<社説>空調補助一部廃止 切り捨てる理由はない(2016年5月11日琉球新報)
5月に入り、気温が上昇している。那覇では8日から3日連続で最高気温が30度を超えた。真夏日の教室で、騒音のため窓も開けられないとなれば子どもたちはどうなるか。米軍基地周辺の学校や保育施設などの防音事業の空調(エアコン)維持費補助を防衛省が一部廃止すると通告した。2016年度以降に改築や機器更新を実施設計する場合、新たな機器については維持費の補助を打ち切る。空調維持費補助は米軍嘉手納基地や普天間飛行場、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセン周辺、米軍機の飛行ルートとなっている地域の学校・施設が対象だ。現行は国が空調にかかる電気使用量の9割と基本料の全額を補助している。対象はうるささの度合いに応じて4等級に分けられ、廃止されるのは下の3、4級。県内に4級該当はなく、廃止は3級となる。比較的下の等級だからといって、影響が少ないとは言えない。3級のうるささの基準は50分の授業中に75デシベル以上の騒音が10回または80デシベル以上が5回以上である。環境省によると、70〜80デシベルの騒音は主要幹線道路のそばや航空機の機内、セミの声が挙げられる。人が静かだと感じるのは45デシベル以下で、望ましいのは60デシベル以下だといわれている。授業中に5回も10回もセミの声並みの音が響けば、授業が中断され、集中できなくなるであろう。・・・ 中谷元・防衛相は空調機器更新時の補助率を最大1割引き上げることで事態を収めようとしているが、毎年の維持費を切り捨てる理由にはならない。空調補助は米軍基地から派生する騒音被害に対する補償である。発生源がなくならない限り、国が廃止する理由はない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-276495.html
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パナマ文書公開 税逃れ、多くの目で監視(2016/05/11京都新聞)
隠された税逃れの実態を白日の下にさらし、多くの目でチェックする。富める者と貧しい人々の格差が世界中で広がるなか、大きな意味をもつはずだ。租税回避地(タックスヘイブン)に設立された21万以上の法人と、関連する約36万の企業や個人の名前、住所のリストがインターネットに公開された。中米パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」である。公開した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は「社会全体に公開されるべき法人情報を注意深く公表する」として、市民や専門家からの情報を期待する。パナマの事務所は、税率の低い租税回避地での法人設立を請け負っており、流出文書には英領バージン諸島や香港、米ネバダ州など21の租税回避地が出てくる。租税回避地にペーパーカンパニーをつくりお金を移せば、自国で税金を納めずに済む。秘密は守られ、形の上では合法とされる。しかし、合法だから問題ないと言えるだろうか。英国の市民組織・税公正ネットワークは、租税回避地に隠された資産を2千兆〜3千兆円と推計しており、米国と日本の国内総生産(GDP)の合計を超える。・・・公開されたことで、世界中の税や法律の専門家やNGO、ジャーナリストたちが目を凝らし、足をつかって隠された事実を掘り起こすに違いない。とにかくマネーの行方を白日にさらすことだ。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160511_4.html
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70年目の憲法 第5部 私のメッセージ <1> フリー編集者・島本脩二氏(2016/05/11ヒロシマ平和メディアセンター)
自分は憲法公布の年に生まれた。団塊世代には憲法の「憲」が入った名前が多い印象を受ける。押し付け憲法っていわれるけど、国民に受け入れられてたっていう一つの証しだよね。 ・・・
自分の中の「軸」
1970年小学館に入社し、編集者に。7年後、病気で半年間会社を休む。この期間が123万部のベストセラー「日本国憲法」出版の原点だった。療養中に時間があったから自分の事を振り返った。ふらふらしながらも、まあまともに生きてきたなって思えた。それは何か軸があるんじゃないかと思って、影響を受けた本を読み返したり、親の教えを考え直したりして軸探しをした。その時、行き当たったのが憲法だった。大きな価値の中にいるんだって気付いた。自分の中に軸が入ると安心した。でも、憲法の中で生きているのにちゃんと読んだことがない。まずいと思ったね。六法全書を拡大コピーして読んだ。憲法の前文は特に感動した。以来、憲法が頭から離れなかった。 ・・・
憲法改正議論が渦巻く。これまで憲法が改正されなかったのは、「やっぱりいい憲法だから」と明快だ。
戦争を放棄し、武力を持たない日本は強い。経済発展もできた。世界情勢が緊迫化しているから改正が必要だって言う人がいる。否定すると「能天気」と返されるんだよ。能天気ってそんな悪くない。そういられる国って目標じゃない?。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=59132
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水俣病公式確認60年 「事件」はまた繰り返す(2016/05/11東京新聞)
水俣病六十年。公式確認という言葉がそもそもあいまいだ。始まりも終わりも決めるのは当局なのだといいたげで。水俣事件は、まだ解決されていない。父親はチッソの社員。不知火海に有機水銀を流し続けた水俣病の加害企業である。高校時代までを過ごした熊本県水俣市の社宅は海に近かった。一家は毎日のように浜辺で貝を採り、行商人から魚を買って食べていた。体に異変を感じるようになったのは、二十歳になったころだった。両肩から指先にかけて、強いしびれに襲われた。・・・「水俣で起こったことは、事件です。事件として解決しようとしないから、誰も責任を取ろうとしない。だからまた繰り返す」水俣の“語り部”、石牟礼道子さんの全集を刊行した藤原書店社長の藤原良雄さんは指摘する。・・・
「事件はまた繰り返す」。
藤原さんの指摘が不気味に心に迫る。「福島原発事件」が二重写しになるからだ。原発事故で故郷を追われた人々は「被災者」ではなく「被害者」だ。なのにいまだ、命より経済優先、原発は止められない。放射線の影響や健康被害の実態をつまびらかにしないまま、補償の負担を軽減するためか、規制を緩め、避難者の帰還を急ぐ。・・・ふるさとを喪失させた国と東電の責任も結局は明らかにされないままに、風化が進んでいくのだろうか。福島事件の行く末が見えてくる。水俣事件に時効はない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016051102000148.html
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(憲法を考える)9条、立憲主義のピース 寄稿、憲法学者・石川健治(2016/05/03朝日新聞)
1916年元旦、大阪朝日新聞の第1面に掲載されたのが、戦前を代表する憲法学者・佐々木惣一の論説「立憲非立憲」であった。同論文は、1回の休載を挟み、18回連続で1面に掲載された。同じ頃、彼の親友・吉野作造は、「民本主義」を提起した記念碑的論文を発表している(「中央公論」16年1月号)。それから1世紀の記念すべき年の晩秋に、私たちは日本国憲法公布70周年を迎えることになる。にもかかわらず、立憲主義の定着を祝うべきこのときに、〈立憲・対・非立憲〉が再び対立軸となっているのである。改憲を唱える人たちは、憲法を軽視するスタイルが身についている。加えて、本来まともだったはずの論者からも、いかにも「軽い」改憲発言が繰り出される傾向も目立つ。実際には全く論点にもなっていない、9条削除論を提唱してかきまわしてみたりするのは、その一例である。日本で憲法論の空間を生きるのは、もっと容易ならぬことだったはずである。
・・・ここから明らかになるのは、9条がまず何よりも、長らく軍国主義に浸(つ)かってきた日本の政治社会を、いったん徹底的に非軍事化するための規定である、という消息である。それにより、「公共」の改造実験はひとまず完成し、この「公」と「私」の枠組みに支えられる形で、日本の立憲主義ははじめて安定軌道にのることができた。結果オーライであるにせよ、70年間の日本戦後史は、サクセスストーリーだったといってよい。
しかし、こうした段階を踏むことで、かつて軍国主義を演出した何系統かの言説が公共空間から排除され、出入り禁止の扱いになった。もちろん憲法尊重擁護義務は「公共」「公職」にのみ向けられており、国民には強制されていない。それらの言説は、私の世界においては完全な自由を享受できる。けれども「戦後改革」から日本国憲法に受け継がれた諸条文がいわば「結界」として作用して、立憲主義にとって危険だとみなされる一連の言説を、私の領域に封じ込め続けているのは事実だ。
その意味で、封じ込められた側からいえば、日本国憲法が敵視と憎悪の対象になるのは、自然であるといえる。きわめて乱暴にいってしまえば、日本国憲法という一個の戦後的なプロジェクトには、少なくとも政治社会から軍国主義の毒気が抜けるまで、そうした「結界」を維持することで立憲主義を定着させる、という内容が含まれているのである。ところが、私の領域に封じ込まれていたはずの一連の言説が、ネット空間という新しい媒体を通じて、公の世界に還流し始めた。それに初めてふれて新鮮な印象を抱く人が、比較的若い世代に増えてきたようである。これを原動力にして、この際「結界」を壊してしまおうと考えている勢力もある。戦後、対外的危機は、実は一度ならずあったはずなのであるが、最近の北東アジアにおける安全保障環境の変化を前面に押し出して、「新鮮」な危機感に訴える傾向も顕著である。
こういう流れのなかで9条を動かすのは、危険きわまりないといわなくてはならない。日本の立憲主義を支える結界において、憲法9条が重要なピースをなしてきた、という事実を見逃すべきではないのである。もちろん、9条は、どんな国でも立憲主義のための標準装備である、という性質のものではない。しかし、こと戦後日本のそれに関する限り、文字通り抜き差しならないピースをなしているのであり、このピースを外すことで、立憲主義を支える構造物がガラガラと崩壊しないかどうかを、考えることが大切である。それにしては、あまりにも無造作な9条論が、目立つ。9条は、とかく安全保障の局面だけで手軽に語られるが、決してそれだけの条文ではない。ただ、その一方で、世論調査による限り、9条改正は危険ではないかという直観が、おそらくは皮膚感覚のレベルで広がりつつあるのも事実である。すでに述べたように、この直観には根拠がある。私たちが生命・自由・幸福を追求する枠組み全体を支える9条をもっと慎重に扱うことが、国家の安全保障を論ずる前提条件になっている。・・・こうした文脈で注意されるのが、第1次安倍政権の教育基本法改正による「愛国心」教育の強調である。国を愛するというのは自然な感情であり、否定のしようがない。しかし、それを国家が強要するのはまた別の話であって、ある特定の価値によって、しかも命を懸けるに値する公を染め上げようというのであれば、それは日本の立憲主義にとって致命傷になる。現代版「立憲非立憲」の戦線は、ここにもあるのである。
いしかわけんじ 1962年生まれ。東大教授。編著に「学問/政治/憲法 連環と緊張」など。「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人の1人。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12339723.html?ref=sp_con_maily_0510_11
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(天声人語)音楽と政治の危うい関係(2016/05/10朝日新聞)
すでに多すぎるほどの物議をかもしてきた不動産王トランプ氏が名だたるバンドからかみつかれた。エアロスミスなどに続いて今度はローリング・ストーンズから「おれたちの曲を勝手に使うな」と抗議された▼思い出すのは1984年の米大統領選。再選を狙ったレーガン陣営が、ヒット曲「ボーン・イン・ザ・USA」を運動に使おうとし、歌手ブルース・スプリングスティーン当人から拒まれた▼力強いリズム。しぼり出すような声。「おれはアメリカに生まれたんだ」という叫びに陣営が飛びついた。「スプリングスティーン氏は若者の心をつかんだ。曲にこめられた思いは米国の未来そのものだ」。大統領自身、遊説先で名をあげてほめそやした▼しかし歌詞の内容は政治不信そのものである。戦地ベトナムで死んだ若者の無念を代弁し、帰還兵に仕事も敬意も与えない政治の冷たさを告発した。そんなメッセージの曲と知っても、陣営は再選の道具として欲した▼音楽が人々を奮(ふる)わせる様子を目にすると、政治は禁欲を忘れる。ヒトラーは自国の指揮者フルトベングラーに一方的に心酔した。ナチスが策をろうしヒトラーの生誕を祝う会でタクトを振らせる。ベートーベンの「第九」を指揮する姿を映画に収め、国威発揚に使った。指揮者は戦後、ナチスに協力した疑いで法廷に立たされる▼さて共和党内で優位に立ったトランプ氏だが、選挙戦は11月まで続く。この先、抗議を受けずに使える曲の手持ちはあるのだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12348222.html
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フィリピン、突破力に期待 大統領選、ドゥテルテ氏が当確(2016/05/10朝日新聞)
フィリピン大統領選挙で国民が選んだのは、過激発言で知られるダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)だった。既存政治に「ノー」を突きつけ、型破りな候補の突破力に期待したと言える。だが、南シナ海問題など課題は多く、有言実行となるかは微妙だ。・・・ ドゥテルテ氏はダバオ市長を7期務め、警察権強化で治安を劇的に改善した。イスラム過激派が多く潜み、誘拐や爆弾テロが頻発していた南部ミンダナオ島で、同市を「フィリピンで最も暮らしやすい街」(観光当局)に変えた。その実績から「最も約束を果たしてくれそうな候補」となった。
だが、外交経験はなく、選挙期間中には、女性侮蔑発言で米国とオーストラリアの駐フィリピン大使から批判されて「黙れ、国交を断絶する」と述べ、両国関係者をあきれさせた。懸案の南シナ海問題でも、中国が七つの岩礁で埋め立てをほぼ完成させ、軍事化を進めている現状を打破する現実的な策は示せていない。・・・カシプル氏は「エストラダ元大統領の就任時を思い出す」と話す。映画俳優としての人気で、1998年の選挙で圧勝したが、その後、不正蓄財の疑いで議会から弾劾(だんがい)された。期待が裏切られたときの反動が大きいのも比国民の特徴で「就任後すぐに、国民が実感できる成果が必要」とみる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12348185.html
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(WEBRONZA)「琉球新報には貸さない」と断られて(2016/05/10朝日新聞)
現政権に対して厳しい姿勢をとる琉球新報の記者が東京に転勤になり、上京して賃貸物件を探したところ、勤め先を理由に大家に入居を断られるという問題が起きました。「『琉球新報には貸さない』と大家に断られて」(28日)で、琉球新報社東京報道部長の新垣毅(あらかきつよし)氏は、先進各国に広がる排外主義にかねてより危機感を抱いていたものの、「まさか自分が標的にされるとは思っていなかった」と述べています。管理会社による不動産屋への説明によると、「大家は右寄り」とのこと。沖縄のメディアに「報道圧力」をかける側に共感したのではと新垣氏は推測します。その経緯を琉球新報のコラムに書いたところ反響は大きく、本土メディア7社から取材依頼があった半面、ネットでは「大家にも断る自由がある」と攻撃されたといいます。「国家主義や排外主義、言論弾圧は、人権や表現の自由を重んじる世界のすう勢に逆行」していないか、「日本は国際社会から孤立する道を歩んでいないか」――。沖縄から本土に向けて新垣氏は問いかけます。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12348074.html
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(声)子ども産む以前の問題で悩む(2016/05/10朝日新聞)会社員 野島聡子(大阪府 28)
「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログで待機児童問題は一気に注目を集めた。保育士の待遇改善も含め、有効な政策につながってほしいと思う。しかし、私の周りの同世代は、待機児童問題にたどりつき、悩む以前の苦難がある。経済力がないと子どもを扶養できないことだ。若者の失業率は他の年齢層より高く、仕事があったとしても非正規雇用のことも多い。ブラック企業もある。賃金が安かったり、劣悪な労働環境だったりでは、腰を落ち着かせて働けない。私は現在、正社員で未婚。子どもはいない。しかし働けなくなったら、いつ貧困に陥るかわからないと感じる。親が私にさせてくれたような生活を、私は子どもにさせてあげられそうにない。結婚や子どもを持つことを容易には考えられない。友人には、結婚したいが仕事がみつからないので、できないという人もいる。そんな私たちは、子どもを産む、産まないという話にまでもたどり着けない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12348077.html
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憲法の価値、知識人ら熱く 故家永氏のメモで非公開の議論判明(2016/05/10朝日新聞)
1950年代末、岸政権下で発足した内閣の「憲法調査会」に対抗して知識人が立ち上げた「憲法問題研究会」について、当時の議論の様子を記録した歴史家の故家永三郎・東京教育大名誉教授のノート8冊の詳細がわかった。研究会は非公開で、会員のやりとりは明らかになっておらず、研究者は貴重な資料として注目している。・・・
「安倍政権に物申す学者と重なる」
憲法の専門家はノートの記載のどこに注目したか。「当時の知識人の姿と、安倍政権が進める安全保障関連法に憲法違反だと対抗した今の学者たちの姿が重なって見える」。憲法研究者の高見勝利氏はそう語る。当時、内閣の憲法調査会では、報告書で憲法改正の方針を出すべきだと主張するグループと、両論併記の原案を提示した英米法学者の高柳賢三会長サイドの間で対立があった。「家永らの研究会は、内閣調査会の審議動向をにらみながら議論を進め、結果的に高柳会長をバックアップした。参加者がそのことを自覚し、知識人の役割を果たそうとした姿が浮かび上がる」・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12348088.html
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ビキニ提訴後、原告らが会見「国は責任を認めるべき」(2016/05/09京都新聞)
1954年の米国による太平洋・ビキニ環礁での水爆実験を巡り、被ばくに関する調査結果を日本政府が長年開示せず、米国への賠償請求の機会を奪われたなどとして、国家賠償請求訴訟を高知地裁に起こした元漁船員ら原告団が9日の提訴後、高知県庁で記者会見し「国は責任を認めるべきだ」と訴えた。周辺海域にいて被ばくした漁船の元船員桑野浩さん(83)=高知市=は「念願がかなって訴訟まできた。これで国が少しでも動いてくれれば」と語った。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20160509000103
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不登校対策法案 賛否の溝埋める努力を(2016/05/09東京新聞)
不登校の子や親たちの賛否が割れたままで、法案を押し通せば禍根を残すだろう。学校外の学びの支えを前進と見るか、不登校を逸脱行動と捉える発想を危険と見るか。子のために、溝を埋めたい。不登校の小中学生は、すでに二十年近く、年間十万人を超え続けている。子どもには学校に通う義務はないけれど、放置しては、学ぶ権利を守れない。保護者も、子に学ばせる義務を果たせない。・・・なにより、学校に通えず、蔑視されたり、自責の念にさいなまれたりして、自尊心に深手を負った子をどう救済するのか。社会の差別的な風潮を排し、不登校の子が自分らしく育つ権利を等しく保障するという視点は薄い。かつて病気や怠慢、非行とされた不登校は一九九〇年代に、どの子にも起こり得るという認識に変わったはずだ。現状を見れば、今度は制度を手直しする番だろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050902000142.html
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難民問題の新たな局面(こちゃん / 2016年5月8日みどりの1kWh)
昨年は110万人に達したドイツに来る難民の数が、劇的に減っている。理由は、ギリシャから地続きのバルカン半島のマケドニアやクロアチア、スロヴェニアを通ってオーストリアに来ていた難民のルートが封鎖されたからだ。3月には欧州連合(EU)・トルコ間に協定が結ばれ、トルコからギリシャに不法到着した難民はトルコに送り返されることになった。今年になってドイツに来た難民は1月が9万人、2月が6万人、3月は2万人だった。多くはシリア、イラク、アフガニスタン、パキスタン、エリトリア、モロッコなどから来ていた。しかし4月にEUに来た難民は僅か約6000人だったという。・・・難民が今までのようにヨーロッパに押し寄せて来ないためには、シリアの内戦が収まることが第一だ。しかしそれがそう簡単には望めない以上、難民がシリアの隣国に留まるのがその次に良い方策ではないかとメルケル首相は考えた。そしてシリアの隣国であり既に200〜300万人のシリア人難民が滞在しているトルコと話し合いを始めた。もちろん事前にEU加盟国の首脳や欧州委員会と相談していたと思われる。同氏がその目的のために初めてトルコを訪問したのは昨年10月だ。トルコに来た難民がギリシャの島々に渡らないように引き止めてくれれば、EUはトルコ政府に難民滞在対策のために10億ユーロ提供するとメルケル首相は提案した。これに対しトルコ側は30億ユーロを要求した。トルコはその他、トルコのEU加盟交渉を進めることと、トルコ人がビザ無しでEU圏内に入れることを条件にあげた。・・・
http://midori1kwh.de/2016/05/08/8092
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(2030 未来をつくろう)貧困救った幸せのバッグ 途上国従業員を厚遇(2016/05/09朝日新聞)
国連によると、バングラデシュは1日1・25ドル(約134円)未満で生活する人が人口の4割超(2010年)を占める貧困国だ。13年、違法に増築された衣料品工場が入るビルが崩落し、1千人あまりが亡くなった。先進国の衣料品メーカーが安い労賃を求めて拠点を構える「世界のアパレル工場」と言われる裏で、労働環境の劣悪さが見逃されていた。だが、このバッグ工場は様子が違う。仕上げ担当のジャハンギール・ホセインさん(27)は、富裕層の家で召使をしていた。そこから転職してきて7年。月収は1万タカ(1万4千円)を超えた。前職の2・5倍だ。「冷蔵庫やテレビがある大きい部屋に住めて、家族も養えています」。最近、家を建てるための土地も買った。・・・工場の所有者は日本のベンチャー企業「マザーハウス」(東京都台東区)だ。大手メーカーと異なり、デザインから製造、販売まですべて責任を持つ。現地調達した革や植物のジュートでバッグをつくり、手厚い待遇で従業員を貧困から救う。デザインも担う山口絵理子社長(34)は「途上国発の世界に通じるブランド」をめざす。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12347005.html
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(社説)電力改革と地域社会 「地産地消」の新たな姿を(2016/05/09朝日新聞)
「選べる」をうたい文句に、4月から一般家庭への電力小売りが自由化されて1カ月余り。地域独占を続けてきた全国の大手電力から「新電力」に乗り換えた世帯は70万強で、全体の約1%にとどまる。「電気代を安く」「再生可能エネルギーの電気を」などと思案しながら、「思ったほど選択肢がない」と感じた人も少なくないだろう。大企業が母体の新電力は、効率的に契約を増やせる都市部に力点を置く。地方ではここ数年、太陽光など新たな発電所が増えているが、運営は東京や大阪の企業が中心だ。「電力自由化」は、近いようで遠い。・・・小田原市は福島第一原発の事故後、計画停電やお茶畑からのセシウム検出、自粛ムードに伴う観光客の激減などに見舞われた。遠方の電源に依存する危うさをどう克服していくか。
注目したのが、太陽光など身近にある自然エネルギーだ。資金集めでは、多くの人が当事者として参加できるよう市民ファンドを設けた。14年初めから4カ月足らずで目標の1億円が集まり、同年秋に発電を始めた。・・・ 90年代後半から電力自由化を進めたドイツでは、企業間で合併による寡占が進む半面、地域密着型の事業「シュタットベルケ」が各地で存在感を保っている。電力だけでなく、ガスや熱供給、水道、地域交通といった公共性の高いサービスを担う事業体で、日本総研によると電力小売市場では約半分を占める。
そんなシュタットベルケを目標に掲げる自治体の一つが、福岡県みやま市だ。
約4万人の住民の3割は高齢者。典型的な地方の街だ。東日本大震災後、市長の旗振りで再エネ事業に乗り出した。昨年設立した第三セクター「みやまスマートエネルギー」が、市が出資するメガソーラーや近隣の再エネ発電所から電力を買い、公共施設や企業、一般家庭向けに販売している。・・・ 原発事故は、大手電力が中心の「大規模・集中・独占」型のシステムから、「小規模・地域分散・ネットワーク」型へと切り替えていく必要性を浮き彫りにした。それは、電力分野に限ったことではあるまい。電力会社や国への「お任せ」をやめ、自ら考え、選び、動く。電力自由化と地域づくりは根っこで結びついている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12346797.html
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(子どもと貧困)頼れない親:中 住み込みで働き、月2万円(2016/05/09朝日新聞)
「それ、奴隷だよ」北関東の定時制高校のベテラン教員の言葉を、3年の女子生徒(18)はすぐにはのみ込めなかった。生徒は2013年から、自動車部品の加工工場に住み込みで働いていた。14年、定時制に入学し、通学しながら週5日、計30時間の勤務。給与明細はもらっておらず、手取りは月2万円弱。そこから定期代を払い、食事は1日1食、袋麺を食べていた。社長にあてがわれた家は外から施錠できず、水はさび臭くて飲めなかった。・・・「授業に必要」と言って生徒が出してもらった給与明細で、時給は分かった。最低賃金は上回り、勤務日数も合っていたが、詳細がわからない生活費など約4万円が引かれていた。学費も「会社から納める」として1万円引かれていたが、ときどき滞納されていた。生徒は定時制の保証人になってくれた社長に恩を感じていた。でも、満足な食事ができないのはつらく、15年秋、黙って逃げた。
生徒はもともと実家に住んでいたが、中学卒業と同時に追い出された。連れ子がいた継母に「高校に行きたいなら施設に入って。嫌なら一人で生きて」と言われた。児童養護施設で荒れた姉を見て一人を選んだ。継母に用意されたアパートに移り、飲食店でバイトした。バイト代は継母管理の口座に入り、手元に届くのは月5千円だけだった。実家に頼らず高校に行こうと保証人になってくれそうな親戚を探すうち、知り合った人から「働いたほうがいい」と紹介されたのが、その工場だった。今は交際相手(24)名義で借りた部屋に住む。スーパーでバイトし、収入は月11万円。食事が少しましになり、カレーも作る。・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12346861.html
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誰もが、愛する人と共に 性的少数者への理解を求めるパレード 東京・渋谷(2016/05/09朝日新聞)
性的少数者への理解を求める大規模なパレードが8日、東京都渋谷区であった。主催したNPO法人「東京レインボープライド」によると、約5千人が参加。性の多様性を象徴するカラフルな旗や垂れ幕を持ち、渋谷駅前のスクランブル交差点など約3キロを歩いた。埼玉県和光市の会社員、吉弘彩七(あやな)さん(24)は身体的には女性だが、心の性が「男性寄り」だという。米国人パートナー、マルティネス・リンさん(29)と参加し、「『私たちは幸せ。ラブラブです』というところを見せたい」と話した。代々木公園に設けられたステージには、米国のケネディ駐日大使も登壇。「誰もが愛する人と結婚できるようになるべきだ」とあいさつし、大きな拍手を受けた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12346898.html
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平和大行進が東京出発 第1陣 8月4日広島到着(2016/05/09ヒロシマ平和メディアセンター)
核兵器廃絶を訴えて全国11コースを歩く「平和大行進」(日本原水協などの実行委員会主催)の第1陣が6日、東京・夢の島を出発した。ゴールは被爆71年目の夏を迎える広島。8月4日の到着を目指す。夢の島公園の第五福竜丸展示館前で出発集会があり、約700人が参加。日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長(84)はあいさつで「何億もの人が『いらない』と言わなければ、核兵器はなくならない。被爆者の目が黒いうちに実現できるよう、一緒に力を発揮してほしい」と訴えた。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=59054
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社説 憲法と基本的人権 その理念の実現が先だ(2016/05/04ヒロシマ平和メディアセンター)
「前文は堅苦しいけれど、人類が恐怖と欠乏から免れ平和に生存する権利をうたうなど、高潔な精神にあふれた散文詩ですよ」。昨年、本紙の取材に応じてくれた出版社、童話屋の編集者田中和雄さんの弁である。
安保法反対デモのさなか、終戦直後に当時の文部省が出した中学の教科書「あたらしい憲法のはなし」などを参加者に配り歩いた。興味深そうに受け取る若者たちも、どうやら憲法を読んだことはないとみえる。だが「読んでみます」という素直な反応はうれしかったという。憲法前文とは何だろう。その背後には、人類が歴史に学んで磨いてきた一つの価値観が集約されていると考えたい。それを安易に打ち捨てていいのかどうか。改憲か護憲か、あるいは「加憲」か、憲法論争がかつてなく現実味を帯びている今だからこそ問われているはずだ。
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」とは前文の一節である。「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである」と続く。
日本国憲法とは人類の歴史の中でたどった一つの到達点である―と政治学者の進藤栄一さんは評価する。近代日本の立憲主義の伝統を踏まえて成り立ち、人は生まれながらにして自由、平等の権利を享受するというフランス革命以来の天賦人権論に連なる到達点だというのだ。 ・・・共同通信社の4月末の世論調査では、安倍政権下での改憲に反対する人が56・5%に上った。アベノミクスにより貧富の格差が「広がっていると思う」と答えた人も57%を占めた。国民生活を安定させることを優先させるなら、改憲を急ぐべきではない。現行憲法の理念を具体化する道を選ぶべきだ。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=58977
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南阿蘇、引き裂かれたまま 橋崩落、国道・鉄道も途絶 熊本地震(2016/05/08朝日新聞)
熊本県を中心にした一連の地震で、同県と県内市町村が管理する道路や橋などの公共土木施設の被害額が、県の中間集計で1700億円を超える見通しとなった。復旧には巨額の費用と技術的課題の克服が必要で、全くめどが立たないものも多い。なかでも、4月16日未明の「本震」で阿蘇大橋が崩落した南阿蘇村の被害は深刻で、村が東西に分断される危機に陥っている。・・・新たな土砂災害の危険もあり、住民の多くは西隣の大津町の体育館に避難している。自宅の中2階がつぶれた80代男性は、大津町に建設予定の仮設住宅に入るつもりだ。「梅雨はこれから。土砂崩れが怖くて戻りたいとは思えない」。立野が生まれ故郷といい、「今のままだと立野はおそらくなくなってしまう。さびしさや悲しさを通り越した気持ちだ」と下を向いた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12345586.html
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(声)阪神支局で言論の自由を再確認(2016/05/08朝日新聞)医師 宮本克己(千葉県 63)
ゴールデンウィークに家族と関西へ旅行した。2日、家族が大阪の道頓堀を散策している時、私は一人、兵庫県西宮市に向かった。29年前の「5月3日」は、朝日新聞阪神支局襲撃事件で小尻知博記者が凶弾に倒れた日である。言論の自由の大切さを再確認するため、一度は支局を訪れてみたかった。翌日のために準備された花などがあった。屋上に掲げられた朝日新聞の社旗を見て、当時の衝撃や犯人への怒り、さらには若くして非業の死を遂げた小尻記者の無念さがよみがえってきた。ここ数年、急変する政治状況の中で、私自身は現政権に対する不信や異議を抱くとともに、集会やデモに参加している。自由な言論を悪質な暴力で抑え込もうとするような動きには、敏感にならざるを得ない。政治的テロで政治家や言論人が犠牲となる事件は、右翼少年による浅沼稲次郎刺殺などもあった。根絶されたとは言い難い。政治的に敵対する者や言論機関・言論人に対する悪質な暴力的言動は認めることはできないし、絶対に許してはならない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12345525.html
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(声)平和憲法の重みは増している(2016/05/08朝日新聞)無職 千葉幸則(東京都 66)
改めて日本国憲法を読んでみた。前文の「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起(おこ)ることのないやうにすることを決意し」という文言は、当時の国民の体験に基づく意思の凝縮なのではないか。太平洋戦争は「欲しがりません勝つまでは」などの標語で民心を束ね、人、物、金、時間のほとんどを、戦争遂行のために投入した。だが、結果は悲惨極まりないものだった。都市という都市が爆撃され、東京大空襲では10万、沖縄戦では18万、原爆で広島14万、長崎7万の人々が犠牲となり、死者は310万人にも達した。国土は焦土と化し、12万人に及ぶ孤児の人生を狂わせた。「アメリカの押し付け」と批判される憲法。そういう一面があるにせよ、戦争を憎悪し、平和を希求する国民の切実な思いが込められているのも事実だ。集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法が、3月に施行された。思えば、あの戦争も「自存自衛」から始まった。恒久平和をうたう憲法の重みは一層増している。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12345527.html
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(子どもと貧困)頼れない親:上 3歳、おなかすいて盗んだ 親は借金返済、3人の子残され(2016/05/08朝日新聞)
万引きで補導されたのは3歳の保育園児だった。2012年春、西日本のスーパーマーケット。ズボンとシャツのポケットにあめとチョコを詰め込み、背中にロールパンの袋を隠していた。数カ月前から児童相談所(児相)が「経済困窮によるネグレクト(育児放棄)」の疑いで見守っていた家庭の次男。「一度にたくさん盗んでいるからこの子は初犯じゃない。食べさせて、きつく叱ってください」。警察官は母親(43)に言った。5歳上の長男、4歳上の長女も万引きでの補導歴が複数あったが、次男が補導されたのは初めてだった。トラック運転手の父親(50)は仕事で深夜まで帰らず、泊まる日も。母親は家政婦として住み込みで働き、ほぼ子どもだけでアパートで暮らしていた。・・・ 親が養育困難に陥り、深刻な貧困状態にある世帯を丸ごと支援する手段は、生活保護を除くと乏しい。親子を一体で保護する唯一の児童福祉施設が母子生活支援施設で、全国に247あり、3542世帯が入所する(2014年)。ただ「支援を必要とする世帯の一部にすぎない」と、児童相談所の勤務経験がある帝京科学大学の和田一郎講師(児童福祉)は言う。「貧困が背景のネグレクトなど、目に見えにくい虐待は、一時保護に踏み切る判断が難しい」とも指摘。親と関係がこじれそうな時でも、児相の職員が安心して判断できるよう、福岡市のように児相に弁護士を常駐させることを提案する。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12345575.html
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<社説>地震と原発 活断層列島に「安全」はない(2016/05/08琉球新報)
いまだ収まらぬ熊本地震から、地下でうごめく断層の恐ろしさを実感する。震度7の強い揺れ、広がる震源域に人知が及ばない地震の脅威を思い知らされる。震源域に近い鹿児島県の川内原発や、大分県から海を隔てた愛媛県の伊方原発には特に危険性を指摘する声が上がっている。日本には多くの断層が走り、地震のリスクはこの地域だけではない。にもかかわらず、政府は原発回帰を強めている。地震大国・日本は原発と共存できないことを深く認識すべきだ。・・・ 危険をはらんだ大地の上に住みながら原発の安全神話にすがる。こうした無責任さは福島第1原発事故で大きな悔悟と反省を迫られた。日本には分かっているだけでも活断層が2千ある。一説には6千に上るとされる。活断層列島の日本で原発再稼働を目指すべきではない。稼働中の川内原発を直ちに停止し、すべての原発を廃炉にすべきだ。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-274662.html
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カープ新井 反骨の2000安打 麦の心 ゲンの姿に心打たれる(2016/05/02ヒロシマ平和メディアセンター)
プロ野球、広島東洋カープの新井貴浩(39)が史上47人目の通算2千安打を達成した。ドラフト6位以下で入団した大学出身選手では初めての到達。下位入団からはい上がり、4番失格の挫折を乗り越え、涙の移籍と覚悟の復帰を経ての大記録だ。反骨心で突き進んできた新井の野球人生を追った。神戸市にある新井の自宅には、1枚の色紙が飾ってある。「麦のように生きろ」。踏まれても、踏まれても、強く真っすぐ伸びる麦のように―。被爆者で漫画家の故中沢啓治さんが、新井に送ったメッセージだ。 新井は漫画「はだしのゲン」の大ファン。8歳の時に夢中となり、原爆投下後の広島でたくましく生きる少年の姿に心打たれた。プロ野球選手となった今も、時に読み返す。「野球ができる。当たり前の日常は本当に幸せなこと」
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=58920
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週のはじめに考える 駆け引きと生活の間で(2016/05/08東京新聞)
伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)まで半月余。どうやら政治の駆け引きに翻弄(ほんろう)されそうな経済政策の雲行きです。国民の生活は置き去りでしょうか。・・・しかし、いくら国際協調といっても最終的に「国民生活」を犠牲にするような妥協が許されるはずはない。駆け引きに関わる政治家の責任もここにあります。それは例えば、一時的には国民に痛みを強いる妥協でも、総合的な政策でいつか国民の生活向上につなげ得ることを納得させ、政治家として確約する責任です。・・・なぜ今、財政出動か。それはどんな中身であるべきか。米学者の意見や国際公約より前に、まずは国内での政策論議でしょう。格差や貧困にあえぐ国民の生活実感をしっかりと踏まえ、政策の中身を詰めることこそが、国民生活の向上に果たすべき政治家の責任でもあるはずです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050802000146.html
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福島の子どもに外遊びを/ニコル氏、長野の森へ招待(2016/05/07共同通信)
自然保護活動で知られる作家のC・W・ニコルさんが7日、里山の再生に取り組む長野県信濃町の「アファンの森」に、福島県いわき市の小学生40人を招待した。東京電力福島第1原発事故の影響で外遊びが不足しがちな子どもたちに、伸び伸び遊んでもらうのが狙い。3年間で福島県の子ども約千人を招く計画だ。参加者は抽選で当たった小学3〜6年の男女児童。ニコルさんは「森は裏切らない。良い未来をつくっていこう」と呼び掛けた。子どもたちは川でささ舟を流したり、木に登ったりした。
http://this.kiji.is/101633007138226181?c=39546741839462401
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「原発全廃」訴え100キロ行進 琵琶湖一周「市民ウオーク」(2016/05/05中日新聞)
原発再稼働の反対と早期の廃炉を訴える「原発全廃!びわ湖一周デモ」が四日、始まった。県内の女性団体や平和団体でつくる実行委員会が呼び掛け、九日までの六日間で琵琶湖沿岸約百キロを行進する。二〇一一年五月からほぼ毎月、大津市内で続けてきた「脱原発市民ウオーク」が五十回目を迎え、より広くアピールしようと企画した。この日は、二百五十人がJR大津駅前から野洲駅前までの二十二・一キロを歩いた。三月に関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じる仮処分を出した大津地裁の前では、「これからも司法の良心を大切にして」と声を上げた。
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20160505/CK2016050502000006.html
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森光子さん・野村克也さんも住んだ「マンモスアパート」(2016/05/07朝日新聞)
西日本初の都心部高層住宅とされる「マンモスアパート」(大阪市西区)が改装され、新たな入居者を募っている。高度経済成長期に、日本住宅公団(現・都市再生機構=UR)が建設。昭和モダンの香りを残す伝説的アパートにはかつて、作家の故・司馬遼太郎さん、俳優の故・森光子さん、野球評論家の野村克也さんも暮らしたという。大改造を施すリノベーション住宅ブームのなかでも、ひときわ注目を集めている。・・・1958(昭和33)年、都心の限られた土地を有効活用するため、東京の晴海高層アパートと並ぶ試験的な都市型高層住宅として建てられた。その威容が新聞記事で「マンモス」と形容され、愛称が定着した。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5741D8J57PTIL00C.html?iref=comtop_6_01
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女性議員増、機運あれど 女性参政権70年、なお比率低迷(2016/05/07朝日新聞)
女性が国政で初めて参政権を行使してから今年で70年。政治に多様な意見を反映させるため、女性議員を増やそうという機運は高まりつつあるが、「男性社会」の岩盤はなかなか崩れない。女性議員を増やす制度を導入した海外では政治が変わった例もある。・・・しかし、70年たっても女性議員の割合はまだまだ低い。女性の衆院議員は1946年の39人に対し、現在45人(9・5%)。列国議会同盟(IPU)が2月に公表した世界の下院の女性議員比率ランキングでは191カ国中156位だ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12343971.html
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(声)性同一性障害の友と歩んできて(2016/05/07朝日新聞)高校生 菊池真優(岩手県 16)
「性的少数の子 もっと知って」(4月2日朝刊)を読んだ。私にも、性同一性障害の友達がいる。友達は小学5年生の時、背中まであった髪を切った。それまでも自分は男っぽいと感じていたが、髪をショートにしたことで男になりたいという願望が強まったという。その頃、私はテレビで性同一性障害の特集を見た。内容を友達に伝えた。それを聞いて初めて、自分がそうだと気づいたという。私たちは、ネットなどでこの問題を調べ始めた。そして中学へ。男子の制服を着たいという希望を受け入れてもらえず、保健室登校が2年間続いた。その間、友達は自分の性について考え、学んだ。3年生になってカミングアウトすることができた。服装もジャージーから男子の制服に変わった。ただ、現実には性的少数者と周りに伝えると、冷やかしやいじめの対象になりかねない。性的少数者が生きにくさ、過ごしにくさを感じているのは友達を見ていれば分かる。だからこそ子どもたちに一番近い先生方が、性的少数者について学び、理解した上で、生徒と本気で向き合ってほしい。共に悩み苦しんでくれるような先生方の姿勢と、そのための環境作りが求められていると思う。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12343926.html
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