安保の衆院通過 「違憲」法案の撤回を求める(2015/07/17京都新聞)
戦後70年の節目に、日本は再び大きな曲がり角を回ろうとしているのではないか。衆院はきのう、安全保障関連法案を与党の強行採決で通過させた。審議は参院に移るが、安倍晋三首相と与党は、9月中旬以降に適用できる衆院再可決(60日ルール)も視野に入れる。政府内には既に、法案が成立したかのような気分さえ漂っているようだ。多くの国民が抱く疑問や不安を、問答無用で切り捨てたに等しい。民主主義と憲法を蔑ろにする行政府の横暴であり、それを数の力で追認した衆院は、立法府の自殺行為だと言わざるを得ない。このままでは将来に消せない禍根を残す。あらためて法案の撤回を求めたい。・・・ 野党にも大きな反対のない「消費税の再増税延期」を争点に掲げ、「大義なき総選挙」に国民が戸惑う中、戦後最低の投票率の下で大勝を遂げる。選挙演説で首相が安保法制に触れることはなく、自民党の公約集には「集団的自衛権」の文字さえ見当たらなかった。通底するのは、民意を軽視しているとしか思えぬ首相の姿勢だろう。「平和」や「幸福」といった美辞麗句を強く言い切ったり、経済問題へと目線をそらしたりしながら、とにかく、国民に情報や考える時間を与えない。異論にはどこ吹く風。自説に固執し、都合のいい意見だけを取り入れる。・・・1年後に参院選を控える。国民は各党、議員の振るまいを注視せねばなるまい。無謀な戦争であまたの人の死を重ねた反省の上に、新たな憲法を制定し、平和国家を築いてきた日本の70年である。先人の労苦を、こんな形で無に帰すことがあってはならない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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市民 「戦争する国」懸念 安保法案衆院通過 「テロや戦場怖い」 中国地方 集団的自衛権 理解も(2015/07/17ヒロシマ平和メディアセンター)
集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案が衆院本会議で可決された16日、中国地方の市民はどう受け止めたのか。「戦争の時代に戻る法案。安倍首相の暴走としか思えない」。安芸高田市の農業森川省三さん(66)は憤る。「日本がテロの標的になる可能性も高まるだろう」と懸念した。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=47393
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民意くむ姿勢 感じられぬ 報道部長・下山克彦 安保法案 衆院通過(2015/07/17ヒロシマ平和メディアセンター)
あえて書く。「通過してしまった」と。安全保障関連法案が16日、衆院本会議で可決された。その内容にまず疑義がある。それに加え、聞く耳持たぬとばかりに突き進もうとする安倍政権の姿勢に、強い違和感を覚える。集団的自衛権の行使が可能になれば、戦後の防衛政策の大転換だ。海外からの視線も変わるだろう。ある意味、国の在り方を左右する局面である。それに値するほどの審議であり、説明だっただろうか。憲法学者や法の番人である内閣法制局長官経験者の多くが、口をそろえて「違憲」とした。それなのになぜ事を急ぐのか。違憲立法の懸念は強まるばかりだ。そう考えたとき、永田町に漂う「安倍なるもの」に思いを致さざるを得ない。論戦の中で首相自らやじを飛ばし、党首討論では具体論に深入りせず、「全く正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」と言い放つ。自民党幹部は「失言」がないように若手議員のテレビ出演を禁じ、「決めるときは決める」と力を込める。元来「ハト派」「護憲派」とされてきた派閥は、何を恐れてか声を潜めるばかりだ。 ・・・選挙で信任を与えたとしても、全てを白紙委任したわけではない。国の在り方を決める主権者として、無関心はまた許されまい。未来に大きく影響するとすればなおさらである。法案は、私たちにそれを突きつけている。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=47381
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安保法案、衆院通過 民主主義の岐路に立って(2015/07/17東京新聞)
主権者である国民の多数が反対する法案がなぜ、衆院を通過してしまうのか。戦後七十年の節目の今年、私たち日本の民主主義は岐路に立たされている。憲法学者の多くが「憲法違反」と指摘する安全保障法制関連法案が衆院特別委で強行可決された十五日夜、国会正門前は法案に反対する人たちで埋め尽くされた。人の波は深夜になっても途絶えず、主催者発表の参加者数は十万人にまで膨れ上がった。法案が衆院を通過したきのう夜も、国会周辺には多くの人が集まり、安保法案反対の声が響いた。法案に反対する集まりは、名古屋、札幌など日本全国に広がる。・・・言論の自由を定めた憲法を守れない自民党議員に、憲法や法律を語る資格はない。より深刻なことは、首相自身に戦後日本の平和主義や専守防衛、立憲主義を深刻な危機に陥れている、との自覚がないことだろう。海外での武力の行使に道を開く集団的自衛権の行使を認めたにもかかわらず、平和国家の歩みや専守防衛に変わりないと言い放ち、最高法規である憲法の解釈を恣意(しい)的に変更しても、立憲主義に反しないと強弁する。それは、戦後日本が目指してきた民主主義のあるべき姿や指導者像とは程遠いのではないか。・・・ 日本の民主主義が誤った方向に進まないようにするのは、主権者である国民の崇高な役割だ。おかしいと思ったことには国民自身が覚悟を持って声を出し続けなければ、権力は暴走を自ら止めることはないだろう。政治の決定権を、国民から遊離した権力から、国民自身に取り戻す。戦後七十年。正念場である。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015071702000161.html
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戦後70年:「国のため死んでいく制度は我慢できぬ」 俳人・金子兜太さんインタビュー(2015/07/17毎日新聞)
戦争における生と死の実態とはどのようなものなのか。そこに皇軍の誉れはあったのか。帝国海軍主計将校として、南洋のトラック島に“捨て石”とされた体験を持つ俳人、金子兜太(とうた)さん(95)に聞いた。【聞き手・高橋昌紀/デジタル報道センター】
・・・官僚組織とはひどいもんです。「栄養失調による病死」にしてしまう。実態は「餓死」。しかし、皇軍に「餓死」は禁句だった。はったりをきかせていた工員たちがみるみると弱っていく。やせ細った餓死者の顔は仏様のようなんですよ。本当に可哀そうでね。他の島との連絡にポンポン船を出せば、見回りの米軍のグラマンが機銃掃射してくる。ズタズタにされる。
ところが、「あと何人か死ねば、残りを生かすだけの食糧はあるな」などと冷静に考えている自分がいた。人間なんて、浅ましいものです。幹部将校たちはサイパン島が陥落した時点で、この戦争はもう駄目だと思っていた。そうなると女房と子供の顔を見るために内地に帰ることしか、考えていなかった。・・・戦後は日本銀行(従軍前に3日間在籍)に復職しましたが、組合活動をやるなどして、にらまれた。課長にもなれずに退職しました。しかし、東大を頂点とする学閥を軸に作り上げられた人事体制は身分制そのものであり、半封建制だと思った。トラック島で共に過ごした工員たちの生々しさに比べ、この官僚たちは何なのかと。日本は戦争に負けたのに近代化されていなかった。・・・
日本人は何を学んだのでしょうか。長崎支店時代の一句です。
戦後を共に生きた仲間たちも徐々に鬼籍に入っています。皆の名前を毎朝唱え、皆に向き合う「立禅」を続けています。振り返るに戦場での死のむなしさ、異常さを考えずにはいられません。それは「自然死」ではない「残虐死」です。集団的自衛権の名の下で、日本が戦争に巻き込まれる危険性が高まっています。海外派兵されれば、自衛隊に戦死者が出るでしょう。政治家はもちろん、自衛隊の幹部たちはどのように考えているのでしょうか。かつての敗軍の指揮官の一人として、それを問いたい。
http://mainichi.jp/feature/news/20150622mog00m040018000c.html
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冥王星、“富士”との遭遇 米探査機撮影(2015/07/17朝日新聞)
米航空宇宙局(NASA)は15日、冥王星に最接近した無人探査機「ニューホライズンズ」が撮影した冥王星の詳細な画像を公表した。窒素とメタンの氷で覆われた表面の一部に、富士山の標高に迫る3千メートル級の氷の山が複数、確認された。冥王星表面の詳しい地形が判明するのは初めて。画像は、最接近の1時間半前に約7万7千キロ離れた位置から撮影された。14日に公開した冥王星全体の画像の10倍の解像度で、表面にあるハート形の領域の一部を拡大した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863426.html
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(声)日本は愛せない国になっていく(2015/07/17朝日新聞)大学院生 若松郁(埼玉県 22)
私たちは、平成の時代に生まれた。生まれた時、すでにバブルははじけていた。小学校の時、突然、「ゆとり世代」にさせられ、イラク戦争が起きた。中学生の時、リーマン・ショックがやってきた。高校生の時、東日本大震災に遭った。大学生の時、2度目の安倍内閣ができた。そして、大学院生の今、自分の国が70年前の教訓と民主主義に別れを告げようとしている。私たちは「捨て駒」としてこの世に生まれたのか。少子高齢化の今、私たちは増え続ける高齢者と傾き続ける経済を「ゆとり世代は駄目だ」と言われながら支えなければならない。若者たちの生活は保障されていないのに、たくさん子どもを産み育てろ、という。
権力者は、庶民の生活も、戦場の実情も知らないのではないか。そのような人たちに支配された国を、なぜ私たちは愛さなければならないのか。そもそも何から日本を守るのか。日本は何に狙われているのか。狙われているのなら、権力者は武力ではなく外交で国民を守るべきであろう。愛することもはばかられるこの国を守るために、命を差し出せというのだろうか。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863690.html
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(声)戦争する国になる法案に反対(2015/07/17朝日新聞)主婦 清水芳枝(神奈川県 64)
安倍政権が成立を目指している安全保障関連法案は、戦後、平和憲法の下に歩んできた日本を、戦争をする国にしてしまう法案だと思います。簡単に成立させないでください。法案に反対する第1の理由は、私を含めた多くの国民が内容を十分に理解していないからです。安倍晋三首相をはじめ、関係閣僚が説明責任を十分に果たしていないのに、採決してしまうのはあまりにも国民を愚弄(ぐろう)するものです。第2に、法案には大多数の憲法学者が「憲法違反」の判断を下しているからです。国家権力を縛るはずの憲法を、現国家権力は無視しています。憲法の前にもっと謙虚になってほしいと思います。第3に、この法案を成立させることは、誤った国策により先の戦争で無念の死を遂げた人たちを踏みにじることになるからです。日本が再び戦争をする国になることを、戦争で亡くなった人は誰も願っていないでしょう。最後に、法案が成立したら、私たちは次の世代に暗い未来を渡すことになりかねないからです。各地で若者たちも反対の声を上げています。日本の将来を担う若者たちの声を大切にしてください。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863692.html?ref=pcviewpage
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(社説)法案、参院へ 怒りと疑問にこたえよ(2015/07/17朝日新聞)
「勝手に決めるな」「国民なめるな」世代や党派を超えた重層的な抗議のコールが連日、国会周辺の空気を震わせている。「これが民主主義か」という疑問。「主権者は私たちだ」という怒り。それらを大いに喚起しつつ傲然(ごうぜん)と振り払い、自民、公明の与党はきのう、安全保障関連法案を衆院通過させた。強行しても「国民は忘れる」。安倍政権のこの侮りを、主権者は決して忘れないだろう。・・・議論すべきことは山ほどある。大多数の憲法学者の「違憲」の指摘に、政府は全く反論できていない。どんな場合に集団的自衛権を行使できるのか、安倍首相は「総合的判断」と繰り返すばかりで、要は時の政権に白紙委任しろということかと、不安は高まる一方だ。学者、学生、法曹界、無党派市民。各界各層、各地に抗議の動きが広がり続ける背景には、安保法案への賛否を超えて、この国の民主主義、立憲主義がこのままでは壊されてしまうとの危機感がある。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863688.html?ref=pcviewpage
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(社説)辺野古移設 政権は沖縄の声を聞け(2015/07/17朝日新聞)
米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移設に伴う新基地計画をめぐり、県の第三者委員会が、前知事の埋め立て承認手続きに「法的瑕疵(かし)」があったとする報告書をまとめた。報告を受けて、翁長雄志知事は「内容をしっかり精査し、承認取り消しを含めて慎重に検討していきたい」と語った。法的な根拠の怪しい事業を強行し続ければ、県民の怒りはますます膨らむ。安倍政権はまずボーリング調査を中止し、知事と話し合うべきだ。・・・沖縄で相次ぐ動きは、政権への異議申し立てにほかならない。しかし、政権の動きは鈍い。菅官房長官は「(埋め立て承認の)行政の判断は示されている」と言う。政権は、知事が承認取り消しをすれば、地方自治法に基づく是正指示や、行政不服審査法に基づく不服審査請求などの対抗措置を講じるとみられる。最後は司法の場で判断の是非を争う展開も予想される。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863689.html?ref=pcviewpage
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汚染された雨水、港湾の外へ流出 福島第一(2015/07/17朝日新聞)
東京電力は16日、福島第一原発の排水路から放射性物質を含む雨水が港湾外の海に流れ出たと発表した。雨量が増え、排水路から雨水をくみ上げるポンプの能力を超えたため、港湾外への流出を防ぐ堰(せき)からあふれたという。東電によると、16日午前の時点で排水路の水に含まれていた放射性物質は、ベータ線を出す物質で1リットルあたり1100ベクレル。前日の同39ベクレルを上回った。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863867.html
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映画人446人、安保法案反対アピール 高畑勲監督・吉永小百合さんら(2015/07/17朝日新聞)
映画関係者らで作る「映画人九条の会」は16日、安全保障関連法案に反対するアピールに賛同する映画人が446人に達したと発表した。俳優では吉永小百合さんや倍賞千恵子さん、野際陽子さんら、監督は是枝裕和さんや井筒和幸さんをはじめ、現代の日本映画の第一線を支える人たちが名を連ねている。このアピールの呼び掛け人を務めたのは、映画監督の高畑勲さん、降旗康男さん、大林宣彦さん、山田洋次さんら10人。会見した高畑さんは「自公の議員も(審議の進め方などに)全面的に賛成していないのに、どんどん進んでしまっている。日本人にはズルズル体質がある。一線を越えてはならない」と話した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11863844.html
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社説 安保法案の強行可決 国民の声 無視した暴挙(2015/07/16ヒロシマ平和メディアセンター)
理屈ではなく力ずくで、国を大きく変えるつもりのようだ。きのう安全保障関連法案は衆院特別委で怒号が飛び交う中、与党が強行可決した。法案自体を「違憲」とする指摘が憲法学者などから相次ぎ、国民の間にも反対の声や疑問視する見方が強い。それでも日程ありきなのだろう。今国会での成立へ与党はなりふり構わず突き進む。果たしてこれで民主主義国家といえるだろうか。さらに看過できないのは、安倍晋三首相の姿勢である。安保法案について「まだ国民の理解は進んでいない」ときのうの採決前に自ら認めた。前日には、石破茂地方創生担当相も同様の見解を示していた。首相は「国民に丁寧に説明していく」とも述べたが、数の力で可決した今となっては説得力を欠く。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=47332
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安保の強行採決 民意を無視した暴挙だ(2015/07/16京都新聞)
主権者である国民も、法治国家の根幹を成す憲法も軽んじる暴挙と言うほかない。政府・与党はきのうの衆院特別委員会で、集団的自衛権の行使を含む安全保障関連法案の採決に踏み切った。民主党など野党が審議続行を求め、怒号が飛び交う中、構わず数の力で押し切った。今国会で法案を成立させるための「日程ありき」の強行採決である。・・・ 政府が早期成立にこだわるのは、首相が米議会演説で「公約」していることや、来年夏の参院選への影響を最小限に抑える思惑からだろうが、身勝手な都合にすぎない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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「違憲」立法は許さない 安保法案、採決強行(2015/07/16東京新聞)
「憲法違反」の疑いは結局、晴れなかった。衆院特別委員会で可決された安全保障法制関連法案。憲法九条の専守防衛を損なう暴挙を許してはならない。安倍内閣と自民、公明両党には「ためらい」はないのか。政府提出の安保法案がきのう、衆院特別委員会で与党の賛成多数で可決された。抗議する野党の怒号が飛び交う中での採決強行である。・・・政府はなぜ、指摘を重く受け止めず、法案成立を急ぐのか。政府自らが長年、違憲と解釈してきたものを、一内閣の判断で合憲に変えてしまえば、憲法が権力を律する立憲主義は土台から揺らぎ、最高法規である憲法の法的安定性、規範性を損なう。例えば政府は、徴兵制を憲法一八条が禁じる苦役に当たるとするが、集団的自衛権のように一内閣の判断で憲法解釈の変更が認められるのなら、徴兵制が将来導入される懸念は消えない、というのが国民の皮膚感覚ではなかろうか。・・・
国民が暴走を止める
安保条約に基づく基地提供と引き換えに日本防衛の「矛」の部分を米軍に委ね、自衛隊は海外で武力の行使をしない専守防衛政策は米国の誤った戦争に巻き込まれないための先人の知恵でもある。平和国家の歩みを戦後七十年の今、止めるわけにはいかない。安保法案はきょう衆院を通過する見通しだが、今からでも遅くはない。政府には法案撤回の政治決断を、国権の最高機関である国会には廃案にする良識を求めたい。審議時間をいくら重ねても、論議が深まらないまま、採決に踏み切る愚を再び犯してはならない。国の在り方や進むべき方向を決める主権者は私たち国民だ。政府や国会の暴走を止めるため、安保法案反対の声を上げ続けたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015071602000144.html
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安保法案「成立すれば国民は忘れる」 強行採決の背景は(2015/07/16朝日新聞)
民主の岡田克也代表は採決後、「国民の反対が強まってくるなかで、早く店じまいしなければ大変なことになる。これが首相の考えだ」。共産党の志位和夫委員長も「国民多数の反対を踏みにじって採決を強行した。国民主権の蹂躙(じゅうりん)だ」とそれぞれ批判。参院で廃案に追い込む考えを示した。首相がここまでして特別委での採決に踏みきったのは、安保関連法案成立を4月の訪米で米国に公約しており、先送りが国内外で政権の求心力を落とすことになるからだ。このため、衆院を通過した法案が仮に参院で議決されなくても、60日たてば衆院で再議決できる「60日ルール」の適用を視野に、9月27日の会期末から逆算。余裕を持って15日の採決に踏み切った。・・・反論が一向に理解されない中、首相は15日の質疑で「確固たる信念があれば、政策を前に進めていく」と強調。さらに、日本を取り巻く安全保障環境の悪化による「リスク」を訴えて、集団的自衛権行使の正当性を主張してきた。しかし、憲法によって政治権力を縛る立憲主義に反することを認めれば、時の権力の暴走を許すことにつながりかねず、国のあり方そのものにとって、逆に重大なリスクになる。 「総理は『政治家が判断しなければならない』と言うが独善だ。立憲主義は総理のような独走を抑えるためにある」。民主の大串博志氏は15日の質疑でこう迫ると、首相は「違憲立法かの最終的判断は最高裁判所が行う。憲法にも書いてある」と持論を強調した。(石松恒)
http://digital.asahi.com/articles/ASH7B63N3H7BUTFK01S.html?iref=comtop_pickup_03
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「民主主義って何なんだ」 強行採決に抗議、全国で(2015/07/16朝日新聞)
この道はどこへ行き着くのか。ヤジと怒号の渦。しかし与党側からも高揚感の見えぬまま、安全保障関連法案が15日、衆院特別委員会で可決された。「民主主義って何なんだ」。抗議の意思を示そうと、人波が国会前へ向かい、その輪は各地に広がった。・・・集会は、国会周辺で五月雨式に続いた。午後7時半からは学生団体「SEALDs(シールズ)」が開催。授業後、友人2人を誘って来た都内の大学3年生木村茜(あかね)さん(21)は、「強行採決反対」と書かれたプラカードを掲げ、声を上げ続けた。「大学でも、安倍政権のやり方はおかしいと思っている友人は多い。民意を無視しているようにしか見えない」今回の審議を見ていて、次の選挙には必ず行こうと決めた。「若者だって、政治に無関心ではないというメッセージを伝えたい」と話した。正門そばの演台では、学者や作家、若者、野党幹部らが代わる代わるマイクを握った。13日の中央公聴会で意見を述べた山口二郎・法政大教授(政治学)は「(公聴会での意見を)その後の審議にどう反映させたのか。政治が劣化し、民主主義が脅かされる。危機感を持って闘い抜く」と訴えた。
http://digital.asahi.com/articles/ASH7H4F5DH7HUTIL02K.html?iref=reca
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国民の理解は、議論は…強行採決に国会内外で抗議の声(2015/07/15朝日新聞)
国民の理解を伴わぬまま、歴史的な歯車は回った。安全保障関連法案は15日、ヤジと怒号と拍手が渦巻く衆院特別委員会で採決が強行された。国会の内外には多くの人々が駆けつけ、「議論は尽くされていないのに許せない」と抗議の声を上げた。・・・ 安全保障法制をめぐる政府の説明について、「集団的自衛権が必要だときちんと説明するならまだ分かる。でも、『リスクはない』と国民をだますようなことばかり言っている」と疑問を抱いてきたという。インターネットなどで、国会審議の動画を見るようになり、6月には初めてデモにも参加した。・・・ 「14日も日比谷で2万人が集まり、これまで黙っていた人も声を上げ始めているのに政権は聞く耳を持たない。憤るというより、あきれている」と批判。「多くの学者に『違憲』と言われている法案。審議時間だけ100時間を超えても意味がない」 市民団体「安倍政権にNO!東京・地域ネットワーク」の約30人は、14日夕方から国会そばで座り込みを始めた。ランタンの明かりのもと、「戦争はイヤ!」「私たちは殺さない! 殺されない!」と書かれた横断幕を掲げ、採決に踏み切ろうとする与党に抗議した。深夜には、ネットで座り込みを知った若者が飛び入り参加したという。
一部の参加者はその場で夜を明かし、そのまま国会正門前の抗議活動に加わった。15日朝、メンバーの横山哲也さん(62)は「戦後70年の日本の行き着く先が今日かと思うと暗澹(あんたん)たる気持ちになる。デモが終わったらおとなしく帰るのではなく、騒然とした雰囲気を持続させて怒りを示したい」と話した。
http://digital.asahi.com/articles/ASH7H41YGH7HUTIL023.html?iref=comtop_6_01
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後藤健二さんの夢、受け継ぐ 平和祈る歌と絵、友人らCDに(2015/07/15朝日新聞)
過激派組織「イスラム国」(IS)によって殺害された後藤健二さんの友人が、一枚のCDを出した。後藤さんが最後まで思いを寄せていた歌を収め、ジャケットには取材で出会った子どもたちの手による花の絵をあしらった。一人のジャーナリストが夢見た平和への思いを表現した。・・・《今日1日 貧しい人や病んでいる人々を助けるために 私の手をお望みでしたら今日わたしのこの手をお使いください》教会に通っていた後藤さんが好きだった聖歌「わたしをお使いください」の歌詞だった。・・・ 平和を願い、紛争地の実態を伝え続けようとした後藤さんの思いを一人でも多くの人に届けたい。「わたしを」を含め、後藤さんが好きだった曲をCDにしようと2人は考えた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11861278.html
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NHK、総括審議を中継せず 衆院ネット中継はパンク(2015/07/15朝日新聞)
15日午前の衆院特別委員会での安全保障関連法案をめぐる締めくくりの審議を、NHKは中継しなかった。NHK広報局は取材に対し、「独自の編集・編成判断に基づいて国会中継を放送している。その際、国民的な関心が高い重要案件を扱う委員会の質疑であることや、各会派が一致して委員会の開催に合意することなどを適宜、総合的に判断している」と説明した。
http://digital.asahi.com/articles/ASH7H3QJJH7HUTIL01Q.html?iref=comtop_6_02
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安保法案 衆院委で可決 反対民意の中 強行(2015/07/15東京新聞)
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする政府の安全保障関連法案は十五日午後の衆院特別委員会で、自民、公明両党の賛成で可決された。民主、維新、共産の野党三党は強行だと抗議して採決に加わらなかった。安保法案に対し、憲法学者から「違憲」との指摘が続出するなど、各界各層に反対の声が広がる中、安倍政権は今国会中の成立を目指す姿勢を鮮明に打ち出した。・・・世論説得 自信のなさ露呈
<解説> 与党は十五日午後、安全保障関連法案に関する衆院特別委員会で採決強行に踏み切った。五月末から一カ月半にわたるこれまでの審議では、政府側の説明の矛盾やあいまいさが際だった。審議を進めるほどに世論の疑念が深まる中での採決は、拙速との批判を免れない。説明を尽くしても、国民の理解を得る自信がないと認めているに等しい。・・・首相は、敵国の意図が不明でも集団的自衛権行使に踏み切る可能性にも言及。政府の裁量次第で行使の範囲が広がる懸念は、審議を重ねるごとに強まった。そんな状況で採決したのは、世論の反対がこれ以上強まる前に採決してしまえという姿勢にほかならない。首相は安保法案を閣議決定した五月十四日の記者会見で「分かりやすく丁寧に、必要な法整備であることを審議を通じ説明していきたい」と強調した。自身の発言の意味を、今こそかみしめるべきだ。 (新開浩)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015071590140834.html
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冥王星:観測に成功 米探査機(毎日新聞 2015年07月15日 東京夕刊)
米航空宇宙局(NASA)は日本時間の15日午前9時52分、史上初めて冥王星に接近した無人探査機「ニューホライズンズ」から、観測が成功したとの信号が届いたと発表した。探査チームは記者会見で「歴史を作った。これはまだ始まりに過ぎない」とコメントした。NASAによると、探査機は14日午後8時49分、冥王星の1万2500キロ上空を通り過ぎ、地表の構造や大気の組成などを観測した。高精度カメラによる地表写真など最接近時の画像が公開されるのは16日午前4時以降で、来年11月ごろまでデータが順次地球に届く予定だ。ニューホライズンズはさらに遠くの小天体の探査へ向かう。また、NASAは、特殊フィルターを使って表面の物質の違いが色分けされた冥王星と最大の衛星カロンの画像を公開した。撮影は13日。特徴的な巨大なハート形の地形は、左右で構成する物質が異なることが判明したという。【伊藤奈々恵、阿部周一】
http://mainichi.jp/shimen/news/20150715dde041040022000c.html
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安保関連法案:日本ペンクラブが強行採決に抗議声明(毎日新聞 2015年07月15日)
日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は15日、安全保障関連法案の衆議院特別委員会での強行採決に抗議する声明を出した。「集団的自衛権の行使が日本国憲法に違反することは自明である」とし「私たちは、戦争にあくまでも反対する」と訴えている。
http://mainichi.jp/select/news/20150716k0000m040025000c.html
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安保法案:衆院委で可決 支持なき強行、怒り 何でもっと多くの意見を聞かないのか(毎日新聞 2015年07月15日 東京夕刊)
政府・与党が強行採決に踏み切った。15日の衆院特別委員会。日本の安全保障政策を根本から変える安保関連法案を巡り、「審議時間が100時間を超え議論は尽くされた」と言うが、審議が進むにつれ国民の疑問や不信はむしろ深まっている。そんな状況に頓着しない政権に、国会の外で、内で、怒りが渦巻いた。・・・ 神奈川県茅ケ崎市から来た無職、辻村博さん(73)も「多くの学者が違憲と指摘し、世論調査でも反対が多数を占めている。それでも採決を強行していいのか」と憤った。「何でもっと多くの意見を聞かないのか。孫の世代に戦争ができる国を引き継ぎたくはないし、何とか廃案に追い込みたい」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150715dde041010080000c.html
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特集ワイド:この国はどこへ行こうとしているのか 「平和」の名の下に 作家・島田雅彦さん(毎日新聞 2015年07月14日 東京夕刊)
憲法を憎んでいるのか。「今の安倍晋三政権は、現行憲法を憎んでいるのではないですかね……」憲法を、憎む−−。強い感情を示す言葉が、現代文学を代表する作家の一人、島田雅彦さん(54)の口からこぼれ落ちた時には、さすがに驚いた。
安倍政権について「憲法を軽んじている」「憲法尊重擁護義務を定めた99条違反だ」などの論評は今や至る所で聞く。それでも「憎んでいる」という表現は初めて聞いた気がした。・・・「安倍首相は最初、改憲のハードルを下げるために96条に手を付けようとした。だが、現行憲法の規定に従わなければならないので、今度は解釈変更で乗り切ろうとした。それが今回の『戦争法案』です。つまり安倍政権のやりたいことをことごとく邪魔するのが現行憲法、という構図です。しかし1票の格差が是正されない状態で成立した政権も違憲だが、この法案も違憲。政権の意向に憲法を従わせようなんて本末転倒です」・・・続けて言う。「『小説』は『小さい説』、つまり個人の生活と意見のこと。対になるのは『大説』『大きい説』。政治経済、国家を論じることです。大説が多様性を失い、単純化し、多くの矛盾を抱えている現状では、大説に異論を唱えることが小説の役割となる。書きたいことを書けなくなれば小説家は終わりです。職業上の自由を保障してくれているのが憲法です」
だから批判的精神を失わず異論を唱えていくことが、小説家の役目、というわけだ。
憲法への思いは深い。「今一度、現行憲法を読んでみると、時代遅れどころか、日本が目指すべき今後の安全保障のあり方を示唆してもいます。日本を戦前に回帰させたがっている人は現行憲法の前文の規定を『ユートピア的』と批判するが、憲法が国民の自由と権利を保障し、平和を希求しているからこそ、戦争に行けといわれても、断ることができ、政府を批判することもできるのです。今春、戦没者慰霊のためにパラオを訪問し話題になった天皇陛下も、憲法を守り、二度と戦争をしないことを述べておられます」安保法案の採決強行は秒読み段階だ。しかし島田さんは悲観していない。「国会の場では数の力に任せて強行採決もできるでしょうが、支持率低下と引き換えになる。ゴリ押しすることで逆に改憲の野望は遠のくのではないでしょうか」
そう考えるのは、安保法案に反対する学生グループ「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs=シールズ)」が国会前で抗議行動を行うなどの動きに大きな希望を感じているからだ。・・・では今、できることは何なのか。島田さんの言葉は強く、真っすぐだった。「一人一人が反対の意を唱え続けること。政治を動かすのは国会だけではないですから」。デモで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、メディアでの発言で−−。「異議を唱え続ければ、政権の支持率低下につながります。ネトウヨの罵詈雑言(ばりぞうごん)よりも政権批判の正論の方が強いし、説得力があるのです」 そして最後に言い添えた。「ベトナム戦争で米国から参戦を要請された時、集団的自衛権の行使が禁じられているから、日本は断ることができた。一方、あの時参戦した韓国は、今もベトナムとわだかまりを残す。戦争は負の遺産しか残しません。集団的自衛権の行使は、国の『自殺行為』です。それを私たち国民が放置するなら、私たちだって『自殺ほう助』の罪を問われると同じことではないですか」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150714dde012010002000c.html
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安保法案審議 国民置き去りで採決するな(2015/07/15京都新聞)
安保法案審議 国民置き去りで採決するな
与党は安全保障関連法案を審議するきょうの衆院平和安全法制特別委員会で、採決に踏み切る構えをみせている。歴代内閣が認めなかった集団的自衛権の行使に道を開き、自衛隊の海外派遣を飛躍的に拡大させる法案である。戦後の平和国家の歩みを大きく変えかねず、多くの憲法学者から「憲法違反」の疑いが指摘されている。そんな法案の強行採決を国民の理解が広がらないまま認めるわけにいかない。共同通信が先月下旬に実施した世論調査では、法案に「反対」は58・7%、今国会での成立に「反対」が63・1%、安倍政権が「十分に説明しているとは思わない」が84%にのぼる。安倍晋三首相は「相当(国民の)理解が深まった」と述べたが、この数字をみれば、認識が誤っていることは明らかだ。首相は法案への理解が広がらない理由をよく考えてほしい。政府の説明不足だけではない。納得しにくい無理筋な内容をあまりにも多く含んでいるからだ。・・・だが、相互依存が深化する現代では、軍事力を背景にした抑止力が必ずしも機能しないと言われる。とりわけ発展途上国での武力行使はかえって内戦と貧困、テロの連鎖を生む原因となっている。安全保障は防衛力だけでなく、外交や政治、経済、社会など総合的な関係の中で、いかに安定した秩序を作るかが重要だ。その際に、憲法9条を掲げる日本の平和主義は、信頼に基づく安保環境を構築していく有効な道具になる可能性がある。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/
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『言』 シベリア抑留 戦場は情けも法もない(2015/07/15ヒロシマ平和メディアセンター)
手記「凍った大地に」の著者・品川始さん
終戦後、旧ソ連国境近くにいた軍民数十万人の邦人が旧満州(中国東北部)から酷寒のシベリアに連行される。ゆえなき重労働に駆り立てられ、栄養失調で命を落とす者もいた。「シベリア抑留」である。引き揚げの地、京都府舞鶴市があまた抱える資料を記憶遺産として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録申請する際にも核心となった。抑留体験記「凍った大地に」が近く出版される、島根県邑南町の品川始さん(91)に聞いた。(聞き手は論説委員・石丸賢、写真・今田豊) ・・・戦争を知らない世代が多いのは幸せなことじゃあるが、絶対に戦争を始めちゃいけんことくらいはわきまえてほしい。私は軍人になろうとは、ひとつも思っていなかったが、「敵は鬼と思え」と教育され、武器を取れば自分が鬼になる。上官の命令のまま、やりたい放題だった。情けも法律もない。いくら戦争反対と言っていても、子どもが兵隊に取られれば「勝て、勝て」となる。国が旗を振れば、自然(じねん)になびく。今の国会のやりとりを見ても、そんな気がしてなりません。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=47223
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「違憲」安保法制 「理解せよ」と迫る傲慢(2015/07/15/東京新聞)
憲法違反と指摘される安全保障法制関連法案を理解しろと言われても、そもそも無理な話だ。安倍政権は、国民の理解が深まったとして採決を強行しようとするが、あまりにも傲慢(ごうまん)ではないのか。審議時間は百時間を超え、中央公聴会で与野党がそれぞれ推薦した有識者から意見も聞いた。安倍内閣が提出した安全保障法制関連法案の今国会成立を目指す与党としては、委員会採決の環境が整ったということなのだろう。・・・ 共同通信社が六月下旬に行った全国電話世論調査によると、安保法案が「憲法に違反していると思う」との答えは56・7%に上る。法案に「反対」は五月の前回調査から11・1ポイント上昇して58・7%、今国会成立に「反対」も8ポイント増の63・1%に達する。今月に入って報道各社が相次いで行った世論調査でも、同じ傾向の調査結果が出ている。歴代内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使に一転、道を開き、海外で戦闘に巻き込まれる危険性を高めるなど、戦後日本の専守防衛政策を根本から変質させる安保法案である。憲法学者の多くが違憲と断じたにもかかわらず、法案を合憲だとして押し切ろうとする政府・与党と、「違憲」立法を認めない国民との乖離(かいり)は広がるばかりだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015071502000145.html
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(社説)「違憲」法案 採決に反対する(2015/07/15朝日新聞)
安倍政権はきょう、衆院の特別委員会で安全保障関連法案の採決に踏み切る。法案に対する国民の目は厳しく、理解は広がっていない。法案は憲法違反であり、反対だ。安倍首相の国民への説明は丁寧ではなく、今の国会で成立させる必要はない――。・・・ 審議時間を費やしても費やしても理解は広がらない。逆に審議を重ねれば重ねるほど疑問が膨らんでいく。なぜなのか。最大の理由は、法案に根本的な欠陥があるからだ。1972年の政府見解をもとに、これまでの歴代内閣は「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」、つまり違憲であるとの立場をとってきた。安倍政権はそれを昨年の憲法解釈の変更で「許容される」へと百八十度ひっくり返した。論理的な整合性を欠くだけではない。憲法が権力を縛るという立憲主義に反し、憲法をはじめとする法体系の安定性を失わせる暴挙と言わざるを得ない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11859384.html
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(声)強行採決は立憲主義をむしばむ(2015/07/15朝日新聞)無職 笹田信之(神奈川県 67)
政府与党は今週中にも、安全保障関連法案を衆院通過させる構えだ。だが多くの国民が反対し、憲法学者や元内閣法制局長官らが「憲法違反」と指摘している。目安とする審議時間を超えたといって強行突破すれば、国の将来を危うくする。地球規模での自衛隊の展開は、災禍の連鎖を招くかもしれない。個々の自衛隊員の生命も危険にさらす。さらに憂うべきは「法を順守する」という最も基本的な立憲主義の精神が、取り返しがつかないほどにむしばまれることだ。最高法規の憲法でさえ、時の内閣が自らに都合よく解釈できるという現実を見せられれば、国民の規範意識は損なわれ、法治国家の土台は失われるだろう。世界からの日本に対する信頼も大きく揺らぐだろう。順守すべき規範を無視して自らを律することのできない国だと警戒感が高まりこそすれ、心からの友好の気持ちを持ってもらえるわけがない。真に世界の平和を目指すのであれば、まずは国民の声に謙虚に耳を傾け、理解を得るべく十分な説明をした上で、憲法改正を問うのが筋である。法案の強行採決など、論外である。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11859387.html?ref=pcviewpage
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(声)戦争体験者が納得できる説明を(2015/07/15朝日新聞)無職 佐々木国春(宮城県 43)
70年前の7月10日未明、米軍のB29爆撃機の空襲で仙台は1千人を超す死者を出した。当時8歳だった母は、自宅から数十キロ離れた仙台の夜空が、赤々と燃えていたことを鮮明に覚えているという。折にふれ私たち子どもに話してくれた。戦後わが国は、不戦の誓いを守り続けると決意した。日本国憲法を定め、自国民の命と平和な暮らしを守るだけでなく、他国民の命と平和をも尊重することにしたはずだ。安倍晋三首相は、この先も日本が平和国家として存続し、国民が安心して暮らせるようにと、安全保障関連法案を成立させようとしているのかもしれない。でも、待ってほしい。多くの憲法学者から違憲と指摘され、「戦争法案」とも呼ばれている。批判に耳を傾けずに突き進むのではなく、なぜ法案が必要なのか、国民が納得できるような説明をしてほしい。審議にも最大限、時間をかけるのは当然だ。過去の過ちを再び繰り返すことがあってはならない。戦争を体験した母にも理解できるような説明がほしい。一国民として、ただただ願っている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11859388.html
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(声)戦争は決して幸せをつくらない(2015/07/12朝日新聞)会社員 尾山雄二(静岡県 71)
私が生まれた翌年に、父を戦争で亡くした。だから、父のことを知らない人生をおくってきた。自分の親のことを知らない人間を生む。それが戦争だ。武器と武器の戦いではない。戦争とは人と人の殺し合いなのだ。戦争は決して幸せをつくらない。私の友は、戦争の焼夷(しょうい)弾で頭にやけどを負った。やけどの痕は友の母の手にもある。友が母に抱かれたまま一緒にやけどを負ったことを示していた。戦争が終わっても友とその母のやけどの痕は消えず、残ったままだった。消えることのないやけどの痕。父がいないことは言わなければ他人にはわからないので、今まで黙ってきた。しかし、いま安全保障法制関連法案が審議されているため、私は自分の痛みを語ることにした。日本と米国を守るために、世界中を相手に戦争で人を殺すことは良いことなのか。若者に武器を持たせて戦場に送るのは、国民を幸せにすることではないと思う。戦場では相手を殺さなければ、こちらが殺されるのだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854715.html
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長崎原爆、撮る・伝える 井上ひさしさんの遺志継ぐ映画(2015/07/12朝日新聞)
長崎原爆をテーマにした映画「母と暮せば」の制作が進んでいる。劇作家の故井上ひさしさんの遺志を、山田洋次監督(83)が継いだ作品で、女優吉永小百合さん(70)が主役をつとめる。戦後70年。戦争の現実と悲惨さ、平和の尊さを映画を通して訴える。・・・
■山田洋次監督「僕の生涯で一番大切な作品にしようと思う」
戦争の記憶が急速に遠ざかりつつあります。僕たちの国が世界で唯一原爆の被害を受けたという事実を繰り返し語り継ぐことの、どこが間違っているのでしょうか。原子爆弾という大量殺人兵器の発明が科学技術の進歩の成果であるとしたら、人間はどうしてそんなに愚かなのだろう、と思わないわけにはいきません。「母と暮せば」の準備のために何度もナガサキを訪れました。その昔、井上ひさしさんが「父と暮せば」の調査でヒロシマを訪れ、被爆者の体験記を一字一字ペンで書き写したという話を聞いて、僕も万年筆でノートに何枚も書き写しました。そうしなければ被爆者に失礼にあたると、井上さんと同じように考えたからです。これは僕の83作目の映画です。生涯で一番大切な作品にしよう。そんな風に思っています。(談)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854765.html
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(ウォッチ安保国会)元自衛官、病を押し「反対」
札幌市内の公園で11日に開かれた安全保障法制に反対する集会。壇上に立った元自衛官の末延隆成さん(53)=北海道音更町=は「間違いなく自衛隊員の血が流れます」と法案への懸念を語った。
33年間、主に戦車隊で働き、今年1月に2等陸曹で退職した。専守防衛を超えかねない集団的自衛権の議論に、「国民を守る盾としてなら命を落としても悔いはない。他国のケンカに首を突っ込み、死を強いられるのはごめんだ」と感じる。
「後方支援」にあたる弾薬補給陸曹も務めていた。戦闘が始まれば、弾薬や燃料などを寸刻も切らさず補給しなければならない。集会では、「戦争に前方も後方もない。補給部隊は格好のターゲットになるリスクが高い」と訴えた。
在職中に肺の病に侵され、余命5〜10年と診断されている。反対集会への参加を、元同僚は「裏切り者」と思うのではと迷いもあったが、「これからこの国で生きる人が、平和で安心して生きていけるよう、声をあげたいと思った」。会場の大きな拍手に敬礼で応えた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11854770.html
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