町では何やら人垣が出来ていました
何だろうと思って隙間からのぞいて見ると ひげもじゃの見知らぬ老人が 大きなたるの間でうずくまっているのです
町の人達はいぶかしがって 誰も近寄ろうとしません 少年は人混みをかき分けて おじいさんのそばに寄りました おじいさんは、この寒空にシャツ一枚です
「おじいさん、さむいでしょう?」
少年はそういって 自分の首から赤いマフラーを外して、 おじいさんの首にかけてあげました
「おじいさん、僕の家にいきましょう」
暖炉は無いけど外よりうんと温かいから そう言って少年は おじいいさんの手をひっぱって 森の小屋へ向かいました
小屋につくとおじいさんに 昨日のミルクとクッキーを食べさせてあげました そして、そっと自分のベットに寝かしました 薄い毛布の上に赤いマフラーをのせて すこしでも暖かいようにしました おじいさんはとても気持ちよさそうです
よほど疲れていたのか もういびきをかいています 少年はおじいさんが目をさまさないように そっと戸をしめて町へ向かいました
その日もお駄賃と クッキーを貰うことが出来ました 少年はおじいさんの分のミルクも買うことができて にっこりです
その夜は、おじいさんも起きてきて 少しにぎやかになりました ジョンはおじいさんに 頭をなでてもらって、目を細めています
チッチはおじいさんの膝の上で ぺろぺろ毛づくろい
少年はみんなの嬉しそうな姿を見て 幸福感で胸がいっぱいになりました 夜も更けて、まだ体の弱っている おじいさんをベットに寝かして 少年は椅子の上で眠りました
少年は夢を見ました
暖かい暖炉の夢です
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