どれだけ歩いてきただろう
置き去りにした景色が
目の前にある
季節のように
時間が巡り来たのだろうか
遠い記憶が立ちはだかる
あの時の風だ
青を含んだひんやりする風は
他にない
流星が降り注ぐ街
水上に浮かぶ街
やさしい笑顔が咲く街
あの時の街だ
あふれる光に包まれた街は
他にはない
どれだけ歩いてきただろう
記憶の底に
沈んでしまった街が
ここにある
色あせない街が浮上する
花も緑もざわめきも
同じ景色がここにある
時間の底に沈んだのは
僕自身だったのだろうか
僕は
夢の中を歩いていたのだろうか
不安が僕を振り返らす
ない
歩いて来たはずの道がない
そこには
いないはずの君がいる
何一つ変わらぬ香りと
微笑みが僕を包む
どれだけ眠っていたのだろう
目が覚めた今が夢なら
もう決して眠らない