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2021/09/01sankaku09/11

 

(9・11から20年)WTC標的、2つの兆候 ビンラディンにつながる事件、90年代相次ぐ(2021年9月11日朝日新聞)
 2001年9月の米同時多発テロから11日で20年を迎えた。このテロの起源は、どこにあったのか。国際テロ組織アルカイダが民間機をハイジャックし、ビルに突撃させる計画を決めたのは、1999年ごろとされる。だが、テロにつながる動きはその何年も前からあった。 90年、ニューヨーク(NY)のホテルで銃撃事件が起きた。被害者のメイア・カハネ氏は、米国出身の正統派ユダヤ教指導者。イスラエルで国会議員を務めたが、極右主義の主張が問題となり、同国内での活動が禁止されていた。NYで講演していた同年11月5日、エジプトからの移民のイル・サイード・ノサイル受刑者に射殺された。

 米公共ラジオ局WNYCのジム・オグレイディー記者は「当時、事件は謎に包まれ、理解されなかった。NY市警も誤って、『精神的に不安定な単独犯による事件』と位置づけた。しかし、9・11につながる最初の攻撃となった」と話す。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15041199.html?_
requesturl=articles%2FDA3S15041199.html&pn=2

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美術館の地下が生んだ世界の前衛 大阪の美術研究所が休止、縮小へ(2021年9月09日朝日新聞)
大阪市立美術館(天王寺区)の半地下で70年あまり、美術を志す人々の学びの場として愛されてきた美術研究所。戦後関西の前衛芸術の「ゆりかご」としても貢献した通称「美研(びけん)」が今、岐路に立っている。美術館はその全国でも珍しい存在意義を重視しつつも、改修にともない来年秋から予定されている休館を機に、活動場所とカリキュラムの大幅な縮小という選択を迫られている。・・・美研は終戦の翌年、1946年に創設された。洋画家の小磯良平や前衛美術集団「具体美術協会」を後に率いる吉原治良(じろう)らが講師を務め、具体メンバーの白髪一雄やベネチア・ビエンナーレ日本代表になった宇佐美圭司ら、世界的なアーティストも多く輩出した。まだ美術系大学の少なかった時代には美術家の登竜門であり、美大の受験予備校としても機能した。・・・ 現在のカリキュラムでは、研究生は石膏(せっこう)像や人物モデルのデッサンを学ぶ素描科を修了後、希望によって絵画部または彫塑(ちょうそ)部に進み、より実践的な制作に取り組んでいる。だが、再開後は絵画部と彫塑部は廃止する。日本の美術教育の基礎として長年重視されてきたものの、近年は比重が下がりつつある石膏デッサンにあえて注力することで、美研は画家の育成に特化。美術館として別途、子どもを含めて気軽に美術を楽しめる教育普及の機能を強化していくと説明する。

 一方、研究生の中からは改修中の別の場所での活動継続や、カリキュラムの維持を求める動きも出ている。入所12年目の山本君枝さん(74)は「素晴らしい作家たちを輩出してきた歴史への畏怖(いふ)と誇りを感じながら、先生方や他の研究生と語り合い、刺激し合って向上できる場所。過去から脈々と受け継がれてきたそうした文化が途切れてしまう」。美術館も代替場所を模索したが、休館中は展覧会収入がなくなることもあり、めどは立っていない。・・・講師の一人は「戦後の焼け野原で、美研は美術を始めたい人の唯一の希望だった」と振り返る。公立美術館が運営する美術教育の場は全国でも他に類を見ない。美術教育や文化行政のありようが変遷するなか、学びやの伝統も変化の時を迎えている。
https://digital.asahi.com/articles/
ASP994K3DP97PTFC00K.html?iref=com_cul_art_list_n

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テロと文学(2021/09/12 朝日新聞)
動植物も死に絶え、灰が降り積もる荒野をさまよう父と子。廃虚と化した世界で人々は食料を求めて殺し合う。政府も法律もない終末を描いたコーマック・マッカーシーさんの小説「ザ・ロード」は2007年ピュリツァー賞を受賞した▼救いは、自らの飢えを我慢してでも他者を救おうとする幼い息子の姿だ。・・・現実と向き合い偏見の克服に挑む作家たち。そこにはテロという暴力にも屈することのない文学の力がある▼「現在の世界が苦しんでいるのは共感がないからだ」。パキスタン生まれの作家モーシン・ハミッドさんの言葉である。2001年9月11日。世界が変わったのではない。世界が変わっていたことに人々は気づいたのだ。そのことを教えてくれたのもまた文学である。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/588299?rct=c_season

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(社説)在沖米軍基地 不信深める汚染水放出(2021/09/12 朝日新聞)
 在沖縄米軍の無軌道ぶりに言葉もない。先月下旬、海兵隊は有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)を含む約6万4千リットルの水を、普天間飛行場から下水道に流すという信じられない行動に出た。泡消火剤などに使われてきたが、人体や環境に深刻な害を及ぼすとの懸念が高まり、いまは法律で製造・使用が原則として禁止されている物質だ。

 米軍は焼却処分すると費用がかさむとして放出を打診。日米両政府で協議をしているさなかに、一方的に作業を進めた。到底許されるものではない。・・・日米地位協定により、基地の管理権が米軍にあるためだ。15年に環境に関する補足協定が発効したが、日本側の権限はあいまいなままだ。実際、翌16年以降、嘉手納基地周辺で高濃度のPFOSが検出されたとして、国や県は立ち入り調査を求めたが、米軍に退けられた。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15041324.html

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(声)カエルの歌が聞こえてこない(2021/09/12 朝日新聞)
この夏、田舎でも、山でも、暑かった。セミやカエルなどが元気に鳴くのを聞けば気持ちが少し和らぐと思ったが、これまでうるさいほどだったカエルの鳴き声が聞こえてこなかった。・・・原因が気になりだして、だんだんと気味が悪くなってきた。毎晩カエルの姿や鳴き声を求めて田んぼの近くを歩き、田の中をのぞき続けているが、外来種のジャンボタニシのほかには生き物の姿をほとんど見かけることがない。

 これは私の住む地域だけの問題なのか。環境の汚染や変化によるものなのか。わからないことが多く、思い悩んで、「いや、わが田んぼではたくさん鳴いている」という声を求めて投書した。カエルの歌が聞こえてこない、「沈黙の田んぼ」はご免被りたい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15041330.html?
_requesturl=articles%2FDA3S15041330.html&pn=3

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(Showtime 大谷翔平2021)103年ぶり偉業、お預け 野球・大リーグ 10日(2021/09/12 朝日新聞)
エンゼルスの大谷がヒューストンでのアストロズ戦に「2番・投手」で先発出場し、一回にメジャー単独トップの44号ソロを放った。投手では3回3分の1を9安打6失点、1三振1死球で5月28日以来の2敗目(9勝)を喫し、自身8連勝で止まった。1918年のベーブ・ルース以来の「2桁勝利、2桁本塁打」は持ち越し。(共同)・・・ 1918年のベーブ・ルース以来となる「1シーズンでの2桁勝利と2桁本塁打」の同時到達は、次回以降に持ち越しとなった。先発登板の機会は残り3試合とみられる。「個人的には、目の前の1勝も大事だけど、来年にどのぐらいつながるのかも大事。無駄な試合はないので(来季に向けて)試しながら、消化したい」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15041337.html

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新型コロナ「ミュー株」、抗体の効き目7分の1以下に 東大など研究(2021/09/12 朝日新聞)
 世界保健機関(WHO)が新たに監視対象にした新型コロナの変異ウイルス「ミュー株」には、ワクチンの接種でつくられる「抗体」が効きにくい可能性がある。そんな研究結果を、東大医科学研究所などのチームが報告した。従来の株に比べて、抗体が感染を防ぐ効果が7分の1以下になったという。・・・ワクチン接種で得られる免疫には、抗体とは別のしくみではたらくものもあり、東大医科研の佐藤佳・准教授(ウイルス学)は、「ワクチンがミュー株に効かないわけではなく、個人で必要な対策が変わるわけではない」と強調。そのうえで「抗体への抵抗性は、いままでの変異株のなかでも最も強かった。どんな変異株が広がっているかを把握することは重要で、そのためには、ウイルスの遺伝情報が細かくわかるゲノム解析の体制の拡充が必要だ」と話した。
https://digital.asahi.com/articles/ASP9B74N9P9BULBJ011.html?iref=com_7_02

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あの夏、ベルモンドに受けた衝撃 私は「勝手にしやがれ」と名付けた(2021年9月10日朝日新聞)
 6日、88歳で死去したフランスの俳優ジャンポール・ベルモンドさん。出世作で代表作でもある映画「息もたえだえ」を1959年のパリで見て、その新しさに魅了されたのが、当時映画の買い付けをしていた秦早穂子さんだ。「勝手にしやがれ」と邦題を付けて日本公開の道をつけた秦さんが、ベルモンドと出会ったあの頃を振り返る。・・・フランスは戦勝国ではあったが、植民地のインドシナを失い、更にアルジェリアを手放す危機に追い込まれていた。人種や宗教の問題、戦争の後遺症を背負って喘(あえ)いでいた。一見華やかなパリの空気の底に、黒い不安や怒りが渦を巻く。それは敗れた側の日本人が抱く体験や心情と異なるにしても、共通点もあるように思えた。ヌーベル・バーグとは、若い人全体の行動と思いであり、映画だけの運動にはとどまらなかった。

 「勝手にしやがれ」の主人公のミシェル・ポワカール、いや演じたべルモンドの存在そのものが、重苦しい社会の空気を横からぶっ飛ばす力を秘めていた。映写の間に、私の夢想は果てしなく広がっていった。・・・11月初め、フィルムを日本へ出荷。同時に完成試写が行われる。すでに前評判が立ち始め、試写のあと、ゴダールは大勢の人に囲まれている。私はシャンゼリゼを下りながら、初めて怖くなる。作品は想像以上の出来。それだけに手強(てごわ)い。東京からは電話で「ベルモンドは売れない」と。「彼の新しさを評価出来なければ、この作品は死んでしまう」と言い返す。
https://digital.asahi.com/articles/
ASP995RX9P99ULZU003.html?iref=com_cul_movies_list_n

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「安全な食」追った記録映画(2021年9月9日朝日新聞)
 種子法廃止、種苗法改定、ゲノム編集食品などのグローバル化によって日本の農と食をめぐる状況が大きく変わりつつある。消費者が気づくことは少ないが、国まかせでいいのか。・・・米国では遺伝子組み換え作物に反対する母親の会の創設者や、世界各国で規制が進む除草剤によってがんになったと裁判で訴えた原告、韓国では有機食材による学校給食、国内では有機稲作に取り組む農業者……。山田氏を案内人に、「安全な食」を追い求める旅の記録だ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15038653.html?iref=com_cul_movies_list_n

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父・ジョージ・ハリソンが言った「エルビスはかわいそう」の意味(2021年9月1日朝日新聞)
 ジョージ・ハリソンが、ビートルズ解散直後の1970年に発表したアルバム「オール・シングス・マスト・パス」。名盤の呼び声高いこの作品が50周年を機にリミックスされ、未発表デモ音源などを加えて8月に発売された。エグゼクティブ・プロデューサーを務めたのは、息子でシンガー・ソングライターのダニー・ハリソン。「解散後、父がものすごく前に向かっていた時期のエネルギーを感じる」と話す。

 ビートルズ時代、ジョージの曲はアルバムに2曲程度しか採用されなかった。「オール・シングス・マスト・パス」は、そのうっぷんを晴らすかのような3枚組みというボリュームと、完成度の高さで話題を呼んだ。曲が没になることが多い状況に「フラストレーションはあったと思う。そのエネルギーが全部一挙に出た作品」。多くを語らぬ「静かなビートル」は、自宅でも寡黙だった。「なんでビートルズのこと、教えてくれないの?」。ダニーは自宅でジョージにそう詰め寄ったことがあるという。「父は聞いても一切ビートルズについて語らなかった。そしてその答えを自分で探させた。何かを定義づけられることについても嫌がっていた」と振り返る。

 そんなジョージだが、「エルビス(・プレスリー)はかわいそう。彼はひとりだから」と何度か口にしていたという。
https://digital.asahi.com/articles/
ASP8063DWP8ZUCVL02L.html?iref=com_cul_music_list_n

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(9・11から20年)「爆発が…」105階から非常階段へ(2021/09/05朝日新聞)
米デラウェア州に住むジョゼフ・ディットマーさん(64)の右手首には、タトゥーが入っている。

 《911》

 米同時多発テロから、まもなく20年になる。「あの出来事は影のようなもので、どこにいってもついて回る」。忘れられないし、忘れてはいけないと思う。・・・午前8時46分、部屋の電気が2、3回、点滅した。隣接する北棟の93〜99階部分に、1機目の旅客機が突っ込んだ時間だ。だが、部屋に窓はない。「何も見えず、何も聞こえなかった」

 このとき、両棟合わせて計1万7400人が建物内にいたと推計されている。緊急時の先導役という男性が会議室に入ってきた。「北棟で爆発があった。避難しないといけない」。ただ、誰も信じなかった。「勘弁してくれよ。ここはニューヨークだぞ。常に何かが起こるし、常に緊急事態じゃないか」そんな声があがった。国際テロ組織アルカイダによって旅客機がハイジャックされたことなど、想像すらできなかった。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15033585.html?
_requesturl=articles%2FDA3S15033585.html&pn=4

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大谷翔平、43号本塁打となる3ラン放つ 117球投げた翌日に一発(2021/09/05朝日新聞)
大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が4日(日本時間5日)のレンジャーズ戦で、第43号本塁打となる3ランを放った。本塁打王争いのライバルとなっているペレス(ロイヤルズ)がこの日、2本塁打で40本としたが、突き放した。1点リードで迎えた六回。敵失などで出塁した走者を置き、無死一、二塁。大谷は初球の変化球をとらえ、あっという間に右翼スタンドに運んだ。相手投手の戦意をそぐには、十分な一発となった。

 投打「二刀流」を続ける大谷は前日、大リーグ4年目で最多の117球を投げ、9勝目を挙げたばかり。マドン監督は試合前「今日は、疲れがあると思う」と心配している様子だったが、無用だった。
https://digital.asahi.com/articles/
ASP954229P95UTQP00V.html?iref=com_rnavi_arank_nr01

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さじを投げる(09/04 北海道新聞)
漢方医が治療法のない病人を見放し、薬をすくう匙(さじ)を投げ出す。それが「さじを投げる」の語源だ。・・・新型コロナに感染しても入院できずに自宅療養する人が全国にあふれている。若者は接種を求めて街頭に行列を成し、夏休み明けの学校で生徒に感染が広がる▼ わが国の首相から「必ず助ける」との発信はない。代わりに没頭していたのは権力闘争である。自民党幹部の交代を決めたり、総裁選先送りを画策したり。コロナの重症化にあえぐ患者ではなく、自分の「延命」のために四苦八苦する姿があった▼そしてとうとう政権運営に行き詰まり、さじを投げた。自民党総裁選に出馬せず退陣するという。「コロナ対策に専念したい」との言い分は空白続きだった今週を思うと鼻白む▼これでは「戦場」と化した現場で、さじを投げず治療にあたる医療関係者が浮かばれぬ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/585630?rct=c_season

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(評・映画)「ミス・マルクス」 政治語る人々、楽しい訳は(2021/09/03朝日新聞)
マルクス主義という思想の生みの親であるカール・マルクスには、エリノアという娘がいた。16歳で父親の秘書になり、労働者の権利の向上などに努めたが、とくに男には気がつきにくい女性の権利の主張には力をつくしたという。

 映画では貫禄十分のロモーラ・ガライが演じていて、しっかり者として、まだ同志もごく僅(わず)かしかいない政治党派を支え、人間関係にもよく気をくばって、仲間の結束を支えてゆく人柄の良さを巧みに演じている。まだ政党としてはごく小さい存在だったいわば家族のような党派であるが、そんな政党が大きく育った過程を想像してみると楽しい。同じようなグループが集ってはげまし合う場面が何度も出てくるが、これはもっと楽しい。

 この映画は、そうしたヨーロッパの政治好きの一般市民たちの日常的なつきあいも楽しそうに描いているが、マルクス主義などという思想もヨーロッパではこうして広がったものなのだろうか。まあ、この映画で見るとそういう感じにもなって楽しい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15032091.html

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(書評)『行く、行った、行ってしまった』 ジェニー・エルペンベック〈著〉(2021年9月4日朝日新聞)
「これから一日中誰とも話さずひとりで過ごすとなったら、正気を失わないよう気をつけなければ」と考えていた。「墓までの道のりはずっと、頭のなかの欲望にしたがう。思索。読書」しかし、そうはならなかった。きっかけは、アレクサンダー広場にあったプラカードだ。

 「我々は目に見える存在になる」

 祖国を追われ命からがらベルリンに辿(たど)り着いた難民たちの境遇や、彼らの一人ひとりが生きざるを得ない現実の過酷さは、リヒャルトの「頭のなか」に収まる膨大な知識を次々と無効化する。流れ着いた者らとの交流は、1990年に「突然――一晩のうちに――別の国の市民になった」リヒャルト自身の記憶をも静かに揺さぶる。あの年、リヒャルトの頭上で地図は描き替えられた。リヒャルトとその妻は一夜にして「ドイツ民主共和国」の市民から「ドイツ連邦共和国市民」になった。

 ヨーロッパ人が引く国境線と無縁だったアフリカの若者に、東ドイツ出身の老人は教える。壁があった頃は西側に行こうとして射殺された人もいたんだよ。難民たちを阻む新たな「壁」の前で老教授は思索する。 「境界とは(……)敵を作り出すものだということを、ほかでもないここベルリンで、皆がもう忘れてしまったのだろうか?」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15032359.html?iref=mor_articlelink02

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大谷翔平9勝目 ベーブ・ルース以来の「2桁勝利&2桁HR」に王手(2021年9月4日朝日新聞)
大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が3日(日本時間4日)のレンジャーズ戦に、「2番・投手」で先発登板。7回で今季最多の117球を投げて、2失点。自身8連勝で9勝目を手にし、1918年のベーブ・ルース以来となる「1シーズンでの2桁勝利と2桁本塁打」の到達に、王手をかけた。・・・1点を勝ち越した後の七回2死一、二塁。今季最多の113球を投じていた大谷のもとへ、コーチがきた。ブルペンでは、救援陣が準備をしていた。話し合いを経て続投が決まると、球場内は拍手と歓声が入り交じり、「MVPコール」も随所で起きた。

 この試合、最後のピンチでさらにギアを上げた。「代えられてもおかしくないけど、任せてくれた。期待に応えたかった」と大谷。相手打者に対し、初球のスライダーの後は99マイル(約159キロ)の速球を3連発。一ゴロに抑え、三つ目のアウトを奪い取った。・・・7回2失点で9勝目を挙げ、大リーグ往年の名選手、ベーブ・ルースが1918年に記録した「1シーズンでの2桁勝利と2桁本塁打」に王手をかけた。当時とは時代が異なるとはいえ、ルース以後、100年以上もの間、誕生していない事実が、大谷のすごみを物語る。
https://digital.asahi.com/articles/ASP945F6PP94UTQP00R.html?iref=comtop_7_04

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「父さん飲もうか」 気付けなかった高2の息子のSOS(2021年9月1日朝日新聞)
詩「息子の遺言」

困ったら相談しなさいって言うけれど

相談できないからしんどいんだ!

一人で悩まないでって言うけれど

じゃあ誰と悩めばよかったんだ!

困った時、しんどい時

肝心な時、みんないなかったじゃないか!

先生も、友達も、母さんも、そして父さんだって

肝心な時、いなかったじゃないか!

人のせいにしちゃだめだ

強くならなきゃ

前向きに生きなきゃ

そんなこと何度も思ったよ

でもどうすりゃ強くなれるんだよ

どうすりゃ前向きになれるんだよ

ねぇ、教えてよ、とうさん

僕はどうすればよかったんだよ!
https://digital.asahi.com/articles/
ASP8S3CPZP8ROIPE001.html?iref=com_rnavi_arank_nr02

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