<社説>介護人手不足 現場の声を政策に反映せよ(2016年5月5日琉球新報)
介護の担い手不足が深刻だ。安倍晋三首相がアベノミクス新三本の矢に位置付ける「介護離職ゼロ」は掛け声倒れになっている。介護環境を改善するには、介護現場の人材確保、働きながら介護をしている人への対応、育児と介護の「ダブルケア」に直面している人など少なくとも三つの課題を同時に解決していく必要がある。課題を熟知している現場の声に耳を傾け、きめ細かな施策を推進するべきだ。日本は2025年に団塊の世代が全て75歳以上となり、要介護認定を受ける人は15年より3割増の604万人になるとされる。政府は20年代初頭に介護の担い手が約25万人不足すると推計している。事態は深刻だ。第1の課題は「介護現場の離職」だ。現在介護の現場から年平均20万人が離職している。介護職員の平均給与は月約22万円と全業種より10万円以上安く、賃金アップが急がれる。・・・ 第2の課題は「介護離職」だ。総務省の12年就業構造基本調査によると、会社などで働きながら介護をしている人は全国で約240万人。このうち家族の介護や看護を理由に仕事をやめる人は、年間約10万人いる。40、50代の働き盛りの人に多い。この世代は教育費もかさむ。介護休暇制度を拡充するために経済界全体で取り組む必要がある。第3の課題は、育児と介護の「ダブルケア」だ。ダブルケアに直面している人は全国で約25万人に上る。8割が30、40代の働き盛りだ。少子化や晩産化により、ダブルケアを担う人が増えるとみられ、今後は介護と育児の施策を連携させる施策も念頭に入れないとならない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-272809.html
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「買い物弱者」を支え半世紀 大森・ダイシン百貨店が8日閉店(2016/05/05東京新聞)
「ダイシン」の名は、創業者の出身地・長野県にちなんだ「大きな信州」と「大きな信頼」、最寄り駅「大森」の音読みの三つの意味がかけられているという。創業者は戦後、リヤカーでリンゴを売り始め、その後、現在の店舗近くに青果店を構えた。扱う商品をメリヤスなどの衣料へと増やして東京五輪のあった一九六四年に百貨店として開業した。細やかな品ぞろえが売りだった。みそは故郷の味を求める客のニーズに応えて百五十種類を扱った。トマトは常時十種類、漬物は三百種類。今では見掛けなくなったネズミ捕り器や歯磨き粉など、要望があれば生産中止にならない限り仕入れた。最盛期には首都圏と長野県で七店舗を展開したが、今世紀初めに経営が悪化。二〇〇四年に大森の一店舗に集約した。それでも半径二キロ圏内に送迎バスを走らせ、登録した高齢者や妊婦ら「買い物弱者」には送料無料で商品を届けた。・・・こうしたサービスや品ぞろえは注目を浴び、一時はテレビ番組が頻繁に取り上げた。一方で、経済合理性になじまず、高齢者向けのイメージと若者層の取り込みの両立も難しかった。一〇〜一二年の改装後も状況は好転せず、ドンキに支援を要請。一六年一月期に八千万円の赤字を計上し、完全子会社化が決まった。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016050690135311.html
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(ひと)立川談之助さん 平和を願い、「禁演落語」に取り組む(2016/065/05朝日新聞)
太平洋戦争開戦の1カ月ほど前、53の落語の台本が東京・浅草の寺に「埋葬」された。噺家(はなしか)たちが「時局にふさわしくない」と自粛した「禁演落語」。落語好きの知人から「聴いてみたい」と頼まれたのがきっかけで、7年前から「禁演落語を聞く会」を開く。禁演落語が53あったのは、「ゴミ」にかけたとも。大半は廓噺(くるわばなし)で、すでに忘れ去られている演目もあるが、「明烏(あけがらす)」「子別れ」のような古典の名作もある。「なぜこれがダメなのと不思議に思うものばかり。人と人が殺し合う時代には、そんな常識が通じなくなる」。怖さを知ってほしいと、全国の「九条の会」などの招きに応じ、手弁当で駆けつける。・・・「笑い」には、時の権力への風刺が込められていると思う。権力を笑い、政治家を笑う落語が持ち味だけに、自由に笑えるありがたさが身にしみる。「笑いを封じる時代の先には、戦争が待っている。そうなれば、いの一番におまんま食い上げになるのは私」。全演目の口演まで残り10だ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342577.html
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(社説)子どもの貧困 学び支え、連鎖断ち切ろう(2016/065/05朝日新聞)
最も貧しい家庭の子どもが、他の多くの先進国と比べて、厳しい状況に置かれている――。4月に公表された国連児童基金(ユニセフ)の報告書は、そんな日本の現状を浮かび上がらせた。最貧困層と標準的な層との格差を国ごとに分析しており、日本の格差は41カ国の中で8番目に大きいという。所得が真ん中の人の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」でも、日本の子どもは6人に1人が貧困層にあたり、先進国の中で悪い方だ。貧しさの広がりに加え、ユニセフの調査でその度合いも深刻であることを指摘されたと言える。・・・「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」。2014年に施行された子どもの貧困対策法を受け、政府が閣議決定した大綱がうたう理念だ。言葉だけで終わらせてはならない。社会保障と教育を両輪に、対策を充実させたい。とりわけ教育分野では、経済規模と比べた公的支出が先進諸国の中で最低水準にとどまる。予算を思い切って増やすべきだ。「義務教育は国がしっかりやるが、高校や大学は自立してがんばってもらわないと」。自民党の国会議員が奨学金制度の拡充をめぐって最近、こんな趣旨の発言をした。今も根強い主張だが、そうした単純な「自己責任論」から卒業する時だ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342521.html
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(声)若者よ、格差も投票の基準に(2016/065/05朝日新聞)講談師 神田甲陽(山梨県 83)
この夏の参院選では18、19歳の若者が選挙に加わる。結構な話だと思う。だが君たちが何を基準に投票するのかとなると、難しい問題だろう。そこで、格差というものを考えるヒントにすることを提案したい。第一は、企業間格差だ。日本では大企業と呼ばれる会社の数は1%未満にすぎず、大半が中小零細企業である。大企業の傘下に入らざるを得ない中小零細企業の中には「生かさず殺さず」の状態に置かれるケースもあると聞く。それでいいのか。第二は、労働者間の格差だ。今、非正規の労働者が増えている。正社員と非正社員には、賃金やベア、福利厚生などで差が生じる現実がある。それをどう考えるか。第三は、地域間格差だ。人口が集中している東京では参加者1万人規模のマラソン大会がはなばなしく開かれる一方で、地方では人口減による限界集落が増えつつある。そんな地方で災害が起きれば、住んでいる多くの年寄りが犠牲になる。政治の基本とは何だろう。それは、恵まれない人に焦点を合わせることだ。そんな政治を実現できる政治家を、君たちにはその一票で選び出してほしい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342526.html
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(声)誰のための保育か考えてみて(2016/065/05朝日新聞)保育士 小林好子(神奈川県 54)
保育所について、当事者の視点から声をあげたいと思います。保育を必要とするのに預ける施設がない親御さんたちは、本当に気の毒だと思います。国は、保育施設の数や保育士の人数を確保しようと躍起になっているようですが「誰のための保育か」と、いま一度、振り返ってください。われわれ保育士は、国の「保育所保育指針」に沿って保育をしています。指針では「保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である」「子どもの最善の利益を考慮し」「養護及び教育を一体的に行う」とあります。さらに、保護者への支援も保育所の重要な仕事です。日本の未来を担う子供を育てるためには、質の高い保育が必要なのです。劣悪な環境の保育施設はいりません。保育所は子供のための施設。子供と保護者の双方に喜ばれるような、質を伴った保育が可能になる保育施設を増やしてください。保育所保育指針は保育所を理解する上でも、保護者自身の子育ての参考にもなります。ぜひ一度、読んでみてはいかがでしょうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342527.html
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(憲法を考える)1947年の祈り 国際基督教大学学務副学長・森本あんりさん(2016/065/05朝日新聞)
――先生の専門は神学ですね。キリスト者、神学者として憲法を巡る現状をどう考えていますか。
「憲法が制定された当時、1947年の日本では、キリスト教徒も仏教徒も無神論者も、みんなが祈っていました。何百万もの人が死んだのです。屍(しかばね)を前にして、できたのは、祈ることくらいだったろうと思います。広島、長崎に行って慰霊碑の前に立てば、信仰や宗派にかかわらず、だれもが頭(こうべ)を垂れる。それと同じ気持ちが、この憲法に込められていると思います」「元最高裁判事の那須弘平氏は、日本国憲法を『祈りの書』と呼びました。『懺悔(ざんげ)と謝罪の書』とも言っています。憲法を読むと、『決意し』『念願し』『信ずる』『誓う』と、ふつうの法律文書にはない言葉が出てきます。『永久』『恒久』という言葉もありますが、それは明らかにこの世の政府や法律が保障できる範囲を越えています。言葉づかいからして『祈りの書』なのです」
・・・ ――日本で、憲法を変えようという声が、いまこの時代に大きくなったのはなぜでしょう。
「終戦直後に人々の目前にあった屍のリアリティーがなくなったからじゃないでしょうか。改憲を唱える安倍晋三首相は戦後生まれです。何百万人という犠牲を前にして世界に誓ったリアリティーを感じられなくなった世代が、政治の中枢にいるという状況です」・・・ 「憲法を巡っては、これまでも9条の問題などいろいろありましたが、憲法が大切だという認識そのものはだれも疑ってこなかった。いまも権威はありますが、改憲の動きが強まり、『これがやっぱり正統なんだ』と、一生懸命に言わなきゃいけなくなっています」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342541.html
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(異論のススメ)巨大地震に襲われて 覚悟のいる「あきらめ」 佐伯啓思(2016/065/05朝日新聞)
東日本大震災は、われわれにいわば価値観の転換をせまったはずだった。そもそも近代社会とは、自然のうちに潜むエネルギーを引き出し、それを人為的に操作し、変換されたエネルギーによって荒れ地を都会に作り変え、山を掘りくずして道路網を作り、農業を破壊して巨大工場や高層ビルを建て、自然とともにあった神々を追放していった。金銭的利益を生み出す競争と物的な富の蓄積、つまりイノベーションと経済成長こそがすべての問題を解決すると見なした。いつどこで一瞬のうちに生が遮断されるかもしれないという不安には蓋(ふた)をしたのである。つまり、事実上「あきらめた」のだ。
きわめて不安定な岩板(プレート)の上に日本列島があぶなっかしく乗っかっていることを知りつつも、ただただこの岩板の変動が最小限にとどまることを祈るだけ、ということにしたのである。さもなければ、東日本大震災から1、2年もたてば当事者を除いて震災の記憶は薄れ、3年もたてばまたもや、あの手この手を尽くした成長戦略を打ち上げ、株価の動向に一喜一憂するという、われわれの不細工な自画像を描く必要はなかったであろう。そして5年もたてば、また、東京オリンピックで建設ラッシュになり、インバウンド観光客の急増で大都市はたいへんな賑(にぎ)わいになったとはしゃいでいる。あの巨大地震の恐怖は、あっというまに、経済成長への期待と不安にとってかわられたのであった。つまり巨大地震については「あきらめた」ことになる。しかし、この「あきらめ」は、真のあきらめではない。ただの思考停止であり、不都合なものは存在しないことにした、という消極的なものである。確かに、ここまで私的な所有権がはりめぐらされ、産業構造ができあがってしまった国で、根本的な防災対策はきわめて難しい。現状を動かしようがないのである。とすれば、「きたらきたで仕方なかろう」というのもわからないではない。
だが、本当の「あきらめ」は思考停止でもなければ敗北主義でもない。本当に「あきらめる」には覚悟が必要であり、それは容易なことではない。その覚悟とは、人智(じんち)を超えた巨大な自然の前にあっては、人間の生命など実にもろくもはかない、という自覚を持つことである。それは、生への過度な執着を断ち切り、幸福を物的な富の増大に委ねることの虚(むな)しさを知り、そして人の生も自然の手に委ねられた偶然の賜物(たまもの)であり、われわれの生命はたえず危機にさらされると知ることでもあろう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342542.html
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放射性物質、再飛散の懸念 チェルノブイリ原発事故から30年(2016/065/05朝日新聞)
ウクライナのチェルノブイリ原発で起きた史上最悪の事故から30年。周辺に広がる立ち入り禁止ゾーンでは、事故でまき散らされた放射性物質が再び飛散することが今も懸念されている。広い範囲で人の影響が消え、野生生物の様相は大きく変わった。劣化が進む「石棺」を上から覆う新シェルターの建設現場のすぐ近く。原発に冷却水を供給するためにつくられた広大な人造湖(約23平方キロ)で、放射性物質の新たな飛散につながりかねない異変が起きている。湖を満たしてきた近くの川から水をくみ上げるポンプが停止。湖の水位が2年で6メートルも下がり、湖底が広大な砂浜として出現した。ウクライナ農業放射線学研究所のワレーリ・カシュパロフ教授は「砂の下20センチほどには事故時に飛び散ったホットパーティクル(放射性物質)が埋まっている可能性がある。表面の砂が飛び散って露出する危険性がある」と懸念する。風による砂の飛散を防ぐため、ヤナギを植える実験が最近始まった。汚染がひどい場所は原発から数十キロの範囲に及び、ウクライナとベラルーシの国境をまたいで立ち入りが厳しく制限されている。ベラルーシ側の「ポレーシェ国立放射線生態学保護区」(約2160平方キロ)でも飛散リスクが懸念されていた。3月末に保護区に入ると、遠くに煙が見えた。保護区職員が火事だと説明した。ゾーン外の住民の野焼きが飛び火するなどして草や枯れ木が燃えるケースが、年に数十〜100件ほど発生するという。火事になると、土壌の表層に残った放射性のセシウムなどが煙とともに飛散し、煙を吸った消防士が内部被曝(ひばく)したり、ゾーン外に汚染が広がったりするおそれがあるという。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342516.html
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(核といのちを考える)「核なき世界」カナダから 原爆詩、吉永さん朗読・坂本さん伴奏(2016/065/05朝日新聞)
優の吉永小百合さんがカナダのバンクーバーで3日(日本時間4日)、原爆の詩や原発事故に見舞われた福島の人々の詩を朗読した。音楽家の坂本龍一さんがピアノで伴奏した。核兵器と原発による核の被害を受けた日本が世界に伝えるべきものは何か。吉永さんは詩の言葉を通し、「核なき世界」への願いを次世代に伝えた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12342649.html
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憲法、攻防 参院選にらみ集会 「改憲発議求める」「市民共闘で阻止」(2016/0504朝日新聞)
東京・有明の広域防災公園で開かれた護憲派の集会には、約5万人(主催者発表)が参加。旧総評系や全労連系の労働組合や、参院選での野党共闘を支援するため学生団体「SEALDs(シールズ)」などが設立した「市民連合」が集まった。市民連合の呼びかけ人、山口二郎・法政大教授は「野党と市民がまとまれば勝てる。参院選に向けてうねりを起こそう」とあいさつ。参院選1人区で野党共闘を進める民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの4党の党首も出席し、民進党の岡田克也代表は「安倍(晋三)首相がめざす憲法9条の改正を絶対阻止しよう」と訴えた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12341430.html
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(世界発2016)ビール王国500年の掟 ドイツ純粋令「麦芽・ホップ・水・酵母のみ」(2016/0504朝日新聞)
ビール王国ドイツが500年、かたくなに守り続ける金科玉条がある。ビールの製法を厳格に定めた「純粋令」。「最古の食品関連法」とされ、4月に制定500年を迎えて祝賀ムードに沸く。一方で固執すれば世界的な地ビールブームに乗り遅れると危惧する声も。伝統を守るか、時代に合わせるか。作り手たちは苦い選択を迫られる。・・・ 正しいと考えることを最後まで貫き通すドイツ人気質にも、純粋令は合っているようだ。14年の世論調査では、純粋令を「維持すべきだ」と答えた人は85%。特に18〜29歳の若者層では89%に達している。独醸造業者連盟のマークオリバー・フンホルツ氏は「毎日の歯磨きに議論が必要ないのと同じだ」と言う。
ビールの原材料の違い(酵母除く)
<ドイツ> 麦芽、ホップ、水のみ
<日本> 麦芽(原材料の約67%以上)、ホップ、水のほか、米やトウモロコシ、でんぷんなども認められる
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12341341.html
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(声)改憲よりも9条の理想選びたい(2016/0504朝日新聞)法律事務所職員 府川恵美子(神奈川県 64)
憲法9条2項の戦力の不保持と交戦権の否認を改変することや、安全保障関連法に反対を言うと、「北朝鮮や中国の脅威にはどう対処するのか。現実を直視しろ」という反論が必ず出る。だが、武力攻撃された場合でも個別的自衛権で対処は可能なのに、なぜ集団的自衛権の行使が必要なのか。これは、米国のいうことを聞かないと日本は守ってもらえないとの思い込みが国民の中に存在し、「自衛権」を誤解しているためではないだろうか。政府はその誤解を解こうとせず、むしろ巧みに逆用している。そもそも、安保条約は憲法上の規定に従うことを条件に、日本の安全に対する脅威が生じたとき、米国が日本防衛の義務を負う一方、日本は米国に基地を提供する双務的な条約だ。日本が地球の裏側の紛争にまで関与する集団的自衛権の行使まで、認めているわけではない。私は、安倍晋三首相の「積極的平和主義」に基づく改憲に反対である。アジア侵略への根本的反省に立った9条の理想を選びたい。隣国との関係は、歴史認識を踏まえた外交努力を重ねることなしに展望が開けるはずはない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12341335.html
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みどりの日に 森への関心もっと高めよう(2016/05/04京都新聞)
鴨川の源流に近い京都市北区雲ケ畑の岩屋山志明院を訪ねた。咲き誇るシャクナゲに囲まれた楼門をくぐって境内を進む。地表はわずかなコケと落ち葉が目立ち、緑は少ない。住職の田中真澄さんは「クマザサや他の下草は、ほとんどがシカに食べられてなくなった」と説明する。志明院でニホンジカによる食害が目立ち始めたのは10年ほど前から。薄い表土に育つ自然植生は「岩屋山志明院の岩峰植生」として市の天然記念物に指定されているが、下草ばかりか低木も被害を受けている。田中さんによると、近くの北山の峠や尾根付近でも、下草がシカにすっかり食べ尽くされ、土がむき出しになっている場所もあるという。「以前に比べると、それほど多くはない雨でも、川の水が濁るようになった。土砂が川に流れ込むのを防いでいた下草がなくなった影響が大きい」と田中さんは心配する。・・・京都府は本年度、新たな府税「豊かな森を育てる府民税」(森林環境税)を導入した。納税者1人当たり年間600円を徴収し、約6億8千万円の税収を見込む。荒廃した森林の整備や府内産木材の利用促進などに使われる。府の事業分を除き、半分は市町村に交付される。滋賀県は06年度に「琵琶湖森林づくり県民税」を導入した。個人からは年間800円を徴収し、琵琶湖の水源林の間伐などに充てている。しかし、昨年の県の調査では、県民の7割が課税を「知らない」と回答しており、認知度は高くない。単に税を納めるだけではなく、どのような事業に使われたかを見届けることが大切だ。中山間地にとどまらず、都市部を含めた住民一人一人が関心を高めてこそ、森の再生につながるはずだ。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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高橋源一郎氏「県民の憲法観を大事に」 那覇講演に1500人(2016年5月4日琉球新報)
憲法記念日の3日、「2016憲法講演会」(主催・県憲法普及協議会、沖縄人権協会、日本科学者会議沖縄支部)が那覇市民会館大ホールで開催された。改憲が現実味を帯びる政治状況の中で開催された51回目の憲法講演会。会場に訪れた約1500人(主催者発表)が、現行憲法や9条の堅持を誓った。県内各地でも護憲・改憲双方の立場で集会が開催され、多くの県民が憲法について考えた。憲法講演会では、作家で明治学院大学国際学部教授の高橋源一郎氏が「民主主義 未完のプロジェクト」と題して講演した。高橋氏は「自分の足元からしか次の一歩は踏み出せない」として、一般論で思考しないことの重要性を指摘。本土とは違う県民の憲法観を「大事にしてほしい」と話した。・・・ 「非戦を選ぶ演劇人の会おきなわ」が憲法9条と沖縄をテーマにした朗読劇を披露し、安保関連法の廃止や名護市辺野古への新基地建設阻止を訴えた。講演会では「未完の民主主義を実現する主権者として、声を上げ続け、沖縄から世界に向けて、平和をつくりだしていくことを誓います」とする憲法宣言も読み上げられた。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-272280.html
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「小さな人間」が世界を動かす… 高橋氏、言葉の力強調(2016年5月4日琉球新報)
高橋源一郎氏は「民主主義未完のプロジェクト」と題して講演した。高橋氏は沖縄と本土では憲法への視点は異なると指摘した上で「本土の人には見えないものが、沖縄の人には見えている。沖縄の人は(自分の足元を大切にする)『小さな人間』だ。だが『小さな人間』の集まりが世界を動かす。その視点を大事にしてほしいし、していきたい」と語った。高橋氏は一般論ではなく、自分自身が見たり感じたりしたことで考え、語る人を「小さな人間」と表現。既存宗教から批判を浴びながらも一般民衆の救いを追究した浄土真宗の宗祖・親鸞(しんらん)などを例に出して、「小さな人間」の発する言葉の力を強調した。子どもたちが社会生活を学ぶ場として、全校生徒と教員らが投票で規則などを決める仕組みを設ける自身の息子が通う学校について触れ、「民主主義は教育のツールになるとの考え方もできる」と語った。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-272443.html
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憲法記念日に 国民は改憲を求めているか(2016/05/03京都新聞)
日本国憲法は今年、公布から70年の節目を迎える。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の三原則は戦後、日本人の血となり、肉となり、国際的な信頼を得てきた。ところが、昨年、安倍政権は、歴代の内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させ、平和主義は大きく揺さぶられた。安保法は、多くの憲法学者が「違憲」の疑いがあると厳しく批判したにもかかわらず、今年3月に施行された。憲政史に汚点を残したと言わざるを得ない。・・・
立憲主義軽視を危惧
「一切の表現の自由は保障する」としているものの、公益や公の秩序を害することを目的とした活動、結社を認めないとの規定を新設し、戦前の思想取り締まりの復活も懸念される。近代憲法の要とされる立憲主義が軽視されているのではないかと考えざるをえない。権力は常に乱用される恐れがある。国民の権利を守るため、憲法が権力を縛る必要がある。それが歴史の反省を踏まえた立憲主義であり、権力を持つ側にも共通の認識だったはずだ。草案が目指すのは立憲主義を軽視し、日本国憲法の三原則を無効化することではないのか。強い危惧を感じる。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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個人と国家と憲法と 歴史の後戻りはさせない(2016/05/03朝日新聞)
「自由とはいったい何であろうか。一口にいえば自分の良心に従って生きることである」「私たちはどんな考えを持ってもよい」「どんな会合をやっても、どんな団体をつくっても自由である」これは、いまの憲法が施行された69年前のきょう、憲法普及会(芦田均会長)が全国の家庭向けに2千万部発行した小冊子「新しい憲法 明るい生活」が説明する「自由」だ。「長い間私たちには、その自由さえも制限されていた。私たちは何とかしてもっと自由がほしいと願っていた。いまその願いが果(はた)されたのである」。冊子には、戦時下の息苦しさからの解放感に満ちた言葉が並ぶ。 国政の権威は国民に由来し、権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が受け取る――。憲法前文が明記するこの主権在民と代表民主制の原理は、フランス革命など近代の市民革命によって獲得された「人類普遍の原理」だ。 70年近くがたち、新たな社会のしくみは戦後日本に定着した。ただ一方で、国家が個人の自由に枠をはめたり、特定の価値観を押しつけたりしようとする動きがちらつき始めた。・・・前面にせり出す国家自民党が12年にまとめた憲法改正草案は、改正教育基本法のめざす方向と一致する。草案では国家が過剰なまでに前面にせり出す。後退するのは個人の自由や権利だ。草案前文の憲法制定の目的は「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため」だ。現憲法の「自由の確保」や「不戦」とは様変わりだ。・・・ 教育現場に詳しい広田照幸・日大教授は、政治の動きを踏まえて警鐘を鳴らす。「『こういう生き方をさせたい』という教育の場での政治的欲望が、こんどは憲法改正を通じて国民全体にふってくるかもしれない」
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_gnavi
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原爆碑86基 「無言の証人」描く アマ画家藤登さんが水彩画集 ヒロシマの記憶 伝えたい(2016/05/02ヒロシマ平和メディアセンター))
アマチュア画家の藤登弘郎さん(80)=広島市安芸区=が、原爆死没者の慰霊碑などを描いた水彩画集を自費出版した。学校、企業、官公庁関係など86基を紹介している。(増田咲子) ・・・ 被爆70年を前にした2014年12月に制作を始めた。碑を訪れ、手を合わせてからデッサン。犠牲になった一人一人を思うと、筆が動かなくなることもあったという。藤登さんは当時、呉市安浦町の国民学校4年生で、学校にいて被爆はしていない。それでも「ほぼ同世代だった少年少女が多く亡くなっている。無念だったと思う。胸が痛む」と話す。 ・・・水彩画は、勤務先の銀行退職後の60歳ごろに始めた。10年に被爆建物、14年には被爆樹木を画集にまとめた。「犠牲者や家族の悲しみや苦しみを記憶している慰霊碑は無言の証人。若い人が碑を訪れ、戦争のない世界や命の大切さに思いを巡らせてほしい」と願っている。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=58947
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最高裁長官「痛恨で重大」 ハンセン病患者隔離法廷(2016/05/02東京新聞)
3日の憲法記念日を前に最高裁の寺田逸郎長官が記者会見し、ハンセン病患者の裁判を隔離先の療養所などに設置した「特別法廷」で開いていた問題について「痛恨の出来事で、責任者として重大に受け止めている」と述べた。「元患者や関係者だけでなく、国民の皆さまにも深くおわび申し上げなければならない」との認識も示した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016050201001679.html
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憲法記念日を前に 「押し付け論」を越えて(2016/05/02東京新聞)
日本国憲法の公布から今年で七十年。改憲論者は占領下に押し付けられたことを改正が必要な根拠に挙げますが、本当に押し付けだったのでしょうか。・・・首相は国会で、次のように述べています。「日本が占領下にある当時、日本国政府といえどもGHQの意向には逆らえない中、この憲法が極めて短い期間につくられた」今の日本国憲法は、明治期に欽定(きんてい)された(天皇が制定した)大日本帝国憲法を改正したものです。憲法改正案は首相の指摘通り、終戦直後、マッカーサー最高司令官率いるGHQの強い影響下で作成されたことは事実でしょう。
しかし、改正案を作成した日本政府が、GHQ案をそのまま受け入れたわけではありませんし、改正案を審議した当時の帝国議会では、衆議、貴族両院で修正するなど、活発に議論されました。例えば、憲法九条です。戦争放棄はGHQの指示ではなく、当時の幣原喜重郎首相の発意だったとの説が有力です。第一項の冒頭にある「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」という部分や、第二項の冒頭に「前項の目的を達するため」との文言を加え、自衛権を保持しうることを明確にしたとされる「芦田(均)修正」はいずれも、衆院での修正です。貴族院の修正では、公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する、ことなどを盛り込みました。前文は、両院で修正され、文言が練られています。GHQが押し付けたものを、唯々諾々とそのまま受け入れたわけではありません。むしろ圧力を利用して旧弊を一掃し、新生日本にふさわしい憲法を自らの手でつくり上げたのです。
「斯(カ)クノ如(ゴト)キ良イ憲法」
「憲政の神様」と呼ばれる尾崎行雄衆院議員は改正案を審議する本会議で新憲法を高く評価し、実行する大切さを説きました。なにより重要なことは、公布後七十年もの長きにわたり、主権者たる国民自身が憲法改正という政治選択をしなかったことです。憲法に耐えがたい不都合があるのなら、賢明なる先人は憲法を改正する道を選んだはずです。憲法の理念である国民主権や平和主義、基本的人権の尊重は、公布七十年を経て日本国民の血肉と化しました。戦後日本の経済的繁栄と国際的信頼の礎です。改正手続きが明記されている以上、現行憲法は改正が許されない「不磨の大典」ではありません。議論を深め、必要なら国民に堂々と問い掛ければいい。しかし、改正を求める意見が国民から澎湃(ほうはい)と沸き上がっている政治状況とは、とても言えません。にもかかわらず、改正を強引に進めるとしたら、内容よりも改正自体が目的になってはいないか。誤った「押し付け憲法論」は乗り越えなければならないのです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050202000140.html?ref=rank
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<社説>安保法廃止法案 審議封じは姑息過ぎる(2016/05/02琉球新報)
与党が言う「すでに決着している議論」ではない。3月29日に施行された安全保障関連法を巡って、野党5党が廃止法案を、維新などが対案を提出したが、自民、公明の与党は審議しない方針だ。「再び蒸し返す必要はない」と説明する。しかし、国民が安保法を理解し、受け入れているとは言えない。安倍晋三首相は安保法が施行された日の記者会見で「抑止力は高まる」と意義を強調した。しかし同じころ、国会周辺では約3万7千人(主催者発表)が安保法反対を訴えた。施行前の3月下旬に共同通信社が実施した世論調査では、安保法を「評価しない」が49・9%とほぼ半数を占め、「評価する」の39・0%を上回った。東京と福島では安保法の憲法違反を問う集団訴訟が起き、この動きは全国に広がりそうだ。この状況下で「国民が納得している」とは到底言えない。安保法は、憲法9条を掲げた日本の「平和主義」を大きく変えるものだが、昨年の国会審議はあまりにもいい加減だった。・・・首相が集団的自衛権の事例に挙げた中東ホルムズ海峡での機雷掃海活動も、「現実には想定していない」と首相自らが言わざるを得なかった。議論が迷走した揚げ句、与党が数の力で押し切った強行採決だった。これでは首相の言う「丁寧に国民に説明」とはならない。参院選までは安保法の反対論を表面に出さないよう廃止法案を無視し、国会審議を封じるのは姑息(こそく)過ぎる。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-271077.html
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(社説)NHKの使命 政府の広報ではない(2016/05/02朝日新聞)
NHKは、政府の広報機関ではない。当局の発表をただ伝えるだけでは、報道機関の使命は果たせない。それは放送人としての「イロハのイ」だ。しかし、籾井勝人会長は就任から2年3カ月になるが、今もその使命を理解していないとしか思えない。籾井氏は、先月の熊本地震に関する局内会議で、原発に関する報道は「公式発表をベースに」と発言した。「当局の発表の公式見解を伝えるべきだ。いろいろある専門家の見解を伝えても、いたずらに不安をかき立てる」などとも指示した。・・・しかし籾井氏の指示は「公式発表」のみを事実として扱うことを求めているように受け取れる。ものごとを様々な角度から見つめ、事実を多面的に伝えるという報道の基本を放棄せよと言っているに等しい。・・・籾井氏は一昨年の就任会見で「政府が右ということを左というわけにはいかない」と発言。昨年は戦後70年で「慰安婦問題」を扱うか問われ、「政府の方針がポイント」と語った。政府に寄り添うような発言はその都度批判されてきたが、一向に改まらない。このままでは、NHKの報道全体への信頼が下がりかねない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12338479.html?_requesturl=articles%2FDA3S12338479.html&rm=150
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(声)憲法特集:上 憲法に導かれて仕事してきた(2016/05/02朝日新聞)弁護士 木村真実(東京都 45)
私は、日本国憲法は変更する必要がないと考えている。国家は、国民一人一人の人権を守るために存立する。その国民の代表が、国民のために権力を行使するのが民主主義だ。少数派も含めた一人一人の人権を守るためには、暴走しやすい国家を縛る憲法が必要である。それが立憲主義で、その考え方は「人類普遍の原理」であるはずだ。憲法にある戦争放棄も、私たちの理想を確認し、その理想に向かって進んでいくことを政府に義務付けたと考えて維持したい。私は、すべての人の尊厳が平等に守られる社会をめざす日本国憲法に導かれて仕事をしてきた。その憲法が、大きく変えられようとしている。とりわけ恐れるべきは、人権の上に「公益及び公の秩序」をおくことによって、憲法が人権を守るために存在するのだという立憲主義の原点から離れてしまうことだ。これからも日本国憲法とともに仕事をし、生活していくために、私は書き、話し、できることをする。10年ほど前に東京・多摩地域で上演した「憲法ミュージカル」を、憲法施行70年の来年5月にもう一度上演するのも、その一環だ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12338481.html
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(声)憲法特集:上 貧困問題と報道の自由が心配(2016/05/02朝日新聞)無職 田中修(茨城県 65)
日本国憲法に関しては9条も心配だが、ほかにも二つ危惧している問題がある。一つは貧困問題。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の子どもの貧困率はOECD平均を上回り、大人が1人の家庭の貧困率はOECDの中で最も高い水準だ。憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」としている。「生存権」と呼ばれるが、貧困はそれをおびやかす。生活保護費の引き下げもあり、心配だ。二つ目は、国際NGO「国境なき記者団」のランキングで、日本の「報道の自由」が世界72位になったこと。安倍政権での特定秘密保護法成立などが影響しているという。憲法21条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」としている。電波停止発言を含む安倍政権の姿勢は、「政治的公平」を口実にした言論の自由への介入ではなかろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12338485.html
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<社説>パリ協定 再生可能な電力こそ主軸に(2016年5月1日琉球新報)
地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」に日本など175の国・地域が署名した。国際協定の署名初日に調印する国としては、これまで最多だった国連海洋法条約の119を大幅に更新した。一刻も早く協定を発効させ、対策を強化しなければ、取り返しのつかないことになるとの各国の危機感を反映した結果と言える。・・・しかし政府は原発を「ベースロード電源」と位置付けており、原発を高い割合で再稼働させることを前提にしている。一方、欧州や米国の一部の州では価格が低下している再生可能エネルギーを積極的に導入している。日本とは対照的だ。福島第1原発の事故を経験している日本こそ、原発が放射能汚染という環境破壊をもたらすことを身をもって体験している。そうであるならば、自然を汚さない再生可能エネルギーを「ベースロード電源」に位置付けて、温室効果ガスの削減に取り組むべきだ。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-270549.html
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<社説>志賀原発に活断層 新基準に即し廃炉が当然(2016年5月1日琉球新報)
東京電力福島第1原発事故の反省はどこへ行ったのか。人の備えに万全はなく、何よりも安全を最優先すべきだということをわれわれは学んだのではなかったか。・・・しかし北陸電力は断層の活動性を否定している。原発の稼働に必要な適合性審査を申請し、審査過程で争う意向だ。北陸電の金井豊社長は「これまでの主張が否定されたわけではない」として徹底的に反論する考えを示している。
地震を起こす恐れのある活断層の真上で、原発を稼働させることがどれほど危険かわきまえているのだろうか。北陸電は新基準に従い、廃炉を決断すべきだ。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-270548.html
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水俣病60年、犠牲者悼む/患者認定申請なお2千人超(2016/05/01京都新聞)
水俣病は1日、公式確認から60年を迎えた。熊本県水俣市の山中にある「乙女塚」では、患者らでつくる「水俣病互助会」などが慰霊祭を開き、約50人が犠牲者を悼んだ。国は問題の最終解決を目指して未認定患者の救済策を2度にわたって実施したが、今も熊本、鹿児島両県に2千人超が患者認定を申請している。補償を求める訴訟も各地で続き、解決の道は遠い。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20160501000094
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桜島、噴煙4100メートル 今年最高、歴代7位タイ(2016/05/01東京新聞)
1日午後3時35分ごろ、桜島(鹿児島市)の昭和火口で爆発的噴火があり、噴煙が高さ4100メートルに達した。爆発的噴火は今年43回目で、噴煙の高さは最も高い。大きな噴石が火口から約500〜800メートル飛んだ。鹿児島地方気象台によると、1955年の統計開始以降、昭和火口で観測された噴煙の高さでは7位タイの記録。2013年8月18日に最高の5千メートルを記録している。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016050101001422.html
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週のはじめに考える 福島から日本を変える(2016/05/01東京新聞)
JR福島駅の新幹線コンコースには、全国の駅でも珍しい大型の鉄道模型があります。太陽光発電量が世界一の駅(昨年四月現在)で、模型は「再生可能エネルギー情報館」の目玉展示なのです。情報館には福島県の計画を紹介したパネルがあります。「二〇四〇年にはすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う」。ガソリンや灯油も含むエネルギー消費量と同量の再生可能エネルギーを生産する野心的な目標です。・・・ご当地電力としては、会津電力が有名です。原発事故で会津地方も混乱しました。その中で生まれたのが、会津電力です。社長の佐藤弥右衛門さんは、江戸時代から続く酒蔵が本業です。地産地消で、地域を活性化させるのが「ご当地電力」です。発電した電気は地元で使います。そうすれば、お金は地域で回り、外に吸い上げられる金額は少なくできます。雇用も生まれます。原発で作られた電気は、首都圏で使われ、お金は東京に本社のある東電に入る。地元に入る税金などは、事故が起きると割に合わないほど少額だった。そういう苦い思いが背景にあります。・・・
さらに今年三月、佐藤さんは「ふくしま自然エネルギー基金」を設立しました。基金は企業や個人からの寄付を募り、福島県内の自然エネルギー事業や教育などへの出資や助成に使う予定です。きっかけは、ドイツ南西部の小さな町にあるシェーナウ電力から佐藤さんに環境賞が贈られたことです。シェーナウ電力は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を契機に生まれた、再生可能エネルギーで発電する電力会社です。会津電力とよく似ています。・・・河合弘之弁護士は現在、脱原発を訴える映画を制作中です。映画のための取材で体験したことを話しました。「米国防総省が自然エネルギー研究をしているのを知って、理由を尋ねたんです。答えは『歴史上の大きな戦争は資源争奪が原因だった。自然エネルギーが普及すれば石油の取り合いはなくなる』。自然エネルギーは平和につながるのです」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050102000157.html
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安倍政権で改憲「反対」56% 貧富格差「拡大実感」57% 共同世論調査(2016/05/01東京新聞)
共同通信社が二十九、三十両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相の下での改憲に「反対」が56・5%で「賛成」の33・4%を大きく上回った。安倍政権の経済政策「アベノミクス」により、日本社会で貧富の格差が拡大しているか尋ねたところ「広がっていると思う」が57・0%と過半数を占めた。「広がっているとは思わない」との回答は34・6%だった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050102000131.html
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チェルノブイリで始まった新しい歴史(あきこ / 2016年5月1日みどりの1kWh)
30年前の4月26日、チェルノブイリ原子力発電所の4号炉が爆発した。世界各国でもこの日を記念して多くの報道がなされただろう。ドイツでも多くのメディアが特集を組んだ。
事故が起こった直後、ソ連政府から対策のために急きょモスクワから送られたヴァレリー・レガソフ氏に焦点を当てた報道、立入り禁止地区で今も生活を続ける老人たち、チェルノブイリ事故による汚染の恐怖と闘いながら生き続けるノルウェーのサーミ人たち、あるいはチェルノブイリがドイツの反原発運動に与えた影響を描いた報道などがあった。その中で一番強烈に印象に残ったのは、ドイツとフランスの公共放送であるアルテ(ARTE)が放送した番組の中で、「問題は原発事故が起きるかどうかではなく、いつ起きるかだ」と語るサーミ人女性の言葉だった。サーミ人というのは、ノルウェー北部のいわゆるラップランド地方に住む先住民族で、少数民族である。彼らは伝統的にトナカイの飼育で生計を立てている。原発のない国であるノルウェーがチェルノブイリ事故で西ヨーロッパ諸国の中で最も大きな影響を受け、その中でも少数民族であるサーミ人の経済的基盤であるトナカイの飼育が大きな打撃を受けた。
この報道を見るまで、私は全くこういうことを知らなかったが、東京から離れた福島の人々と同様に、オスローから遠く離れた少数先住民が放射能による苦しみを強いられていることに胸を打たれた。・・・チェルノブイリ事故が起きた日が近づくと、様々な角度からの報道を通じて、改めて原発事故の恐ろしさだけではなく、原発の背後にある政治的圧力を思い知らされる。放射能は、事故が起きた瞬間から休むことなく人々の生活や心に影を落とす。サーミ人の女性は、「原発事故の代価は政府や社会ではなく、被害を受けた人々一人一人が払い続けなければならないのです」と言う。・・・スリーマイル、チェルノブイリ、福島 − 世界はもう十分すぎる原発事故を見てきた。それでも原発は稼働し続けている。震度7の地震が起きた熊本からわずか120キロメートル近くにある川内原発さえも稼働している。放射能の汚染に身をさらす「未来の物語」か、それとも自然エネルギーによる、少しでも希望の持てる「未来の物語」を選ぶかという問いが私たちに投げかけられている。
http://midori1kwh.de/2016/05/01/8077
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ドイツ原発事情の今、その1(じゅん / 2016年5月1日みどりの1kWh)
チェルノブイリ原発事故から30年、連邦環境省の創設から30年の節目にあたり、1986年の春のあの日を思い起こします。あの日起こった未曾有の事故によって核エネルギーがどれほど大きな危険を伴うものであるかが誰の目にも明らかになったのでした。ウクライナと隣接するベラルーシの人たちは、今日もなお、この大事故の影響に苦しんでいます。私自身ごく最近、破壊された原子炉の現在の状況を知る機会がありました。それは心を締め付けるような体験でした。
チェルノブイリ事故から25年経った2011年6月、ドイツ連邦議会は圧倒的多数でドイツの最終的な脱原発を決めました。福島原発事故の直後私たちは1度に8基の原発を止め、残りの原発も全て2022年までに段階的に廃止することを決定しました。ドイツは福島の破局の後、何十年にもわたる原発をめぐる議論に終止符を打ち、原子力から再生可能エネルギーに基づく現代的なエネルギーシステムに切り替える歴史的なチャンスをとらえたのです。
しかし、原子力の影は長く続きます。全ての原発の稼働を停止してもそれで問題が終わるわけではありません。操業停止から原子炉の解体まで長年にわたる作業が必要です。ドイツではすでに20基の原発と30基の実験用原子炉の解体作業が行われ、一部はすでにその作業が終わっています。そのため、原発から緑のエネルギーへの転換という困難な課題で、我が国は技術的な先駆者となっています。・・・
http://midori1kwh.de/2016/05/01/8082
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政府説明 保育士データ、女性のみ比較 賃金格差を少なく見せかけ?(2016/05/01東京新聞)
政府が来年度からの保育士の賃上げに関する説明で、女性保育士の賃金だけを引き合いに出していることに批判が出ている。男性保育士もいるのに、保育士は女性との前提に立っていると受け取られかねないからだ。民進党は「性差別を助長している」と大型連休明けの国会で追及する構えだ。加藤勝信一億総活躍担当相は四月二十八日の国会答弁で、来年度からの保育士の賃金引き上げに関し「技能、経験を積んだ職員は、全産業(職種)の女性との差が四万円程度であることも踏まえて、賃金差がなくなるようにする」と述べた。ボーナスを含めた女性保育士の平均月収は約二十七万円。女性のみを対象にした全職種の平均月収は約三十一万円。差額は四万円で、加藤氏はこの数字を念頭に発言した。しかし、保育士には男性もいるため、本来なら男性を含めた保育士の平均月収と、男女含めた全職種の平均月収を比較するのが自然だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050102000129.html
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熊本地震で震源域「東に拡大あり得る」 都司元東大准教授(2016/04/30高知新聞)
活発な活動が続く熊本、大分県の地震について、東京大学地震研究所の元准教授で深田地質研究所(東京都文京区)の都司嘉宣・客員研究員(歴史地震学)が「地震が起きる範囲はさらに拡大する可能性がある」と警戒を呼び掛けている。九州と四国の間の海域でも、マグニチュード(M)6を超える比較的大きな地震が起こり得るといい、「四国でも注意が必要だ」と話している。
http://www.kochinews.co.jp/article/18818/
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