(報われぬ国 負担増の先に)介護現場の待遇 薄給、耐えられない(2014/10/13朝日新聞)
10月上旬、新潟市内の給食会社社員らが、市内の社会福祉法人「心友会」の介護施設の一室に呼ばれた。「なぜ会社を辞めるのか。次は決まっているのか」。社員らによると、心友会の元理事長からそんな趣旨の話があったという。・・・最近、社員の多くが元理事長の影響力が強く残ることに不満を募らせ、10月15日付で辞めようという話が持ち上がっている。ある社員は「心友会の幹部からも『給与を上げるから。冬のボーナスも増やすので辞めないで』と説得された」と話す。・・・これまで社員らの給料は低く抑えられてきた。月に16万〜17万円がほとんどで、高い人でも月に20万円台だったという。ある社員は「採用のときに『ボーナスは2カ月分出す』と言っていたのに、約束は守られなかった」と訴える。
給食会社だけではない。介護にあたる職員の給料も抑えられてきたという。心友会の元職員は「職員の基本給は月に十数万円で、かつては昇給もほとんどなかった」と明かす。一方、元理事長は給食会社の社長も務めてきた。11年に社長を辞めたが、その後も給食会社の社員として残り、内部資料では、多いときで額面で月220万円の給料が出ていた。・・・介護現場では低い給料への不満が広がっている。関西の社福に勤める女性職員は月に7、8回の夜勤をしても月給は20万円ほどにしかならない。「いくらがんばっても理事長は現場の努力を評価してくれない。給料は1年に2千円しか上がらない」と嘆く。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、福祉施設で働く人の13年の平均給料は月に約21万9千円、訪問介護で働くホームヘルパーは約21万8千円だった。看護師は約32万8千円と大きく上回り、栄養士も約23万4千円と上回る。・・・ 介護報酬はいま、全体で年間約10兆円になる。財務省の計算では、介護事業者の収支差を中小企業のもうけ並みにして6%幅下げれば、約6千億円が浮く。介護報酬から約6千億円分をいったん減らしたうえで、その一部を介護職員の給料アップなどに絞って使うことができるというのだ。一方、全国老人福祉施設協議会は財務省の主張に反発する。今月には、加盟する特養などの収支差はゼロだという調査結果をまとめ、公表した。財務省が言うように介護報酬を引き下げれば運営が難しくなり、「介護崩壊の危機」と訴えている。・・・
社会福祉法人(これまでの連載から)
全国に2万法人近くあり、特別養護老人ホームや障害者施設、保育園などの施設約16万カ所の半分近くを運営する。お金もうけを目的にしない非営利の民間団体で、法人税や固定資産税が原則免除される。一部の社福で、理事長が勝手に運営権を売る「社福売買」や、親族企業に優先して仕事を回す「ファミリービジネス」などの私物化がみられる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11400135.html?_requesturl=articles%2FDA3S11400135.html&iref=
comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11400135
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インド東部へ大型サイクロン接近、20万人以上が避難(2014/10/12CNN)
ニューデリー(CNN) インド政府当局者は12日までに、大型のサイクロンが同国東部海岸地域に上陸する恐れがあるとして住民20万人以上が避難したと発表した。同国のシン科学技術相は、接近するサイクロンは大型だが、巨大な規模に成長する脅威はないとも主張した。風速は12日午後に最大で秒速約51メートルに達するとも予想した。政府当局によると、同国南部アンドラプラデシュ州の4カ所の地区では少なくとも10万人の住民が学校や他の堅固な建物など安全な施設へ退避した。隣接するオディシャ州でも約10万人が避難した。同州の災害対策当局者は被害が生じても最小限に抑えられるとの見通しを示した。
http://www.cnn.co.jp/world/35055046.html
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マララさんに平和賞 17歳、最年少ノーベル賞 インド活動家・サティヤルティ氏も(2014/10/11朝日新聞)
ノルウェーのノーベル賞委員会は10日、2014年のノーベル平和賞を、女子教育の権利を唱えてイスラム過激派に頭を撃たれ一命を取り留めたパキスタンの女子学生マララ・ユスフザイさん(17)と、インドの児童労働問題の活動家カイラシュ・サティヤルティさん(60)の2人に授与すると発表した。・・・マララさんは09年、女子教育を否定するイスラム過激派の武装勢力タリバーンにおびえながら登校する日々を英BBCの現地ブログに仮名でつづり始めた。やがて本名を明かし、国内外のメディアで発信。12年10月9日、学校からバスで帰宅中にタリバーンに頭と首を撃たれた。移送先の英中部バーミンガム市の病院で治療を受け、奇跡的に回復。現在も全ての女子や児童への教育実現を唱えている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11396817.html
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ノーベル平和賞―教育こそ世界の未来(2014/10/11朝日新聞)
国籍も宗教も性別もかかわりなく、子どもは誰も、守られる権利や育つ権利などをもつ。人類が20世紀にたどりついた原則を定めた「子どもの権利条約」が国連で採択されて来月、四半世紀を迎える。世界の現実をみると、その実現にはまだはるか遠い道のりがあると言わざるを得ない。貧困や戦乱、差別など様々な理由で、教育の機会を奪われる子が少なくない。国連児童基金によると、世界の子どもの15%が働かされているという。そんな苦境の子どもを救おうと尽力してきた南アジアの2人にノーベル平和賞が贈られる。インドの男性カイラシュ・サティヤルティさん(60)と、パキスタン出身の女性マララ・ユスフザイさん(17)。先進国も新興国も、自国の経済成長ばかりに関心を集中させがちな時代である。置き去りにされる子どもたちに少しでも思いをはせる好機と考えたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_gnavi
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(声)ネット情報より現実を見よう(2014/10/11朝日新聞)無職 西山雄二郎(神奈川県 69)
「ヘイトスピーチへの処方箋(せん)」(2日「耕論」)を読みました。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を調査した社会学者の樋口直人さんが指摘した、差別デモに参加した人々の学歴や仕事の内容は驚きでした。彼らの多くは在日コリアンの実情も知らない人々で、高学歴でホワイトカラー、正社員が多かったというのです。彼らの憎悪をあおる舞台装置がインターネットだったそうです。ネット社会の一つの象徴が「歩きスマホ」です。歩きスマホに悩まされるのは健常者も例外ではありませんが、目の不自由な方々にとってはいかばかりでしょうか。ネットの情報に縛られ、現実に目を配らない社会は、人間関係を一層希薄にしているように思えてなりません。電車に乗ると、車両の中で会話をしているのはわずか一組。ほとんどの人がスマホを見ていました。新聞や本を読む人もいません。ネット社会を否定することなど、もはや誰にもできないでしょう。しかしネットだけでなく、もう少し直接顔を見ながら話してみることはできないでしょうか。その大切さを、教育や社会の現場で教えてほしいものです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11396763.html
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「9条、世界が注目した」 ノーベル賞、市民団体「来年こそ」(2014/10/11朝日新聞)
「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会(事務局・相模原市南区)のメンバー13人は、市内の会見会場に設置された大型画面で、ノーベル委員会の発表中継を見守った。マララさんの受賞が決まると、笑顔で拍手を送った。9条をトップに挙げる受賞予測もあり、会場には国内外の報道関係者100人以上が詰めかけた。その前で共同代表の石垣義昭さん(73)は語った。「残念だったが、世界が9条に注目してくれたことに意義がある」。これまでに集めた賛同署名は44万人以上。来年以降の受賞を目指し、100万人分を集めるという。・・・ 「残念だった」「でも来年に期待したい」。10日夜、東京都千代田区であった「9条の会」主催の学習会でも“落選”が話題に。9条の会はイラクに自衛隊が派遣された2004年に作家の大江健三郎さんら9人が呼びかけ人となり、話し合いでの紛争解決を目指して結成された。事務局長の小森陽一・東大院教授は「今回、国内外で注目されたことで、解釈改憲など9条の理念と反対のことをしようとしている安倍政権のまやかしを浮き彫りにできた」と意義を語った。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11396861.html
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エジプト、再生可能エネルギーに期待(Peter Schwartzstein for National Geographic News October 8, 2014)
エジプトではここ数年、不安定な経済にさらに追い討ちをかけるように停電が頻発し、国民の日々の生活に支障をきたしている。その原因は単純だ。アラブ世界でも最も人口密度の高いエジプトで、高まるエネルギー需要に生産がまるで追いついていないのだ。そして、外国から燃料を輸入するだけの経済的余裕もない。政情不安により、過去に計画されていた再生可能エネルギーの開発は立ち止まってしまったままだ。しかし、もし停電問題が解消されなければさらなる騒乱を引き起こすのではないかという不安に加え、政府の財政難を緩和
するためにも、アブドルファッターフ・アッシーシ(Abdel Fattah el-Sisi)大統領による新政権は、これまで以上に断固とした政策を実行しようとしている。 ・・・ 一部のエジプト国民は、この現状を歯がゆい思いで見守っている。なぜなら、この国にはほとんど手をつけられていない風力および太陽光エネルギー資源が豊富に存在するからだ。太陽光エネルギーの分野を先導するドイツに比べて、エジプトでは2倍以上の太陽光が降り注ぎ、南部の町アスワンでは、雲のない青空の広がる日が年間330日以上を数える。紅海からは常に風が吹き寄せ、海岸沿いのほぼ未開発の不動産は、大規模な風力発電施設を建設するには最適な場所だ。政府の補助金制度のおかげで、石油やガスに代わるエネルギー源が経済的に競争力を失ってしまったが、アッ=シーシー大統領はこのほど、5カ年計画で補助金を段階的に削減していく政策を実施し、その結果化石燃料の価格が上昇を始め、風力および太陽光エネルギーの持つ潜在性へ新たな期待が高まりつつある。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20141008002
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アスベスト判決 「公害」の救済を早く(2014/10/11東京新聞)
アスベスト(石綿)工場の元従業員が受けた健康被害に対し、最高裁は国の責任を認める初判断をした。中皮腫や肺がんなどを患う原告たちは、もう七十代にもなる。一刻も早い救済が迫られる。大阪府南部の泉南地域には、一九六〇年代から七〇年代にかけての最盛期で、二百社以上もの石綿工場があった。多くは従業員が十人にも満たない零細な工場で、石綿糸や石綿布などをつくる紡織業が地場産業だった。・・・国はすぐに対策を講ずるべきだった。最高裁は「粉じんの発散源となる機械に局所排気装置を設置することが最も有効な方策だった」とし、「罰則をもって石綿工場に同装置を義務づけなかったことは違法」と明確に述べた。粉じん対策の違法性を認めたことは、他のアスベスト訴訟にも大きな影響を及ぼすだろう。国を相手取った訴訟は、他にも十二を数えるのだ。とくに建設アスベスト訴訟が注目される。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014101102000146.html
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大規模太陽光発電:参入凍結 経産省検討、発電量を制限(毎日新聞 2014年10月11日 東京夕刊)
福島第1原発事故を踏まえて、政府は再生エネの導入推進を掲げてきた。固定価格買い取り制度は再生エネ発電への新規参入を促す柱と位置付けられてきたが、抜本的な見直しを迫られ、制度設計の甘さを露呈した格好だ。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141011dde001010048000c.html
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ことば:固定価格買い取り制度(FIT)(毎日新聞 2014年10月11日 東京夕刊)
電力大手に再生エネ発電電力の買い取りを義務づける制度。東日本大震災後、再生エネの拡大を図るため、2012年7月に導入された。政府が認定した太陽光や風力などに1キロワット時当たりの買い取り単価が設定され、電力会社が最長20年間一定価格で買い取る。単価は年度ごとに見直される。買い取り費用は電気料金に上乗せされている。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141011dde001010049000c.html
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憂楽帳:私は正直だ(毎日新聞 2014年10月11日 大阪夕刊)
福島第1原発の汚染水漏れを「状況はコントロールされている」と言った安倍晋三首相の驚きの発言に限らず、「ウッソだろ」と思わず叫んでしまう政治家の発言は珍しくもない。「私はウソは申しません」と言ったのは安倍首相の大先輩、池田勇人元首相だが、実はこれは論理的にはおかしな発言だ。「私はウソつきだ」という「ウソつきのパラドックス」はよく知られている。発言者がウソつきでも正直者でも発言が矛盾する。それでは「私はウソをつかない(正直だ)」はどうか。
http://mainichi.jp/opinion/news/20141011ddf041070037000c.html
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ノーベル賞を受賞しなかった10大発見(National Geographic staff October 9, 2014)
6日月曜日に発表された2014年ノーベル医学生理学賞を皮切りに、ノーベルウィークと呼ばれるこの週には、偉大な功績を修めた人々を称えて様々な分野で賞が授与される。そこでナショナル ジオグラフィック編集部では、偉大な発見にもかかわらずノーベル賞を受賞しなかったものには、何があるだろうかと考えた。そして、科学ブロガーや科学編集者など、編集部厳選の執筆者に、それぞれがノーベル賞を受けるべきだと考える歴史的進歩や発見を挙げてもらった。
インターネット
1960年、アメリカ連邦政府の研究者たちは、後にインターネットへと進化することとなるコンピューター・コミュニケーション・ネットワークを生み出した。しかし私は、1989年にワールド・ワイド・ウェブを考案し、1990年に世界初のウェブサイト(ウェブとは何かを説明したページ)を立ち上げたイギリスのコンピューター科学者ティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏にノーベル賞を授与したいと思う。
世界初のゲノム解読
2001年、ヒトゲノムの塩基配列解読が終了した。多くの人々は、科学史上最大の功績ともいうべきこのヒトゲノム計画が、なぜいまだにノーベル賞を受けていないのか不思議に思っている。しかしそのヒトゲノム計画が終了する6年前、クレイグ・ヴェンター(Craig Venter)氏とその研究チームは、自動化DNA塩基配列決定法 と全ゲノムショットガン法と呼ばれる技術を組み合わせて、自由生活性有機体であるインフルエンザ菌の全ゲノム配列を解読した。この方法は後に、ヴェンター氏が創立した民間企業で、ショウジョウバエやヒトのゲノム解析に使用した方法と基本的には同じである。さらにその後、他の研究室でも、数百と言う種のDNAを解析する方法として採用されている。
ブラックホールの死
スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)氏は1970年のある夜、それまでほぼ永久に死ぬことはないと考えられていたブラックホールが、実は少しずつ質量を失い、最終的にはガンマ線バーストによって蒸発してしまうのではないかとひらめいた。問題は、この仮説を証明する手段がないということだった。ブラックホールの寿命はあまりに長すぎて、今日その最期を観測することは不可能だ。
周期表
1869年にドミトリ・メンデレーエフ(Dmitri Mendeleev)氏が発表した周期表は、単なる元素記号を並べただけのものではない。あらゆる物質の中心にある陽子、中性子、電子の潜在的配列を示し、整然と並んだ縦横のマスは、当時まだ発見されていなかった元素と、その特徴までも予測していた。これほどの偉大な発見が化学の最高の栄誉であるノーベル賞を受賞しなかったのは信じがたい話だが、周期表は化学の分野において最も価値あるポスターとなり、何世代にもわたって今も世界中の研究室の壁に貼られている。
白熱電球
まずイギリスでジョセフ・スワン(Joseph Swan)氏が特許を取得し、トーマス・エジソン(Thomas Edison)氏が実用化した白熱電球は、現代経済(と睡眠不足)を築き上げ、今日私たちの生活を根底から支える電気への莫大な需要を生み出した。エジソン氏は、ノーベル賞を受けることなく1931年にこの世を去った。彼の遺した電球は、まさに科学的ひらめきを象徴するシンボルではないか。歴史的不正義とはこのことである。
クォーク
マレー・ゲルマン(Murray Gell-Mann)氏は1969年に、「素粒子の分類と相互作用に関する発見と貢献」でノーベル物理学賞を受賞した。しかしゲルマン氏の名を最も世に知らしめたクォークの研究に対しては、いまだ賞が与えられていない。クォークとは、物質の基本的な構成要素で、互いに結合して陽子、中性子、その他の粒子を構成する。クォークの発見により、物質世界への理解がより深められることとなった。
現代進化論
1901年に最初のノーベル賞が授与された時、進化生物学はまだ若い分野だった。生命がいかに世代を追うごとに変化してきたかについての肝心な詳細を、当時の生物学者たちはほとんど知らなかった。1920〜1950年代にかけて、遺伝学者、博物学者、古生物学者など一部の科学者たちの間で、突然変異がどのように起こり、拡大し、進化の元となって行くのかが知られるようになり、この生命への新たな見解が、総合説または現代進化論として知られるようになった。彼らの業績によって今日、生命の歴史に関する私たちの知識は目覚しい進歩を遂げている。
暗黒物質
1970年、ベラ・ルービン(Vera Rubin)氏とケント・フォード(Kent Ford)氏は、銀河の周縁部にある星たちが銀河の中心に近い星と同じ速さで動いていることに気付いた。そして、銀河系はあまりに猛烈な速さで旋回しており、何か目に見えない物質が重力に働いて星々を繋ぎとめているのでない限り、銀河系はバラバラに飛び散っているはずであると考えた。その何か目に見えないものが、暗黒物質と呼ばれるものだ。宇宙の質量の約90%を占めている謎の物質である。光を発したり反射することなく、普通の物質とどんな形でも作用し合うことはない。
系統樹
科学者たちが微生物をその形態で分類していた頃、カール・ウーズ(Carl Woese)氏は微生物の遺伝子を比較してその相互関係を予測するという方法を開拓した。彼のやり方は、それまで認識されていなかった生物のドメイン(領域)である微小な古細菌の存在を明らかにした。科学者たちはこれを基に、人間の体内に住んで健康へ影響を与える様々な微生物をカタログ化し、大小様々な生命体の進化的関係を図に書き表した。
恐竜ルネサンス
1969年、イェール大学の古生物学者ジョン・オストロム(John Ostrom)氏は、史上最も重要な種の発見の一つと言われる1億1000万年前の恐竜にデイノニクス(怖ろしい鉤ツメ)という名を与えた。人間ほどの大きさの捕食恐竜で、それまで一般に考えられていたような、動きが緩慢で頭の悪い、沼に住む恐竜のイメージとは大きく異なる。オストロム氏によれば、デイノニクスは敏捷で恐らく社会性があり、狩りをする非常に活動的な生物だったであろうという。この説が「恐竜ルネサンス」を呼び起こし、今に至るまで科学的成果を生み続けている。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20141009002
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川内原発説明会 住民の不安解けず(2014/10/10東京新聞)
九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)は原発の新しい規制基準を満たしているのか−。原子力規制委員会が審査結果を住民に説明する会が九日、立地自治体の薩摩川内市を皮切りにスタートした。約二時間にわたる説明と質疑でも、噴火対策や避難計画など住民の不安が解けることはなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014101002000148.html
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東日本大震災:福島第1原発事故 思い出の品、次々と 被災家屋、解体始まる−−楢葉/福島(毎日新聞 2014年10月10日 地方版)
環境省は9日、原発事故に伴う全町避難が続く楢葉町で「半壊以上」と認定された建物の解体工事を始めた。阿武隈高原の裾野に広がる大谷(おおや)地区。壁にひびが入った土蔵の解体工事を前に、作業員が屋内の棚の中からアルバム2点を見つけた。開くと、色あせた海水浴の写真や集合写真が。「きっと若いころのものだ。思い出の品に違いない」。現場責任者が保管を指示した。
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20141010ddlk07040134000c.html
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東日本大震災:福島第1原発事故 放射能汚染、除去表土を埋め戻す 小中校内基準以下 横浜市が一転、公表へ/神奈川 (毎日新聞 2014年10月10日 地方版)
福島第1原発事故後、横浜市立小中学校20校が除去した放射能汚染を伴う表土について、一部の小学校が基準を下回った土を校内に埋め戻していたことが分かった。処理の方針や時期を保護者らに報告しなかったことが市議会で批判され、市は「健康上安全とはいえ、丁寧な説明が必要だった」などとして、今後公表することを決めた。
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20141010ddlk14040372000c.html
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社説:日米防衛協力 際限ない拡大を恐れる(毎日新聞 2014年10月09日)
日米両政府は、年末改定を目指す日米防衛協力の指針(ガイドライン)について、見直しの中間報告を発表した。憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使などを認めた7月の閣議決定を受けて、新指針は自衛隊と米軍が「平時から緊急事態まで切れ目のない」協力を行うとしている。米軍支援が、地理的にも内容的にも際限なく拡大する懸念がある。・・・指針は日米の政策文書で法的拘束力はないが、現実には日本の安保法制を拘束する。中間報告は中身の薄いものになったが、水面下では日米の調整が相当進んでいるといわれる。国民に議論が見えないまま、新指針の最終報告が年末に出され既成事実化するとしたら、こんな進め方は受け入れられない。
.http://mainichi.jp/opinion/news/20141009k0000m070127000c.html
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放射能測定、3200万円の無駄 5府県1法人の機器購入 検査院調査(20141/10朝日新聞)
土壌や農産物などの環境放射能を「ゲルマニウム半導体検出器」で測る国の事業を会計検査院が調べたところ、委託先の5府県と1法人が設置にかけた約3億2千万円のうち、約3200万円を無駄に支出していた。複数の検出器を専用のパソコン1台で操作できるのに、検出器1台ごとにパソコンなどを購入していた。検査院は9日、原子力規制委員会に改善を求めた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11394960.html
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(声)坂本氏の平和の理念引き継ごう(20141/10朝日新聞)会社役員 関輝明(熊本県 52)
中東の過激派組織「イスラム国」に日本の大学生が参加しようとしていたと知り、強い憤りを感じました。国際政治学者の坂本義和さんの死去が伝えられました。彼の著書「軍縮の政治学」を読み返し、「なぜいまだに、戦争を肯定する愚かな日本人の若者が現れるのか」と思い、彼の行動を許せなかったのです。先進国でつくられた兵器は、途上国へ輸出され、貧しい人々を殺しています。坂本さんはその不公正さを「人間の問題」として、我がこととして受け止めるよう、問題提起しました。兵器があり、戦闘が行われている場所では多数の犠牲者が出ています。なぜ、この大学生は、遠い「イスラム国」の戦場の悲惨さを「人間の問題」として受け止めることはできなかったのでしょうか。兵器を開発、輸出供与する軍需産業の犯罪的な構造問題もあります。これを改めるため、「政治に働きかける」という課題にも考えが及ばなかったのでしょうか。「イスラム国」の戦闘員の活動には何の大義もありません。人間を不幸にする組織の捨て駒となるだけであることを若者らに伝えなければなりません。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11394920.html?ref=pcviewpage
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(声)地震と原発、もっと鋭敏になろう(20141/10朝日新聞)研修講師 中野廣幸(神奈川県 54)
御嶽山(おんたけさん)の突然の噴火で多数の死傷者が出た。亡くなられた方々には、ご冥福をお祈りするほかない。今回の噴火はその7分前に山のわずかな膨張が観測されたようだが、専門家によれば、火山噴火を百%予測するのは不可能だという。今回の噴火で、考えさせられたのが地震と原発再稼働の問題だ。地震も正確に予知することは不可能だからだ。「地震が原因の原発事故は百%起こらない」とは言えないだろう。地震はいつか必ず起き、原発事故につながるかもしれないと考えるべきだと思う。鹿児島県の川内原発の再稼働にあたって、新しい安全基準の適用で原発事故は制御できるかのような言い方を政府はしている。それは、ごまかしではないか。福島では放射性物質を含む汚染水の問題をとっても、いまだに解決されていないのに、政府は「状況はコントロールされている」という発言を繰り返しているのと同様だ。地震国に住む私たちは、地震と原発の問題にもっと鋭敏になるべきではないか。成長戦略というお題目に隠れて、福島の教訓が忘れられてしまうようなら、この国は救いようがない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11392966.html
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世界初の海中サーカス!? 天然チヌが輪くぐり(2014年08月29日(金)愛媛新聞)
天然クロダイ(チヌ)の曲芸をご覧あれ―。愛媛県松山市桑原2丁目の無職青木尚之さん(78)が同市沖で素潜りをしながら天然クロダイ(チヌ)を餌付けして調教し、輪くぐりの芸を仕込んだ。チヌは警戒心の強い魚とされるが、「ゴン太」「太郎」と名付けられた2匹は青木さんの指示通りに見事な芸を披露する。研究者も「世界初ではないか」と驚いている。 地元テレビ局で総務畑を歩んだ青木さんは、定年退職後、海釣りやギターなど多彩な趣味を満喫している。中でも特にはまっているのがチヌの調教。春から秋にかけて年間200日ほど海に出掛けているという。 素潜りをしていた時、泳ぐチヌを見て「調教できないか」と思い、2004年から海底に餌の貝をまき、観察し始めた。同じ場所、同じ時間帯で餌やりを続けると、次第に青木さんに近づいてくるように。4年ほどして、ついに手から食べさせることに成功した
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20140829/news20140829835.html
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再生エネ買い取り、中断を自治体批判 送電網増強、国に提言(2014/10/08朝日新聞)
太陽光など再生可能エネルギーの新たな受け入れが一部地域で中断している問題で、自然エネルギー協議会(会長=飯泉嘉門・徳島県知事)は7日、政府に早急な対策を求める緊急提言をまとめ、経済産業省と環境省に提出した。同協議会には、再生エネの普及に取り組む全国の36道府県が参加している。提言では、沖縄、九州、四国、東北、北海道の5電力会社が、再生エネの買い取りを一時中断したことについて、「地域の発電事業者に大きな混乱が生じ、経営にも悪影響を及ぼす」と批判。そのうえで、国が主導して地域間の送電網を増強して他電力にも電気を流しやすくすることや、変動が大きい再生エネの発電量を正確に予測できるようにして需給の調整力を高めることなど、5項目の提言を盛り込んだ。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11391116.html
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糖尿病の原因抑えられた たんぱく質の働き、米大など解明(2014/10/08朝日新聞)
生活習慣が原因とされる2型糖尿病で、発症にかかわるたんぱく質「CD44」の働きを抑えると、血糖値を下げるだけでなく、脂肪細胞の炎症も抑えられるとする研究結果を、米スタンフォード大や北里研究所がまとめた。肥満の人は脂肪細胞が炎症を起こし、インスリンがうまく働かなくなると考えられており、糖尿病の根本的な治療薬の開発につながる可能性があるとしている。7日付の米糖尿病学会誌(電子版)に論文が掲載される。研究チームは、肥満のマウスを、CD44の働きを抑える物質を与える、糖尿病治療薬を与えるなど四つのグループに分け、観察した。その結果、CD44の働きを抑えたマウスは、治療薬を与えられたマウスと同じように血糖値を下げただけでなく、脂肪細胞の炎症や体重増加も抑えられたという。現在の糖尿病治療薬は、インスリンの分泌を促すことで血糖値を下げるタイプが主流だ。スタンフォード大上席研究員の児玉桂一さんは「糖尿病の原因となる脂肪細胞の炎症を抑えることができれば、糖尿病を治せるかもしれない」と話す。(岡崎明子)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11391113.html
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中国・雲南省でM6.6 死者1人、被害拡大も(2014/10/08朝日新聞)
中国国営新華社通信によると、7日午後9時49分(日本時間同10時49分)ごろ、雲南省南部のプーアル市景谷タイ族イ族自治県でマグニチュード(M)6・6の地震があった。午後11時過ぎの段階で死者1人、けが人19人が確認され、被害が広がる可能性もある。震源の深さは5キロ。同市では2007年6月にもM6・4の地震があり、18万人が家を失うなどした。同県党委員会幹部は新華社に「強烈な揺れで、家々が揺れる音が聞こえた。瓦が落ちた家もあり、住民は空き地に避難している」と述べたという。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11391181.html
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御嶽山噴火、死者55人に千人態勢で捜索再開(2014/10/08京都新聞)
御嶽山(長野・岐阜県、3067メートル)の噴火で、長野県警、消防、陸上自衛隊は8日、捜索を再開し、山頂付近で新たに心肺停止の1人を発見、死亡を確認した。死者は計55人となった。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20141008000007
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皆既月食:8日夜、全国で広く観測…御嶽山噴火の影響は?(毎日新聞 2014年10月08日)
満月が地球の影に入る皆既月食が8日、沖縄県の一部を除く全国で起こる。日本で広く観測できるのは2011年12月以来約3年ぶり。時間帯が夕方から夜にかけてと観測しやすく、月が完全に影に覆われる時間も長いため、手軽に天体ショーを楽しめそうだ。月食は、太陽と地球、月が一直線に並んだ時に起きる。影に入った月は真っ暗になるわけではなく、赤黒い「赤銅(しゃくどう)色」に光る。これは太陽の光が地球近くを通る際、大気で屈折し、波長の長い赤い光だけが月に届くためだ。
http://mainichi.jp/select/news/20141006k0000e040163000c.html
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戦後70年に向けて:原子の森、深く 第1部・広島の謎/12 18歳で湯川教室に(毎日新聞 2014年10月08日 東京朝刊)
森さんはなぜ、晩年まで湯川秀樹博士をめぐる原爆の謎にこだわったのか。人前で涙を見せたり感情をあらわにしたりすることのほとんどなかった森さんは、どうして私の前で泣いたのか。ヒントは2人の関係にある。旧制中学を飛び級で卒業した森さんは1944年9月、旧制広島高等学校(広高)も半年早く18歳で卒業した。当時、旧帝大には全国の旧制高校から一定数を採る「割当制」があり、軍都、広島の生徒は学力が高く、定員30人の京大物理学教室に2席用意されていた。学年104人中4位の成績だった森さんは希望通り無試験で進学した。ちなみに77歳の時、高等学校の成績表をたまたま目にした森さんは日記に「小生それほど頭わるくないのかもとはじめて思う」と記している。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141008ddm002010080000c.html
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記者の目:福島原発事故 吉田調書の教訓=西川拓(東京科学環境部)(毎日新聞 2014年10月08日 東京朝刊)
「人災」対策、まだ不十分
東京電力福島第1原発事故で、政府の調査・検証委員会(政府事故調)が聞き取った関係者の調書が公表された。中でも、福島第1原発の吉田昌郎(まさお)所長(当時)の「吉田調書」は、時の首相を「おっさん」呼ばわりする率直な物言いもあって、大事故の最前線の様子が生々しく伝わる。当初から取材している身として、当時の東電や政府の混乱の原因がストンと胸に落ちた一方で、原発運転員ら事故に対処する「人」の重要性を痛感した。事故後、非常用電源の確保など設備面での対策は強化されたが、それらを運用するソフト面は十分とは言い難い。原発の再稼働が現実味を帯びる中、次の「人災」を防ぐためにも、現状に満足せず常に改善を求めたい。
東日本大震災が発生した2011年3月11日、私は北海道に出張中だった。翌朝東京に戻り、そのまま東電本店で事故の取材を始めたが、本店の人たちが機能していないことは最初から明白だった。本店も現場も「想定外」にまひ例えば、1号機の水素爆発を巡る混乱だ。12日夕、本店1階に設けられた記者室で、誰かが「何か変だ」と言い出した。テレビで映し出された1号機の建屋上部は鉄骨だけになっていた。室内は騒然となったが、東電の広報担当者は「何が起きたか分かりません。現場に確認中」の一点張り。2時間以上たって、「通常と異なる過程で建屋上部が開放された」という奇妙な言葉で、爆発を認めた。菅直人首相(当時)らの調書を読むと、事情は首相官邸も同じだった。テレビで1号機の異変が流れているにもかかわらず、官邸にいた東電幹部は何も説明できなかった。本来なら東電から情報を得て、官邸に伝えるのが役割の経済産業省原子力安全・保安院(当時)も同様だった。
不信感を募らせた菅氏ら政府首脳は再三、吉田氏に電話で状況説明を求めた。吉田氏は調書で「何で官邸なんだ。本店は何をしている」などと不満を述べている。吉田調書は、現場の混乱ぶりを率直に伝えている。発電機を積んだ車が到着しても、ケーブルが合わずに接続できなかった。原子炉の冷却のため消防車のポンプで注水しようとした際には燃料が切れた。1号機では、電源がなくても動く非常用冷却装置が止まっていることに、吉田氏は気づかなかった。所内でも情報は寸断され、吉田氏は「被害妄想になっている。結果として誰も助けに来なかったではないか」と恨み節を口にしている。東電にも政府にも、以前から過酷事故を想定したマニュアルはあった。だが、現実の事故がマニュアルの想定を超えると、とたんに機能不全に陥ることを福島事故は教えている。・・・事故を教訓に、新規制基準では起こり得る地震や津波の想定は引き上げられ、それに基づく対策は進み、マニュアルは改定された。ただし、更に想定を上回る事故は起こり得る。その際頼りになる原発運転員や支援する政府機関の能力を担保する仕組みが、現状ではない。吉田氏は「大事なのは物があるかないかではなく、能力を持った人がどれだけいて、どれだけ動けるかだ」と述べている。シナリオを伏せた抜き打ち訓練を重ね、運転員の事故対処能力、政府機関や電力会社本店の支援や情報発信の能力を、原子力規制委員会が評価するような仕組みが必要ではないか。
さらに、福島第1原発は6基が立地し、連鎖的に危機が拡大したことも事故対処を難しくした。吉田氏自身、「三つのプラント(炉心溶融した1〜3号機)を判断した人なんて今までいませんよ。思い出したくない」と振り返った。7基が立地する東電柏崎刈羽原発(新潟県)を筆頭に、国内の原発17カ所(もんじゅを含む)のうち、複数の原子炉がある原発は14カ所を占める。規制基準は、電力会社が再稼働を申請した原子炉について、同時に事故が起きた場合の対策の妥当性を審査しているが、未申請の原子炉にまで影響が及ぶことを考えていない。福島第1原発で停止していた4〜6号機にまで危機が及び、あらゆる判断が吉田氏の肩にのしかかったことをみれば、不十分ではないか。
吉田氏は確かに超人的な働きをしたと思う。だが、判断ミスもしているし、事故以前の津波対策を巡っては「マグニチュード9(の大地震)が来ると言った人はいない。なんで考慮しなかったと言うのは無礼千万」などと開き直ってもいる。それでも、世界でも例のない大事故を経験した生身の人間が残した言葉は貴重だ。今後も原発を利用するのであれば、それぞれの立場から教訓をくみ取り、未対応の課題はないのか検証していくべきだ。
http://mainichi.jp/shimen/news/20141008ddm005070016000c.html
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熱血!与良政談:卑劣な行為を生む土壌=与良正男(毎日新聞 2014年10月08日 東京夕刊)
このままでは、こんな事件も起きてしまうかもしれないと恐れていたら、早々に現実となってしまった。かつて慰安婦報道に関わった元朝日新聞記者が教員を務める二つの大学に、それぞれ退職を要求する脅迫文が送りつけられた事件である。事件に対しては、これまで朝日たたきをしてきた人たちも「暴力による言論封じは卑劣な行為であり、言論には言論で対抗すべきだ」と口をそろえている。まったく、その通りである。だが私は、その言論自体が今、危ない状況になっているのではないか−−と声を大にして言ってみたい。卑劣な行為を生む土壌にもっと目を向けるべきだと思う。
2010年春、本欄の初回で週刊誌が過激さを競うのは活字が売れないのが大きな理由だと私は書いた。万人を納得させるより、敵か味方かをはっきりさせ、数は減っても好んで買ってくれる(つまり読んでいて気持ちがいい)読者に的を絞る方が商売が成り立つと考えているのではないかという趣旨だった。その後、「過激競争」はエスカレートする一方だ。朝日問題を取り上げる多くの月刊誌や週刊誌には今、「反日」「売国」「国賊」といった言葉があふれている。インターネットの世界では何年も前から私も「反日」と呼ばれてきた一人だが、現在の状況は異常というほかない。
先の大戦に日本が突き進む中、「売国奴」や「非国民」という言葉がどんな形で用いられ、言論をはじめ国家が国民の統制を進めるのにどれだけ手を貸してきたかを知っているのだろうか。私には異論を排除するこうした言葉が結果的に暴力をあおっているとさえ思える。そして先月の本欄で「『気持ちいい』は気味悪い」と書いたように、新聞も激しさと気持ちよさを競う状況に陥りつつあると思う。先週発売の「週刊文春」で作家の半藤一利さんがこう語っている。「昭和6年の満州事変から、日本の言論は一つになってしまい、政府の肩車に乗って、ワッショイ、ワッショイと戦争へと向かってしまった」「今の朝日バッシングには、破局前夜のような空気を感じますね」の言葉をかみしめたい。同時に朝日批判を続けてきた週刊文春が半藤さんのコメントも掲載したことに私は少しほっとした。そのことも付記しておこう。(専門編集委員)
http://mainichi.jp/shimen/news/20141008dde012070005000c.html
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