記憶しておきたい新聞記事見出し2014〜2016
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台湾「2025年に原発ゼロ」 再生エネで代替 閣議決定(2016/10/23朝日新聞) 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)政権が2025年に「原発ゼロ」にすることを決め、行政院(内閣)は、再生エネルギー事業への民間参画を促す電気事業法の改正案を閣議決定した。再生エネの割合を20%まで高めることを目指す。東日本大震災後の反原発の民意を受けたもので、改正案は近く立法院(国会)で審議に入り、年内の可決を目指す。世界的にはドイツが2022年までの原発全廃を決めるなど、欧州を中心に脱原発の動きがある。一方、増える電力需要に応えるため中国やインドが原発を増設させており、アジアでは台湾の取り組みは珍しい。 (政治断簡)「敬意」首相が込めたものは 編集委員・松下秀雄(2016/10/23朝日新聞) 海上保安庁、警察、自衛隊の諸君に敬意を表そうという安倍晋三首相の所信表明演説を聴いて、昨夏の米国での取材を思い出した。ベトナム戦争に赴いた軍人に敬意を表そうという米政府の動きが、何度も話題にのぼったのだ。 退役軍人省で尋ねたら、こんな答えが返ってきた。ええ、とりくんでいます。ベトナム戦争の記念行事をたくさん催したり、スポーツの試合などで、ベトナムに限りませんが退役軍人に起立を求め、観客に拍手を送ってもらったり。それで誇りを取り戻してもらえれば……。「誇り」の回復は、重い問題のようだった。ベトナム戦争中、ソンミ村の虐殺など米軍の残虐行為が報じられ、帰国した兵士たちは「赤ちゃん殺し」などとなじられた。帰還兵と知られたくなかったこともあってか、同省による医療や福祉の支援を受けない人がいまも多いそうだ。心身に傷を負った帰還兵の中には酒や麻薬に浸り、家族や家を失い、命を絶つ人が後を絶たない。なのに支援を受けない、受けられない。北ベトナム爆撃から半世紀をへても傷が癒えない現実に、気持ちがどーんと重くなった。そんな米政府の動きを歓迎する退役軍人も多いと聞く。でも、私があった当事者たちはとっても心配していた。 一人ひとりの痛みに寄り添い、支援を届けるのなら異存はない。けれど国が兵士をたたえる時、別の思惑が絡みうる。勇敢さや自己犠牲の精神をたたえ、戦争を美化し、若者をそこに動員する。それが狙いではないのか?「この国はヒーローをつくりたがる」「私はヒーローじゃない」。彼らが吐き捨てるのは、美名と現実の乖離(かいり)が身にしみているからだ。敵を人間と思わないよう差別意識を植え付けられ、殺す抵抗感を奪われる。彼らはその罪責感や心の傷に苦しんできた。・・・日本では、国のために命を落とした人は「英霊」などとたたえられる。でも、生還した人にも苦しみがある。自己犠牲の称賛か。苦しみを癒やす支援か。一言で「敬意」といっても、その含意は大きく異なる。首相の「敬意」には、どんな意味があるのだろうか。 (社説)核燃サイクル 高速炉の虚構を捨てよ(2016/10/23朝日新聞) 長引く一時保護 1600人超 14年度7都県 本紙調査(2016/10/23東京新聞) 原発「3度目の住民投票」 新潟知事選 何が起きた(2016/10/23東京新聞) ディランさんサイト「文学賞」削除 「受賞を拒否?」臆測飛び交う(2016/10/23東京新聞) 相模原事件から考える 問われる「命の価値」(2016/10/21東京新聞) <社説>嘉手納未明離陸 政府は爆音の共犯者だ(2016/10/21琉球新報) (時時刻刻)南スーダン混迷 反政府勢力トップ「和平合意崩壊」(2016/10/21朝日新聞) (声)松井知事は差別を擁護するな(2016/10/21朝日新聞)無職 森山正仁(愛知県 53) 沖縄県の米軍ヘリパッド建設現場で大阪府警の機動隊員が、抗議活動中の沖縄県民に向かって「土人」「シナ人」という差別的な発言をした。発言はもちろん問題だが、私には、大阪府の松井一郎知事が隊員を擁護する姿勢を見せていることが、より深刻な問題だと思える。沖縄は長く本土から差別されてきた。太平洋戦争では過酷な地上戦があり、多くの県民が同胞の日本人に危害を加えられ、自決を強要された。そして今も、在日米軍施設の大半を押しつけられている。隊員らはそんな歴史を背負った県民にヘイトスピーチまがいの発言をしたのだ。それなのに松井知事は隊員らに対し、ツイッターで労をねぎらい、「たたくのは違う」と擁護した。今回の差別発言は隊員個人の問題にとどまらない。警察組織の意識や姿勢が問われている。知事は府公安委員会を通して府警を所轄する立場にある。差別排除の先頭に立つべき時に逆にねぎらうなど、あってはならない。これでは隊員らは、発言が容認されたととりかねない。今回、翁長雄志・沖縄県知事は「県民の感情を逆なでし、悲しみに陥らせる厳しい言葉だ」と語った。松井知事はこの言葉をどう受け止めるのか。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12619748.html 除染廃棄物仮置き場 集水機能せぬ恐れ(2016/10/21河北新報) 楢葉の高線量破片...原発事故が原因と推定 セシウムなど検出(2016/10/21福島民友) http://www.minyu-net.com/news/news/FM20161021-121029.php (社説)安倍政権 見過ごせぬ慢心と緩み(2016/10/21朝日新聞) (社説)「土人」発言 差別構造が生んだ暴言(2016/10/21朝日新聞) http://digital.asahi.com/articles/DA3S12617948.html?ref=pcviewpage (声)「土人」発言、警察全体の質疑う(2016/10/21朝日新聞)無職 恒川恭輔(愛知県 74) 沖縄県東村の米軍ヘリパッド建設現場付近で、大阪府警から派遣された機動隊員2人が抗議活動する住民らに向かって「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」「黙れ、シナ人」と発言した。テレビで映像を見てびっくりした。住民の保護は、警察官の重要な任務である。その警察官が人種差別発言を平然とするようでは、日本警察全体の質が疑われても仕方がない。現在、基地問題で政府と沖縄県は対立しており、非常に微妙な状況にある。こんなときに、こうした発言をする警察官を配置した警察庁や沖縄県警、大阪府警の責任は重大だ。一般企業では、重要な局面に社員を派遣する場合、しっかり本人の資質を見極め、事前に教育をするものだ。今回、警察はそれをやったのか。これまでの政府の力ずくの進め方を見た警察官が、おごった意識で、抗議する住民を排除している面があるようで恐ろしい。地元住民の理解が得られないどころか、不信感はさらに募るだろう。こうして建設された基地が、果たして安全保障面で十分に機能できるのか。大いに疑問だ。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12617912.html (声)若い世代 絵本楽しんで広がった世界(2016/10/21朝日新聞)高校生 田邉梨奈(千葉県 16) 小さいころ絵本が大好きで、寝る前は必ず母の所へ持って行き、読んでもらっていた。母の読み方はわかりやすく、物語の世界に自然と引き込まれた。「登場人物一人一人の心境」「もし自分が主人公になったら、どのように行動するか」などを想像しながら絵本を楽しみ、世界が広がった。そして、私は自分で絵本をつくるようになった。魔法使いの子供の話や、タヌキの親子の冒険の話などを考え、母に読んだ。もっとたくさんの人に絵本を見てもらいたくて、家族や友達にも読んだ。反応が悪いと悔しくて、何度も書き直した。そのような習慣からか、今は作文が苦でないし、一つのことを様々な視点から考えることができる。絵本は小さい子供にとって、国語や道徳の教科書だと思っている。 (インタビュー)イスラムと欧米 イスラム思想家、タリク・ラマダンさん(2016/10/21朝日新聞) 強行採決発言 撤回ではすまされない(2016/10/21東京新聞) 自民党憲法草案 「封印」とは言うけれど(2016/10/21東京新聞) |
翁長知事、県警本部長と面談 指導の徹底申し入れ 機動隊差別発言(2016/10/20琉球新報) 米軍北部訓練場周辺で警備活動に当たる大阪府警機動隊員が抗議運動参加者らに対し、「土人」「シナ人」などと暴言を吐いた問題で、翁長雄志知事は20日午後、県庁で池田克史県警本部長と面談し、再発防止と指導の徹底を申し入れた。翁長知事は「許されない発言で憤りを覚える」と遺憾の意を表明した。 <社説>警察「土人」発言 「構造的差別」責任は政府に(2016/10/20琉球新報) 江波暮らし記憶鮮やか 映画「この世界の片隅に」舞台の一つ 94歳大岡さんの聞き書き出版(2016/10/20ヒロシマ平和メディアセンター) 次期国連総長 紛争と難民の解決を(2016/10/20東京新聞) 蓮舫氏、福島第1原発を視察 「脱原発」へ道筋示す考え(2016/10/20東京新聞) 欧州発の火星探査機、着陸直前に通信途絶える(2016/10/20ナショナルジオグラフィックス) ゾウの赤ちゃん、川で恩人を「救助」 保護団体が映像公開(2016/10/18CNN) 古代人の謎の足跡400個超、年代と成因が明らかに(2016/10/13ナショナルジオグラフィックス) http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/101200386/ 自民、改憲草案「使い分け」 撤回否定、でも憲法審には出さず(2016/10/19朝日新聞) 「原発ゼロの会」河野氏出席 「そろそろ核燃サイクルやめたら」(2016/10/19朝日新聞) できる、できるさ(2016/10/19東京新聞) 新聞週間 「ぐるり」に関心持とう(2016/10/19京都新聞) (社説)自民党草案 憲法観が転倒している(2016/10/19朝日新聞) http://digital.asahi.com/articles/DA3S12614267.html (声)これで自衛隊員の命守れるのか(2016/10/19朝日新聞)非常勤地方公務員 荒川和成(千葉県 64) 南スーダンを視察した稲田朋美防衛相は国会で、首都ジュバの状況について「落ち着いている」と強調した。だが、視察と同じ日にジュバの近くで民間人が襲われて市民21人が死亡、約20人が負傷した。国内の武力衝突や暴力行為の増加に現地の国連派遣団も懸念を示した。政府は、派遣部隊への「駆けつけ警護」任務付与をめざしているが、現地の状況が安定しているとは思えない。稲田防衛相の現地滞在時間はわずか7時間。しかも、南スーダン政府高官とは会見したが、大統領派と対立している前副大統領派とはほとんど意見交換していないようだ。ジュバでは7月に大規模な戦闘が発生し、数百人の市民や中国のPKO隊員が死亡している。現在も内戦の再燃が懸念されている。ところが、稲田氏は7月の事案を「法的な意味の戦闘行為ではなく衝突」と国会で答弁し、安倍晋三首相も同様の見解を示した。国際平和支援法は「現に戦闘行為が行われている現場」では協力支援活動などを行わないとしているためだろうが、これは詭弁(きべん)だ。これで本当に自衛隊員の命を守れるのだろうか。
新潟県知事選 原発求めぬ民意明らか(2016/10/18京都新聞) 新潟新知事 国民的不信の代弁だ(2016/10/18東京新聞) イラク・モスル奪還作戦 住民150万人の安全確保が課題(2016/10/18東京新聞) 原発再稼働「反対」57% 朝日新聞社世論調査(2016/10/18朝日新聞) (WEBRONZA)今年は女性リーダー台頭の年(2016/10/18朝日新聞) |
企業の政治献金 ますます経済界寄りに(2016/10/17京都新聞) 「新潟」野党勝利 再稼働反対の意思示す(2016/10/17東京新聞) (時時刻刻)政権、新潟ショック 知事選敗北 原発争点、野党に勢い 与党、次期衆院選へ不安も(2016/10/17朝日新聞) 東電が14年1月に公表した再建計画では、福島第一の処理費は総額11兆円だった。廃炉・汚染水対策に2兆円、被害者賠償や放射性物質の除染、中間貯蔵施設の整備などに9兆円かかると試算。これらを、ほかの大手電力会社の協力や国の無利子融資で立て替える仕組みも整えた。ところが、費用は膨らみそうだ。経産省の内部資料によると、少なくとも廃炉で4兆円、賠償で3兆円は増える。東電の広瀬直己社長は「合理的に見積もると債務超過になる可能性がある。倒れると(廃炉や賠償が)いかんともしがたい」と国に支援を求めた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12611448.html (社説)日本とユネスコ 節度欠く分担金の保留(2016/10/17朝日新聞) (声)語りつぐ戦争 「屍衛兵」が見た戦争の現実(2016/10/17朝日新聞)無職 本田勉(熊本県 87) 1945(昭和20)年5月、16歳の私は大分陸軍少年飛行兵学校を卒業後、熊本県内の陸軍航空通信学校菊池教育隊に配属された。着任早々の14日早朝、兵舎の中庭で点呼中に米軍機の機銃掃射を受けた。グラマンの爆音が響いたと思うと、大雨のように「ザーッ」と銃弾が降ってきた。艦載爆撃機からの攻撃もすさまじかった。地面が地震のように揺れた。私は、深さ約1メートルの「たこつぼ」と呼ばれる穴に飛び込んだ。生きた心地がしなかった。米機が去るのを、そのままじっと待つしかなかった。30人以上が死亡した。私はこの日、「屍衛兵(しかばねえいへい)」を命ぜられた。遺体を護衛する任務だ。深夜の2時間、銃に弾を込めて、安置所となった医務室を巡回した。犠牲者の大半は隣の部隊の10代の若者たちだった。爆撃で崩れた防空壕(ごう)の中で、軍服を着たまま窒息死していたという。列車の枕木を縦横に組み、土で固めただけの壕はもろかった。どす黒い顔色で横たわる仲間たち。彼らの姿を前にして、じわりと恐怖を感じた。飛行兵学校で教えられた「勇ましい戦争」は、そこにはなかった。「こんなことは、やめにしてくれ」。それが実感だった。 (声)語りつぐ戦争 米兵は鬼畜なんかじゃなかった(2016/10/17朝日新聞)無職 坂木和子(東京都 89) 私は日本統治下の京城(現ソウル)で生まれ、18歳の時、家族と共に終戦を現地で迎えた。日本の軍人や警察官は姿を消し、代わりに米兵が市内を巡回していた。ある日、2人の米兵が我が家にやってきた。法学専門学校で教えていた父が英語で応対した。私と妹は「鬼畜」と言われた米兵が怖くて、息を潜めて押し入れに隠れていた。そのうち、両親と米兵の笑い声が聞こえてきた。母が私たちを呼んだ。米兵は明るい笑顔で、握手を求めてきた。「この人たち鬼畜なんかじゃない。普通の人だ」。私は、率直にそう思った。米兵はその後も遊びに来た。戦争中、日本の兵隊さんたちが囲んだテーブルに、米兵がついた。故郷の家族の写真を見せてくれる姿まで、同じであった。「日本とアメリカがお互いを知っていたら、戦争しなくて済んだかもしれないのに……」「鬼畜米英」と洗脳されていた悔しさと悲しさに、私は妹と抱き合ってわんわん泣いた。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12611322.html?ref=pcviewpage |
死刑廃止宣言 深く考える契機にしたい(2016/10/16京都新聞)
週のはじめに考える 解散は首相の専権か(2016/10/16東京新聞) 政権内で「解散風」が吹き始めました。来年早々なら衆院議員の任期を約半分残しての総選挙です。そもそも解散は首相の専権事項なのでしょうか。・・・首相がはっきり言わないのに、なぜ解散に向けて動きだすのでしょうか。それは衆院の解散は「首相の専権事項」とされ、時期については「うそをついてもよい」とまで言われてきたからです。一九八六年、当時の中曽根康弘首相は、その年の初めから、夏に予定されていた参院選との「衆参同日選挙」を考えていましたが、その本音を隠して「死んだふり解散」に持ち込み、自民党を大勝に導きました。・・・ 英国では二〇一一年、下院議員の任期を五年とする「任期固定制議会法」が成立しました。政権が都合よく議会を解散するのは不公平だとして、首相の解散権を事実上「封印」するのが狙いです。日本は長年、同じ議院内閣制の英国を範としてきました。小選挙区制や党首討論、副大臣制、マニフェスト選挙など近年の政治改革も英国が手本です。解散権の制限も参考にしたらどうでしょう。解散権が乱用されるなら、声を上げなければなりません。解散風が吹き始めたからといって、あおられるだけではいけないのです。 韓国が「反政府リスト」 メディア報道 文化人9400人分(2016/10/16東京新聞) イスラエル、ユネスコとの協力関係を停止 聖地への言及で(2016/10/15CNN) 傷癒えぬ熊本 地震から半年(2016/10/15朝日新聞) 労働局、電通の立件視野 過労自殺受け立ち入り調査(2016/10/15朝日新聞) (声)闘いと共にあったディランの歌(2016/10/15朝日新聞)タクシー乗務員 原田文樹(埼玉県 66) 実に粋なノーベル文学賞!ベトナム戦争さなかの1960年代にボブ・ディランさんは「風に吹かれて」を発表。どれだけ砲弾が飛び交えば……どれだけの人が死ねば……その答えは風に吹かれている。戦争の過ちを鋭く突く歌詞に震撼(しんかん)した。戦争当事国の米国の歌手に、良心を見た。当時の日本は、どうしたら景気がよくなるのかに関心が向き、新聞にベトナム戦争の悲惨な記事や写真が載っていても、多くの人は無関心だったように思う。高校生になった私も、好きな油絵を描いていた。しかし、高校の近くにある米軍基地にベトナム戦争の傷病兵が次々運び込まれるようになって変わった。私は友人たちと共に、学生運動が盛んだった大学に進んだ。「米国に従属した日本を変えたい」。そう思って、反戦運動や反安保闘争を駆け抜けた学生や労働者がいた。私もその1人だ。米国の公民権運動、反戦運動の集会でディランが歌われ、人々の思想や生き方に影響を与えたように、私たちの闘いにもディランの歌が共にあった。世界情勢が混迷を極め、人々の抵抗の姿勢が失われているようにみえる今。ディランの受賞は大きな意味を持つ。 (声)あきれる大阪万博の誘致理由(2016/10/15朝日新聞)会社員 坂村誠(福岡県 32) 大阪府が2025年国際博覧会(万博)誘致を目指している。安倍政権も前向きに検討を始めた。私は驚きを通り越し、あきれた。1964年の東京五輪から、6年後の大阪万博という黄金期を再現したいそうだ。しかし、人口も経済も右肩上がりの当時とは状況が全く違う。流通やITの発達で手軽に国内外の商品やサービスが手に入る一方で、経済はマイナス成長、少子高齢化も急速に進む時代にかつてほどの集客や効果を望めるとは思えない。しかも4年後の東京五輪は、費用が当初比4倍の3兆円を超す可能性が露呈。東京都、政府、組織委員会で責任の所在が不明確で国民は怒りと不安を抱えている。半世紀前には誇りだった技術が今や負の遺産化した現状も直視すべきだ。万博開会日に運転開始した敦賀原発1号機は廃炉が決定。廃炉には膨大な費用がかかる。高速道路なども老朽化が進み、若い世代に改修の負担がのしかかる。そこに管理費用が毎年生じ続ける五輪や万博の施設が負の遺産として加わるのだ。いつまでも過去の成功にしがみつくだけでは、近い将来、日本は世界の笑い物になるだろう。 |