記憶しておきたい新聞記事見出し2014〜2016
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カストロ前議長死去 キューバ革命主導 90歳(2016/11/27朝日新聞) 沖縄で相次ぐ米軍の犯罪 「女たちの会」共同代表「確実に軍隊減らして」(2016/11/27東京新聞) −米軍の世界規模での展開に否定的な考えを示したトランプ氏が次期大統領に決まった。 維新 与党化くっきり TPP、年金…次々と賛成(2016/11/27東京新聞) 鉄鋼業界、死亡事故相次ぐ 年明けに官民協議会設立(2016/11/27東京新聞) カストロ前議長死去 ゲリラ率い左翼の「砦とりで」(2016/11/27東京新聞) キューバを米国の植民地状態から解放した国民的英雄は、米国から見れば自由主義を脅かす独裁者。米国が仕掛けた暗殺計画は六百回に上るといわれるが、カストロ氏は革命政権を半世紀近くも率い、社会主義の理想を追った。教育と医療の無償化で、高い識字率と長い平均寿命を実現。人種差別はほとんどなく、犯罪率の低い国家に導いた。ひげと軍服、情熱的な演説で民衆を引きつけ、反米の旗手として世界各地の左翼勢力を支えた。ソ連崩壊後もその姿勢を崩さなかった。・・・功罪を評価するのは難しいが、本人にとっての革命は道半ばだった。仏誌に語ったことがある。「私は地獄に落ち、マルクスやレーニンに会うだろう。地獄の熱さなど、実現することのない理想を持ち続けた苦痛に比べれば何でもない」約二年前、カストロ氏と会話した大学生ランディ・ガルシアさんは「すべての革命には終わりがある。新たな思想が生まれる時が来る」と謙虚に話した姿が印象的だったと話す。 ハンガリーで剣術指南、弟子100人 思いもしない半生(2016/11/27朝日新聞) 「空手、合気道を見せて」。ハンガリーでは日本の武道が人気で、日本人と言うと必ずせがまれた。鈴木さんの母方の祖父は直心影流剣士で元白河藩士の牧田重勝。鈴木さんは6歳から道場に通い直心影流の剣術を学び、働きながらも稽古を続けていた。空手も剛柔流6段の腕前。剣術や空手を披露すると、拍手喝采を浴びた。・・・ 鈴木さんによると、親日家の多いハンガリーで、剣術を教えている日本人は他にいないという。「こんな半生が待っているとは思いもしなかったけれど、これも縁。剣術を通して、日本の文化や作法を伝え続けたい」と話している。 (社説)沖縄と基地 「負担軽減」への遠い道(2016/11/27朝日新聞) 一方で疑問や不安も多い。 安倍首相は9月の所信表明演説で、沖縄の基地負担の軽減策としてこの問題に触れ、「一つ一つ、確実に結果を出すことによって、沖縄の未来を切り拓(ひら)いてまいります」と述べた。はたして返還の先に待ち受けているのは、首相が言うような明るい未来なのだろうか。訓練場は見返りなしで戻ってくるわけではない。老朽化したヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)にかわり、豊かな森を伐採して新しい着陸帯を六つ造ることが条件だ。工事に抗議する県民らを、警備中の大阪府警の警察官が「土人」とののしったのは記憶に新しい。・・・米海兵隊がまとめた「戦略展望2025」には、「使用に適さない土地を返還し、限られた土地を最大限に利用できる訓練場を開発する」とあり、事実、米軍に提供されている河口域と新パッドを結ぶ新しい訓練道路の建設工事も始まった。負担軽減とは名ばかりで、文書にあるとおり、施設の効率配置による基地機能の強化が進むのではないか。いま沖縄では、そんな懸念が広がっている。今回の返還によっても、全国の米軍専用施設の面積のうち沖縄が占める割合は、約74%から71%とわずかに減るだけだ。この小さな県に、いつまで重い荷を背負い続けさせるのか。県民が実感し納得できる軽減の道をねばり強く探り、実践する。それが政治の責務だ。 介護と外国人 悪質業者の排除が前提(2016/11/27京都新聞) やんばる 基地から守る 緊急シンポ 高江や辺野古の問題指摘(2016/11/27琉球新報) <社説>年金抑制法案 十分な議論と説明責任を(2016/11/27琉球新報) ピラミッド内部に別のピラミッド、メキシコの遺跡で発見(2016.11.18 FrCNN) キューバのカストロ前議長が死去、90歳(2016/11/26CNN) (CNN) キューバのラウル・カストロ国家評議会議長は26日、国営テレビを通じ、実兄でもあるフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去したと発表した。90歳だった。前議長は2006年に腸内出血が発覚して手術を受けた後、指導者としての職務から徐々に外れ、療養生活を送っていた。最近は表舞台に出ることがなく臆測も呼んでいた。死去した日時や死因などは伝えられていない。学生運動指導者などの経歴を持つ前議長は1959年のキューバ革命で国民の支持を失っていた米国寄りのバティスタ独裁政権を打倒。その後は社会主義路線をまい進し、米国とも断交した。冷戦時代の62年には関係を強化していた旧ソ連によるミサイル基地建設が原因でキューバ危機が発生。米国は海上封鎖の強硬措置に踏み切り、米ソ間で核戦争勃発(ぼっぱつ)も危惧される事態となっていた。米国は同年、キューバに対する全面禁輸を打ち出してもいた。 集落全体が「美術館」に 沖縄・北中城の「スージグヮー」展(2016/11/26琉球新報) 沖縄県北中城村の大城自治会で26日、同公民館を中心とした第14回「スージグヮー(路地裏)美術館」が始まった。集落全体を「美術館」に見立てて開催している。27日午後4時まで開かれ、区内の路地や民家で、やちむん(焼き物)の作品展や陶芸市、オープンガーデンなどを催す。 米俳優セガール氏にロシア旅券 プーチン氏「対米関係改善を」(2016/11/26琉球新報) http://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-401443.html 第2原発建屋に水たまり 福島県沖地震で、東電公表2日遅れ(2016/11/25福島民友) 社説/中間貯蔵施設 本格稼働へ態勢強化を(2016/11/26毎日新聞) 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設(大熊、双葉町)の本体工事が始まった。県が建設受け入れを国に伝えてから2年余り、事故からは6年近くが経過している。中間貯蔵施設は福島復興の一翼を担う施設であり、これ以上の整備の遅れは許されない。・・・中間貯蔵施設は福島第1原発を囲むような配置で建設される。面積は約1600ヘクタールで、最大約2200万立方メートル(東京ドーム約18杯分)と推計される汚染土などを搬入し、最長で30年間にわたり保管、管理する。本体施設の着工が遅れたのは、約2360人いる地権者との用地交渉が難航していたからだ。当初は避難先が分からない人が多かった。環境省が用地取得契約を結んだ地権者数は10月末現在で445人、面積は約170ヘクタールにとどまっている。今回は、両町にある各7ヘクタールの土地に、汚染土の放射線量の測定施設や汚染土の貯蔵施設などを建設する。環境省は来年秋の貯蔵開始を目指しているが、貯蔵量は両町で計12万立方メートルと、本格稼働にはほど遠い。県内には現時点でも、仮置き場や民家の庭先など約15万カ所に、1200万立方メートルを超す汚染土が置かれたままになっているのだ。 南スーダン「和平合意維持されず」 PKO、軍司令官代理(2016/11/26朝日新聞) (時時刻刻)年金抑制、急いだ決着 衆院委で採決強行(2016/11/26朝日新聞) (声)原発推進企業を支えたくない(2016/11/26朝日新聞)研修講師 中野廣幸(神奈川県 56) 今年4月の電力小売り全面自由化に伴い、私は早々に電力会社を新電力に変更した。原発を推進する電力会社を支えることに、我慢がならないからだ。世論調査でも、原発再稼働に「反対」という回答が過半数という結果が出ている。そうした国民の声を無視する自公政権の原発推進に抗するための、わずかな手段の一つが新電力との契約だった。ところが、電力自由化を推進してきた経済産業省が、おかしなことを言いだした。大手電力会社が持つ原発の廃炉費用の一部を、新電力にも負担させるというのだ。電気料金を通じて国民が払うのだから、原発推進企業を国民が支えることになる。原発推進企業を支援したくない私のような人間の自由は、完全に侵害される。これでは自由化の意味がない。新電力の利用者に負担させる理由を「昔は原発の電気を使っていたから」という経産省の言い分には無理がある。廃炉費用が足りないのは、そもそも電力会社が、廃炉のコストをきちんと計上してこなかったからだ。責任は電力会社にある。全国民の負担で原発推進企業を温存させる。こんなバカな話はない。新電力への費用の割り当ては許されない。 (声)かつての出征シーンと同じだ(2016/11/26朝日新聞)無職 瀬戸暢子(愛知県 77) 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の先発隊が、新任務の「駆けつけ警護」を付与されて現地へ渡った。青森空港を出発する様子を伝えた21日朝刊の記事を、私は涙なしに読めなかった。ある隊員の母親は息子から11月から長期出張だと聞いた。行き先を尋ねても答えはなかったが、「南スーダンに行くんだな」と思ったという。別の隊員の母親は10月、普段そっけない息子が、家族で焼き肉を食べに誘ってくれ、しきりに「食べて」と取り分けてくれたことを語った。幼い息子を抱き上げ、見つめる隊員の姿をとらえた写真からは、最悪の事態も想定し、二度とこの顔を見られないかもしれないという隊員の複雑な思いが伝わってきた。晴れの見送りの場で、「南スーダンになど行きたくない」とはおおっぴらには言えない隊員たち。「行かないで」と引き留められない家族たち。これは、71年前に終わったはずの先の戦争における出征シーンと一緒ではないか。私たち日本人は平和を守るために戦争の悲惨さを語り継いできた。しかし、語り継ぐ内容は先の戦争のことで終わりにすべきだ。 満蒙開拓の実相 “負の歴史”伝え続ける(2016/11/26東京新聞) 「原発事故は新しい形の戦争だ」 ノーベル賞作家 アレクシエービッチさん 東大で講演(2016/11/26東京新聞) シンポジウム「沖縄から問う報道と表現の自由」詳報(2016/11/26沖縄タイムス) 基調講演:岸井成格氏「安保と原発批判、許さぬ政権」 |
国務・国防・財務3長官焦点 トランプ氏、重点分野に強硬論者(2016/11/25朝日新聞) (社説)萩生田副長官 政権中枢の発言に驚く(2016/11/25朝日新聞) たとえば、強行採決――。 「強行採決なんてのは世の中にあり得ない。審議が終わって採決を強行的に邪魔をする人たちがいるだけだ」。そのうえで野党議員の反対を「田舎のプロレス」にたとえ、「ある意味、茶番だ」と批判した。政権支持者の多い、いわば身内のシンポジウムに招かれ、本音が出たということなのか。国会で政府・与党が強引な態度をとれば、数に劣る野党が、さまざまな抵抗をすることは当たり前だ。それを「邪魔」と切り捨て、数の力で押し切ることも野党との出来レースだと言わんばかりの発言である。立法府に審議を求める行政府の要職にある者の発言としてありえない。これでは首相がいくら熟議を説いても建前としか聞こえない。 たとえば、歴史認識――。 戦後70年の安倍談話に触れつつ、「日本人はものすごく素直な国民」なので、「悪くないと思っていても、その場を謝ることで収める」と説明。「過去に発した文書の中には、安易なおわびを入れることによって、間違ったメッセージを世界に発信してきたという後悔と過ちがあった」と続けた。萩生田氏はかつて、慰安婦問題への謝罪と反省を表明した河野談話が、安倍談話を出すことで「骨抜きになっていけばいい」と語っていた。今回の発言も、河野談話や戦後50年の村山談話への批判と受け取れる。だがそれは、ふたつの談話を継承するとしてきた安倍内閣の方針とは食い違う。これも本音と建前の使い分けなのか。 たとえば、首脳外交――。 トランプ次期米大統領やロシアのプーチン大統領らと向き合う安倍首相について「お坊ちゃま育ちの割には、不良と付き合うのがものすごく上手です」。首相の外交面でのたくましさを強調したかったのだろうが、外国首脳を「不良」呼ばわりする感覚が信じられない。萩生田氏は一連の発言について、きのうの参院審議で野党から批判されると、国会審議への影響などを理由に、発言を撤回し謝罪した。なるほど、それも「悪くないと思っていても、その場を謝ることで収める」ためだったのですか、萩生田さん。 (声)若い世代 日本人に必要なのは精神の充足(2016/11/25朝日新聞)高校生 佐藤祐也(神奈川県 18) 高校生の身ですが、過労による自死の問題に心を痛めています。「働きバチ」にも例えられる日本人の働きぶりは一面では私たちの誇りです。しかし、その働きぶりはもはや通用しないのではないでしょうか。さらなる物質的な豊かさを追求しようとする現代日本社会のひずみとして、過労による自死があるのではないかと思います。今の日本人に必要なのは、精神面での充足です。国民の豊かさは、物質的な豊かさのみならず、精神的な豊かさも含めて語られるべきです。物ゆえに人が大切にされないのなら、それは貧しい国ではないでしょうか。人をロボットのように扱うのではなく、多種多様な人々をありのままに受け入れることができてこそ、真に豊かな国になれると信じています。 (声)若い世代 暴言はびこる社会なくしたい(2016/11/25朝日新聞)高校生 石坂美奈(三重県 18) 米国の次期大統領がトランプ氏に決まった。選挙期間中、移民排斥や女性蔑視などの暴言を繰り返してきた。なぜ、社会的弱者を攻撃する人が、超大国の指導者になれるのだろう。政治家は国民の信頼があってこそ。なのになぜ、政治家が自ら信頼を失うような発言ができるのか、私には分からない。今はテレビやネットで情報を簡単に入手できる時代。こうした発言はすぐ拡散し、社会に様々な影響を及ぼす。トランプ氏はそれを期待し、あえて暴言を言ったのかもしれない。そんな情報操作もありうる時代に正しい選択をするには、情報を読み解き、活用する力「メディアリテラシー」を鍛えるしかない。その上で様々な立場の人への思いやりを持ち、暴言がはびこる社会をなくし、言葉で悲しい思いをする人を減らしたい。 (耕論)保護者なき日本 宮台真司さん、白井聡さん(2016/11/25朝日新聞) 自明の対米従属、愚に気付く 宮台真司さん(社会学者) 米大統領選でのトランプ氏の勝利は僕が待ち望んでいた結果です。理由のひとつは「対米従属」という日本最大の自明性が崩れること。戦後しばらくは違いましたが、昨今は「対米従属」が自明の理。従属を前提に外務、経産官僚らが米国との近さを競う省庁内の席次争いをし、そこに政治家が依存、メディアや有権者が見過ごす。この愚かさへの気付きにつながるトランプ大統領誕生は、短期的な混乱を生んでも、日本にとって良いのです。 戦後の日本は吉田茂(元首相)ら経済重視の自由党系が対米従属を選び、鳩山一郎(同)ら国権重視の日本民主党系も対米追従を踏み外せませんでした。憲法9条護持を掲げる左派も同じ。平和主義を掲げつつ安全保障は米国に依存、負担は沖縄に押しつける。見たいものしか見ないご都合主義です。 ただ戦後しばらく、対米従属は戦略的でした。米国に軍事を任せて経済に注力する「選択と集中」です。だからこそ当時の共産党が反9条の愛国路線を掲げる一方、対米従属が前提の保守と革新が自民党と社会党に合同した。 1980年代の牛肉やオレンジ交渉ぐらいまでは対米従属の戦略性への自覚がありました。でも90年代には忘却され、「米国についていけばよい」という自明性が政治家も含めた共通感覚になった。 揚げ句が、96年の日米安保再定義のための共同宣言です。冷戦終了後の日米関係の「見直し」どころか、米国と一蓮托生(いちれんたくしょう)が当たり前になりました。昨今の典型がTPP(環太平洋経済連携協定)。トランプ氏が米国の離脱を表明しましたが、直前まで米国主導のTPP発効が自明とされ、メディアもそう報じていました。日本政府はいまだに「米国を説得する」と自明性に埋没したままで、国会審議もトランプ当選などなかったかのよう。行政官僚制は一度動き出すと、民意を背景に政治家がブレーキをかけない限り止まりません。それを先の戦争で経験した私たちは通商、原発、基地行政で今同じ経験をしています。 トランプ氏が選挙戦の主張通り日米安保体制を見直せば、日本は右往左往します。対米従属前提の小役人の権益が崩壊しても、別のやり方を採る政治的資源がない。他のゲームをしようにも、例えば中国との間に信頼醸成がない。ひどい秩序でも壊れかけると、混迷した人々が既存秩序にすがろうとする。だからこそ新秩序のビジョンを告げる営みが必要だ――。哲学者のグラムシやルカーチが説いた伝統的問題です。ただ新ビジョン共有には時間がかかり、短期的混乱は避けられません。 それでも僕は「祝 トランプ当選」と言います。一過性の現象ではないからです。米国は軍事プレゼンスを低下させ、中間層分解で民主制を不安定化。分断が進み、人権や多様性尊重という自由主義的価値の盤石さは崩されている。トランプ氏勝利は、そんな文脈で起きた野放図なグローバル化に対する揺り戻しです。揺り戻しは早いほど後遺症が小さい。だからブレグジット(英国のEU離脱)に続くトランプ氏当選は良い。クリントン氏が当選していたら、既存の自明性への埋没が続き、問題が放置されたでしょう。 つまりそれは単なる暴力的ポピュリズムの勝利ではない。野放図なグローバル化がもたらす悲惨さを実感できる米国だからこそ、「自明性の枠内で正しいことを言うだけ」の口舌の徒がノーを突きつけられたと見るべきです。 みやだいしんじ 59年生まれ。首都大学東京教授。専門は社会学。著書に「社会という荒野を生きる」「日本の難点」など。政治から文化批評まで幅広く分析。
自立の意志なく、追従露骨に 白井聡さん(政治学者) トランプ氏が米大統領選で当選すると、安倍晋三首相は飛んでいきました。「夢を語り合う会談をしたい」と言って。夢みたいなことを言うなよと思いましたね。安倍さんは選挙戦中クリントン氏には会った一方で、トランプ氏をスキップしてしまった。それを挽回(ばんかい)したかったのでしょう。飼い主を見誤った犬が、一生懸命に尻尾を振って駆けつけた。失礼ながら、そんなふうに見えました。恥ずかしい。惨めです。それを指摘しないメディアもおかしい。 米国が孤立主義に振れれば、日本は対米従属から対米自立へと向かわざるを得なくなる。私も早く自立してほしいと思います。ではすぐにそっちへ向かうかと言えば、官邸や外務省にはそのビジョンも意志もないでしょう。だって、見捨てないでくださいご主人様、とやったばかりですよ。大統領選中の報道や論議もおかしかった。トランプになったら、ヒラリーだったら、日本への影響はどうだこうだ、と。これは変でしょう。自分たちはこうしたい、というのが一切なくて、米国はどうなるかという読み解きばかり。異様です。何も考えずに米国にくっついてさえいればいいと思っている証拠でしょうね。今後、日本に米軍の駐留経費を100%負担せよと言ってくるかもしれません。いや150%、200%出せ、かもしれない。はたして安倍政権は断れるのか。私は断れるという気がしません。 そもそも、米軍基地の有無や規模と自立性の程度はほとんど関係ない。ドイツを見てください。巨大な米軍基地がある。それで米国の顔色をうかがうような政治をやっていますか。違いますね。沖縄で米軍基地問題がこれだけ軋轢(あつれき)を起こしているのに、なぜ政府は正面から向き合わないのか。もし、私が権力中枢にいたら、「日米安保を断固維持するために、なんとかして地元の怒りを静める」と考えます。4月には沖縄でレイプ殺人事件がありました。1995年の米兵による集団暴行事件の記憶もある。内心慌てている米国に、こちらは「日米地位協定ぐらい改定しないとまずい」と持ちかける。その気があれば、強い姿勢で交渉できるはずです。でも日本政府はやらない。最強の用心棒を怒らせやしないか、恐れているからでしょう。だから沖縄の苦悩には向き合わずに、とにかく米国のご機嫌をとっている。 親米保守政権にとって一番大事なのは、米国支配の世界秩序が続くことです。米国に寄りかかっていれば、自分の立場を守れ、変わる必要はない、と思えるからです。日本のTPP反対派にはトランプ氏に期待する向きもありますが、楽観していません。「アメリカ・ファースト」とは、TPPなど手ぬるい、米企業のために日本はもっと市場を開けろという要求だと解釈できる。国民皆保険をやめて米の民間保険会社を入れろとか、水道事業を民営化しろとか。こうした要求に抵抗する覚悟が現政権にあるとは思えない。ひたすら対米追従するという日本側の本質は何ら変わっていないのだから、米国の国益追求がむき出しになる分だけ、今後、従属の露骨さはむしろ強まると思います。 90年前後に冷戦が終わり、敗戦によって生まれた対米従属を続ける必要はなくなったのに、保守政権はその後もそれをやめようとしない。だから私はこれを「永続敗戦」だと名づけました。この構図がなお続く可能性は高い。保護者なき日本はどこへいくか、ですか。そもそも日本にとって保護者は存在したのでしょうか。これは国と国との関係です。親分と子分の関係だって、互いに都合がいいから。利害が変われば関係も変わる。もし「愛してくれているから同盟関係にある」などと信じているとしたら、そんなおめでたい国は日本だけでしょう。
(聞き手 編集委員・刀祢館正明)しらいさとし 77年生まれ。京都精華大学専任講師。13年の「永続敗戦論」(石橋湛山賞)が話題に。ほかに「戦後政治を終わらせる」「『戦後』の墓碑銘」など。 |
イラク軍、モスルを完全包囲 ISISの補給ルート断つ(2016.11.24 ThuCNN) 原発なくそう 1600人パレード 宇都宮で市民団体主催(2016/11/24東京新聞) (興流インド)膨らむ中間層、消費牽引 2020年に8億人、変わる流行(2016/11/24朝日新聞) 博士課程に進むならドイツはいかが?(2016/11/24WEBRONZA-朝日新聞) 米国Foreign Affairs誌に10月31日付けでカーネギー評議会のDevin Stewart氏が書いた「Japan Gets Schooled −Why the Country's Universities Are Failing−(一からやり直せ! −何故、日本の大学はだめなのか−)」の記事を読んで、「外国人が警告している」という事実に衝撃を受けた。高等教育予算の対GDP比が米国はいうに及ばず韓国よりも低いこと、海外への留学生も海外からの留学生も他国と比べ少ないこと、そして時代遅れの教育とシステム、日本の大学のお寒い現状がこれでもかというばかりに指弾されている。 ・・・ドイツは地方分権が大学にまで及んでおり、研究も全ての大学が自然な形で分担している。一方、日本は東大と有名校数校が飛び抜けており、中央集権的で異常だ。私は教育資源を有効活用しているドイツ型が教育には望ましいと思う。ドイツは元々、学部が5年であったが、世界に合わせるため、学部3年、修士2年、博士3年を目安とするように変わってきている。ドイツの大学は、高校卒業資格試験(Abitur)に合格すると、誰でも、いつでも自分の行きたい大学に進学することができる。私が住むドレスデンにはドレスデン工科大学(TUD)という文系・医学含む総合大学がある(ドイツでは歴史的理由で総合大学が工科大学の場合がある)。ドレスデンはザクセン州の州都であり、ザクセンを愛する地元からの学生が多数を占める。ドイツでは大学に入る前に「世界を見てみたい」など1年掛けてバックパッカー旅行をしたり、ボランティアに従事したりする若者が多い。入学資格は一生有効なので、会社に就職し社会経験を積んでから大学に入る学生もいる。「人と違うこと」が大切で、「自立的人間」が求められるドイツでは、個々の人の人生も幅が広い。 沖縄振興予算/翁長知事、満額確保要請 首相官邸で(2016/11/24毎日新聞) http://mainichi.jp/articles/20161124/k00/00e/010/185000c 社説/鶴保沖縄担当相 資金も言動も問題多い(2016/11/24毎日新聞) http://mainichi.jp/articles/20161124/ddm/005/070/060000c 社説[米TPP離脱]批准の前提が変わった(2016/11/24沖縄タイムス) トランプ氏、女性重用 教育長官に実業家デボス氏(2016/11/24東京新聞) ドイツの政治 反トランプ的な価値観(2016/11/24東京新聞) (声)南スーダン、民生支援こそ誇り(2016/11/24朝日新聞)無職 清水有(三重県 78) 新任務の「駆けつけ警護」が付与された自衛隊のPKO派遣部隊が南スーダンへ派遣された。「ジュバ市内が落ち着いていると目で見ることができた」。稲田朋美防衛相は10月、南スーダンの首都を視察し、そう述べた。自衛隊に駆けつけ警護が付与されたのはその約1カ月後だ。数時間の滞在でどれほど情勢分析できたと言うのだろう。視察の3カ月前、同国で展開中の中国軍部隊がロケット砲の攻撃を受けた。死者が相次ぎ、中国版ツイッターは「これ以上、負傷者や死者に苦しむ価値はない」など批判であふれた。国際協力機構(JICA)は同国に「給水施設新設」などを行っている。こうした民生支援こそ世界に誇れるものだ。日本は戦後、憲法を順守し、一人の自衛官も殺されず、外国人を殺すこともなかった。それで国際的信用を得たはずだ。今後も、武器を使わぬ貢献に徹する方が良い。稲田氏は駆けつけ警護の付与を命じた際、「全てのことについての責任は私にある」と述べた。だが平和国家日本の歴史が覆る事態になれば稲田氏が責任を取るだけでは済まない、国の汚点になる。 |
TPP発効不可能に トランプ氏「就任日に離脱」(2016/11/23朝日新聞) 「国連の保護下でも安全ではない」 南スーダン首都ジュバ(2016/11/23朝日新聞) ベトナム、日本からの原発輸入撤回 福島第一の事故影響(2016/11/23朝日新聞) (声)排斥や差別では格差是正できぬ(2016/11/23朝日新聞) 看護師 外山貴久(東京都 30) 米国でトランプ氏が次期大統領に選出された。勝因の一つは、鉄鋼業や製造業が廃れた通称「ラストベルト(さびついた地帯)」を重視したことだという。職を失ったり、所得が大幅にダウンしたりで、豊かさから置き去りにされたと感じる人たちが、米国第一主義を掲げ、超保護主義を主張するトランプ氏に投票したのだ。ここからも、今の米国社会は経済格差の影響を大きく受けていると読み取れる。経済格差の原因はグローバル化だとして、保護主義的な政策を目指す勢力が台頭しているのは、米国だけではない。英国は欧州連合(EU)離脱を選択し、フランスでも、右翼・国民戦線(FN)が勢いづいている。だが経済格差は、各国が一握りの富裕層や大企業の利益を優先し、所得の再分配や社会保障の再構築など貧困問題への取り組みを怠った結果ではないか。恐ろしいのは、欧米で、国民の怒りの矛先を本質からそらし、移民やマイノリティーなど身近な弱者に向くよう扇動する勢力があることだ。排斥や差別で経済格差が解決できるわけがない。今こそ各国は格差是正に知恵を絞り合うべきだ。 (声)国は原発の全コストを洗い出せ(2016/11/23朝日新聞)無職 横川健二郎(長崎県 76) 福島第一原発事故で新たに発生する廃炉や賠償など膨大な費用を捻出するため、経済産業省が国民に広く負担を求める方向で検討を進めている。送電線使用料に費用を上乗せする案を議論しているようだ。しかし、どのような根拠で計算し、最終的にいくら必要で、そのうちどれだけを国民が負担すべきなのか、経産省の議論からは見えてこない。多くの国民は、核燃料サイクル計画への反省や、まともな放射性廃棄物処分案、老朽化原発の廃炉費用などについても、国がきちんと示そうとしないことに不信感を募らせている。それを経産省は理解しているのだろうか。置き去りの問題はないか、東電の企業努力の限界はどこまでなのか……。国の誤った政策のツケを国民に転嫁するのなら、原発に関する全コストや、これまで見ぬふりをしてきた問題を、国民が納得できるまで広く洗い出してほしい。「手に負えない事態だ」と国民に納得してもらう努力が必要だ。また、政府は、これでもなお原発を「安価なエネルギー」と主張するのなら、その根拠も示してほしい。 原発と地震 やはり不安は消えない(2016/11/23東京新聞) 配偶者控除 女性活躍の理念どこに(2016/11/23東京新聞)
貿易の保護主義 不平等の解消が急務だ(2016/11/23京都新聞) 火星地図200年の歴史、こんなに進化した15点(2016.11.23ナショナルジオグラフィックス)
都内殺処分203匹をゼロ公約した小池知事の本気度(2016年10月13日毎日新聞)駅義則 / ジャーナリスト 築地市場移転問題で連日、トップニュースを飾っている小池百合子・東京都知事。選挙期間中に「待機児童ゼロ」「満員電車ゼロ」など「七つのゼロ」を公約に掲げて当選した。その一つが「ペット殺処分ゼロ」だ。・・・都の殺処分数は比較的少ないほうだが、全国では年間約10万匹の犬や猫が、都道府県の施設や保健所で、引き取り手のないまま殺処分されている。数は年々減っており、すでに神奈川県や熊本市で殺処分ゼロを達成した例もある。ただ、それはあくまで行政が処分する数がゼロになるだけ。問題解決というわけではないし、行政が目標達成にこだわって引き取りに消極的になれば、ひそかに捨てられる例が逆に増える可能性もある。今回は「猫ブーム」の陰の部分、殺処分について報告する。・・・ 戦後、国内では狂犬病が広がっていた。1950年施行の狂犬病予防法に基づいて野犬狩りが行われ、殺処分されるのは猫より犬が圧倒的に多かった。例えば74年度の全国殺処分数は犬115万9000匹に対し、猫は6万3000匹だった。 「猫の飼い主探し」ボランティア頼みの限界(2016年10月17日毎日新聞)駅義則 / ジャーナリスト |