民主党大会 野党結集への道筋描け(2016/02/01京都新聞)
自民「1強」政治に対抗しうる勢力の結集は実現できるのか。今夏の参院選を前に、野党は正念場を迎えている。・・・具体的には、32の改選1人区での選挙協力や候補者調整が焦点になるだろう。熊本選挙区では共産、維新、社民3党とともに、地方組織レベルで、無所属候補の擁立を決めたが、党内には共産と共闘することへの反発も強く、他の選挙区での協力はまだ見通せない。野党だけでなく、安保関連法に反対する若者グループ「SEALDs(シールズ)」など市民団体と連携する方法もある。「政権交代のための足がかり」と位置づけるなら、その中心軸となる覚悟と本気度をみせてほしい。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160201_4.html
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<社説>防衛省態勢強化 民意の曲解は許されない(2016/02/01琉球新報)
辺野古新基地の建設を拒否する沖縄の民意を見誤ってはならない。政府の都合で曲解することは断じて許されない。政府は辺野古新基地建設に向け、防衛省職員を増員する方針を決めた。担当する大臣官房審議官や大臣官房参事官を新設する。土木建築に詳しい国土交通省の職員も出向する。埋め立て本体工事に向けた態勢固めである。宜野湾市長選で現職の佐喜真淳氏が再選されたことで政府が意を強くしたのであれば全く論外である。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-213889.html
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大阪府警5千事件放置、8割時効 ずさん管理浮き彫り(2016/02/01東京新聞)
大阪府警の大半の警察署で計約5千事件の関係書類や証拠品が不適切に保管され、8割を超える約4300件が放置されたまま公訴時効が成立していたことが1日、府警への取材で分かった。関係する証拠品などは約1万点に上った。府警では証拠品をめぐる不祥事が相次ぎ、管理体制の見直しを進めているが、ずさんな取り扱いがあらためて浮き彫りになった。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016020101001191.html
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週のはじめに考える 経綸のともしび遥か(2016/02/01東京新聞)
週明け国会は新年度予算の本格審議です。この予算も先送りの「財政再建」を、私たちはいつまで放置するのでしょう。いつか行き詰まると知りながら。・・・結果、国と地方の借金残高は千数十兆円。年々「国の信用」が薄らぎ高利の借金が膨らむ一方で、返済を負担する将来の納税者人口は減る一方です。なのに、そんな財政危機にあえて目をつむり、借金も歳出も減らさない。あとは増税頼みが現下の政策とするならば、それは将来の国民に対して、無責任な先送り策でしかありません。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016020102000129.html
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エネルギー転換を描く映画「第4の革命」の続編(あきこ / 2016年1月31日みどりの1kWh)
農業革命、産業革命、デジタル革命に次いで、再生可能エネルギーへの転換を“第4の革命”として取り上げたカール・A・フェヒナー監督のドイツのドキュメンタリー「第4の革命 − エネルギー・デモクラシー」は、日本でも多くの都市で上映され、注目を浴びた。同監督の次の作品についてのニュースが届いた。・・・ドイツが産業の時代の幕開け以来、最大の構造変革に直面していることには疑いの余地がない。100年の事業と言われるエネルギー転換を映像によって身近に見せようという意図を持っている」というのが、このドキュメンタリーを制作した背後にある思想である。映画は、以下の疑問に対する答えを見つける旅を描いている。
エネルギー転換は私たちにとって具体的に何を意味するのか
経済的、生態学的、社会的チャンスはどこにあるのか
問題とリスクはどこにあるのか
私たちは何を得ることができるのか、またそのためにどのような代価を払うのか
映画では地域分散で実践されるエネルギー転換に焦点を当てる。自分たちの生活の土台の維持を自らの手に取り戻した人々の極めて個人的な話を取り上げ、彼らの人間性と活動の場を織り込んで現代の記録へと仕立て上げた。深く掘り下げたリサーチに支えられたジャーナリスティックで分析的な視点から、活動家、企業家、懐疑家、批判者たちを見つめながら、エネルギー転換をめぐる彼らの日常的な闘いを写しだす。世界滅亡のシナリオとエネルギー転換の実現性をめぐる現実離れした議論に終止符を打つ映画である。退屈させず、観客を引き込み、お説教的なところはない。しかし、譲れないところはきっちりと主張している。
http://midori1kwh.de/2016/01/31/7742
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シリア、爆発45人死亡 IS声明(2016/02/01朝日新聞)
シリアの首都ダマスカス郊外で1月31日、爆発があり、国営通信によると45人が死亡、多数が負傷した。過激派組織「イスラム国」(IS)は同日、敵視するイスラム教シーア派を狙ったとの犯行声明をインターネット上に出した。首都周辺で起きたISの攻撃としては最大規模。スイス・ジュネーブで始まったシリア和平協議にも影響を与える可能性がある。・・・ アサド政権はISやアルカイダ系武装組織「ヌスラ戦線」が支配地域を広げる中、ダマスカスや中部ホムスなど主要都市の統治を固めてきた。昨秋のロシア軍の介入後、反体制派の支配地域を徐々に奪還。劣勢だった政権軍に余裕が出てきたと見られていた。しかし、1月26日にホムスで爆破事件が起きて少なくとも29人が死亡。ISが犯行声明を出した。ISはイラクでは劣勢が指摘されているが、シリアでは昨年5月のパルミラ制圧後もさらに拡張を図っており、勢いの衰えは見られない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12188173.html
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(声)安保法廃止へ野党結集が必要(2016/02/01朝日新聞)会社顧問 宇野裕(東京都 62)
民主党は安全保障関連法を廃止する法案を、維新の党と共同で提出するという。憲法に適合するか大きな疑念があるのだから、もう一度出直すのは当然だと思う。対案となる周辺事態法改正案などを同時に出すことも、責任ある態度として評価したい。「政府がやろうとしていることは、こうすれば平和憲法の趣旨を損なうことなくできる」と胸を張って主張してもらいたい。政府も逃げずに、正々堂々と受けて立つべきだ。安保法廃止法案について、共産党の志位和夫委員長は、共同提出に加わるため両党と協議を始めたい意向を示したと伝えられている。一強多弱の国会で、野党が役割を果たすには、とにかく一致できるところでまとまるしかない。特に安保法制は、憲法のあり方に関わる大切な問題である。野合でもなんでもない。ところが、民主党の中からは、共産党との連携を否定する発言が絶えない。こうした大事な法案を一緒に出すこともできないとしたら、野党が結集して自民党の対抗軸をつくることなど果たしてできるだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12188051.html
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(声)家族を引き離した原発いらない(2016/02/01朝日新聞)無職 天野庸秀(福島県 70)
東京電力福島第一原発事故で故郷を追われて老人ホームにいた母が、1月16日に亡くなりました。96歳でした。突然の心不全で、家族は誰も立ち会えませんでした。私は福島県双葉町で生まれ育ちました。2011年3月11日に東日本大震災が起きた時、実家では母、兄夫婦とその長男家族の4世代7人が暮らしていました。母たちが、避難所を経て二本松市の我が家に着いたのは3日後。母は疲れ切った声で「なんだべなあ。戦争の時だって家を追われることがなかったのになあ」と言いました。母は郡山市の仮設住宅で暮らし始めましたが、慣れないせいかトイレで右足を骨折して車いす生活に。「もう家には帰れないなあ。でも帰りたいなあ」と嘆いていました。骨折のために仮設住宅で生活できなくなり、老人ホームで生涯を閉じたのです。4世代の家族が一緒に暮らすことは、もうありません。家族だけでなく、地域の人間関係もずたずたに断たれてしまいました。二度とこんな悲しい離散を起こさないためにも、原発は絶対いりません。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12188052.html
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震災5年 故郷戻れぬまま 原発避難者 移住6900件(2016/01/31東京新聞)
東京電力福島第一原発事故で住まいを追われた福島県の避難住民が、二〇一一年三月の事故後、政府の制度を利用し県内や首都圏などに新たに土地や住宅を買って移住するケースが、毎年増え続けていることが本紙の独自調査で分かった。累計の移住件数は、一五年末現在で約七千件。元の住まいに戻れる見通しが立たず、避難先などで生活再建を図ろうとしている実態が浮かんだ。 (小倉貞俊)・・・ <福島県からの避難住民> 政府の統計では、福島第一原発事故の避難者数は2016年1月14日現在、自主避難含め9万9000人とされる。このうち、県外への避難者は4万3000人に上り、北は北海道から南は沖縄まで全都道府県に及ぶ。特に多いのが東京都(6000人)などの首都圏と、福島県に隣接する山形、宮城、新潟県。ピーク時の16万4000人(12年5月)から減っているが、数多くの人が先行きの見えない暮らしを送っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016013102000111.html
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巨大防潮堤、何守る? 高台の移転地は完成 宮城・雄勝(2016/01/31朝日新聞)
いったい何を守るためなのか。 硯(すずり)の生産やホタテ養殖で知られた宮城県石巻市雄勝(おがつ)町。津波で壊滅した町中心部にいま、130億円をかけて高さ9・7メートル、延長3・5キロの防潮堤を築く計画が進む。津波をかぶったまちの跡は、災害危険区域に指定され、もう人は住まない。高台の集団移転地が完成し、町外で仮住まいを続ける人が戻っても、中心部に住むのは震災前の620世帯から約80世帯にまで減る。・・・「海と陸が切り離された雄勝では、観光客も呼べない。10年以内に町は衰退する」。硯職人の3代目、高橋頼雄さん(48)は語気を強める。自宅を流されながら、この5年近く、町のホタテ祭りなどを引っ張ってきた。「何とかこの地で皆でやっていけないかと、考えてきたんです」・・・岩手、宮城、福島3県で整備される防潮堤は計400キロ、594カ所。うち高さ10メートル以上の区間は50キロに及び、「L1」防潮堤に各地で反対が起きた。話し合いなどを経て約180カ所で計画より低くしたり、堤の位置を変えたりした。調整が終わっていない場所も宮城で18、福島で7カ所ある。防潮堤の総工費は約1兆円とされている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12186991.html
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(社説)税収増の使途 議論自体がおかしい(2016/01/31朝日新聞)
税収が見込みより増えた分をどう使うか。そんな議論が熱を帯びてきた。政府はこれまで「上ぶれ分」と呼んできたが、どうやら「底上げ」と称するようだ。表現はともかく、深刻な財政難を考えれば、どこかを起点に税収の増加分を取り出して使途を議論すること自体がずれており、財政状況への認識が甘すぎる。16年度予算案で見込んだ国・地方の税収は100兆円に迫り、民主党政権が最後に編成した12年度当初予算と比べて13兆円増える(消費増税分を除く)。安倍政権はそう強調するが、16年度も国の財源不足を補うために新規国債を34兆円余も発行することを忘れたのか。ドイツのように新規国債の発行がゼロになったのなら、前年度からの税収の増加分について「新たな事業に充てるか、借金減らしに回すか」を議論するのはわかる。日本の現状はそのはるか手前で、過去に発行した国債の元利払い費を切り離して考える「基礎的財政収支」の黒字化すら見通せない状況だ。・・・ひとつは、消費税率の10%への引き上げに伴う軽減税率の導入だ。低所得者ほど消費税の負担が重くなる「逆進性」対策を理由に、高所得者まで恩恵を受ける軽減税率を1兆円規模で導入することを決めた。それで計算が狂う社会保障財源の穴埋め策の一つとして、6千億円を税収増に頼ろうとする安易な発想である。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12186879.html?ref=pcviewpage
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「食料買えず」43% ひとり親、深刻さ鮮明(2016/01/30琉球新報)
経済的な理由で過去1年間、必要な食料を買えないことがあった県内の子育て世帯は、ひとり親世帯で43%、両親がいる世帯でも25%に上っていることが、県が29日に公表した子どもの貧困実態調査結果で明らかになった。命を支える食事さえも十分に買うことができていない沖縄の子どもの貧困の深刻さが浮き彫りになった。・・・保護者に聞いた調査では、厚労省の相対的貧困基準(等価可処分所得122万円)未満の貧困層のうち、小1では57%が就学援助を利用しておらず、厳しい世帯を支援する既存の制度が十分に活用されていないことも明らかになった。非貧困層を含めた全体での利用は小1が13%、小5が18%、中2が19%で、いずれも子どもの貧困率29・9%より大幅に少ない。大阪市で行われた同様の調査(2012年)では、貧困層の割合が12%であるのに対し就学援助は約3割が利用している。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-213056.html
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<社説>マイナス金利 劇薬の影響を見極めたい(2016/01/30琉球新報)
金融政策の大転換だ。日銀がマイナス金利導入という劇薬を投下した。黒田東彦日銀総裁によるこの賭けが吉凶いずれに転ぶかは不透明だ。効果を慎重に見極め、必要なら速やかに軌道転換すべきだ。民間銀行が日銀に預金すれば、これまでは利息が付いた。だがマイナス金利になると逆に民間側が金利を払わなければならない。預ければ預けるほど損をする仕組みだから、理屈の上では日銀に預けるより市中に貸し付けた方がいいことになる。・・・マイナス金利は床板を取り払って地下を掘るようなものだ。理論上はいくらでもマイナス幅を広げられる。だが持続可能とは思えない。マイナス金利のコストが金融システムから消えて無くなるわけではなく、結局は誰かが負担しなければいけないからだ。・・・負担はいずれ臨界点が来る。そうなればコストは貸出金利に転嫁せざるを得ない。景気刺激のはずが逆に金融引き締めとなりかねないのだ。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-213038.html
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マイナス金利 危険な賭けにならぬか(2016/01/30京都新聞)
黒田東彦総裁は、デフレ脱却へあらゆる手段を講じる決意を示し、年2%の物価上昇目標の堅持をあらためて強調したが、達成時期は「2017年度前半」へ3度目の先送りをした。3年近くになる大規模金融緩和の手詰まりから新手法に追い込まれたと言えよう。・・・だが効果の不透明さは政策決定会合で黒田氏ら導入賛成5人に対し、反対委員が4人に上ったことが物語る。世界経済の変調や内需低迷に企業は設備投資や賃上げに慎重で、大幅な貸し出し増には疑問符が付く。そうなると銀行は手数料負担を借り手に転嫁し、逆に景気を下押しする恐れがある。日銀は今後、金利のマイナス幅拡大も辞さぬ構えだが、投資家が円を手放して急激な円安が進む副作用も心配だ。緩和マネーで株価を一定支えたとしても、輸入物資の値上がりや原油安効果の相殺などの痛みを伴う実体経済との乖離(かいり)が広がる一方ではないか。マイナス金利導入は、金融政策の限界とアベノミクスの行き詰まりを示すものだ。危険な「賭け」で国民生活を脅かし、デフレ脱却を遠ざける懸念が拭えない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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高浜原発再稼働 信頼を結べぬままに(2016/01/30東京新聞)
絶対の安全などないという。だとすれば、大切なのは「信頼」だ。その信頼を結べぬままの関西電力高浜原発(福井県)再稼働。何をそんなに急ぐのか。何度でも繰り返す。原子力規制委員会をはじめ、誰も安全だとは言っていない。安全を保証するものはいない。
万一の事故が起きても、原状回復はおろか、満足な補償ができる力は国にもない。ほとんど無責任体制のまま、立地する自治体だけの同意を免罪符のようにして、原発が再稼働されていく。これではまるで、無保険の自動車が人混みの中を高速で突っ走るようなものではないか。・・・高浜原発3号機では、核兵器に転用可能なプルトニウムを核廃棄物から取り出して使うプルサーマル発電を実施する。リサイクル計画が頓挫する中、すでにあるプルトニウムを減らすところを米国に示したいという国の事情もある。プルサーマル発電では、原子炉を停止させる制御棒が効きにくくなるという。安全性の検討が尽くされているとは言い難い。何度でも繰り返す。
電力会社の台所事情と政府の思惑が最優先の再稼働。住民にとっては「危険」と言うしかない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016013002000131.html
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<社説>甘利経済相辞任 幕引きは許されない 参考人招致で全容解明を(2016/01/29琉球新報)
金銭授受疑惑をめぐり甘利明経済再生担当相が辞任を表明した。甘利氏は会見で千葉県の建設会社から現金計100万円を直接受け取ったことを認め、秘書が受け取った500万円のうち300万円をその秘書が使ったことも明らかにした。甘利氏は違法性を否定した。だが秘書の記憶に頼る部分が多く、口利きの有無について説明責任を果たしたとは言い難い。閣僚辞任は当然である。第3次安倍内閣では2人目だが、自民党が政権に復帰した第2次以降は4人目である。安倍晋三首相の責任は重大だ。・・・国会は早期に甘利氏の金銭授受、口利き疑惑の全容を解明するため、建設会社側を含めた関係者を参考人として招致すべきである。招致決定は全会一致との慣例があるが、与党が反対することはあってはならない。安倍内閣の重要閣僚が疑惑を持たれているのである。辞任で幕引きすることは許されない。国民の疑問に応え、政治不信をこれ以上増幅させないためにも、積極的に参考人招致に賛成してもらいたい。それが与党の責任である。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-212360.html
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原発敷地に埋設 松江市長「困る」 低レベル放射性廃棄物(2016/01/29ヒロシマ平和メディアセンター)
茨城県東海村の山田修村長が、村内の日本原子力発電東海原発の廃炉作業で発生した低レベル放射性廃棄物(LLW)の一部を原発敷地内に埋めるのを容認する方針を示したことについて、廃炉となった中国電力島根原発1号機立地自治体の松江市の松浦正敬市長は28日、「廃炉だからといって(LLWを)ずっと積まれるのは困る」と述べ、敷地内埋設を認めない考えを示した。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=55902
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高浜原発再稼働 見切り発車は許されぬ(2016/01/29京都新聞)
関西電力はきょう、高浜原発3号機(福井県)を約3年11カ月ぶりに再稼働させる。未曽有の福島原発事故からまもなく5年を迎える。原因究明が進まず、廃炉の道筋も見えない中、原発の再稼働は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に次いで3基目だが、国民の不安を払拭(ふっしょく)できないままの「見切り発車」は容認し難い。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマル発電の再開は、原子力規制委員会による新規制基準施行後、高浜3号機が初めてだ。通常のウラン燃料に比べ制御棒の効きが悪くなるなど安全性に懸念が残る。「核のごみ」の問題もつきまとう。再稼働で使用済み核燃料が増え、高浜原発を動かし続ければ敷地内の保管プールは7〜8年後に満杯になる。だが核燃料サイクル政策のめどは立たず、最終処分場の立地も決まっていない。・・・それでも関電をはじめ電力業界は、原発を動かせず代替の火力発電の燃料費が膨らむとして、安倍政権と歩調を合わせて原発再稼働に躍起だ。またぞろ原発の「安全神話」が頭をもたげていないか。原発事故は広範囲に長期にわたり生活や故郷を根こそぎ奪う。拙速な原発回帰の動きに危惧を抱かざるを得ない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160129_3.html
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甘利大臣の辞任 首相に重大な任命責任(2016/01/29京都新聞)
甘利明経済再生担当相が、自身の秘書や事務所の不明朗な金銭授受の責任を取って辞任した。安倍内閣の中心的立場にありながら、新年度予算案の本格的な審議や環太平洋連携協定(TPP)の国会承認を前に、内閣の足を引っ張れないことを辞任理由に挙げた。
辞任表明に先立って自身が明らかにした調査の中間報告を見れば、閣僚辞任は当然だ。菓子袋に入れた50万円単位の現金が大臣室や地元事務所で、ぬれ手で粟(あわ)のようにやりとりされる光景は決して許されない。・・・政治の浄化を目指して、22年前に政党活動に公的資金を与える政党交付金の制度が始まった。現在も毎年、300億円を超す税金が共産党を除く各政党に交付されている。政治になぜそんなに多額の資金が必要なのか。今回の疑惑発覚により、国民の政治不信、さらに政治への軽蔑が深まることが何より憂慮される。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160129_4.html
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社説 両陛下フィリピン訪問 戦争の記憶 刻む節目に(2016/01/29ヒロシマメディアセンター)
天皇、皇后両陛下は、日本との国交正常化60周年を迎えたフィリピンを歴代天皇として初めて訪問された。太平洋戦争の激戦地に足を運び、全ての戦没者を慰霊したいという陛下の思いがそこにはある。憲法に平和主義を掲げてきた戦後の日本にとっても一つの節目であり、両国の絆がさらに強まることを切に願いたい。両陛下のフィリピン訪問は、昨年6月にベニグノ・アキノ大統領を迎えた宮中晩さん会で大統領から招請を受けたことに始まる。陛下はその席上「先の大戦においては、日米間の熾烈(しれつ)な戦闘が貴国の国内で行われ、この戦いにより、多くの貴国民の命が失われました」と述べた。戦争への言及はフィリピンの歴代大統領を迎えた過去2回の晩さん会にはなく、戦後70年の節目に「日本人は忘れてはならない」という強い意志が伝わるものだった。 歳月とともに風化する戦争の記憶をどう共有し、引き継いでいくのか。それは私たちの責務ともいえよう。かつてフィリピンは「大東亜共栄圏」を掲げて南進政策を取った旧日本軍にとって米軍との主戦場であり、51万8千人にのぼる犠牲者を出している。一方でフィリピンにとっては国土が破壊し尽くされた戦争であり、同国政府の推計で111万人の国民の命が失われた。
今回の訪問に先立つ陛下のおことばには「膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン人市民が犠牲になりました」とある。1945年2月から3月にかけて日本占領下の首都マニラが市街戦の舞台となり、10万人もの民間人を巻き添えにしたことを指す。このように近代戦は民間人を際限なく巻き込み、ついには広島、長崎という都市が核で無差別に攻撃される悲劇を引き起こした。二度と繰り返してはならないし、とりわけ加害の側は負の歴史を忘れてはなるまい。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=55850
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ポーランド 自由な報道を取り戻せ(2016/01/29東京新聞)
ポーランド政府が報道の自由を制限し、司法の権限を弱めるなど強権化を強めている。社会主義体制下で、自由と民主化を勝ち取った自主管理労組「連帯」の原点を思い起こしたい。強権政治を進めているのは右派政党「法と正義」の政権。中東からの難民受け入れ反対などを訴え、昨年十月の選挙で上下両院での単独過半数を獲得した。まず、憲法裁判所が違憲判決を出すのに必要な判事の同意人数を過半数から三分の二に引き上げ、判事十五人のうち五人を指名し直して、政策への違憲判断を出しにくくした。公共放送や通信社を国有化する法律を作り、テレビ局、ラジオ局のトップをすげ替えた。政権に批判的だった記者が解雇された。国内外から、抗議の声が上がっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016012902000144.html
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仏イラン「テロ情報を共有」…経済を軸に関係修復(2016/01/29毎日新聞)
【パリ賀有勇】パリを訪問していたイランのロウハニ大統領は28日、オランド仏大統領との共同会見で「テロや過激主義と戦うために情報を共有していく」と述べ、パリ同時多発テロに見舞われたフランスと協力する姿勢を示した。双方はエネルギー分野や航空機購入など経済協力に関する協定に署名。イラン核問題を巡る協議で一時冷え込んだ両国関係は経済を軸に修復され、イランの国際社会復帰を印象づけた。
http://mainichi.jp/articles/20160129/k00/00e/030/226000c
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(声)国民は改憲の中身を見極めよう(2016/01/29朝日新聞)無職 山村哲男(神奈川県 69)
安倍晋三首相が憲法改正について「どの条項について改正すべきかという新たな現実的な段階に移ってきた」と国会で述べた。改憲という自らの看板について意思表明することは否定しないが、看板だけでは中身がわからない。安倍首相が改正条項の一つとして言及したのが、緊急事態条項の新設だ。大災害や戦争が起きた時の政府の権限などを定めるもので、首相は「極めて重く大切な課題」と強調した。東日本大震災のような大災害、北朝鮮や中国の動きを念頭に、国民の危機意識を高める狙いがあるようだ。中身について十分な説明をせずに、国民が「緊急事態条項が必要だ」と何となく受け入れやすい環境を整えていこうとしているのではないか。この動きには注意が必要だ。安倍首相は「国民の理解」が大切と繰り返すが、改憲の発議に必要な議席数を確保したらどうなるか。安全保障関連法の成立前と後に、国民に詳しい説明がなされただろうか。同じようなことが繰り返されるのではないか。国民は、緊急事態条項の具体的中身を見極める必要がある。メディアは、国民の判断に役立つ情報を十分に提供する責任がある。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12183083.html
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(声)若い世代 義務教育で政治を考えさせて(2016/01/29朝日新聞)高校生 和仁崇博(千葉県 17)
一般庶民が国の政治に関わるようになったのは、日本の長い歴史で見れば、つい最近のことです。それまでは田畑を耕し、税を納め、国の政治はその時々のお偉いさん方に任せてきました。そのせいか日本人は政治を考え、意見を発信する力に劣るように感じることがあります。政治に無関心で、国民の権利である選挙に行かない人がいます。義務教育の中で「考え、述べる」授業があればいいと思います。初めは小さな問題から、だんだん規模を大きくして日本の政治を深く考えられるように若者を育成するのです。私は今年4月に18歳になります。夏の参院選は投票に行くつもりです。「誰でもいいから投票する」のではなく、これからの日本をきちんと考えた上で、私たちの代表を選びたいです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12183088.html?ref=pcviewpage
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社会・学校、守るべきは「命」 バス事故で教え子たち犠牲・尾木直樹さん(2016/01/29朝日新聞)
日本社会は、学校は、命を大切にしているか――。自分のゼミの学生4人を長野県軽井沢町でのスキーバス事故で亡くした教育評論家、尾木直樹・法政大学教授が、学校での事件や事故を考える集会で、命が守られていない現状があると訴えた。時折言葉を失い、声を詰まらせながら、切々と語った。・・・ 尾木さんは事故の話の後、教育現場での「命」への向き合い方にも言及した。何かがおかしくなっているのでは、という問題意識だ。「大人の社会だけじゃない。最も命を守るべき学校がおかしくなっている」「いじめで生徒が亡くなっても、授業を淡々といつも通りやっている学校がある」「死んだ子より生きてる子の命が大事という学校もある。亡くなった子を大事にできずに、なぜ生きてる子を大事にできるのか」
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12183071.html
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地下に眠るロンドン (2016/ナショナルジオグラフィックス2月号)
新しい地下鉄「クロスレール」の建設や再開発が進む英国ロンドン。新しい街をつくるため掘られた地下から、歴史を物語る遺物が次々と見つかっている。 ロンドンのように歴史のある大都市では、舗道の敷石の下からも、実にさまざまなものが出てくる。紀元1世紀のフレスコ画から、中世のアイススケート靴、さらにはゾウの歯まで見つかっている。ロンドンはヨーロッパでも最古の都の一つで、いつの時代にも絶え間なく多くの人々が行き交い、暮らしてきた。ローマ人、アングロサクソン人、ノルマン人の都となり、チューダー朝やジョージ朝が繁栄した。そして上流階級の道楽者が町を闊歩する摂政時代を経て、ビクトリア朝を迎えた。時代が変わるたびに、考古学的に貴重な遺物が積み重なり、深いところでは9メートルに達する地層ができた。現代のロンドンはそうした歴史の上に発展しているのだ。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/012200005/012200002/
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5つの惑星が1つの空に、肉眼で観察可能 約10年ぶり(2016/01/26ナショナルジオグラフィックス)
(CNN) 今月20日から2月20日まで、夜明け前の空に5つの惑星が肉眼で見える。この現象が起きるのは約10年ぶりで、天文ファンには嬉しい期間となりそうだ。肉眼で見えるのは水星、金星、火星、木星、土星で、日の出の45分前ごろに観察可能になる。
http://www.cnn.co.jp/fringe/35076585.html?tag=top;topSp
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<社説>那覇基地F15倍増 民間空港転換を進めよ(2016/01/28琉球新報)
沖縄の空に、また一つ不安が加わった。防衛省は航空自衛隊の部隊再編により、那覇基地のF15を現在の20機から倍増し、40機体制にすることを決定した。現在でも民間航空機と自衛隊機が混在する過密空港にさらに負担が増える。・・・安倍晋三首相は昨年、「慰霊の日」のあいさつでこう述べた。「アジアと日本をつなぐゲートウェイとしての沖縄。沖縄の発展は、日本の発展をけん引するものであり、私が先頭に立って、沖縄の振興を、さらに前に進めていく」その言葉が本当なら那覇空港から、軍用機を一刻も早く撤退させるべきだ。整備が進む第2滑走路は、経済振興に必要とされるものだ。自衛隊の運用能力を向上させるためのものではない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-211688.html
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筆洗、ベルリンの奇跡。そう語り継がれるサッカーの試合がある。(2016/01/28東京新聞)
一九三六年八月、ベルリン五輪の日本対スウェーデン戦。誰もが優勝候補のスウェーデンの勝利を疑わなかった。当時の日本は国際大会経験に乏しく、戦術、技術でも世界レベルにはなかった▼前半、日本は2対0とリードを奪われたが、開き直ったプレーで追いつき、残り時間五分でついに逆転。そのまま勝利した。大番狂わせである▼スウェーデン放送のアナウンサーはこう実況した。「説明できません、信じられません。日本人! 日本人!…」。アナウンサーにはその後「ヤパーナ(日本人)」なるあだ名がついた。・・・ベルリンの奇跡を起こした日本代表も本番までは苦戦が続いた。直前のドイツ二流チームとの練習試合でも連敗。そこから守備を大幅に見直し、奇跡につないだ。いつの世も勝利の裏にあるのは対応、修正。加えて前向きさであろう。八十年後のリオの奇跡を期待してしまう。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016012802000155.html
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フィリピン人戦没者に祈り 天皇陛下、日米戦闘で「貴国の多くの人が命失った」(2016/01/28朝日新聞)
フィリピンは太平洋戦争で日米の戦場となり、111万人とも言われるフィリピン人が犠牲になった。天皇陛下は皇太子時代の1962年に初めて訪れた際、訪問前に夜を徹してフィリピンの歴史を学び、現地で犠牲者の遺族と交流した経験がある。・・・夜にはアキノ大統領主催の晩餐(ばんさん)会が開かれ、約200人が出席した。天皇陛下は、先の大戦でフィリピンが日米の戦場となったことに触れ、「貴国の多くの人が命を失い、傷つきました」と言及。「私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、私どもはこのことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます」と述べた。(マニラ=島康彦、伊藤和也)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12181234.html
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(社説)関電高浜原発 なし崩し再稼働に反対だ(2016/01/28朝日新聞)
関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)が29日にも再稼働する。新規制基準の下では、昨年の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に続く。東京電力福島第一原発事故から今年3月で5年たつ。電力各社は全国43基の原発のうち25基と、建設中の1基について、基準適合審査を原子力規制委員会に申請した。川内、高浜に続き、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)も、次の再稼働が見込まれている。事故の教訓がなおざりにされたまま、原発がなし崩しに動き出していく現状に強い危機感を抱く。高浜原発の再稼働に改めて反対を表明する。・・・福井県の若狭湾周辺には、廃炉中を含めて15基の原子炉がある。世界屈指の集中立地地域だ。災害などで複数の原発が同時に事故を起こせばどうなるのか。福島の事故が突き付けたこの疑問に、答えは示されていない。規制委の審査でも、ほとんど検討されなかった。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12181080.html
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(声)両陛下の旅に戦争の悲惨さ思う(2016/01/28朝日新聞)無職 山内美津子(神奈川県 77)
天皇、皇后両陛下が、第2次大戦中に激戦地となったフィリピンを親善訪問している。約52万人の日本兵が戦死し、約111万人のフィリピン人が犠牲となったといわれる地への慰霊の旅でもあるという。父も1945年4月、フィリピンのルソン島で戦死した。33歳だった。75歳の祖母と27歳の母、7歳の私、5歳の弟の4人が残された。白木の箱になって帰って来たのは、2年後のことだった。祖母は「息子の分も生きる」と、94歳まで生きた。私たちを育てるために働きづめに働いた母は57歳で病死したが、唯一の救いは、ほかの遺族らとともにフィリピンを訪問して、戦没者を慰霊できたことだ。生きていれば、両陛下の訪問をどんな気持ちで見つめるだろう。私は今年初め、長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」を訪ねた。画学生らの自画像や手紙などが展示されている。父と同じ33歳でルソン島で亡くなった方の絵もあった。展示品から、若者の無念の思いがひしひしと伝わった。被害者、加害者ともにつらい思いをして、傷痕も長く残る戦争。戦後71年になる今、その悲惨さを改めて考えさせられる両陛下の旅である。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12181083.html
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(論壇時評)SMAPの謝罪 暗黙のルールが潜む社会 作家・高橋源一郎(2016/01/28朝日新聞)
沈鬱(ちんうつ)な表情の5人が並んで立ち、思い思いに、ときに口ごもりながら、「謝罪」のことばを述べた。いったい、彼らは、なんのためにそこにいて、誰に、どんな理由でそのことばを口にしているのか。どれもよくわからないことばかりだった。同時に、これは、わたしたちがよく見る光景であるようにも思えた。・・・米ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト猿渡由紀は「こんな騒動は、アメリカでは絶対に起こり得ない」と書いた。それは、「人気グループの解散も、タレント事務所の移籍も、本人たちがしたいならするだけのことで、当たり前に起こる」からだ。「日本の芸能界がサラリーマン式なら、ハリウッドは完全なる自営業式。タレントは、自分のキャリアを自分でコントロールし、その代わり、責任も、全部自分で持つのだ」
・・・ SMAPの「謝罪」会見を見て、どこか同じ境遇を感じた会社員は多かった。華やかな世界に生きる彼らも、実は「事務所」という「組織」が決めた暗黙のルールに従わざるをえない「組織の中の人」だったのだ。 雑誌「SWITCH」で藤原新也が、現代の若者たちの写真を撮り、インタビューをしている。見応えも、読み応えもある特集だったが、とりわけ、福田和香子のものに、わたしは惹(ひ)かれた。「周りの友達と上手(うま)く馴染(なじ)むこともできないし、無理して合わせるのも変だよなと感じて」いた福田に、事件が起きる。「中学の家庭科の先生が『君が代』不起立をやって」左遷されたのである。その処分の後、校門の前に立ってひとりで抗議をしていた先生に「頑張ってね、応援してるよ」と声をかけられなかった福田は、その悔いを残したまま、やがて国会前のデモに行くようになる。けれども、そんな彼女の周囲にいた、以前からの友人たちは、離れていった。
それもまた、「謝罪」のために立ち尽くすアイドルグループのように、わたしたちにとって馴染み深い風景なのかもしれない。どちらも、この社会が隠し持っている暗黙のルールに違反したから起こったことなのだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12181095.html
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