(時時刻刻)宣言1カ月、見えぬ出口 重症・自宅療養、各地で拡大(2021年8月12日朝日新聞) (渡辺えりの心に残るひととき)皆さんの戦争体験、残さなければ(2021年8月12日朝日新聞) 今回の渡辺えりの心に残るひとときは、「戦争を語り継ぐ」をテーマとした特別編です。掲載作から選ぶのではなく、いま、ひとときに書き残しておきたいことを新たに募りました。7月のわずか1週間の募集期間に、戦後生まれから100歳を超す方まで、様々な思いをつづった約150通の投稿が届きました。第2次世界大戦の記憶をとどめたい――。「ひととき」を毎回拝読し、戦時に体験した非情な記憶や貴重な体験を書きとどめようとして下さる皆さんの肉筆に触れながら、ずっと思い続けてきました。今聞かなければ体験者の思いは消えてしまうだろうと。終戦記念日を前に、人間が引き起こし、人間によって人間が苦しめられる戦争の実態と真実を、戦争の一番の被害者である市井の目から改めて考えます。 「首相やめろ」発言した理由 倉持医師から政治への警告(2021年8月11日朝日新聞) 本来は死なずにすむ病気でも、政治家が政策を間違えることによって、相当数の人が死ぬ病気へと早変わりをしてしまうのです。・・・ 軽症でも入れる医療機関などの整備や保健所機能の強化、自宅療養者が出た場合の医療供給体制の整備といった教訓を全国に広めることが、国として十分にできていないと感じます。本来なら失われなくて良かった命が既に多く失われてきたし、今の政府を見ていると今後もこうした状況が続く恐れがあると思います。・・・現在のような危機は、聡明(そうめい)な政治家がいなければ乗り越えられないと感じます。 自殺者数、7月は前年下回る(2021年8月11日朝日新聞) 警察庁によると、男性が1074人で昨年7月より10・4%減り、女性は516人で22・5%減った。前年の同じ月から減少したのは、女性は14カ月ぶり、男性は6カ月ぶり。都道府県別では、東京が188人(昨年7月比で15人減)と最多で、神奈川101人(同17人減)、愛知も101人(同4人増)と続いた。大阪は76人で、63人の大幅減となった。
熱波ギリシャ火災100件 全土50地域以上で住民避難(2021/08/09朝日新聞) 現地の報道によると、首都アテネ近郊では3日に起きた山火事で1250ヘクタールが焼けた。アテネ北方のエビア島で3日に発生した火災では数百件の家屋が焼け、観光客らはボートで海へ避難した。また、古代五輪の遺跡がある西部オリンピア近郊で起きた火災では、約20件の家屋が焼失した。 (書評)『ヒロシマを暴いた男』 レスリー・M・M・ブルーム〈著〉(2021/08/09朝日新聞) ハーシーより前に被爆地に入った海外の記者は何人もいた。だが彼は、米政府は放射線などの人的被害の報道を矮小(わいしょう)化させているのではと疑念を持つ。そして他の記者より1年近く遅れて広島に入りながら、住民や医師の証言を集め、放射能被害の実態を暴くのだ。https://digital.asahi.com/articles/DA3S15002714.html (古典百名山+plus:106)ジャック・デリダ『声と現象』 大澤真幸が読む(2021/08/09朝日新聞) 哲学には、同一性と差異のどちらが先か、という問いがあり、デリダは、差異や他者性の味方である。それを最後まで貫くと、差延に至る。起源にあるかに見えた同一者も差異の産物だということになり、真の起源への到達は無限に延期されるからだ。 広島、きょう被爆76年(2021年8月6日朝日新聞) 効き目ない宣言、4カ月で感染者は倍 長期戦にらむ欧米(2021年8月6日朝日新聞) 夏に「第2波」があり、10月に感染者は10万人を突破。冬場の「第3波」では感染者が急増し、21年2月に40万人に達した。重症者や死者も増え、十分な医療を受けられずに亡くなる人も出た。・・・最初の感染確認から50万人に達するまでには、1年3カ月かかったが、さらに50万人が感染するまでは4カ月しかかからなかった。厚生労働省の専門家組織は現状について、「これまでに経験したことのない感染拡大が継続している」と危機感を示している。 (危機の宰相 メルケルの遺産:2)難民受け入れ、準備整わぬ中(2021年8月6日朝日新聞) 「緊急時に困った人たちに温情を見せて謝罪しなくてはいけないのなら、ドイツは私の国ではない」だが、受け入れの準備は不十分だった。数万人が殺到したことで、保護施設の多くは満員になった。申請の受け付け作業は滞り、地方政府などからは「限界だ」との声が上がった。メルケルは「我々だけでは負担は背負えない」と、欧州連合(EU)各国に協力を要請。計16万人の難民を各国で分担して受け入れる方針をまとめた。だが、ハンガリーなど中東欧諸国はもともと受け入れに反対で、結局、分担は進まなかった。・・・ 今夏、メルケルの伝記本を出版するジャーナリストのウルズラ・ワイデンフェルト(59)は「難民への対応を決めかねているうち、ドイツを二極化させてしまった」と話す。大勢を受け入れる前に難民問題は深刻化していたにもかかわらず、「適切な法整備など、受け入れ方針を固めていなかった。緊急避難的に受け入れたのは仕方ないが、その後の対応も怠った」。 だが、メルケルは後悔していない。昨年8月の記者会見で、国境を閉じなかった15年の判断の是非を問われ、「私は同じ決断をするだろう」と語った。「国境で立ちすくむ人がいれば人として扱い、助けるために各国と交渉する。それは私の信念だ」 原爆投下から76年 廃絶求める世論に応えよ(2021年8月6日北海道新聞) 核禁条約は核廃絶を求める国際的な世論が結実したものだ。既に86カ国・地域が署名し、うち55カ国・地域が批准している。しかし日本は、米国の「核の傘」の下にあることから、署名・批准を拒否している。唯一の戦争被爆国として核廃絶を主導する責任を果たすべきだ。冷戦後最悪の関係と言われる核大国の米国とロシアは条約を一顧だにしていない。台頭する中国は核兵器を増強し続けている。 核の脅威は高まる一方だ。米英仏ロ中の5カ国に核軍縮義務を課した核拡散防止条約(NPT)は十分に機能していない。米ロ間の軍縮も後退している。核保有国は核廃絶の必要性を真剣に受け止め、NPT体制の立て直しを含め、核軍縮に早急に取り組まなくてはならない。 (プレミアシート)「キネマの神様」 一抹の寂寥感、忍ばせ(2021年8月6日朝日新聞) 円山郷直、通称ゴウ(志村に代わり沢田研二)は78歳。競馬と麻雀(マージャン)に入れあげ、闇金に追われている。妻の淑子(宮本信子)、娘の歩(寺島しのぶ)、孫の勇太(前田旺志郎)に合わせる顔がない。唯一の友人で、名画座を営む寺林新太郎、通称テラシン(小林稔侍)が頼みの綱だ。ゴウとテラシンには深い因縁がある。 ゴジラに見る被爆国の現在地 戦後76年、核を描かない新作(2021年8月6日朝日新聞) それ以来、ゴジラは日本人の核への恐怖を映し出してきたと、山本昭宏・神戸市外国語大学准教授(メディア文化史)は言う。 ゴジラは現実の問題を取り込みながら、アップデートしてきた。公害が問題になると死の灰による海洋汚染を思わせる作品ができた。原発事故への不安が高まるとゴジラは原発を襲った。姿や設定は変化してきたが、核を想起させることは、ほぼ揺るがなかった。・・・現実を鏡に自らの姿を更新し続けてきたゴジラの歩みもその一つだろう。原発や、米国の核の傘に依存する安保体制と基地負担の問題は、今もある。「唯一の戦争被爆国」という認識を現代の視点から不断に見つめ直さないと、忘却と犠牲が繰り返されるのではないか。 |
(ひと)松本和巳さん 長崎被爆者の「初証言」を映画にした(2021年8月4日朝日新聞) 千葉の松戸市出身。衆院議員、演劇の演出家を経て2018年、シングルマザーを題材にした映画を監督した。自分を追い込む女性と優しくない社会を描く。「心を平和にしてお互いを認め合えば争いごとは減る」と思い至った2年前、ある縁で長崎に行って感じた。自分にできるのは経験をいまだに語っていない被爆者の証言を映像に残すこと、それが、究極の争いごと、戦争をなくすことにつながるかもと。・・・ 映画では、被爆者差別を受けた経験も語られる。原発事故での福島の人への差別、新型コロナにかかった人への差別にも通じると思う。「日本は変わっていません。だからこそ被爆者の思いを共有しませんか」 大谷月間MVP、2カ月連続受賞 野球・大リーグ (2021年8月4日朝日新聞) 米大リーグ機構は、7月の各賞を発表し、野手が対象となる月間最優秀選手(月間MVP)は、ア・リーグはエンゼルスの大谷翔平が初受賞した6月に続いて選出された。通算2度の月間MVPは日本選手最多。2カ月連続の受賞は2012年8、9月のチェース・ヘドリー(当時パドレス)以来で9年ぶり。大谷は打者として23試合に出場し、打率2割8分2厘、9本塁打、19打点、4盗塁をマークした。投手では3試合の登板で2勝を挙げた。 AS選手ら29人陽性 1日当たり最多―五輪組織委〔五輪〕(2021年8月4日時事ドットコム) |
感染拡大、臨時休業の波 百貨店でクラスター/一時閉店の外食も(2021年8月3日朝日新聞) このように感染や休業を公表している企業は全体の一部だ。ある外食大手の担当者は「保健所が客への感染リスクはないと判断すれば、陽性者が出ても発表しないこともある」と認める。感染は急拡大しているが、企業における実態は見えにくい。・・・首都圏に展開する、あるスーパーは「東京の感染者数の増加に合わせて、従業員の感染者数も増えている」という。感染者が出た店舗では閉店後の夜間に消毒などをして、他店から応援を受け入れている。広報担当者は「スーパーはライフラインなので、営業するのが使命だ」と話す。 アイヌの鼓動、伝える造形 都内2カ所で企画展 東京ステーションギャラリー・松濤美術館(2021年8月3日朝日新聞) 北海道美幌町でアイヌ民族の両親のもとに生まれた藤戸は、父に熊彫りを教わり、1950年に阿寒湖畔の土産物店で職人としての仕事を始めた。「熊を極めろ」という父の教えを忠実に守り、ひたすら熊を彫り続けた。直立する等身大の熊を彫った「全身を耳にして」(2002年)は、本物のような毛の表現と、音の気配に神経を研ぎ澄ませる熊の表情が印象的だ。・・・美術学校には通わず、美術界とはほぼ無縁で独自の表現を追求した。17年に札幌で開かれた回顧展で藤戸の作品を初めて見た冨田さんは「40年近くこの世界で生きているのに、これだけの作家をなぜ知らなかったのか」とショックを受けたという。藤戸は18年に他界。訃報(ふほう)に接して「藤戸さんの作品を東京で紹介することが、作品を見た学芸員の責任だ」と展示を企画した。 ついに来た? アメリカで盛り上がる大谷翔平フィーバー(2021/07時事ドットコム) ウォール・ストリート・ジャーナル紙のジャレッド・ダイモンド記者は、通算最多奪三振記録を持つノーラン・ライアンの速球と、4度の本塁打王に輝いたケン・グリフィー・ジュニアのパワーを大谷は持ち合わせていると例えた。・・・2014年以降、プレーオフ進出から遠ざかっているエンゼルスは、投手陣の崩壊や主力の相次ぐ離脱にもかかわらず、なんとか勝率5割を保って前半戦を終えた。プレーオフ進出の望みが首の皮一枚でつながっているのも、ほぼ大谷一人のおかげだとフレッチャー記者は言う。 逆に言えば、投手陣がもう少し安定し、マイク・トラウトやアンソニー・レンドン、ジャスティン・アップトンといった攻撃の主力メンバーがけがから復帰してくれば、間違いなく成績は上がるだろう。 グリーンランド氷床、熱波で「大規模融解」(2021年08月02日時事ドットコム) |
ビザ待ち2万人、迫るタリバーン 米に協力、家族にも命の危険(2021/08/02朝日新聞) それは、08年4月28日の出来事がきっかけだった。アフガニスタンに赴いて14日目。ゼラーさんを含む15人の米兵は、タリバーンの戦闘員約50人に包囲された。次々に砲弾が降ってきて、ゼラーさんも吹き飛ばされた。「これから、ここで死ぬ」。そう思った。だが、通訳をしていた男性が、近くにいたタリバーンの戦闘員に向けて自動小銃で撃った。ゼラーさんは間一髪、助かった。・・・ 国務省によると、14年末以降、2万6500人の元通訳にビザが発給された。だが、なお2万人の元通訳がビザの発給を待つ。バイデン政権は7月末、バージニア州の米軍基地に元通訳やその家族らを退避させ始めたが、計画では対象者は計2500人。第三国に送られる予定の元通訳ら4千人を足しても、大部分が取り残されることになる。 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14996069.html (社説)「人新世」 地球の限界を考える(2021/08/02朝日新聞) 「じんしんせい」、あるいは「ひとしんせい」と呼ばれるこの概念が意味するものを理解し、地球との付き合い方を見直す機会としたい。・・・ いま地球では、過去5回あった恐竜などの大量絶滅期をしのぐ勢いで生物が死に絶え、その現象も地層に刻まれつつある。プラスチックに象徴される便利な生活は、人類発展の証しであると同時に、戦争、開発、浪費で地球を汚染し、生態系を壊してきた負の証しでもある。 先進国が謳歌(おうか)しているのと同等のくらしを、全人類がするだけの資源は地球にはない。日本も温室効果ガス削減の新目標を打ち出して具体策を検討中だが、気候変動はもはや元に戻れないレベルにまで進んでいるとの指摘も聞かれる。環境の激変は食料不足を生み、新たな紛争を引き起こす恐れもある。 |
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