少年はちょっぴり残念そうに首をかしげて 仕事に向かいました 赤いハンカチに未練があったのです 「でも、少女があんなに嬉しそうにしているのだから」 「よかった」 少年はそう思いました
その日は、1日中仕事がありました 疲れてへとへとにはなりましたが お駄賃とご褒美のクッキーを ポケットに一杯つめ込んで満足でした
「これで、今日はミルクも買って帰れる」
少年には、美味しそうにミルクをなめる チッチとジョンの姿が浮かぶのです
その夜はチッチとジョンと一緒に ミルクとクッキーを囲んで 幸せな夜になりました 小さなお皿に入ったミルクを チッチとジョンが かわるがわる飲むのです
少し飲むとお互いが顔をあげて 「さあ、どうぞ」 そんな仕草が、可愛くてたまりません
少年は明日もミルクが買えるだけの 仕事がありますようにと 思いながら眠りにつきました
次の日も元気に朝をむかえました チッチとジョンは もう森の遊び場へと出かけています 少年は町へ出かけるために服を着て ポケットに手を入れました
「あ、そうか」 「赤いハンカチは少女にあげたんだっけ」
少年は納得して 昨日の残りのクッキーを食べようと テーブルを見ました するとそこに ふわっとした赤いものがあります
手にとって見るとそれは 赤いマフラーでした
「赤いハンカチが赤いマフラーになったんだ」
少年は大喜びでマフラーを首にまき クッキーを口にほうりこみながら 意気揚々と出かけました
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