アンドラ公国 Andorra
ピレネー山中にあり、フランスとスペインに挟まれた国家。フランス大統領とスペインのウルヘル司教を国家元首とするミニ国家である。首都はアンドラ・ラ・ベリャ。国家元首である大公は、スペインのウルヘル司教とフォワ伯爵位を法的に継承するフランス大統領との二頭制である。その権限は、首相の任命等、儀礼的なものに限られる。この両名がアンドラに来訪することはほとんどなく、それぞれの代行者が来訪して、またはそれぞれの駐在代理官が委任を受けて、その権限を行使する。
■アンドラ・ラ・ベリャ
Andorra la Vellaは、アンドラ公国の首都。 アンドラの南西部に位置し、地名はカタルーニャ語で「古いアンドラ」を意味する。フランスとスペインの国境地帯に聳えるピレネー山脈に位置するアンドラ公国の南西部にある。標高は1,409m。ヨーロッパの首都としては最高地点である。ケッペンの気候区分では温帯に属するが、スキーリゾートとしても名高い。新石器時代から人が住んでいた跡がある。アンドラは、イベリア半島のムーア人との緩衝地帯として8世紀にカール大帝によって設置されたスペイン辺境領の一つになる。1287年以来のフランスおよびカタルーニャのウルヘル司教の共同統治の時代から、アンドラ・ラ・ベリャはアンドラの中心都市として機能していた。共同大公の制度のため、アンドラは独自性を保ち続けた。
■エスカルデス
Escaldes-Engordany教区は、アンドラ公国の教区の1つで、南部に位置する。1978年、アンドラ・ラ・ベリャ教区を分割する形で成立したもので、アンドラの教区の中では最も新しい。人口は16,918人(2005年)、面積は74km2。エスカルデスには、ピレネー山脈からの温泉(硫黄泉)を利用したスパ・リゾート、カルデア(Caldea)がある。特徴的な建物はフランスの建築家、ルオル(Jean-Michel Ruols)による。
■サン・ジュリア・デ・ロリア教区
アンドラ公国の教区の1つで、スペインと国境を接し、最も南に位置する。サン・フリア・デ・ロリアと表記されることもある。中心都市はサン・ジュリア・デ・ロリア。アンドラ・サッカーリーグのUEサン・ジュリアやFCサンタ・コロマやUEサンタ・コロマが本拠地を置く。サン・ジュリア・デ・ロリアにアンドラ大学がある。
■アンカム教区
Encamp教区は、アンドーラ公国の教区の一つである。人口は10772人(2002年)。
■オルディノ教区
(Ordino)教区は、アンドラ公国の教区の一つである。アンドラ人コミュニティの一つである、エル・セラットがある。人口は2485人(2002年)、面積は89km2。
■カニーリョ教区
(Canillo)教区は、アンドラ公国の教区の一つである。人口は3205人(2002年)、面積は121km2。
■ラ・マサナ教区
(La Massana)地区は、アンドーラ公国の教区の一つである。人口は6660人(2002年)、面積は65km2。
■宗主国
宗主国(そうしゅこく)とは、実際の権力は対等もしくは逆転しているが格式や権威において上下関係を有するか、または格式や名目上の権威においては対等だが権限範囲において上下関係を有する諸国において、その最上位にあって他の関係諸国を下位とする国である。
外務省:アンドラ公国
在フランス日本国大使館(アンドラ公国兼轄)
■アンドラ自由党
Partit Liberal d'Andorraは、アンドラ公国の自由主義政党。アンドラにおける最大政党である。自由主義インターナショナルと欧州自由民主改革党に加盟。2001年3月4日の選挙では、46.1パーセントの得票でアンドラ議会(渓谷総会)28議席中、16議席を獲得した。しかし、2005年4月24日の選挙では14議席に後退した。党首は前首相のマルク・フォルネ・モルネである。モルネは1992年に自由党を設立した人物でもある。2005年に同じく自由党のアルベール・ピンタートと首相を交代した。
■社会民主党
Partit Socialdemocrataは、アンドラの政党。社会民主主義を標榜する。社会主義インターナショナル加盟政党であり、欧州社会党にもオブザーバー加盟している。 2001年、2005年の渓谷総会(議会)選挙では第2党にとどまったが、2009年7月の渓谷総会選挙で半数の14議席を獲得して第1党となり、ジャウマ・バルトメウを首相に輩出した。
■間接民主制
民主主義における政治制度の一つ。代表民主制、代議制ともいう。議会制民主主義(議会民主制)と同義である。選挙などのある一定の方法によって民意の代表者を選出し、自らの権力の行使をその代表者に信託することで、間接的に政治に参加しその意思を反映させる政治制度をさす。対になる概念として、直接民主制がある。現在、ほとんどの国が間接民主制だが、ハンガリーのインターネット民主党のように、昨今の技術革新を積極的に活用することで直接民主主義への復古を目指す政党も存在する。
■タックス・ヘイヴン
tax havenとは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことである。租税回避地(そぜいかいひち)とも呼ばれる。タックス・ヘイヴンは、小さな島国など産業が発達しない国が、国際物流の拠点となることを促進するために作った制度である。貿易の拠点となれば定期的に寄港する船乗りなどが外貨を消費するため、海洋国家にとっては有利な方法だと考えられてきた。したがってタックス・ヘイヴン税制が適用される業種は、本来は物流セクターであった。
■商業
冬期のスキーやスノーボード、夏期のトレッキングやスパなどのレジャー産業が盛んで、タックス・ヘイヴンの上に成り立つ格安の宝石店、自動車パーツ店、免税店(ヨーロッパ全域のブランド品・タバコ・香水を扱う)でのショッピングを含めた観光業が基幹産業となっている。マドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷は世界遺産にも登録されている。
■国名
正式国名はカタルーニャ語で、Principat d'Andorra(プリンシパット・ダンドーラ)、通称、Andorra(アンドーラ)。フランス語では、Principauté d'Andorre(プランシポテ・ダンドール)、通称、Andorre(アンドール)、スペイン語では、Principado de Andorra(プリンシパード・デ・アンドーラ)、通称、Andorra(アンドーラ)、英語では、Principality of Andorra(プリンシパリティ・オブ・アンドーラ)、通称、Andorra(アンドーラ)である。国名はバスク語起源の語に由来すると推定されるが、詳細は不明である。
1.面積:468平方キロメートル
2.人口:84,000人(2008年、国連統計部)
3.首都:アンドララベリャ
4.言語:カタルニア語(公用語)、スペイン語、ポルトガル語、フランス語
5.宗教:国民の大多数がカトリック
6.略史(1)10世紀以来、宗主のウルヘル司教と、司教から封土としてアンドラを与えられていたフォア伯爵との間で統治権をめぐる争いが発生した結果、両者は、1278年に対等の封建領主権(徴税権、裁判権、徴兵権)を共有する「対等の宗主契約」を結び、以後、両者がアンドラの共同領主となった。
(2)共同領主の地位は、司教側で現在に至るまで代々ウルヘル司教に引き継がれているが、フォア伯爵側では当時のフォア伯爵がフランス王(ブルボン朝初代のアンリ4世)として即位して以来、フランス国王に引き継がれ、フランス共和国となった後はフランスの国家元首(大統領)に継承されている。
(3)1993年2月には新憲法がアンドラ国会で可決、同年3月住民投票で賛成多数で承認され、アンドラは国家として独立した。フランス及びスペインは1993年6月1日に、アンドラ公国を主権国家として明示的に承認した。ただし、国家元首は引続きフランス大統領とウルヘル司教が共同元首。また、同年7月国連加盟国の全会一致で国連加盟が認められた。
■主要産業:観光業、サービス産業、タバコ産業
■ユーロ
欧州連合における経済通貨同盟で用いられている通貨である。ユーロはヨーロッパでは23の国で使用されている。この23か国のうち17か国が欧州連合加盟国である。ユーロは準備通貨としてはアメリカ合衆国ドルの次に重要な通貨の地位を有していた。さらに、一時は第2の基軸通貨と呼ばれていた。しかし、近年のユーロ危機で、通貨連盟の矛盾が表面化しその存続を危ぶむ意見さえも出るようになってきている。
■交通
国内の交通は自動車とバス、オートバイが一般的である。スペインとフランスとの間は幹線道路で結ばれており、特にバルセロナとの間には、高速道路が一部完成していることから交通量も多い。空港、港、鉄道はない。ヘリポートは存在する。
■情報通信
テレビ局とラジオ局がある(RTVA)。郵便はフランスおよびスペインの郵便局が配達、アンドラ国内の送料は無料。街中に両国の郵政公社によるポストが設置されている。インターネットの国別ドメインは.adである。
■産業
冬期のスキーやスノーボード、夏期のトレッキングやスパなどのレジャー産業が盛んで、タックス・ヘイヴンの上に成り立つ格安の宝石店、自動車パーツ店、免税店(ヨーロッパ全域のブランド品・タバコ・香水を扱う)でのショッピングを含めた観光業が基幹産業となっている。マドリウ=ペラフィタ=クラロ渓谷は世界遺産にも登録されている。スペインやフランスなどの周辺の国の人々の別荘も多く存在している。近隣の大都市であるスペイン・バルセロナからは、毎週末になると週末の観光を兼ねた買出し客が国境を超えて押し寄せることもあり、国境沿いの道路にはそれらの客を目的にした免税スーパーマーケットや免税ガソリンスタンドが軒を連ねる。