デザインについて
デザインとは想像から派生する無数の創造行為ですが
人間の体や心の形もまた想像力によって形成されていくものだと思うのです。
<、色、形、空間、そして夢>
「デザイン」について広辞苑で調べると次のように記載されています。
1.下絵、素描、図案 2.意匠計画、生活に必要な製品を制作するにあたりその性質、機能、技術および美的造形性などの諸要素と、生活、消費面からの各種の要求を検討、調整する総合的造形計画。 と書かれています。 ですから、当然のごとく「デザイン」の範疇は広く、プロダクツからグラフィック、テキスタイル、建築や都市計画などのスケールの大きなものも含まれます。もう少し言えば、作曲は音階のデザインですし、 詩は言葉のデザインです。ただし絵画、音楽、文学などの芸術分野においては「人間性」と「精神性」が最重要であるのは言う迄もありませんが、それらは「心のデザイン」と言えなくもありません。
そして、化学式や分子構造の表現、物理で用いられる様々な構造モデル、遺伝子工学で使用されるDNAモデルもデザインの一環です。だからこう思うのです。デザインとは? 「人間の限りない夢を実現するために、あらゆるイメージを形へと変えて行く作業」こう言い換えても良いのではないでしょうか
Designとは
<自然のデザインと人間のデザイン>
そして、「デザイン」にはもう一つ、意識しておかなくてはならない事があります。それは人類そのものや、万物(植物や動物そして存在する全てのもの)をデザインしつづける神秘的な力です。 この地球上の全ての色や形を決定している「自然のデザイン」です。心が洗われるような青い海、そして青い空。夜空に瞬く無数の星達と、輝く月・・・この宇宙は隅々まで、完璧にデザインされています。 一輪の花を見ても、一匹の蝶を見ても、一羽の鳥を見ても、その美しい造形や、模様に驚かされます。まさに、見事と言うほかありません。一体、どんな設計図に基づいて作られているのだろうか? 自然界のデザインはその設計図すら思い描けないほど洗練されています。全ては必然というコンセプトのもとに、創造されているからなのでしょう。 人間がその想像力をどれだけ広げようが宇宙が創りだすデザインにはかないませんが、すぐれた芸術家や科学者が創作する作品や発明は自然界と人間世界をつなぐ翻訳のような作業とも言えます。
私たち人間は、ずっと昔から「自然のデザイン」を通して多くの事を学びつづけています。科学、芸術、哲学・・・あらゆる学問が自然界から創造のヒントを得ています。そして私達が作り出す「人間のデザイン」は この偉大な「自然のデザイン」を手本としながら、自然にないものを作り出して行きます。ですから優れたデザインには必然的に「創造の師」である自然との調和があるはずです。
しかし「人間のデザイン」は人工である以上、自然界との衝突が起こる場合もあります。その理由の多くは経済的理由、利益追求が度を超して盲目的になる時、デザインは政治や産業界に悪用されてしまいます。 それは時に自然破壊をもたらしたり、原発などの取りかえしのつかない施設なども作ってしまいます。しかし、だからこそ私達は、出来る限り自然との調和を考え、かけがえのない自然体系をいつまでも残せるよう、努力する必要があるのです。
決して経済優先では行けないのです。そのためにはどうしたらいいか?一つの答えとして、あらゆるデザインの底流に「やさしさ」と言う共通のコンセプトを持たせる事、 そしてデザイン(全ての創造活動)は自然界があるから成り立っているのだと言う事を創造に携わる人間は肝に銘じなければ行けないと思うのです。
この商品を宣伝してもいいのだろうか、この海を埋め立ててもいいのだろうか、この山を削ってもいいのだろうか、この街並を壊してもいいのだろうか、自然への配慮と人間へのやさしさがちゃんと守られているだろうか? 創造の世界に携わる以上そのような問いかけが常に胸に去来するような姿勢が必要ではないでしょうか。 このコラムを通して、デザイン(創造)にまつわる様々な事柄(色、形、空間、感覚、アイデア、映画、本)とやさしさの関係等、私なりのものの見方、考え方を書いて見たいと思います。 Copyright (C) 2010 Masaki Matsuura. All rights reserved.
笑顔も重要なデザイン
人に声をかけたり会釈をした時に笑顔を返されると気持ちのいいものです。とりわけ老人の笑顔には深い味わいがあって苦労や喜びに刻まれた無数のしわから来るのかも知れません。 人の顔も背中も歩き方も話し方もその人が作り出したデザインです。 生まれつきの容姿や環境ではなくまさにその人の生き様が姿形に現れます。それが教育や知識によるものではない事は多くの政治家の顔や姿勢を見れば明らかです。 経済的に恵まれ教育も十分に受けているのに何故にあんなに貧しそうであったり、無教養であるかのような人相になるのだろう?それは言動にも現れて人間とは何かを考えさせてくれます。
貧しさや障害の中でまともな教育さえ受ける事が出来なかった人の中にも賢くて心豊かな人がいます。むしろ優れた人が多いのではないかと思うぐらいです。人間とは?生きる事とは?賢さとは? 豊かさとは?幸せとは?いつか四国の山中で出会った農家のおばあさんは腰が地面につくほど曲がっていました。 長年の畑仕事のせいでしょうか、でもその姿は美しく日に焼けたしわくちゃの顔からは素敵な笑顔があふれていました。自然がおばあさんをデザインしたのでしょうか。
いややっぱりおばあさんの生き様が笑顔をデザインしたのだと思います。時々笑い方を忘れてしまったのではないかと思うほど頑迷な顔をした人にも出会います。いやらしい薄笑いを浮かべる人、 大声で周囲を顧みない馬鹿笑いを発する人もいます。いい笑顔は上品です。上品さは謙虚さだし謙虚さは賢さそして賢さは人への思いやりだと思うのです。
次は色彩についてです>>>
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1.デザインとは 2.色彩について 3.映画鑑賞のすすめ 4.形について 5.街歩きのすすめ 6.山歩きのすすめ 7.空間について 8.ストーリー性について 9.読書のすすめ 10.五感とデザイン 11.旅行のすすめ 12.イメージについて |
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