGOから非難の声が相次ぐのも当然だ。・・・ 非核保有国と核保有国の亀裂はかつてなく深まっている。この際、日本は核保有国を交渉の場に引き寄せ、主張の溝を埋める役割を積極的に果たしていくべきだ。それが被爆国としての信頼をつなぎとめる道である。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12631617.html

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(声)自衛隊員を出征兵士にするな(2016/10/29朝日新聞)契約社員 秋山信孝(東京都 67)

 安倍内閣は、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)で、陸上自衛隊に新任務「駆けつけ警護」を付与する方向で検討を進めている。現地で戦闘行為が続く中、武器使用ができる新任務付与をなぜ急ぐのか。思えば今国会の初日、安倍晋三首相は所信表明演説で、自衛隊員などをたたえるよう促し、自民党議員たちが一斉に起立し拍手した。私は軍歌「出征兵士を送る歌」を思い出し、薄気味悪さを感じた。子供の頃に中国戦線から辛くも生き延びた亡父に、戦争の悲惨さと国民を高揚させる軍歌の美辞麗句の欺瞞(ぎまん)を教えられたからだ。「讃(たた)えて送る一億の歓呼は高く天を衝(つ)く いざ征(ゆ)けつわもの日本男児」という歌詞は、自衛隊員に向けたものとして再生されてしまうのか。憲法9条を持つ日本は、武力で協力しないことを恥じる必要はない。災害復旧や医療、教育など非軍事の国際貢献を貫くことを誇るべきだ。積極的平和主義という美名のもとに自衛隊員に武器を持たせ、拍手で送り出すことは、断じてあってはならない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12631626.html?ref=pcviewpage

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(声)戦前を想起させる二重国籍追及(2016/10/28朝日新聞)牧師 小野一郎(大分県 89)

 民進党の蓮舫代表や自民党の小野田紀美参院議員の「二重国籍」問題が国会で追及される中、私は戦前の小学校時代を思い出した。各教室に「清く、正しく、明るい日本人たれ」と書かれた、日本人であることを強調する額がかけられ、唱和させられた。日本は特別な神の国で、危機にあっては神風が吹いて守られると教えられた。最後には「鬼畜米英」という言葉もたたき込まれた。毎月読む小学生向け雑誌には、外国人を差別的に描いた小話や漫画もあふれていた。それらの結果、日本人以外を「異なった人間」と思うようになった。朝鮮半島や中国の人々への蔑視も生まれた。西洋人は敵で、排斥すべき存在だと思った。私は広島の原爆投下の翌日に陸軍2等兵として入隊。泥まみれの土木作業中に敗戦を迎えた。「清く、正しく、明るい日本人」を刷り込まれた結果だった。国会の議論で、日本人であることに固執し、外国籍を持っていた議員を執拗(しつよう)に追及する人たちに問いたい。一体何のための追及なのか、そんな追及による社会への悪影響を考えたことがあるのかと。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12631624.html?ref=pcviewpage

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雨水流入は監視不足が原因(2016/10/28共同通信)
志賀原発トラブル/志賀原発2号機(石川県志賀町)の原子炉建屋に雨水約6600リットルが流入したトラブルで、北陸電力は28日、大雨の監視不足などが原因だったとする中間報告を発表した。同日、原子力規制庁に提出した。報告によると、雨が地下トレンチに流入して警報が鳴ったが、作業員が水位や流入源を確認しなかった。排水ポンプの容量不足や原子炉建屋の浸水対策を実施していなかったことも重なった。あと20時間浸水を放置していたら、非常時に原子炉を冷やすポンプなどが水に漬かり、使えない状態になっていたとも指摘した。
http://this.kiji.is/164695982716503542?c=39546741839462401

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浜岡4号機、布の異物混入 圧力抑制室(2016/10/28 静岡新聞)
中部電力は27日、浜岡原発4号機(御前崎市佐倉)の圧力抑制室にためた水の中で異物混入を確認したと発表した。
 混入していたのは布状の異物で、大きさは13センチ×21センチ。作業員が定期検査で温度計を取り換えるために室内を確認し、目視で異物を見つけた。水中には、ほかにも複数の異物が残っているという。圧力抑制室はドーナツ状で筒の直径は10メートル。原子炉格納容器の下部に位置し、室内には非常時の炉心冷却などに用いる4千トンの水をためている。
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/hamaoka/296064.html

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(社説余滴)イヤな感じの三つの理由 坪井ゆづる(2016/10/28朝日新聞)
この1カ月の国会を見て、あの時のイヤな感じがますます募る。衆院本会議場で先月、自民党議員が次々に立って拍手した、あの光景だ。安倍首相が領土、領海、領空を守る決意を語り、海上保安庁、警察、自衛隊への「心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけた。演説にあった通り、現場は「極度の緊張感に耐え」ているに違いない。でも、なぜ、あそこで起立なのか。拍手なのか。 野党からの批判に、首相は「どうして問題になるのかよく理解できない」と答えた。米国の議会でスタンディングオベーションを受けた人らしい感想だ。同じ思いの読者も多いかもしれない。だが、そうだろうか。三つの点で引っかかる。第一は原則論だ。首相は行政府の長であり、自衛隊の最高指揮官だ。国会は立法府で、議員は国民の代表だ。両者は三権分立の緊張関係のもとで並び立つ。首相が部下である自衛官たちへの敬意を、野党を含むすべての国会議員に促すのは緊張感に欠けていないか。気持ちのどこかで、立法府を一段下に見ていないか。それも無理からぬ現実がある。いま首相は「一強」だ。国政選挙で4連勝し、国会でも「数の力」で野党を圧倒する。だから自民党総裁の任期も最長9年まで延びる。

 首相は「私は立法府の長」と言ったことがある。その後、「言い間違えていたかもしれない」と述べ、議事録は修正されている。だが、実は国会を牛耳っている実感のこもった本音ではなかったか。第二は光景の見え方だ。起立して手をたたく議員の視線の先に、拍手しながら議場を見下ろす首相が立っていた。多くの議員が首相を礼賛するかのようだった。討論の場の議場を、首相がみずからの権力を誇示する舞台に変えたように見えた。第三は将来の話だ。政権に戻って4年近くになる。特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則の緩和、解釈改憲での集団的自衛権の行使容認、そして安全保障法制。首相はきっちり布石を打ち、いまや自衛隊は世界中で他国軍を支援できる。この先いずれ、首相は憲法違反の疑いのある自衛隊の海外活動にも「敬意」を求めないだろうか。安保法制は違憲だとの批判を、議場の起立と拍手でかき消そうとするかのように。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12629782.html?ref=pcviewpage

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(声)台湾の「原発ゼロ」見習いたい(2016/10/28朝日新聞)無職 木原道雄(神奈川県 80)

 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)政権が2025年に「原発ゼロ」にすることを決めた。東日本大震災後の反原発の民意を受けたものだという。脱原発を旗印に、国づくりをしていこうという気概に打たれる。台湾の現状を知る電力関係者からは「実現のハードルは非常に高い」という指摘もある。たしかに課題は山積みなのだろう。だが、台湾経済相は「放射性廃棄物の問題を子孫に残さないために、どのような政策が必要なのかということこそを考えるべきなのだ」と述べている。まったく同感だ。翻って、わが国はどうだろう。安倍政権は原発の再稼働を推し進めている。放射能レベルが比較的高い放射性廃棄物を地下深くに埋め、10万年後まで国が管理するという。東京電力福島第一原発事故から5年経っても汚染水処理などで方向が見いだせないのに、10万年後を保証できるのか。災害多発国の我が国では、東日本大震災後も地震や火山噴火が相次いでいる。再び原発事故が起こる可能性はないとは言えないだろう。台湾やドイツを見習い、日本も「原発ゼロ」の国策を打ち立て、これ以上、放射性廃棄物を持たずに済むようにするべきだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12629793.html

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昭和、見つめた 平和求め歴史探究・ダンス何でも 三笠宮さま逝去(2016/10/28朝日新聞)
 戦争への批判を貫いた100歳の人生だった。昭和天皇の弟、三笠宮崇仁(みかさのみやたかひと)さまが27日、亡くなられた。戦時中は軍人として戦争を体験し、戦後はオリエント史の研究者として知られ、ダンスも楽しまれた。「昭和」を体現した存在を、ゆかりの人たちはしのんだ。・・・三笠宮さまは戦争をどうとらえていたか。宮内庁参与として天皇家の相談役を務めた三谷太一郎・東京大名誉教授(80)に聞いた。

 三笠宮さまは、日中戦争下の昭和18(1943)年1月から1年間、「支那派遣軍総司令部」の参謀として、南京に駐在された。そこで、部内の将校に対する研究会の資料として書かれた冊子が「支那事変ニ対スル日本人トシテノ内省」です。当時は言論が弾圧されていて、一般幕僚が大胆な発言をするのは難しいので、皇族である自分があえて発言すると書いています。

 そして、支那派遣軍は日中戦争の本質の認識や、解決への努力が足りないと指摘。満州事変・支那事変の主な原因と責任は日本現地軍にあること、日本は戦闘に勝っても戦争に勝ったとはいえないこと、蒋介石を抗日に追いやったのは主に日本側に責任があることを述べている。日本軍の「略奪、強姦(ごうかん)、良民の殺傷、放火等」とも書いています。皇族として特権的に自由を享受しえた立場から、日中戦争の現実を明快に分析しています。

 つまり、三笠宮さまは戦後になってから、戦争の罪悪性について言われたのではなく、戦争中から、満州事変以降の日本の軍事行動に対する強い批判を、一貫して持っていた。明らかに今で言うリベラルです。いかに皇族といえども、当時の中国戦線の最先端で、なかなかこういうことは言えないですよ。単に戦争一般を批判して、「戦争は罪悪だ」と言うのではない。目の前にある戦争の現実を冷徹に認識し、日中戦争全体を俯瞰(ふかん)する視点を持ち得ている。誰もこんな記録は残していない。三笠宮さまが、戦争の現実を通して書かれた「日本人トシテノ内省」。これを知ることは、後世のためにも重要ではないでしょうか。(聞き手・石田祐樹、東郷隆)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12629956.html

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