ラグビー代表「外国出身」なぜ(2015/09/22朝日新聞)
ラグビーの国際統括機関「ワールドラグビー」は代表の資格について、@その国・地域で生まれたA両親または祖父母の一人がその国・地域で生まれたB36カ月以上、その国・地域に居住している――の3要件を定め、そのどれかを満たせばいい。
外国出身とは言え、彼らは生活から日本になじんでいる。10人中5人は日本国籍を取得。その一人、近鉄所属のトンプソンルーク(34)は南ア戦後、「もう、信じられへんわ」と関西弁で感激を表した。地元の大阪府東大阪市では行きつけの定食屋もあり、人気者だ。日本の高校や大学で学んだ選手の多くは日本語を話し、国歌斉唱のため、君が代の練習も積んでいる。日本ではトンガ出身選手2人が代表に入った第1回W杯以降、外国出身選手の数が増える傾向にあり、批判もあった。そうした中、今大会の日本代表、五郎丸歩(29)は20日、ツイッターで「彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」と発信。日本人の積極起用を訴えていたヤマハ発動機の清宮克幸監督(48)も、南ア戦を見て、「国籍や人種の論争はさまつな話だ」と考えを改めた。
http://digital.asahi.com/articles/ASH9Q4TFBH9QUTQP01X.html?ref=nmail
BACK
翁長氏国連演説 国内への訴えでもある(2015/09/23京都新聞)
沖縄県の翁長雄志知事が国連人権理事会で演説し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する決意を示した。「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」「あらゆる手段で新基地建設を止める覚悟だ」と国際社会に訴えた。現職知事が人権理事会で演説するのは初めてとみられる。異例の行動に踏み切らせたのは、沖縄の米軍基地負担の現状から目を背けたまま辺野古移設を強行する安倍政権の姿勢にほかならない。翁長氏が国連の場で演説した意義は大きい。国際社会が沖縄に目を向けるきっかけとなろう。政府には立ち止まって沖縄と向き合うよう、あらためて求めたい。翁長氏は演説で、米軍基地が強制接収の土地に造られた経緯に触れて「基地に派生する事件事故や環境問題が生活に大きな影響を与え続けている」と指摘し、沖縄の苦難に国際社会の共感を求めた。その上で、知事選や衆院選などで示された民意を一顧だにせず、移設を進める政府を批判した。・・・一方で、翁長氏の国連演説には国内世論に訴える狙いもあったはずだ。成立後も全国で反対の声が上がり続ける安全保障関連法に比べ、基地問題への関心は国民全体に広がっているとは言い難い。だが、今後の安保政策と密接に関わる問題であり、私たちは安保法と一体で考えるべきだろう。それにしても悲しいのは、翁長氏を国連の場で演説しなければならないほど追い詰めてしまった政府の姿勢だ。沖縄の民意から目をそらしている限り、事態の打開策は見えてこない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
BACK
世界へ「辺野古ノー」 沖縄知事、国連でアピール 日米への失望、背景(2015/09/23朝日新聞)
スイスで開かれている国連人権理事会で、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が21日(日本時間22日)、米軍基地が集中する現状を「人権侵害だ」と訴えた。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設問題で、翁長氏が対立する日米両政府を飛び越え、国際社会に「辺野古ノー」を直接アピールした格好だ。「沖縄の人々は、自己決定権や人権がないがしろにされています」加盟国の外交官らが集まる国連欧州本部の会議場に翁長氏の英語スピーチが響いた。2分間の発言枠の中で、翁長氏は基地負担の状況を説明し、普天間飛行場の県内移設反対を訴えた。・・・翁長氏の訪欧を支援した東京のNGO「市民外交センター」の上村英明・恵泉女学園大教授は「民主的な選挙で住民に選ばれた知事が、先進国と見られている日本や米国による人権侵害を訴えた。インパクトはあったはず」と分析。翁長氏は「沖縄が間違っているのか、日米両政府の民主主義が間違っているのか。世界に判断していただきたい」と記者団に語った。(ジュネーブ=上遠野郷、松尾一郎)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978685.html
BACK
(プロメテウスの罠)神山の3班:11 「戻れないんだよな」(2015/09/23朝日新聞)
ありきたりな日常。だが、どこか温かい。失ってみて初めて、その重さが分かる。震災後の2011年4月。避難中の和子は親類と横浜駅前にいた。「東日本大震災の義援金をお願いします」。その声が聞こえた途端、涙がほおをつたった。10人ほどの子らが募金箱を抱えている。「ありがとう。ありがとうございます」。気づいたら、その子らの前で、何度も頭を下げていた。そのころは、長女の由紀恵(54)と一緒に、相模原市の孫のアパートに身を寄せていた。・・・すぐため息をついたり、「悔しいなあ」「戻れないんだよな」と独りごちたり。心配した由紀恵が休みのたび連れ出し、3班の人々の避難先を巡るうち、和子も前向きな心持ちになった。「みんなの顔を見ると安心した。家族みたいな気がして」今は、知り合いがいる南相馬で仮設住宅にひとりで暮らす。仕事を見つけて相模原市に住んだ由紀恵の元を、3年半前に離れた。弁当を手に、しょっちゅう神山へ通う。「緑があるし、のんびりできる」。家を後にするとき、「ごめんなあ、またくっかんなあ」と語りかける。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978682.html
BACK
反体制派50人を逮捕 ローマ法王訪問中のキューバ(2015/09/23朝日新聞)
フランシスコ法王が訪問中のキューバで、ミサや式典に参列しようとした反体制派のメンバー約50人が20日、逮捕された。スペイン通信などが伝えた。反体制派の非合法グループ「CCDHRN」によると20日、ハバナの革命広場の野外ミサなどに行こうとしたところ、活動家らが逮捕された。法王に近づき、キューバで人権侵害が起きていると訴えるつもりだったという。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978745.html
BACK
(社説)チベット50年 民族に真の自治を(2015/09/23朝日新聞)
平均高度4千メートルという中国西部の高原地帯チベットが、自治区成立50年の節目を迎えた。現地では祝賀ムードが演出されたが、習近平(シーチンピン)政権の政策は相変わらず経済成長と管理強化の組み合わせに終始している。自治の名にふさわしく、独自の民族文化を尊重する方向を明確にするべきだ。区都ラサで今月あった記念式典で、民族政策を担う兪正声(ユイチョンション)・全国政治協商会議主席は、50年でチベットが「天地がひっくり返るような」変化を遂げたと述べた。これまでチベットの財政の95%を中央が負担し、住民の収入は毎年10%以上伸びたという。今後も成長政策に力点を置くとしている。しかし、チベットの文化が大事にされてきたとは言いがたい。自治区内で漢族人口の比率が高まり、学校では標準中国語教育を浸透させている。何よりも、人々にとって大事な心のよりどころであるチベット仏教の寺院や僧侶への監視を強めている点が懸念される。・・・ かつて清朝はチベットを支配下に置くというよりは、その独自性を重んじる立場をとっていたと言われる。宗教や文化の多様性を尊重する包容力があってこその大国ではないか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978669.html
BACK
(声)若者と共通の言葉見つけたデモ(2015/09/23朝日新聞)大学院生 高岸美代子(埼玉県 66)
安全保障関連法案の採決が大詰めを迎えていた18日、国会周辺のデモに初めて参加した。学生の熱気にあふれた70年安保の時と違い、老若男女の集う穏やかなデモだった。1人で参加している人もいた。幼い時、私は父によく迫っていた。「なぜ戦争に反対しなかったのか」と。答えは返ってこなかったが、今は分かる気がする。政治に無力感を感じていたのだ。私は自分にできることはなにかと考えて、45年ぶりにデモに参加した。デモの現場では、様々な人が国を思い、平和を思い、民主主義を大切に思う気持ちを訴えていた。若者もスマホを置いて、肉声で叫んでいた。世代を超えた共通の思い、共通の言葉がそこにあった。「若者言葉」は分からないとよく言われるが、しっかり自分の思いを伝えている姿を見て、ここに「共通語」を見つけた気がして、うれしくなった。彼らと共に平和を語り、守っていく責任を感じた。2015年安保は、平和に慣れて忘れていた「共通語」を、すべての世代に思い出させてくれたのではないだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978671.html
BACK
(声)同盟重視なら海兵隊を本土に(2015/09/23朝日新聞)医師 具志堅直樹(沖縄県 53)
政府は、米軍普天間飛行場の辺野古移設を、1999年に「知事と名護市長に同意をいただいた経緯がある」としています。同意には15年の使用期限などの条件が付いていました。なのに今、「耐用年数200年」ともいわれる基地が造られようとしています。普天間の海兵隊は、元から沖縄にいたわけではありません。1950年代半ば、本土の住民の基地反対運動のあおりを受け、岐阜県や山梨県から米軍統治下の沖縄に移ってきたのです。戦後70年、本土は基地返還が進んだのに、沖縄の基地は取り残されました。日本を守る「抑止力」として、「地政学的に」沖縄に海兵隊が必要と主張する人がいます。でも、たとえば東アジア情勢が変化した象徴として取り上げられる尖閣諸島を念頭に「抑止力」を考えるなら、空軍による制空権、海軍による制海権が重要です。陸戦隊である海兵隊の仕事ではないはずで、主張には根拠がありません。本土では「沖縄の問題」と受け止めているようです。日本全体が当事者意識を持つには、海兵隊基地の本土移転を図るしかない。日米同盟が重要というなら本土も海兵隊を受け入れるべきでしょう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11978670.html?ref=pcviewpage
BACK
土星の衛星エンケラドス、氷の下に全球を覆う海(2015/09/18ナショナルジオグラフィックス)
海水を噴出していることで知られる土星の衛星エンケラドスが、氷の外殻の下に全球を覆う海を隠し持っていることが明らかになった。地球外生命探査の候補を探す研究者にとっては朗報だ。・・・NASAジェット推進研究所の宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、「私たちが探しているのは、化学物質を豊富に含み、長い年月にわたって存在していると考えられる、液体の水からなる海です」と言う。
ところがエンケラドスについては、プルームこそ確認されたものの、それが長い年月にわたって存在している海に由来している証拠はほとんど得られていなかった。初期の理論では、おそらく衝突によって形成された、局所的な小さい海があると考えられていたが、そのような海は新しすぎて、生命が誕生しているとは考えにくい。・・・ 一方、土星のエンケラドスについては未知の部分が多い。海の深さも、海が液体でいられるための熱の発生要因も、南極の氷の外殻だけが間欠泉が噴出するほど薄くなっている理由も分かっていない。
ハンド氏は、「南半球の海底だけが活動しているということでしょうか?」と問いかける。「エンケラドスの海とその下の惑星物理学的活動をめぐる秘密は、氷の外殻によって覆い隠されているのです」
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/091700264/
BACK
これからどうなる安保法 (1)米要望通り法制化(2015/09/22東京新聞)
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を中心とした安全保障関連法が、多くの国民が反対する中で成立した。「戦えない国」を貫いてきた日本を「戦える国」に変質させる安保法の下、自衛隊の活動はどう変わるのか。国民にはどう影響し、日本はどこへ向かうのか。さまざまな角度から考える。「この夏までに成就させる」。安倍晋三首相は五カ月前の訪米中、米議会での演説で安保法成立を約束した。まだ法案を閣議決定する前で、国民も国会も内容を知らない段階だった。だが、集団的自衛権の行使容認を含む安保法の内容は五カ月前どころか三年前に予想できた。米国の超党派の日本専門家が二〇一二年にまとめた「アーミテージ・ナイ報告書」だ。
アーミテージ元国務副長官、ナイ元国防次官補らが共同執筆し、日本に安保法の制定を求めていた。両氏は、一般に「知日派」と訳される「ジャパン・ハンドラー」の代表格。報告書の影響力からすれば、文字通り「日本を操っている」ようにも映る。・・・報告書では、情報保全の向上や武器輸出三原則の見直し、原発の再稼働にも言及。特定秘密保護法の制定、武器輸出の原則解禁、原発再稼働方針に重なる。安倍政権は一二年の発足以降、これらすべての政策を手がけてきた。「(安倍政権の政策は)そっくりそのままだ。こういうのを完全コピー、『完コピ』と言う。すべて米国の要求通りに行っている。独立国家と呼べるのか」生活の党の山本太郎共同代表は安保法の参院審議で政権の姿勢を批判した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092202000210.html
BACK
辺野古問題「自己決定権や人権をないがしろ」 沖縄県知事が国連演説(2015/09/22東京新聞)
【ジュネーブ=共同】沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は二十一日午後(日本時間二十二日未明)、スイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会で演説し、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古(へのこ)移設に反対を訴えた。沖縄に米軍基地が集中する実態を紹介し「人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と強調。「あらゆる手段で新基地建設を止める覚悟だ」と決意を示した。 ・・・沖縄県で昨年あった主な選挙で辺野古反対派候補が全勝した事実に言及し「日本政府は民意を一顧だにせず、美しい海を埋め立てて移設を強行しようとしている」と批判した。翁長氏の演説に対し、日本政府の代表者は会場で「辺野古移設計画は合法的に進められている。政府として、沖縄県の理解を求めるための努力を継続する」と発言した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092202000124.html
BACK
脱原発・脱化石 二兎を追う者であれ(2015/09/22東京新聞)
日本は、二〇三〇年までに一三年比で26%という自主目標を掲げたが、欧州や米国より低く、世界の評価は高くない。ところがそれさえ、排出量の約四割を占める電力業界の積極的な貢献なしには、達成がおぼつかない。・・・だが、たとえ温暖化対策といえども、原発復権の口実にしてはならない。温暖化同様原発も、人間とその社会への差し迫った危険をはらむと、チェルノブイリや福島の現実が教えている。石炭火力の効率向上は著しく、即全廃も現実的ではないが、やはり“つなぎ”と見るべきだ。世界は既に化石燃料と原発の時代から、風力や太陽光など再生可能エネルギーの時代に入っている。環境省と経産省は互いに知恵を出し合って、脱石炭と脱原発の二兎(にと)を追う、技術革新と社会変革の道筋を世界に示す時ではないか。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015092202000137.html
BACK
ラグビー大金星、衝撃冷めぬ英国 「ベスト15」に4人(2015/09/22朝日新聞)
ラグビーワールドカップ(W杯)で、過去7大会でわずか1勝だった日本代表が、2度の優勝経験を持つ強豪南アフリカを破るという歴史的快挙は、週明けの21日になっても、英国に余韻を残している。現地の新聞では「日本はどうやって衝撃を起こしたのか」(アイリッシュタイムズ紙)などと、日本の逆転劇を分析する記事が掲載された。
http://digital.asahi.com/articles/ASH9P6SMPH9PUTQP02B.html?iref=comtop_6_04
BACK
「米国の戦争のために日本人の命、なぜ」 安保法、自衛官OBの懸念(2015/09/22朝日新聞)
「立派な自衛隊員を絶対戦場に送ってはならない」。長崎県佐世保市の海自OB、西川末則さん(63)は今月、インターネットのフェイスブック上に投稿した。安保関連法に伴う後方支援では、負傷者や戦死者が出ると考える。「国に一大事のことがあれば命をかける覚悟はある。だが、なぜ米国の戦争のために日本人の命を差し出さなければいけないのか」。現役自衛官から「自分たちが言えないことを言ってくれてありがとうございます」とのメールが届いたという。・・・2006年にイラク復興支援でクウェートに送られた名古屋市の元航空自衛官、池田頼将さん(43)は、海外での活動範囲が広がることについて「これまで海外で戦死者が出ていないのは運が良かっただけ」と危ぶむ。・・・3等空曹の時、クウェートへ派遣された。バスに乗るなり上官に「カーテンを開けるな。自爆テロがある」と言われた。宿営地には地雷がある立ち入り禁止区域もあった。「非戦闘地域」とされたが、「安全地帯なんて存在しない」と感じた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11977282.html
BACK
敬老の日に考える 父の戦争、語り継ぐ(2015/09/21東京新聞)
戦争のこと、教えてください。戦争の時代のことも、聞かせてほしい。真実を知れば知るほど、平和とは何かが分かる。私たちはその価値を語り継ぐ。神戸市にある先端医療振興財団臨床研究情報センター長の福島雅典さん(66)は、わずか五十ページ足らずのその小冊子に、このごろひときわ厚みと重みを感じています。福島さんの父二郎さんはおととし六月、九十三歳で亡くなった。・・・戦争のことは話したがらない父だった。爆弾の破片にえぐり取られたすねの大きな傷痕だけは何度も見た。収容所での身分証などは大切に保管されていた。二十五年前、送られてきた手書きの原稿に初めて目を通した時には、勝ち目のない、いくさに走った世の中を、ばかばかしいと思う気持ちもわいた。ところが、憲法の不戦の誓いを軽んじ、破り、再び戦争ができる国へと向かうこの国の時代状況が、福島さんの心を変えた。・・・ “戦争を知らない政治家たち”が民主主義のルールを踏みにじり、不戦の誓いをおとしめるがごとき安保法を、数の力で成立させました。国民の命を守るためにと言いながら、戦火に散った命への敬意が感じられません。存立危機事態が迫ると言われても、想定される“戦場”に現実感はありません。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015092102000160.html
BACK
安保とデモ、刻まれた主権者意識 特別編集委員・山中季広(2015/09/21朝日新聞)
後世の人々が「2015年安保」をネットで検索したら、首相の写真よりSEALDs(シールズ)のデモ映像の方が多く見つかることだろう。「立憲主義って何だ」「戦争したくなくてふるえる」。戦地へ送られかねない世代の憤りをみごとに可視化した。・・・ 昨年の総選挙で首相は、アベノミクスを唯一の争点かのごとく強調した。党の公約2万7千字中、安全保障はわずか数百字。「集団的自衛権」の文字もない。安保法案提出を明言したとはいえ、選挙戦は増税先送りの大宣伝だった。行く先を偽られたような感がぬぐえない。審議はぶざまな幕切れとなったが、落胆する必要はない。海外での大がかりな街頭行動を見ても、若者たちの望む政策がただちに実現した例は少ない。大切なのは、同時代の主権者の胸に何を刻んだかだろう。・・・今回は日本でも、主権者意識が驚嘆すべき高まりを見せた。高校生や俳優、元裁判官ら勇を鼓し、しがらみを排して声をあげた人の何と多かったことか。政治色がタブーとされる日本では異例の現象である。今回到達した民意の地平は、今後もさらなる高みへ向かうはずだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975739.html
BACK
(社説)新安保法制 不断の監視が始まる(2015/09/21朝日新聞)
自衛隊に対する憲法の縛りをゆるめ、時の政権の判断による海外での武力行使に道を開く。それが、新たな安全保障法制の核心といっていい。政権が常に正しい判断をする保証がないことは、先の大戦の重い教訓だ。政権の判断を監視する目が機能するかどうかが、従来以上に大切になる。・・・しかし、厳しい監視が欠かせない論点は数多い。法制を政権がどう運用し、自衛隊の活動はどう広がるのか。専守防衛が変質しないか。軍事に偏らない外交・安全保障の努力は。強大な同盟国・米国に引きずられないか。文民統制は機能するか。自衛隊の活動拡大で防衛費が膨らまないか……。・・・「違憲」の法制については、継続性より正しい軌道に戻すことを優先すべきだ。法制に反対した野党には、政権交代が実現すれば、法制を是正する意思を明確にしてもらいたい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975790.html
BACK
(声)当たり前の日々のために努力を(2015/09/21朝日新聞)高校生 二見あかり(神奈川県 17)
母が私に「一番大切なものは日々だよ。それを忘れちゃいけないよ」と言った。ハッとした。自分のことばかり考えてしまっていたと反省した。朝鮮半島では軍事的緊張があったばかりだ。中東の人々は過激派組織の脅威にさらされている。戦争なき社会の大切さを忘れてはならない。平和な日々は何としても守っていかなければならない。安全保障関連法が成立した。日本の専守防衛という方針は崩れる。集団的自衛権が行使されれば、自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクは高まる。私たちはそれぞれが平和の大切さを認識し、守るための努力を怠ってはならない。世界の人々の心を動かすくらい、日本が平和のために奮闘する姿を見せていくべきではないか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975795.html
BACK
若者、サンダース氏支持 格差是正に共鳴 米民主指名争い(2015/09/21朝日新聞)
次期米大統領選の民主党候補者指名獲得に向け、出馬表明した5人が19日、そろい踏みした。主役を演じたのは、本命視されるヒラリー・クリントン前国務長官(67)と、選挙戦序盤でカギを握る重要州でクリントン氏を上回る支持率を獲得し、「民主社会主義者」を自任する最左派のバーニー・サンダース上院議員(74)の2人だ。・・・大会でサンダース氏が、「私が出馬表明した時は誰も真剣に受け止めなかったが、この数カ月で変化が起きている」と語ると、若者らが絶叫した。下院議員に24年前に当選した時から無所属を貫き、イラク戦争に反対。無所属の上院議員として民主党大統領候補に名乗りをあげた選挙戦では、最低賃金引き上げや公立大授業料無償化などを訴える。企業の資金提供を拒み、この日も「40年間で中間層が消滅しつつある」と格差拡大を指摘。「ウォール街や巨大利権と戦うには我々が共に立ち上がる必要がある」と「政治革命」への参加を訴えた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975716.html
BACK
キューバで「世界に和解を」 ローマ法王(2015/09/21朝日新聞)
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は19日、キューバと米国の歴訪を始めた。キューバの首都ハバナに着いたフランシスコ法王は、初のラテンアメリカ出身の法王で、米キューバの国交回復の仲介役を担ったこともあり、国民から熱烈な歓迎を受けた。ラウル・カストロ国家評議会議長は、空港に到着した法王を出迎え、「米国との対話を支援してくれたことに感謝する」などと演説した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975718.html?ref=pcviewpage
BACK
(声)参院選で立憲主義を取り戻そう(2015/09/21朝日新聞)精神科医 市村公一(神奈川県 57)
安全保障関連法が成立してしまった。戦後最悪の暴挙だ。大きな虚脱感に襲われている人も少なくあるまい。しかし、これで諦めてはいけない。国会で成立したものは、国会で廃止すればいい。衆参両院の多数を握って、安保法が成立する前の段階に戻すことを決めればいいのだ。そのためには、全国で沸き上がった反対の声を、来夏の参院選につなげることだ。安保法が参院で廃止と決まれば、首相は衆院を解散して国民に是非を問うしかなくなるだろう。そこで再度、与党を過半数割れに追い込み、衆院でも安保法の廃止を決めて原状回復を図るのだ。来夏の参院選、争点はこの安保法の是非の一点でいい。党派を超えて結集し、立憲主義と民主主義を取り戻そう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975796.html
BACK
(声)「対話で解決」覆されたむなしさ(2015/09/21朝日新聞)中学校教員 池上禎一(福島県 59)
「良識の府」において、ついに良識が変えられた。日本は戦争を放棄し「二度と戦争をしない国」と教えられ、それを誇りとしてきた常識が覆された。かつて中東に3年間住み、そこで「不戦の国・日本」を自慢した。現地の人々はアジアの端の小さな国の復興力に、敬意を示してくれた。これからは、彼らが好まないアメリカの属国として見られ、築き上げた信頼を失うこととなる。「相手の立場を理解し、対話で平和的に解決しよう」と語ってきた自分が覆されたようなむなしさと悔しさ。教え子たちへの罪悪感を覚える。安全保障関連法に反対した学生や大人たちの勇気と行動力を励みとして、未来を切り開いてほしい。大人たちの今後の行動を厳しく見つめ、批判力と行動力を育んでほしい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975797.html?ref=pcviewpage
BACK
(声)自衛隊が海外で戦う軍隊になる(2015/09/21朝日新聞)無職 小野瀬良武(茨城県 71)
安全保障関連法が成立した。自衛隊が「国土守備隊」から、米国の戦争を共同で担う「海外で戦う軍隊」に変容する。法案の背景には、4月に改定された「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)がある。集団的自衛権の行使を米国に公約したに等しい。安倍政権は、国会承認の必要もない、この政府間合意を憲法より上位の規範とした。1カ月後、法案が衆院で審議入りしたが、拙速な与党主導の国会運営をみると、国権の最高機関である国会が政権の下請け、あるいは追認機関になってしまったかのようだ。どんな場合に集団的自衛権を行使するのかについて、安倍政権は「総合的判断だ」と説明する。特定秘密保護法のもと、情報が隠されれば、国民は「総合的判断」の根拠が分からない。戦時協力を求められるだけにならないか。自衛隊の活動が全世界に広がれば、防衛費が膨らむだろう。日本の借金残高は国内総生産比で233%もある。国家財政が破綻(はたん)する危険を冒してまでも、「戦争する国」になりたいのだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975792.html
BACK
日常に政治、第2章 安保、若者も団塊も学者も動く(2015/09/21朝日新聞)
抗議のなか、法律はできた。それでも、自分たちで考え、声をあげた人たちは動き続ける。国会前から日常へと舞台を移し、「2015年安保」の第2章が始まった。・・・ 都内の学生らで作る「SEALDs(シールズ)」の活動をテレビで見て、「ちょっとでも政治的な発言をすれば『お前、何しよっとや』って言われる街では、ただうらやましかった」。でも、人に託してばかりではいけないと勇気を振り絞り、6月、長崎で仲間と団体を作った。人前に出て話すうち、「政治と生活はこんなに密接なんだと気づき、自分が一番変わった」という。・・・これまで政治と距離を置いてきた多くの学者も運動に関わった。20日には1万4千人を超える学者・研究者が加わる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が名称から「案」を抜いて再発足し、声明を発表した。「この運動の思想は、路上から国会にもたらされ、生活の日常に根を下ろしつつある。そこに私たちの闘いの成果と希望がある」
市民と共に街頭に立った学者は多い。「政治領域に入らないと自戒してきた」という東大の石川健治教授(憲法学)もその1人。集会や街頭では、フランス語で「私のような者でも」を意味する「マルグレ・モワ」という言葉を使った。動員されていない個人が、小声でも、声をあげなくても、多様な形で存在できる場であってほしいという思いをこめた。今後は安保法の違憲訴訟を視野に入れる。「今の最高裁は時代に敏感。世論の支えがあれば勝機はある。訴訟を準備しつつ、世論を維持するのが学者の役割だ」と話す。・・・70年安保の時の学生たちは「社会の前衛」という意識を持ち、むしろ日常生活への埋没を拒んで、政治に身を乗り出した。だが、今の若者たちは「自分たちの日常生活の場に、政治を引き寄せる」という発想だ。それは、思春期に震災や原発事故を経験した彼らの、生活の足場が切り崩されるような感覚から生まれている。「ふつうに生きることのありがたみ」をかみ締め、浸食してくる「政治」から守ろうとする。生活の足元が崩れていく危機感は、地方では、より深刻だ。だからこそ、運動は全国津々浦々に広がり、年齢や立場を超えてつながり、想像もできないほどのうねりになったのだろう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11975711.html
BACK
安保法成立 戦後防衛政策の大転換 集団的自衛権を法制化(2015/09/20朝日新聞)
集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が19日未明、参院本会議で成立した。自衛隊の海外での武力行使を可能にし、戦後日本の安全保障政策の歴史的転換となる。一方、同法に対しては憲法違反だとの批判が根強く、報道各社の世論調査でも反対が賛成を上回る。安倍晋三首相は世論の理解を得たい考えだが、野党は同法の廃止を求め、来夏の参院選の争点にすえる方針だ。・・・安保関連法は、集団的自衛権の行使の要件を盛り込んだ改正武力攻撃事態法など10の法律を一括した「平和安全法制整備法」と、自衛隊の後方支援について定めた恒久法「国際平和支援法」からなる。歴代政権が認めてこなかった集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更によって容認したことに加え、自衛隊が他国軍を後方支援する際、自衛隊の活動地域をこれまでより拡大させることで、自衛隊のリスクが一層高まるとの指摘もある。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974236.html
BACK
国民が政治を鍛え直す時 安保法成立 特別編集委員・星浩(2015/09/20朝日新聞)
安全保障法制をめぐる国会論議が見せつけたのは、日本の政治がひどく劣化している現実だった。最大の責任は、安倍晋三首相にある。安保政策の大転換の意味を、懇々と説かなければならなかった。冷戦後、同盟国の米国はともすると、東アジアから引こうとする。一方で、中国の台頭は続く。米国との同盟関係を強化して中国と向き合う。それが日本にとって大切な選択であり、そのために限定的な集団的自衛権が必要だ――。安倍首相がそう考えているなら、理を尽くして冷静に説明するやり方はあったはずだ。・・・安倍首相は合意づくりの道を選ばなかった。瞬く間に広がった違憲論を説き伏せる気迫も論理も、示せなかった。だから、野党の追及に、まともに答えられない。・・・有権者にも問いたい。昨年12月の衆院選で、自民党が安保法制を整備することは、十分な分量ではなかったとはいえ、公約に掲げられていた。そこに選挙区で2546万人、比例区で1765万人が投票。47%が棄権した。小選挙区効果もあって、自民党は圧勝。安倍政権が存続し、安保法制の成立をもたらした。熟慮の末の投票・棄権だったのだろうか。多くの有権者が「こんなはずではなかった」と感じ、それが国会周辺の大規模デモにつながったのだろう。説得の力を欠く指導者、闊達(かったつ)さを失った政権党、半数近くが棄権する有権者……。嘆いてばかりはいられない。政治家任せにせず、国民の手で政治を、そして民主主義を鍛え直す時が来ている。それが、安保法制論議の重い教訓である。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11974238.html
BACK
「違憲」安保法制 自衛隊に何をさせるのか(2015/09/20東京新聞)
安全保障関連法の成立により、軍隊並みの活動を求められる自衛隊。最初の変化は国連平和維持活動(PKO)に表れそう。リスクは格段に高まる。法案の審議中、防衛省の背広組や制服組から「われわれに何をさせようというのか」と戸惑う声を聞いた。安倍晋三政権が法案の必要性、正当性を説明できないからである。首相自身、集団的自衛権行使の具体例として挙げたホルムズ海峡の機雷除去、日本人母子の乗った米艦艇防護の二例とも審議を続ける中で破綻した・・・日米は今年四月、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を改定し、世界規模で自衛隊と米軍が連携することを約束した。・・・来年度防衛費の概算要求には、海外活動をにらんだ項目が並ぶ。戦闘機や輸送機の航続距離を延ばす航空機の空中給油機は現在の四機から七機へと増強、輸送防護車は海外の邦人保護をにらんだ新しい装備品だ。概算額は五兆円を突破し、武器輸出は既に解禁、平和国家の看板は大きく傾いている。・・・札幌の弁護士が開いた相談会には不安や悩みを訴える自衛官や家族からの相談が三十五件寄せられた。「息子に『自衛隊を辞めて帰って来い』と言っている」「自衛官の夫に転職を勧め、夫も悩んでいる」など、自衛隊を忌避する傾向が明らかになった。災害救助する姿にあこがれ、国防の意欲をもって入隊した隊員やその家族を自衛隊嫌いにしてどうするのか。求められるのは軍隊のような勇ましさではない。起こりうる事態への合憲、合法、合理的な対応策を考え、実行することにある。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015092002000131.html
BACK
安保関連法が成立 「法廃止へ」これから 各団体 運動継続を表明(2015/09/20東京新聞)
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法が十九日未明の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。安保法をめぐっては、学識者や市民団体らにとどまらず、政治的な活動と縁遠かった国民や学生へも反対運動が広がっていった。成立と同時に多くの団体が抗議や廃止を目指す方針を表明し、活動を継続させる動きが相次いだ。・・・国会正門前では十九日朝から市民が集まり廃止を求め、声を上げた。プラカードを掲げたり、座り込む姿もあった。また乳幼児の母親らが七月に結成した「安保関連法案に反対するママの会」も同日、会名から「案」をとって再出発。「手づくり民主主義は今日から新たに始まる」と、安保法の廃止を目指す声明を発表した。同会は発足後約二カ月で二万人以上の賛同を集めた。日本弁護士連合会は十九日に出した抗議声明で、多くの学生や母親らが参加した反対運動を「わが国の民主主義の健全性を示した」と評価し、「今後も国民・市民とともに廃止・改正に取り組む」とした。各界の学識者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」も、二十日に都内で「百人記者会見」を開いて抗議声明を出す。採決で反対した野党は街頭演説などで、来年夏の参院選で安保法を争点に位置付け、成立の是非を問う姿勢を示した。
十九日の参院本会議の採決の結果は、賛成一四八、反対九〇、退席二、欠席一。与党のほか次世代、元気、改革の野党三党が賛成に回り、民主、維新、共産、社民、生活の野党五党は反対した。野党議員が長時間演説で抵抗したため、成立は十九日午前二時十八分となった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092002000122.html
BACK
難民問題に映し出されるドイツ人の心(じゅん / 2015年9月20日みどりの1kWh)
紛争地域のシリア、イラク その他の国々から連日何千、何万という人がドイツを目指して押し寄せてくるため、難民受け入れに直接携わる人たちは、ほとんど限界を超えるほどの努力を強いられている。事態がますます深刻の度を加えるなかで、一部の保守的な政治家からは「緊急事態にあたってのメルケル首相の決断は大きな誤りだった」といった非難も起こった。それに対するメルケル首相の答えは「もう1度言います。私たちはやり遂げることができます」だった。メルケル首相だけではなく、難民問題に対するドイツ人のポジティブな発言に感動することも多い。・・・こうした現象のきっかけとなったメルケル首相の決断を賛成派は非常に人道的な決定だと歓迎したが、保守派のバイエルン州首相らは、それが呼び水になってさらに多くの難民がドイツを目指すようになったと厳しく非難したのだった。
雪崩現象に対する一般市民の不安を代弁したかのような与党内部のこうした非難に対し、メルケル首相は珍しく激しい感情を示した。9月15日、ベルリンでオーストリアのファイマン首相と会談した際「緊急事態でのあの決定は当然のことだったし、正しい決定だったと思っている。物事にはすぐ決定しなければならないことがある。私は決定を24時間先延ばしするわけには行かなかった。実際に多くの人々を救った」と自分の決定を擁護した。その際「緊急事態に直面して心のこもった態度を示したことを謝らなければならないとしたら、それはもはや私の国ではありません」とも述べた。そして「私は繰り返し言います。私たちはやり遂げることができますし、やり遂げます」とも付け加えたという。・・・かつてガウク大統領は「ドイツは世界における責任をもっと積極的に果たしていかなければければならない」と警告したが、今はそのために連邦軍を海外に派遣する必要はない。世界が我々のところにやってきたからだ。今こそ我々は世界に対して責任を負わなければならない。困難な状況にある人は、我々の国にとって有益であるか、そうでないかに関係なく、我々の助けを受ける資格がある。・・・このように書いたクツマニー記者は「この数週間多くのドイツ人が戦争と苦境を逃れてきた人たちに示した暖かさを、ナイーブな国民の一時的な興奮だと過小評価するのは間違っている。多くのドイツ人が示した感動的な支援行動は、客観的に見ると、惨めな状況にあった大勢の難民にとって必要な行動だった。こうした行動は豊かで平和な国に住む市民の義務である」と結論付けている。
http://midori1kwh.de/2015/09/20/7367
BACK
ドイツはなぜ大勢の難民が受け入れられるのか(こちゃん / 2015年9月20日みどりの1kWh)
今年ドイツにやって来るだろうと予測される難民の数は8月半ばに、それまでの45万人から一挙に80万人に訂正された。急激な増加だ。 難民一人当たりにかかる経費はドイツの場合、全てを計算すると月1000ユーロ(約13万6000円)前後と言われる。それでもショイブレ連邦財務大臣は、難民数が増えることを「解決不可能な課題ではありません。我々はこの深刻化する問題を克服することができます」と語っている。ガブリエル連邦経済・エネルギー相も、「ドイツは難民のために仮設住宅を建設するだけでなく食べ物を準備し、また医療サービスも提供します。ドイツは強い、豊かな国です」などと発言している。 そしてメルケル首相も「私たちは(難民受け入れを)やり遂げられます」と繰り返している。・・・日本のどこかの新聞が書いていたように、難民の受け入れに「ドイツに思惑 − 労働力不足にらむ」などということは、二次的なことだ。優秀な労働力が欲しければ、移民政策を導入した方が遥かに効率的だ。望む数の、望む資格を持つ人たちが集められるからだ。ドイツの経済が堅調であることが今回有利に働いていることは事実だが、助けを求める人たちがいるから、手を広げて彼らを迎え入れ、出来るだけのことをしようと、ドイツ人はしている。助けることが出来るという自信があるから、助けを提供しているのだ。ドイツ公共第一テレビ(ARD)のために世論調査のインファス・デマップ社が行った最新の調査で、「こんなにも大勢の難民が来るのは不安だ」という文章を肯定した人は38%しかいなかった。否定した人は61%もいた。
ドイツにやって来る難民の大多数は、将来的にもドイツに留まるだろうとされる。難民の増加で「ドイツはこれから変化する」と言う声をあちこちで聞く。それについていけないドイツ人たちを置いてきぼりにしないことも、難民をドイツ社会に繰り込んで行くとことと同じように大切だ。秋の新学期から難民用に特別に設けられた「ウエルカムクラス」に通い出した難民の子どもたちは、ベルリンだけでも5000人いる。
http://midori1kwh.de/2015/09/20/7370
BACK
安保法成立 違憲の疑いは晴れていない(2015/09/20京都新聞)
平和主義に基づく戦後70年の日本の歩みを変える危うい道だ。自衛隊の海外活動を地球規模に拡大する安全保障関連法が、成立した。歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使に憲法の解釈変更で道を開き、戦後貫いてきた専守防衛の大原則から「海外で戦争ができる国」に踏み出すことを意味する。国会内外の騒然たる反対の声に背を向け、国の在り方にかかわる安保政策の大転換が、衆院に続き参院でも政府・与党のなりふり構わぬ「数の力」で押し通された。極めて異常な事態で、許し難い。新安保法制に対し、合憲性への疑義や中身の曖昧さ、積み残した多くの問題点から、国民の異議や憤りの声はやまない。この国の平和と民主主義の禍根にしないよう、その危険性を問い続けていかねばならない。・・・たちまち不安が現実化するかもしれない。国連平和維持活動(PKO)は武装集団に襲われた国連職員らを助ける「駆け付け警護」も可能になる。防衛省は南スーダンでのPKOで来年2月にも任務拡大を検討しているとされるが、武器使用による隊員のリスクに加え、民間人を誤射した場合の処罰法令がないことも懸念されている。現地の人々の怒りを買い、外交問題に発展しかねない。こうした法的な曖昧さや欠陥を残したまま、政府が安保関連法の成立を急いだことはあまりにも無責任というほかない。・・・一方で、民意とかけ離れた安保法制に危機感を抱き、声を上げ始めた人々が確実に広がっている。若い世代や母親らが個人の判断でデモや集会に参加し、自らの言葉で意思表明する姿を、新たな民主主義の芽と受けとめたい。その声を法成立後へとつなげていくことが大事だ。「お任せ」ではなく、一人一人が平和や憲法、安保政策の在り方を考え、できる行動をする。その継続と広がりが、自衛隊派遣のなし崩し的な拡大を監視し、権力の暴走を抑えることにつながる。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
BACK
平和主義の行方 9条を空洞化させるな(2015/09/19京都新聞)
戦後70年にわたって日本の背骨となってきた平和主義をこんな乱暴な形で変質させていいのか。安全保障関連法案の国会審議を通じて、そんな思いを強くしている国民は多いはずだ。歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使を容認して海外での武力行使に道を開き、自衛隊による米軍支援を地球規模に拡大する。専守防衛を貫いてきた日本の安全保障政策の大転換であり、憲法9条を実質的に骨抜きにする法制と言ってよい。しかし、あらためて確認しておきたいのは、戦争放棄や交戦権の否認をうたった憲法9条の改正に匹敵する大転換が、国民投票などの改憲手続きを経ずに、閣議決定による解釈変更だけで行われたという事実だ。国会周辺や全国各地で、学生や母親、会社員ら多くの人々が、自由意思で集まり、法案への抗議の声を上げてきたのは、日本が「戦争をする国」になることへの不安だけではあるまい。主権者である自分たちの意思が問われないまま、国会内の「数の力」で9条がないがしろにされていくことへの疑問や憤りでもあったはずだ。
法案をめぐっては、憲法学者や元内閣法制局長官、元最高裁長官ら専門家の多くが、集団的自衛権の行使容認を「違憲」と指摘してきた。これに対し、政府・与党は1959年の砂川事件最高裁判決と72年の政府見解を行使容認の根拠としたが、無理筋の説明に国民の多くは納得していない。そのことは各種世論調査でもはっきりしており、憲法学者や元最高裁判事は、法案成立後に違憲判決が出る可能性も指摘している。「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる安倍晋三首相にとって、集団的自衛権の行使容認は「対等な日米関係」への一里塚であり、視線の先には憲法改正がある。9条の空文化によって外堀を埋め、既成事実に合わせて改憲を実現する。そんな道筋も見えてくる。だが共同通信がまとめた戦後70年世論調査によると、憲法について6割の人が「このまま存続すべきだ」と答え、評価する点として大半の人が「戦争放棄と平和主義」を挙げた。戦争の惨禍を経た日本人にとって、9条はそれほど大きな重みを持つ。9条を空洞化させるわけにはいかない。それには一人一人が声を上げていくことが大事だ。平和主義と、憲法で権力を縛る立憲主義の正念場はこれからである。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
BACK
「違憲」安保法制 さあ、選挙に行こう(2015/09/19東京新聞)
新しい安全保障法制により、日本はこれまでの平和国家とは違う道に踏み出す。この流れを止めるには投票で民意を示すしかない。さあ、選挙に行こう。自衛隊が他国同士の戦争に参戦する集団的自衛権を行使できるようになり、これまでの「専守防衛」政策とは異なる道を歩みだす。これが新しい安保法制の本質だ。戦争放棄の日本国憲法に違反すると、憲法学者らが相次いで指摘し、国会周辺や全国各地で多くの国民が反対を訴えたが、与党議員が耳を傾けることはなかった。戦後七十年の節目の年に印(しる)された、憲政史上に残る汚点である。・・・
「奴隷」にはならない
もっとも、人民が自由なのは議員を選挙する間だけで、議員が選ばれるやいなや人民は奴隷となる、と議会制民主主義の欠陥を指摘したのは十八世紀のフランスの哲学者ルソーである。政党や候補者は選挙期間中、支持を集めるために甘言を弄(ろう)するが、選挙が終わった途端、民意を無視して暴走を始めるのは、議会制民主主義の宿痾(しゅくあ)なのだろうか。しかし、二十一世紀を生きる私たちは、奴隷となることを拒否する。政権が、やむにやまれず発せられる街頭の叫びを受け止めようとしないのなら、選挙で民意を突き付けるしかあるまい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015091902000158.html
BACK
「デモは民主主義の発露」違憲論議の口火、長谷部教授(2015/09/19朝日新聞)
8月30日、国会議事堂前を12万人(主催者発表)が埋めたデモに足を運んだ。「普通の人間がポッと出かけられるデモなんて、今まで無かった。動員でもないのに、市民が自分の判断で声を上げることは、とても重要だ」と話す。デモのうねりを「カウンターデモクラシーの発露」と感じる。「現実の民意と議会の多数派の意図が大きく乖離(かいり)する時、外側の民意に配慮するのはまっとうな民主主義だ」安倍政権の手法は「立憲主義への重大な挑戦」と考える。「長年繰り返し確認されてきた憲法解釈を一内閣の判断で変える。集団的自衛権の行使が認められないという9条の解釈を変えられるなら、どんな憲法解釈も変えていいことになる」
http://digital.asahi.com/articles/ASH9L5HWVH9LUTIL04V.html?iref=comtop_6_01
BACK
欺瞞の言葉重ねた安保審議、国会劣化 作家・高村薫さん(2015/09/19朝日新聞)
「言葉の劣化」「政治家の劣化」「国会の劣化」。安全保障関連法案をめぐる国会の審議を振り返ると、そう感じます。言葉の劣化で、表に出てきたのが情緒や気分です。「中国脅威論」が繰り返されますが、今や中国との関係は経済的に切れない。そもそも、隣国との関係を悪化させたのは誰なのか。一部の政治家たちでしょう。新しい安保法制の狙いは米軍の世界戦略の一端を自衛隊が担うこと。そうした真実を隠すために、「後方支援」や「存立危機事態」など欺瞞(ぎまん)の言葉で無理が重ねられました。その結果、首相と防衛相の答弁がくい違うことがありましたが、平然と押し通されました。ヤジを飛ばす安倍首相らの言動は、後世まで記録されることが頭になかったとしか思えません。国会が軽視されているのです。集団的自衛権の行使は日本の国のあり方を百八十度転換します。自衛隊が海外で銃弾を1発撃った瞬間、戦後70年、積み上げてきたものが崩れる。そんなことは絶対許してはならない。我々はこれからも関心を持ち続けなければならない。(聞き手・中野晃)
http://digital.asahi.com/articles/ASH9L5KL6H9LPTIL01H.html?iref=comtop_6_02
BACK
民意軽視の政治、問い続ける ゼネラルエディター・長典俊(2015/09/19朝日新聞)
一体、自分たちはどこに連れていかれるのか、というどうしようもない不安。ちょっと待って、少し立ち止まって考えようよ――。それが安全保障法案に対する多くの人の気持ちだったのではないか。憲法解釈を都合よく変えて法制化に突き進むのは立憲主義の否定ではないか、国民の安全を本当に守ることになるのか。私たちは法案の問題点を指摘し、不安にこたえる説明と合意形成の丁寧なプロセスを安倍政権に求めてきた。しかし、国会審議での安倍政権の姿は熟議の民主主義とは逆だった。法的安定性を否定する発言があった。首相自ら質問者にヤジを飛ばし、正面から向き合わない答弁に終始した。・・・民意に背を向けた政権のもとで生まれた法律と、政治に対して増幅する不信にどう向き合えばいいのか。憲法に抵触する疑いが強い法制だ。成立してもなおその是非を問い続けることは言うまでもない。
自衛隊の活動を大きく広げる法制を政権がどう行使しようとしているのか。軍事的な面だけに偏らない政策の判断と選択ができるのか。安全保障政策のあり方を厳しくチェックすることが重要だ。憲法と民主主義が問われた日だ。日本社会が転換点にさしかかった今、この日の意味を改めて問い直したい。そして、国会の外の人々の声にも耳を傾けながら、私たちは権力と向き合っていく。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11972331.html
BACK
(安全保障法制)「国会外」に終始冷淡 政権、対話拒み一方的発信(2015/09/19朝日新聞)
国会を人々が囲み、「絶対反対」と叫ぶなか、採決へと突き進む与党議員たち――。安全保障関連法案をめぐり、国会周辺では18日も法案に反対するデモのうねりが続いた。国会の「内」と「外」の民主主義をどうつなぐか、向き合ってきた歴代政権もある。しかし、安倍政権は終始、背を向けたままだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11972383.html
BACK
(声)安保法制は根拠が崩れている(2015/09/19朝日新聞)経営コンサルタント 辰本好庸(東京都 81)
安倍晋三首相は国会審議で安保法制が必要な根拠として中国と北朝鮮の脅威を強調した。だが、的外れもはなはだしい。なぜなら、脅威のレベルは冷戦時代に比べて格段に低いからだ。米ソ冷戦時代、旧ソ連の爆撃機が日本周辺に頻繁に飛来し、領空侵犯もあった。自衛隊の主力は北海道を中心に布陣し、臨戦態勢に近い状態で旧ソ連と対峙(たいじ)していた。当時の中曽根康弘首相は、米軍に基地を提供する意義をアピールするために「日本列島は不沈空母」と述べた。それでも、歴代政権は憲法を尊重して集団的自衛権の行使を認めてこなかったのだ。冷戦後も、集団的自衛権を行使する必要性は高まってはいない。中国と日本の経済関係は深く、戦争で失うものは大きすぎる。北朝鮮は核開発を進めているが、その使用が自殺行為であることは国際社会では常識だ。安保法制の根拠は次々と崩れている。合憲の理由とされた砂川事件の最高裁判決も、集団的自衛権を認めてはいないことが関係者の証言で立証された。中国・北朝鮮脅威論も同じだ。それなのに法案成立に突き進んだ安倍首相は、平和国家日本を貶(おとし)めた首相として歴史に残るだろう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11972226.html
BACK
(声)戦わずに実現する平和の道を(2015/09/19朝日新聞)会社員 佐藤勝正(茨城県 57)
安保法制で自衛隊の国連平和維持活動(PKO)部隊の駆けつけ警護が可能になる。これが国内の治安に影響しないか、心配だ。私は、政府の途上国援助の仕事で昨夏から1年間、東アフリカのウガンダにいた。アフリカ連合のPKOの中心国としてソマリアへ部隊を派遣している。それが、ソマリアのイスラム武装勢力「シャバブ」の反発を招き、首都では5年前、連続爆弾テロが起きた。その後もテロはやまず、今も銃を持った兵士がいたる所にいる。日本人の私の目には異様にうつった。やはりシャバブ掃討作戦に参加する隣国のケニアはさらに深刻だ。教会などが次々とテロにあい、2013年には首都の高級ショッピングモールが襲われて200人以上が死傷した。いずれも「戦いを通して勝ち取る平和」の道を選んだ結果が裏目に出たようにみえる。日本もそのようになる気がしてならない。途上国の開発をお手伝いする私の仕事では、人々がそれぞれの利害を超えて協力する過程が重要だ。戦わずに実現する平和、あえて言えば、戦いを放棄して実現させる平和の道だ。その大切さをアフリカを見ていて痛感する。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11972223.html |