特集ワイド:続報真相 安倍首相、これで1億総活躍できますか 家族に負担押し付け、貧困対策後回し(毎日新聞 2015年11月20日 東京夕刊)
「思いつき」「戦時中か」と散々な評判だった安倍晋三政権の新スローガン「1億総活躍社会」の具体策が、ようやく見えてきた。検討中の政策は「3世代同居・近居の推進」といった家族の支え合いを促すものが目につき、貧困対策などは後回しにされそうな雲行きだ。何だか時代に逆行しているような……これで本当に誰もが活躍できるのだろうか。・・・一言で言うと、新三本の矢は懐メロ。国際環境も人口構成も変わっている事実を認めようとせず、『昔の夢をもう一度』と経済成長をうたうだけだから現実味がない」。東大名誉教授で、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長の上野千鶴子さんは、安倍政権は時代錯誤的な戦略を続けていると根本から批判する。
http://mainichi.jp/shimen/news/20151120dde012010002000c.html?fm=mnm
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危機の真相:辺野古民主主義醜聞 権限委譲の主体は誰か=浜矩子(毎日新聞 2015年11月21日 東京朝刊)
基地問題を巡って、沖縄県と国が真っ向から対立している。事態はついに法廷闘争の領域に踏み込んでしまった。この間の経緯は、ご承知の通りだ。翁長雄志沖縄県知事が、前任者による名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した。この埋め立て工事は、米軍普天間飛行場の移設に向けて予定されていたものだ。そこで国が福岡高裁那覇支部に訴訟を起こした。知事に代わって、国が埋め立て取り消し処分を撤回する。この「代執行」措置を容認するよう、訴えているのである。・・・問題は、国がどのような心意気を持って沖縄県と向き合っているかだ。沖縄の同胞たちが、どんな思いでこの状況に臨んでいるか。どんな思いが、国に届いてほしいと考えているのか。これらのことに多少なりとも共感をもって目を向けようという姿勢はないのか。胸うずくものはないのか。絶句するばかりだ。
http://mainichi.jp/shimen/news/20151121ddm005070007000c.html?fm=mnm
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私たちはどこへ:戦後70年 第10部・閉塞/5 デモと民主主義 /四国(毎日新聞 2015年11月21日 地方版)
この夏、安全保障法制に反対する人たちが国会周辺を何度も取り巻き、デモや集会をした。授業を終えた大学生や高校生、仕事帰りの会社員、子どもの手を引く母親、プラカードを持った高齢世代……。そこで繰り返されたコールは「民主主義って何だ」。「民意をくみ上げているのか」「民主政治が機能しているのか」という根源的な問いを突き付けた。・・・と名前を出し、自分の言葉で語ったからこそメッセージが届いた面はあると思う。ネットで僕らを中傷する人もいたが、たいていは匿名だった」。中心メンバーの一人で明治大大学院生の千葉泰真(24)は話す。千葉は宮城県登米市出身。高校卒業までは部活動のサッカー一筋で、政治への興味は全くなかった。転機は2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故。国が安全だと言い続けてきた原発は無残な姿をさらけ出した。「政治家だけに政治を任せていいのかという疑問が膨らんだ。メンバーの多くが共有している思いだ」
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20151121ddlk39040619000c.html
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(国策の果て もんじゅの20年:下)原子力開発、根幹への疑問符(2015/11/21朝日新聞)
「開発に世界で50年にわたり10兆円以上が投入されたが、商業化できた国はない」「ふつうの原発よりずっとコストが高く、信頼性が低い」。フランク・フォンヒッペル・米プリンストン大名誉教授(核政策)は6日、都内であった核燃料サイクルのシンポジウムで、そう指摘した。日本でも、もんじゅの位置づけは様変わりした。消費した以上の核燃料を生み出すという利点は2000年の原子力開発利用長期計画で明示されなくなった。昨年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では「実用化」の文字も消えた。
それでも撤退はしない。
気がつけば、投じた国費は約1兆円に膨らんだ。国内外にたまった日本のプルトニウムは非核兵器国で最多の約48トンに。国際的な批判を受けかねない状況だ。・・・ 日本は高速増殖炉のない原子力開発の姿を描いたことはない。国民の声が届かないところで、原子力の世界の人たちだけで決めてきた。半世紀以上続くその構図が問われている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12078754.html
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(声)シリア報道、無辜の犠牲に目を(2015/11/21朝日新聞)小児科医 馬場礼三(岐阜県 59)
パリでテロが起きた。多くの人々が殺傷されたことは痛ましさの極みである。メディアはこぞってこの事件を伝え、世界は喪に服しているようである。一方、フランスや米国などのシリア空爆によって、パリで殺されたよりも多くの無辜(むこ)の人々が殺傷されているのではないか。しかし、朝日新聞をはじめとするメディアは、このことをきちんと伝えていないと思う。欧米諸国の有志連合やロシアが「軍事拠点への空爆」と称していることは報道されている。だが、多くの非戦闘員が巻き添えになる可能性が高いことを承知で、空爆を強行しているということについては全くというほど報道されていない。「テロは許されない行為だ」とか、「テロ撲滅へ連帯を」とか、叫ぶのは簡単である。しかし、そう叫ぶあなたは自分の子供が空爆で吹き飛ばされたあとでその言葉を発することができるかどうか、自問してほしい。圧倒的な武力で蹂躙(じゅうりん)された者たちは、絶望的な抵抗に出ないであろうか。パリの事件には、そういった要素が含まれてはいないだろうか。マスコミは、自らの報道が、欧米寄りの視点に基づく偏ったものであることを自覚しなければならない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12078720.html
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(耕論)もんじゅ漂流20年(2015/11/21朝日新聞)
■科学者たちの誇大妄想 吉岡斉さん(九州大学教授)
もんじゅは、とっくの昔に無用のものになっています。
もともと高速増殖炉は、ウラン資源節約のために始めた研究開発でしたが、技術の未熟さと建設費用の膨張から、1990年代初めには世界的に行き詰まっていました。・・・にもかかわらず廃止をうたわなかったのは、国の核燃料サイクル政策自体の見直しとなるのを避けたかったからでしょう。非核保有国として唯一認められた核燃料の再処理という安全保障上の権利を、もんじゅ廃止に引きずられる形で手放したくなかった。ですが結局、もんじゅはその後もほとんど運転できずに今日に至ります。復活を模索する動きが執拗(しつよう)に重ねられましたが、振り返ってみれば政策が空回りしただけ。まるで「飛べない不死鳥」です。この20年だけでも、もんじゅ向けに投じられた国費は約3千億円になります。廃止を決めていれば避けられた。私は当時「もんじゅを博物館とし技術者は学芸員として再雇用して技術保存を」と提案しましたが却下されました。・・・東京電力福島第一原発の事故で、原子力を巡る政治的・社会的環境は一変しました。20年前は原子力発電の是非そのものを議論するには至らなかった。今は違います。原発を再稼働したい安倍政権の下でさえ、簡単には動かせない。もんじゅはおろか、軽水炉を含めて原子力は今後、加速度的に衰退するでしょう。
よしおかひとし 1953年生まれ。専門は科学技術史。内閣府原子力委員会専門委員などを歴任。近著に「技術システムの神話と現実」。
■幽霊を飼うようなもの 高村薫さん(作家)
もんじゅの計画段階では石油危機もあり、資源小国として新しいエネルギー源が必要だったし、高速増殖炉という最先端の科学技術に夢を託したい。その発想は理解できるんです、半世紀前なら。・・・政治が見直しを促すべきですが、その意志も能力もないまま、全く実現する見通しのない巨大プロジェクトが意味もなく続いてきました。この国の20年、30年先のことをまともに考えていないということです。もんじゅは幽霊を飼っているようなものですね。あたかも生きているかのように皆で守っている。・・・技術と人間の関係も見極めて決断する、そういう英知を政治家が持つべきですが、それが無理ならせめて、総額1兆円もの税金を投じて何一つ動いていない、そのことにおそれおののくべきでしょう。
国民の側も「もんじゅ、何それ」では? 加担している部分がないとはいえません。
小説「神の火」で丸腰の人間による原発テロを描いたのは、湾岸戦争で米国の地下貫通型爆弾が砂漠の防空壕(ごう)の厚さ5メートルの天井を突き破ったことがきっかけでした。ミサイル技術も進んでおり、1メートル程度のコンクリートなどひとたまりもない。そんな状況で原発を動かしていることの危うさに気づかないのか、という思いでした。国の防衛をいうなら、日本海側にずらりと並んだ原発をどうするんだと。持ってはいけない施設になったんです。ただ、廃炉のためにも技術を絶やしてはなりませんが。(聞き手・辻篤子)
たかむらかおる 1953年生まれ。商社勤務を経て90年に「黄金を抱いて翔(と)べ」で作家デビュー。直木賞選考委員。最新作は「空海」。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12078729.html
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<社説>日米首脳会談 「沖縄とは共にない」首相(2015/11/21琉球新報)
「フランスと共にある」が、「沖縄とは共にない」のが今の日本政府、安倍晋三首相である。安倍首相は19日、オバマ米大統領と会談し、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「唯一の解決策だ。確固たる決意で進める」と述べた。そのわずか2日前、政府は辺野古新基地をめぐり翁長雄志知事を提訴し、県民から猛反発を受けたばかりだ。沖縄の反発など物の数ではないと言わんばかりの、民意を真っ向から踏みにじる発言である。・・・注意したいのはオバマ氏の言動だ。首相の発言に対し、オバマ氏は「感謝したい。米軍も嘉手納より南の基地返還に取り組む」と述べただけである。「唯一」という発言に同意してはいないのだ。事実、日本の安全保障政策に多大な影響力を行使してきたアーミテージ元米国務副長官もナイ元米国防次官補も辺野古新基地に疑問を呈している。モンデール元駐日米国大使も「(普天間代替基地の場所について)われわれは沖縄だとは言っていない」と明言した。「辺野古が唯一」だなどと言っているのは日本政府だけなのである。相は、大統領との会談であえて「唯一」を持ち出すことで、さも他に選択肢がないかのように国民に印象付けたかったのだろう。そんな子どもだましの印象操作は国民を愚弄(ぐろう)するに等しい。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-175563.html
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南シナ海対応 自衛隊ありきではなく(2015/11/21東京新聞)
安倍晋三首相が南シナ海への自衛隊派遣を検討すると述べた。中国による人工島造成が航行の自由を侵す事態は許されないが、外交交渉で解決すべきだ。自衛隊派遣ありきであってはならない。・・・日本は海洋国家であり、貿易立国である。国民の暮らしを支える海上交通路(シーレーン)での航行の自由が侵されるような事態は断じて許してはならない。日本が、同じ海洋国家である米国とともに、航行の自由という国際法の原則を守るために協力することは当然ではある。しかし、軍事力で対抗するのは軍拡競争や不測の事態を招きかねず、賢明ではあるまい。・・・中国に自制と航行の自由への理解を求めるには国際社会を巻き込み、粘り強く説得するしかない。きょうからマレーシアで始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連や東アジアの首脳会議がその機会となることを期待したい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015112102000136.html
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<汚染牧草>牧場代表「宮城県は容認を」(2015/11/21河北新報)
福島第1原発事故で被ばくした牛を飼育する「希望の牧場・ふくしま」の代表吉沢正巳さん(61)が20日、宮城県庁を訪れ、放射性物質を含む牧草や稲わらの提供を各市町村に認めるよう求める要請書を提出した。記者会見した吉沢さんは汚染牧草を牧場に搬出した白石市の事業を「冬越しの貴重な餌で、市の英断に感謝する」と評価。「牧草の行き場が見つからない自治体も助かり、何より被ばく牛の命を救う合理的な処理方法だ」と理解を求めた。吉沢さんは「他にも牧場への搬送に関心を寄せる自治体がある」と説明。「330頭の牛を見捨てることはできない。餌を集めるため闘い続けるしかない」と話した。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151121_13022.html
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廃炉事業者の半数に違反 原発事故4年半で(2015/11/21共同通信)
福島労働局は20日、東京電力福島第1原発事故の発生から今年9月末までの約4年半で指導監督した廃炉作業に関わる724事業者のうち、約56%に当たる409事業者が、労働基準法や労働安全衛生法に違反していたと発表した。違反件数は全体で656件。最も多かった違反は、週40時間を超えた時間外労働に支払う割増賃金が法定に満たなかったり、割増賃金の単価を算定する際に危険手当などの諸手当を含んでいなかったりしたケースで168件に上った。
http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015112001002566.html
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原告1万人突破 玄海原発差し止め訴訟(2015/11/20佐賀新聞)
原発再稼働に反対する九州内外の市民が九州電力と国に玄海原発(東松浦郡玄海町)全基の操業差し止めを求めている訴訟で、新たに278人が19日、佐賀地裁に追加提訴し、原告数は1万87人となった。提訴は16回目で、原告弁護団によると、1万人を超える反原発の集団訴訟は全国でも例がないという。訴訟の原告団と弁護団は「1万人は脱原発を願う多数の証し。世論の圧倒的な支持で原発の再稼働を許さず、廃炉を実現させる」との声明を出した。・・・佐賀県居住者は2043人。原告には新たに作家の森村誠一さんや作曲家の池辺晋一郎さんも加わった。
http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/251642
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海保拘束後に嘔吐 船長「4人が押さえ込む」(2015/11/19琉球新報)
【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設計画をめぐり18日、海上作業が続く大浦湾で、工事区域を示す油防止膜(オイルフェンス)を越えた抗議船の船長磯村正夫さん(62)=名護市=が海上保安官に拘束された際、意識がもうろうとし、その後嘔吐(おうと)するなどして市内の病院に緊急搬送された。・・・磯村さんはこの日午後2時ごろ船を操縦し、オイルフェンスを越えて抗議した。海上保安庁のゴムボート2艇が挟み、1艇から保安官ら4人が乗り込んだ。同乗者によると、抵抗する磯村さんから船の鍵を取ろうと4人が押さえ込んだ。約10分後には磯村さんはぐったりした状態で抵抗しなくなったという。・・・ 船に同乗していた北上田毅さん(69)は「呼んでも反応がなく、吐いた時は危険だと思った。屈強な保安官4人で1人を押さえ付けるのはひどい」と話した。別の抗議船を操縦していた牧志治さん(65)は「民意を無視する政府の姿勢が海保の過剰警備にも影響していると感じる。私たちは非暴力、不服従を貫きたい」と語った。
http://ryukyushimpo.jp/movie/entry-174308.html
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シールズなどが共闘支援組織案 5野党と協議(2015/11/20朝日新聞)
来夏の参院選に向け、安全保障関連法に反対する「学者の会」や学生団体「SEALDs(シールズ)」などの市民団体は19日、民主党など野党5党の幹部らと国会内で意見交換し、野党共闘を促した上で、それを支援する市民側の組織をつくることを提案した。各党は今後検討する姿勢を示した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076813.html
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(国策の果て もんじゅの20年:中)核燃サイクル、実りなき延命(2015/11/20朝日新聞)
「勧告文書には廃炉という言葉はなかった。安全管理を任せるに足る運営主体を選びたい」高速増殖原型炉もんじゅの見直しを求める原子力規制委員会の勧告を受けた馳浩文部科学相(54)は17日、廃炉の可能性をひとまず否定した。・・・プルトニウムを増やすもんじゅが廃炉になれば、サイクル政策を続ける意味がなくなり、使用済み核燃料が「ごみ」となるおそれがある。最終処分場の見通しはなく、使用済み核燃料の行き場がなくなって、ふつうの原発の運転も立ちゆかなくなる。だからこそもんじゅは、成果をあげなくても約1兆円の税金を垂れ流しにして守られてきた。・・・
■膨れあがる国費
「15年か20年先には増殖炉もできるようになるだろう」。旧科学技術庁の事務次官を務めた伊原義徳さん(91)は約60年前そう考えていた。実際は今も実現の見通しがたたない。「理論と現実との間の乖離(かいり)が大きかった。まだ50年から100年かかるかもしれない」大きな見込み違いを修正できないまま、投じた国費は膨れあがった。だれも責任をとろうとしない。元文科省幹部は「もんじゅは多額の税金を投入した『仕掛かり品』。中途半端にやめるのでなく、何らかの成果を上げるのが国民への責任だ」と延命を正当化する。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076786.html
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(世界発2015)ソーセージショック WHO「加工肉に発がん性」(2015/11/20朝日新聞)
ソーセージをこよなく愛するドイツの人々に、衝撃が走った。世界保健機関(WHO)の研究機関が10月、「ソーセージなどの加工肉には発がん性がある」と指摘したからだ。伝統の肉食文化も時代の流れには逆らえず、ドイツでも「肉離れ」が続いている。食肉業界は気が気ではない。・・・ドイツ人のソーセージ愛は筋金入りだ。中世に、祭事で超巨大ソーセージを担いで人々が街を練り歩き、教会などに奉納した記録が各地に残る。南部ランツフートでは、1256年に「良質の豚肉のみで製造すること」という製造規則が作られていたという。政治家をめぐる逸話も残る。19世紀の鉄血宰相ビスマルクは「ソーセージと法律を作る過程は知らない方が安眠できる」という格言を用いた。どんなに美味なソーセージ、素晴らしい法律も完成までの過程は醜悪だ。そんな意味が込められているとされる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076752.html
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(社説)パリ同時テロ 冷静で着実な対処こそ(2015/11/20朝日新聞)
テロに怒り、高ぶる世論があるのは仕方あるまい。だが一方で、暴力の連鎖を抑えるうえで有用なのは、力に傾斜した言動ではなく、落ち着いた分析と対応である。「対テロ戦」をかかげて軍事偏重の戦略にひた走った米国のあと追いになってはならない。イラク戦争が、今回の事件を企てたとされる過激派「イスラム国」(IS)の台頭をまねいた教訓を思い起こすべきだ。・・・オランド政権は、治安対策を強める憲法改正や、危険思想をもつイスラム礼拝所の閉鎖、外国人の国外追放手続きの簡素化などを提案している。それらは本当に自由主義社会を守ることにつながるのか、深い思慮を要する。異分子を排除するのではなく、疎外感を抱く国民を包含するにはどうすべきか。人権大国として、移民社会の現状や国民の同化政策をめぐり、開かれた議論を進めることも肝要だろう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076727.html
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(声)空爆では断ち切れぬ報復の連鎖(2015/11/20朝日新聞)経営コンサルタント 真田治(神奈川県 67)
パリで13日に起きた同時多発テロ事件を受けてフランスは、犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点であるシリア北部ラッカの空爆に踏み切った。オランド大統領は演説で「戦争をしている」と述べた。これまでも欧米などからなる有志連合は、ISへの空爆をしてきた。米軍は最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者、後藤健二さんらを殺害したとされる「ジハーディ・ジョン」と呼ばれる男を狙った空爆を実施した。しかし、空爆は民間人が犠牲になる危険性がある。米軍による誤爆で、国際医療NGO「国境なき医師団」が運営するアフガニスタンの病院が破壊され、患者やスタッフら22人が犠牲になった例もある。同列には論じられないかもしれないが、多くの市民が犠牲になった広島と長崎の原爆投下に通じる理不尽さを感じる。テロを憎むのは当然だが、空爆を続けている限り、いかなる和解も期待できない。空爆を受けた者が復讐(ふくしゅう)を誓い、報復が報復を呼ぶ可能性も否定できない。まずは空爆を中断すべきだ。困難でも、もう一度原点に戻り、話し合いのテーブルに着く努力をしてほしい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076730.html
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(声)若い世代 世界を理解するため宗教学ぼう(2015/11/20朝日新聞)中学生 熊谷咲星(東京都 13)
世界中の人々が戦争のない平和な社会で生きていくためには、相手を理解し、分かり合うことが重要だ。そのためには、世界の宗教について正しく学ぶことが大切だと思う。自分の信じる宗教は特別だと誰もが思う。もし相手が自分の宗教を理解してくれたら、自分自身を理解してくれたと考える人もいるだろう。日本人はふだん、宗教を意識することは少ないと思う。ましてや、イスラム教については、ほとんどなじみがない人が多いだろう。世界で2番目に信者が多く、平和を願っている宗教なのに、何も知らないのは問題ではないだろうか。私の学校では、歴史の授業で様々な宗教を比較しながら学んでいる。客観的に学ぶことで、様々な環境で暮らす人々を理解することにつながると思う。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076733.html
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「安保法反対」国会前で集会 成立2カ月(2015/11/20朝日新聞)
安全保障関連法の成立から2カ月となった19日、関連法に反対する市民団体が主催する抗議集会が国会前で開かれた。約9千人(主催者発表)が集まり、周辺の歩道を埋めた。国会議員も駆けつけ、共産党の井上哲士参院議員は「国民の声とかけ離れた政治が行われている」。民主党の福山哲郎参院議員は「(来夏の)参院選の戦いに力をいただきたい」と呼びかけた。反対運動を続けてきた弁護士の伊藤真さんは壇上で「自衛隊の海外出動の事前差し止めを求める訴訟を準備している。憲法の根本的な考えが踏みにじられるのは許せない」と訴えた。都内の団体職員の男性(59)は、安保法制に反対する市民の声が絶えていないことを示すために集会を見に来た。「政権は立憲主義、民主主義をないがしろにしている」と話した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12076798.html
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企業献金の再開 政業癒着の疑念拭えぬ(2015/11/20京都新聞)
大手銀行が18年ぶりに政治献金を再開する方向で検討している。各銀行は、金融危機で国から資本注入を受けた1998年から献金を見合わせてきた。公的資金の完済や業績改善が進んで再開する環境が整ったとの判断とみられるが、税金投入や超低金利で負担を強いられてきた国民、預金者の理解が得られるだろうか。9月に前会長らが逮捕された日本歯科医師連盟の迂回(うかい)献金事件をはじめ、安倍政権下でも「政治とカネ」をめぐる疑惑が後を絶たない。このまま企業献金が拡大し、政界と業界の癒着が進むのではという懸念が拭えない。・・・超低金利政策も銀行救済の一環で、預金者はすずめの涙の利息に耐えさせられている。これらに還元するのが筋ではないか。・・・経済最優先を掲げ続ける安倍晋三首相は、経団連が求める法人税減税に前のめりだ。献金によって政治がゆがめられることはないのか。当然の国民の疑念を拭うには、企業・団体献金の全面禁止に踏み込んだ議論が不可欠だ。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20151120_3.html
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首相、辺野古移設「確固たる決意」 南シナ海への自衛隊派遣も「検討」(2015/11/20東京新聞)
首相は会談で、普天間飛行場の移設問題に関し、辺野古への新基地建設が「唯一の解決策だ」と日米合意を堅持する考えを強調。政府が沖縄県との法廷闘争に入ることに関しては、翁長雄志(おながたけし)知事による埋め立て承認取り消しへの対抗措置だと説明し、建設を推進する考えを伝達。沖縄の声よりも日米合意を優先させる姿勢をさらに鮮明にした。オバマ氏は謝意を示した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015112090071248.html
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「先生の数」論争 元気に働ける環境こそ(2015/11/20東京新聞)
少子化の歩調に合わせ、先生の数を減らせと主張する財務省。子どもと丁寧に向き合うには、応じられぬと反論する文部科学省。肝心なのは、先生が活躍しやすい環境をどう整えるかという視点だ。・・・ 文科省統計では、いじめや校内暴力は増加傾向にある。不登校の人数も高止まりだ。学級の小規模化も、学力の底上げにつながるとは限らないとする論議もある。・・・最も深刻なのは、精神疾患で休職する小中学校の先生が年四千人前後に上ることだ。文科省も財務省も、先生の熱意や善意に甘えすぎていないか。どんな数合わせをしようとも、先生が健康的に働けなくては絵に描いた餅である。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015112002000148.html
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辺野古過剰警備に抗議 市民ら70人、ホテルや名護署前で(2015/11/20琉球新報)
【辺野古問題取材班】名護市辺野古への新基地建設に反対する市民らは20日、米軍キャンプ・シュワブ前の座り込み行動をした後、機動隊の過剰警備に抗議するため、警視庁機動隊が宿泊するホテルや名護署前で批判の声を上げた。大浦湾海上ではスパット台船や大型クレーン船による4地点の掘削調査が確認された。同日午前7時20分ごろ、シュワブ前では約100人の市民がゲート前に座り込んだが、機動隊に排除された。その間に、砕石を積んだダンプカー4台を含む工事関係車両十数台が基地内に入った。市民らはゲート前の抗議行動に対する機動隊の過剰警備でけが人が相次いでいることを問題視し、急きょ機動隊が宿泊するリゾートホテル入り口に結集。平和運動センターの山城博治議長が「機動隊の暴力がすさまじすぎて(宿泊先で)抗議せざるを得ない」と説明した上で、約70人が「機動隊を泊めるな」などと声を上げ、座り込んだ。名護署前や同署周辺の国道58号沿いでも抗議デモを繰り返した。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-175105.html
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<社説>座り込み500日 驚異的な非暴力の闘い(2015/11/20琉球新報)
人々の「思い」の総量は、いったいどれほどに達するだろう。辺野古新基地建設に反対する市民のキャンプ・シュワブゲート前の座り込みが500日を超えた。18日は千人もの人が参加した。行ったことのない政府の人には分からないだろうが、例えば県庁前からあそこまで行くには相当な時間を要する。平日に行くからには無理を重ねてのことだ。よほどの思いがなければできない。そしてその背後には体力その他の事情でどうしても行けなかった人が膨大にいるはずだ。それが500日にも及ぶのである。市民が選挙で示した意思を、その通り実行してほしい。ただそれだけの、ほんのささやかな望みを実現するために、これほどの努力と犠牲を払わなければならない地域がどこにあろう。しかもその努力はゲート前だけではない。辺野古漁港近くのテントでの座り込みは11年7カ月、4232日にも及ぶ。それでもなお政府は強権的に民意を踏みにじるのである。どこにそんな「民主国家」があるだろうか。
驚異的なのは、その膨大な時間の中で市民の側は徹底的に非暴力を貫いていることだ。やむにやまれぬ思いを抱えて、途方もない時間をかけて抗議してもなお踏みにじられれば、過激な行為に走るものが現れる例は、世界各地ではままある。それと対照的な沖縄の徹底した非暴力・不服従の闘いは称賛に値しよう。むしろ暴力的なのは日本政府の方である。市民が道路に倒されてけがをしたり、頭を水中に沈められたりといった行為が頻発している。救急車の出動は何度もある。いずれも運ばれるのは市民の方だ。18日も海上保安官に押さえられた際に意識もうろうとなった市民がいた。何と野蛮な政府であろうか。だがそれは、むしろ政府の側が追い詰められた結果とも見える。政府が県を提訴し、政府の勝訴必至と言い立てる言説が多いが、承認取り消しをめぐる政府の対応には矛盾があり、訴訟の行方は分からない。県の提訴も予定される。文化財保護法に則して工事中止に至る可能性も高い。知事と名護市長が「あらゆる手段」で阻止を図れば、工事を完遂することはまず不可能だ。何より国内世論が沖縄に味方しつつある。国際社会も見ている。政府の野蛮はその焦りなのではないか。理は沖縄にある。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-174859.html
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テロ首謀者潜伏か、パリ近郊で銃撃戦 2人死亡7人拘束(2015/11/19朝日新聞)
フランスのパリ近郊サンドニで18日午前4時20分(日本時間同日午後0時20分)ごろ、仏警官隊が同時多発テロの犯行グループの拠点とみられるアパートに踏み込んだ。銃撃戦で容疑者2人が死亡し、警察は7人の身柄を拘束した。ただ、アパートに潜伏中とみられた首謀者とされるベルギー人、アブデルアミド・アバウド容疑者(27)が逃亡中なのか、死亡したのかは、当局は明らかにしていない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074887.html
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男女格差、日本ちょっと改善101位 G7で最下位、賃金の差は拡大 WEF発表(2015/11/19朝日新聞)
ダボス会議で知られる世界経済フォーラム(WEF)は19日、各国の男女格差(ジェンダーギャップ)の少なさを指数化し、順位で示した最新の報告書を発表した。日本は、世界145カ国中101位だった。前年の104位からわずかに順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で最下位だった。このランキングは「政治への参加」「職場への進出」「教育」「健康度合い」の4分野の計14の項目を使って、男女平等の度合いを指数化し総合順位を決める。G7ではドイツ、フランス、英国が10位台に並び、日本をのぞくと最下位のイタリアが41位だった。・・・ 東京大の大沢真理教授は、「アベノミクスは女性の活躍をうたっているが、男女格差の解消には向かっていないことが報告書から分かる」と指摘する。(岡林佐和)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074786.html
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(国策の果て もんじゅの20年:上)原子力機構、変わらぬ甘さ(2015/11/19朝日新聞)
1兆円が投じられた巨大なプラントが、晩秋の日本海の前で色あせていた。
福井県・敦賀半島の端に立つ日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」。原子力規制委員会が運営主体の交代を勧告した13日も、作業員が機器の点検を続けていた。・・・もんじゅは、空気や水に触れると激しく反応するナトリウムを冷却材に使っている。そのナトリウムは電熱器で加熱して液体に保たれ、今もずっと原子炉と配管の中を流れている。電気代を含め、維持管理などにかかる国費は1日約5千万円。年間約200億円。・・・事故は1995年12月8日午後7時ごろ、出力40%の試験運転中に起きた。職員ごとの事実認識の違いなどから、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は関係者しか近づけない現場に事故直後に入っていたのに発表せず、撮影したビデオも短く編集していた。「ビデオ隠し」「隠蔽(いんぺい)体質」と厳しく批判された。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074907.html
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「アベノミクス、息切れ」 米紙、社説で指摘(2015/11/19朝日新聞)
米ウォールストリート・ジャーナル紙は17日、安倍政権の経済政策について「アベノミクスが息切れしている(Abenomics Sputters in Japan)」と題した社説を掲載した。2四半期連続のマイナス成長となったことを受け、「今こそ再考の時だ」と促している。社説では、「日本の借金は国内総生産の250%に近づき」、「米国より急激に金融緩和を進めている」にもかかわらず、「銀行の貸し出しが増えず、デフレが続いている」と指摘した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074807.html
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(声)対テロの武力制裁に恐怖感じる(2015/11/19朝日新聞)大学生 渡邉夏歩(千葉県 23)
パリでの同時多発テロに、深い衝撃と不安に襲われました。世界的に有名な大都市でのテロは、人々にテロと戦争の恐怖が身近にあることを知らしめたと思います。過激派組織「イスラム国」(IS)のテロに対し、米国やフランスなど有志連合は武力制裁を繰り返しています。今回も早速、フランスがシリアへの空爆を開始しました。オランド大統領は、ロシアとの連携も強化すると明らかにしています。しかし、それで事が解決するはずは絶対にないと思います。私は武力制裁に参加する国々の行為を、少しも誇らしく感じません。むしろテロリストたちに感じるのと同じような恐怖を感じます。ISによる日本人人質事件の際に、後藤健二さんら2人を殺したとされるテロリストが米軍の空爆で殺害された可能性がある、という報道を知った時もそうでした。テロだろうとテロへの対抗措置だろうと、人が人を殺すことに変わりはありません。武力でテロリストたちを一時的に掃討できたとしても、彼らの憎悪は残り続け、それが次の戦争の原動力になってしまいます。今後の国際社会の理性ある対応を期待します。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074758.html
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(声)沖縄、また本土の犠牲なのか(2015/11/19朝日新聞)大学生 伊波桃子(東京都 22)
米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐる国と沖縄県の対立は、法廷闘争に発展した。政府の強引なやり方に、沖縄出身者として憤りを感じる。これが本土の話だったら、政府は同じように強引に移設計画を実行しただろうか。もちろん、沖縄から米軍基地をなくすことが難しいことは分かっている。日米同盟は重要だし、抑止力になっているのも事実だ。軍用地料を受け取っている自治体や住民もいる。だからといって沖縄の声を無視して移設を進めるのは、おかしいのではないか。辺野古の自然は、一度破壊したら元には戻せない。先の戦争のときと同じように、沖縄はまた本土の犠牲になるのかと憤りを感じる。東京では考えられないほど、米軍機の低空飛行が普天間飛行場以外の場所でも行われている。私は帰省するたび、その違いにがくぜんとする。米兵による犯罪や事故に巻き込まれることも少なくない。しかし、東京の人はどれほどそのことを知っているだろうか。沖縄は観光地というイメージが強いかもしれないが、基地問題や沖縄の歴史にも国民のみんなが目を向けて欲しい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074757.html?ref=pcviewpage
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辺野古座り込み、500日(2015/11/19朝日新聞)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画を政府が進めるなか、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前で抗議する人たちの座り込みが18日、500日目を迎えた。参加者は通常を大きく上回り、抗議行動を取りまとめる沖縄平和運動センターは約1千人としている。前日には、国が翁長雄志(おながたけし)知事を相手取り、移設先の埋め立て承認取り消しを撤回するための代執行訴訟を提起。この日は国会議員や県政与党の県議らも参加し、「どんな判決が出てもこの海を守ろう」と声を上げた。(田中久稔)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12074850.html
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代執行提訴 対話放棄は許されない(2015/11/19京都新聞)
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐる国と県の対立はついに法廷闘争に持ち込まれた。翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分に対し、政府が知事に代わって撤回する代執行に向け福岡高裁那覇支部に提訴した。安倍政権が目指してきたはずの対話による解決を完全に放棄したと言わざるを得ない。訴訟で決着をつける問題ではない。きわめて残念な事態だ。訴訟で争点となるのは、前知事による埋め立て承認が適正かどうか、法律的な欠陥である「瑕疵(かし)」がなかったかどうかになる。・・・政府に都合良く法を振りかざすのは法治国家とはいえまい。民主国家でもない。沖縄県は、効力停止の取り消しを求める訴訟を起こす構えをみせている。翁長氏は「一方的に基地を押しつける政府の対応は、沖縄差別の表れだ」と強調した。問題の本質はここにある。20年前に米軍用地の強制使用をめぐる代理署名訴訟で国は勝訴したが、県民の不信を募らせただけだった。沖縄の民意から目をそらしては、どんな判決を得ても解決から遠ざかるばかりだ。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20151119_4.html
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<社説>河野氏講演と沖縄 民主主義的正当性を示した(2015/11/19琉球新報)
「残念でならない」と切り出した河野氏は2014年の名護市長選、県知事選、衆議院選挙で辺野古移設推進派が全敗した民意を「オール沖縄」と位置付けた。その上で「沖縄の人の意思は明確だ。民主主義国たる日本で県知事の取り消しを一方的に是正しろというのは、どう考えても地方自治、民主主義を否定している。日本は本当に民主主義国家なのか」と鋭く問い掛けた。権力を振りかざして新たな基地負担を強いる姿勢は、憲法が定める民主主義と「地方自治の本旨」を掘り崩すと警鐘を鳴らしたのだ。それは安倍政権の本質を射抜くとともに、情と理を尽くして米軍基地の新設に抗(あらが)う沖縄の訴えが民主主義的正当性を持っていることをくっきり照らし出している。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-174185.html
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ブラックバイト 学生の被害食い止めよ(2015/11/19京都新聞)
学業を続けるためのアルバイトが学業の妨げになっている。そんな深刻な実態が明らかになった。大学生らに長時間労働や厳しいノルマを課す「ブラックバイト」が社会問題化する中、厚生労働省が初の調査を実施し、6割の学生がトラブルを経験していたことが分かった。法令違反が疑われる事例も目立ち、看過できない事態だ。対策を急がねばならない。調査は、大学生や大学院生ら千人を対象にのべ1961件のアルバイトを分析した。勤務シフトに関するトラブルが最も多く、「採用時に合意した以上のシフトを入れられた」が14・8%あった。さらに「準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった」13・6%、「1日に労働時間が6時間を超えても休憩時間がなかった」8・8%など、労働基準法違反などが疑われるケースもあった。・・・一方、不当な扱いを受けても、学生側には簡単に辞められない事情がある。労働組合などの調査によると、2014年度に首都圏の私立大に入学した下宿生への仕送り月額は約8万9千円で、1986年度から始まった集計以降最低を更新し、生活費も過去最低だった。奨学金を受けている学生の割合も5割を超えた。現代の学生にとって、アルバイトは生活費を稼ぐ切実な仕事になっている。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20151118_3.html
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<社説>代執行提訴 指弾されるべきは誰か 片腹痛い政府の主張(2015/11/18琉球新報)
いったい誰が誰を訴えるべきなのか。理非曲直を考えれば、本末転倒の感を否めない。米軍普天間飛行場の移設先となる辺野古新基地問題で、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消し処分は違法だとして政府は処分撤回へ向け代執行訴訟を起こした。政府と沖縄県との対立はいよいよ法廷闘争の局面に入った。それにしても政府が知事を訴えるとは噴飯物だ。行政不服審査法を恣意(しい)的に解釈して法の原則に反し、沖縄の選挙結果を無視して民主制にも背いたのは誰か。指弾されるべきはむしろ政府の方だ。居直り訴状で政府は、知事の承認取り消しによる不利益と取り消しをしないことによる不利益とを比較している。そして「航空機事故や騒音被害といった普天間飛行場周辺住民の生命・身体に対する重大な危険は現実化している」と強調し、辺野古移設を正当化する。しかし1996年に米側が海兵隊の沖縄撤退を打診したのに対し、逆に日本政府が引き留めたという事実を、当時のモンデール駐日大使がつい先日証言したばかりだ。・・・
それなのに飛行機事故で沖縄の人の生命が失われるのを心配していると言うのである。沖縄の騒音被害を危ぶんでいると言うのである。片腹痛いとはこのことだ。訴状はさらに、移設作業が中断すれば「日米の信頼関係が崩壊しかねず、外交などに計り知れない不利益」と主張する。だが当の米国のエレンライク在沖総領事は移設計画が滞っても「(日米関係に)影響は全くない」と述べている。政府の主張は言ったそばから否定されているのだ。その上、既に工事で473億円も支払ったから、承認が取り消されれば「全くの無駄金」とも主張する。工事の中止要求を無視していたずらに税金を投じてきたのはいったい誰か。居直るのもたいがいにしてもらいたい。・・・政府は行政不服審査法に基づく承認取り消し執行停止の際は「私人」となり、今回の訴訟は国として提訴した。都合よく立場を使い分けるのは、多くの行政法学者が指摘するように違法であろう。翁長知事が会見で述べた通り、県が政府に「違法と決めつけられるいわれはない」のである。このように政府の主張は矛盾、自家撞着(どうちゃく)、非合理で埋め尽くされている。大手メディアは政府の勝訴間違いなしと報じるが、果たしてそうか。裁判所が論理的に判断すれば、少なくとも政府の主張の矛盾は見抜けるのではないか。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-173592.html
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