(集団的自衛権を問う)引き返す機会、まだある 作家・半藤一利さん(84歳)(2014/07/11朝日新聞)
「日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなっていく」。安倍晋三首相の言葉です。集団的自衛権の行使を認めることは、敵国から日本を守る「抑止力」につながるという。だが、14歳の時に東京大空襲に遭った私には、政治家の甘言としか思えない。110年ほど前、日本はロシアを仮想敵国とし、抑止力を名目に英国と手を組んだが、日露戦争が勃発。次に米国を敵国と見立ててドイツ、イタリアと三国同盟を結んだものの、太平洋戦争が起きた。いずれも抑止力とならず、相手に「敵視政策」をとらせました。
いま、日本にとっての仮想敵国は中国とみられている。未来は見通せないが、中国の首脳と会談もできない状態で「国民の命と平和な暮らしを守る」と胸を張るのは、国民をだまそうとしているように見える。安倍政権の対応に賛同する人が唱える「愛国心」からは、自国が最高と考えて他国を見下す偏狭なナショナリズムを感じます。来年で戦後70年。悲惨な戦争を体験した人たちが次々と亡くなっていることも、この流れを後押ししている。戦争をせず、信頼感を得る。そのために外交で頑張り、民間交流を進める。海岸線が長くて守りづらい日本にとって、これが最大の国益につながるはずです。再び戦争への道を歩まないためにどうするか。政治家の言葉を真に受けず、自ら考える。来春には統一地方選もあります。引き返す意思を示せる機会は、まだ残っている。(聞き手・佐藤達弥)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11235682.html
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(集団的自衛権を問う)言論封じられる不安 山本雄二郎さん(2014/07/09朝日新聞)
解釈改憲によって集団的自衛権の行使を認めることに反対している自民・村上誠一郎衆院議員に、雑誌の対談で会った。人事を握られて物言えない議員の実態を聞いて、戦中の言論弾圧の時代ですら、反軍演説をした斎藤隆夫衆院議員のような人物がいたのに、と嘆かずにはいられなかった。・・・マスコミも問題だ。放送局の会長が安倍首相とゴルフをしたり、首相も娯楽番組に出たりしている。権力の監視役である報道機関のトップが政治権力となれ合うなど、民主主義の国としてあり得ない。特定秘密保護法から集団的自衛権の行使容認という流れが言論封殺の方向へと向かうのではないかと不安を感じる。集団的自衛権は閣議決定されてしまった。ただ、安倍政権の高支持率は株高によるものだ。関連法案の議論が進むなかで、世論の風向きが変わることも十分あり得る。良識派の覚醒に期待したい。 (聞き手・藤生明)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231525.html
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(集団的自衛権を問う)不戦の価値、示す政治を 作家 平野啓一郎さん(39歳)(2014/06/30朝日新聞)
安倍首相は憲法を蹂躙(じゅうりん)し、多くの国民の批判を無視することで、自分は信念を貫く立派な政治家だとでも勘違いしているのでしょう。湾岸戦争の時に金しか出さなかったと批判されたトラウマから、国家として一人前であるためには、集団的自衛権を行使できるようにするべきだという考え方は卑屈です。僕の知っている限り、外国での日本の評価はずっと良好でした。戦争していないということが大きい。決して戦争しないということの価値を国際社会に認めさせられるかどうかは、政治力の問題です。・・・今の政権で一番危ういのは世界観がないこと。21世紀の戦争は対国家ではなく、対テロ。背景の貧困問題などを解決しないまま、同盟国の戦争に加担すれば、国内でも必ずテロが起きるでしょう。その危険性はまるで語られません。集団的自衛権の行使が認められても、終わりじゃない。反対し続けないといけない。(聞き手・小林孝也)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11216985.html
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(集団的自衛権を問う)戦後が水泡に、今が岐路 劇作家・演出家 永井愛さん(62歳)(2014/06/29朝日新聞)
画家だった私の父は、後に張鼓峰(ちょうこほう)事件と呼ばれた戦闘で、急病の上官に代わり小隊を率いました。恐怖でパニックの兵士らは命令を待たず銃撃を始めた。「まだだ」と制止した父はソ連兵に胸を撃たれ、死線をさまよいました。92歳で亡くなるまで、父の胸にはえぐれた深い傷痕が残っていた。しみじみ言ったものです。「撃たれてよかった。おかげで一人も殺さずにすんだよ」と。・・・戦時に社会主義思想の本を預かり検挙された父は、平和が訪れるとアトリエのドアに日本国憲法を貼りました。表現や言論の自由を認め、戦争放棄がある。得たものの象徴だったのでしょう。特定秘密保護法が成立し、9条が踏みにじられようとする絶望を知らずに逝き、よかったとすら思う。でも諦めれば、父たちが命がけで築いた戦後が水泡に帰す。今が岐路です。(聞き手・西本ゆか)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11215496.html
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(集団的自衛権を問う)拡大防げず徴兵制招く 元防衛官僚・加茂市長 小池清彦さん(77歳)(2014/06/25朝日新聞)
集団的自衛権の行使にひとたび道を開いたら、拡大を防ぐ手立てを失うことを自覚すべきです。日本に海外派兵を求める米国の声は次第にエスカレートし、近い将来、日本人が血を流す時代が来ます。自衛隊の志願者は激減しますから、徴兵制を敷かざるを得ないでしょう。・・・平和憲法は国の宝です。9条があったから、朝鮮戦争にも、ベトナム戦争にも参戦しなくて済みました。そう自覚したのが1990年、イラクのクウェート侵攻後、自衛隊を初めて海外出動させる国連平和協力法案が議論された時です。全国の多くの首長たちが首相のやり方に異論を唱えていると聞きます。私も防衛庁内で上申して左遷させられた経験があり、国に盾突くのには勇気がいることはわかっています。それでも、集団的自衛権の問題は日本の将来に関わる話。声を上げることは、今を生きる者の責任だと思います。(聞き手・山本亮介)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11207782.html
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(集団的自衛権を問う)平和憲法、台無しになる 映画監督、ジャン・ユンカーマンさん(61歳)(2014/06/24朝日新聞)
他国のために自衛隊が海外で戦う集団的自衛権。聞こえは良いが、実際は交戦権と同じ。憲法9条は「国の交戦権を認めない」と明記している。憲法解釈の変更だけで、使えるようにすることはできないのです。2004年に「映画 日本国憲法」を撮りました。イラク派兵をきっかけに広がった改憲論議に危機感を抱いたからです。米国、中東、アジア各国の知識人に憲法の意義を語ってもらった。米国は戦争で問題を解決する国ですが、憲法によると、日本は違うはず。平和を目指して世界と関わりを持てばもっと尊敬を集められるのに、米国に従うのが残念です。安倍晋三首相は平和憲法を台無しにしようとしている。外国で武力を使える「普通の国」にならなければ、他国と対等の関係を築けない、米国に取り合ってもらえないと考えているのでしょう。でも、それは誤解です。朝鮮半島、ベトナム、イラク、アフガニスタン……。米国が民主主義を守るためとして戦った国は、今も戦争の後遺症に苦しんでいる。武力では何も解決できないと歴史は証明しています。・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11205909.html
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(集団的自衛権を問う)急ぐ真意、はっきり言えば 歌手・UAさん(42歳)(2014/06/23朝日新聞)
福島の原発事故後、一家で関東から沖縄北部に移り住みました。国は原発の危険性や、事故後の放射能の影響についてきちんと説明してこなかった。だれも責任を取らず、国民に本当の情報が与えられないまま、再稼働へ向け、ぬるっと進んでいるように見えます。集団的自衛権の問題も同じような印象。政府は何をしたいのか、なぜこんなに急ぐのか、真意や十分な情報が国民に語られていない気がします。多くの米軍基地が集中する沖縄に身を置いてみて、あらためて感じるのは「今も日本は敗戦国であり続けている」ということ。政治家も「ずっとアメリカに支配されてて、集団的自衛権も認めなしゃあないねん」とはっきり言うたらええやん、と思う。そこで「じゃあ、どうすればいいか」と国民も考えられるから。・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11204545.html
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ドイツ街めぐり/デュッセルドルフ(ドイツニュースダイジェスト)
7.熟練した手作業が評判の製本所
くたびれた愛読書を修復したい、子どもの成長を記録するフォトアルバムを作りたい、立派な会社の年次報告書を作りたい・・・・・・ メルゲマイアー製本所が引き受ける仕事は実に様々。それもその はず。社長のレナーテさんが先代の父から受け継いだ熟練の技は、街中の依頼人から絶大な信頼を得ているのだ。この製本所の特徴は、今では珍しくなった手作業で1冊1冊丁寧に製本していること。日本の糸かがり製本をはじめ、世界各地の伝統的な製本技術、布カバーなどを用いた書籍は、まさに芸術品だ。・・・
http://www.newsdigest.de/newsde/features/5110-ecological-duesseldorf.html
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宇宙線の“ホットスポット”を発見(Michael D. Lemonick for National Geographic News July 10, 2014)
アメリカ、ユタ州の砂漠にある巨大な観測装置が北斗七星のそばに“ホットスポット”を突き止めた。地球に絶えず飛来している超高エネルギー宇宙線の主要な発生源かもしれないという。1世紀余り前に発見された宇宙線は宇宙を飛び交う原子核で、時おり地球にも飛来する。大部分は太陽や近くの爆発している恒星を発生源とする。しかし、最も強力な宇宙線は天の川銀河の外から飛来しており、その発生源はいまだ特定されていない。 ・・・トムソン氏によれば、40度の区画で観測されるすべての宇宙線が本当に1つの発生源、例えば1つのブラックホールから来ていると仮定した場合、テレスコープアレイは最終的に捜索範囲を5度の円まで絞り込むことができるという。正確な位置が突き止められるわけではないものの、通常の望遠鏡で発生源を特定できる可能性は高まる。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140710003
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職人探訪/フランスの匠/パイプ職人(フランスニュースダイジェスト)
パリ、サンマルタン運河の近くに1867年から続くパイプ屋がある。5代目のパイプ職人ピエールは、幼い頃から工房で遊びながら技を覚えてきた。そのため、「いつ最初のパイプを作ったか、初めてパイプを吸ったか、よく覚えていない」と笑う。ピエールの作るパイプは、地中海沿岸地方で育ったブライヤーを使用し、手入れがしやすい形だと評判だ。パイプの価値を決めるのは、何よりもまず木の質が大切。「農家からブライヤーを買い付ける職人は、別の職業として存在するんだ。僕は、その職人が選んだものを買う。木目や硬さなどをチェックして、どんなパイプを作ろうかと想像するのが楽しいよ」。・・・「タバコとパイプは全く違うもの。例えば、忙しく働いている会社員が電車に乗る前などにせわしなくタバコを吸っている姿、想像できるでしょ? あれは体に悪そう! でもパイプでこんな吸い方する人はいない。パイプは、居間のソファーにどっしり座り、『さぁ、吸おう』とそれ自体を楽しむものなんだ。忙しい日々の中にリラックスする時間を持てる人の方が、案外長生きしたりしてね」
http://www.newsdigest.fr/newsfr/colonne/artisan/4545-pierre-voisin.html
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国、漁業者へ強制金1372万円支払う 諫早湾干拓事業(2014/07/10朝日新聞)
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門調査をめぐって、国に間接強制が命じられた問題で、国は10日、堤防排水門の開門を求める佐賀県の漁業者らに対し、1372万円の強制金を支払った。間接強制は、判決や裁判所の決定に従わない場合に強制金を課すなどして履行を促す裁判手続き。開門を義務付けた福岡高裁判決を履行できない国に対し、佐賀地裁は4月、国が6月12日以降も開門しない場合、漁業者ら49人に1日当たり計49万円の支払いを命じる決定を出していた。
http://digital.asahi.com/articles/ASG7B535QG7BUTIL031.html
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(ひと)熊谷博子さん 炭鉱から原発へ、撮り続ける映像ジャーナリスト(2014/07/10朝日新聞)
NHKで放映された「三池を抱きしめる女たち〜戦後最大の炭鉱事故から50年」が、放送文化基金賞の今年度最優秀賞を受賞した。一酸化炭素中毒で重い後遺症に苦しむ炭鉱労働者の妻たちの闘いを、ディレクターとして追った。その動機を「伝えたい、残したいという飢えに似た感情」と語る。「好きな人がいたら抱きしめたくなるでしょ。撮るってことは『キャメラ』で相手を抱きしめること」。15年近く現地に通い、被害者のそばで暮らしながら対話を重ね、カメラをまわす――。撮られる側との共同作業のような手法は、アフガニスタン内戦下の人々や、広島・長崎の被爆者を見つめた30代から変わらない。・・・新作「原発があるまちの記憶」にいま取り組む。6月中旬、原発から15キロ、福島県南相馬市内でカメラを回していた。その先に、今なお避難を強いられ、がれきの前にたたずむ看護師の姿があった。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233613.html
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(集団的自衛権 海外識者の視点:上)安倍政権の閣議決定、こう見る(2014/07/10朝日新聞)
中国/関係改善への理由失う 北京大学国際関係学院副教授・帰泳濤氏
中国の安保政策の基本は、東アジアでの米国のプレゼンスにどう対応するか。日本の集団的自衛権行使容認で米軍の展開に大きな変化が生じるとは思えない。中国の安保政策への具体的な影響は限定的だ。私自身は日本の安保政策の変革をすべて否定しようとは思わない。問題は、安倍晋三首相が安保の効率化という現実的なニーズではなく、彼自身のナショナリズムに基づく政治的アジェンダの中で進めているように見えることだ。・・・私は、日本はすでに平和憲法の下での平和国家ではないと思っている。自衛隊が成立した段階で平和憲法は死んだともいえる。それでも日本には、軍事化を食い止める多くの制約がある。そうした制約を守っているのは、憲法を反映した国民の平和主義的な精神だ。武器輸出三原則や非核三原則もその精神によって生まれた。この先、戦争を知る世代が減っていく中で、日本の民意がどの方向に向かうかをしっかり見守る必要がある。・・・
コイ・ヨンタオ 1976年生まれ。国際関係論。日米中の政治外交の比較研究が専門。日中間の歴史認識問題やナショナリズムを分析した著書や論文多数。北京大と早稲田大で博士号を取得した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233572.html
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(社説)ヘイトスピーチ 根絶へもっと力を(2014/07/10朝日新聞)
京都市の朝鮮学校に対して、市民団体の会員らが繰り広げたヘイトスピーチ(憎悪表現)が、再び違法とされた。大阪高裁は、1200万円を超す損害賠償と街頭宣伝の差し止めを命じた一審判決を支持し、団体側の控訴を退けた。団体側は「表現の自由の範囲内」と主張したが、高裁は「保護されるべき範囲を超えているのは明らか」と断じた。聞くに堪えないあざけりの言葉は、今も子どもたちの心に深い傷を残している。朝鮮学校の民族教育の意義を認めたことも含め、妥当な判断と言えよう。・・・ヘイトスピーチ規制と表現の自由の関係については、欧米でもしばしば問題になってきた。日本でも新たな法整備を望む声が出ているが、デメリットも見極めつつ、慎重に議論していく必要があろう。一方この問題で、政権の反応は鈍い。安倍首相は昨年5月、「一部の国、民族を排除しようという言動は残念」と国会で述べたものの、具体的な動きはない。谷垣法相は「啓発に力を入れる」と繰り返すばかりだ。
ヘイトスピーチに対抗する市民の動きも広がり、衝突事件も起きている。日本社会が分断されかねない現状をもっと深刻に受けとめ、いま何をすべきかを考えてもらいたい。人種差別撤廃条約は「いかなる場所においても、人種差別を正当化することはできない」とうたう。この理想を達成すべく、社会全体がもっと力を尽くさなければならない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233521.html
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(声)老後の心配尽きねど友がいる(2014/07/10朝日新聞)地方公務員 和泉まさ江(神奈川県 50)
病院の帰り、本屋さんに寄った。50歳になって老後が目前に感じられるようになり、少しばかりそれに備えた本で勉強しておこうと思ったのだが、ざっと目を通してみれば、書いてあることはどれも似たようなものだった。お金に関していえば、家計簿をつけて計画的に、固定費を減らす、ローンは完済しておく、光熱水費を節約する、カードは複数持たない、ポイント制度を活用する、など。新聞やテレビなどで仕入れ済みのことばかりで、なあんだと置きかけた本の最後の文字に目が留まった。「なんといっても健康が財産」。老後資金をためるべき50代にまさにその健康が危うくて病院通いしている私。財産も健康も問題ありの私はどうしたらいいの?お先真っ暗な心地で、同じような病気に苦しむ友達に話した。彼女はげたげたと声をあげて笑ってから真顔になり、私の目を見つめていった。「私がいるでしょ、友達がいるでしょ」。その返事に声が詰まり、涙があふれそうになる。「私もお金も健康も危ういけどね」。今度は一緒に笑った。涙が出るほど大笑いした。老後の心配はあるかもしれないが、心配はしないことにした。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233546.html?ref=pcviewpage
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(集団的自衛権を問う)痛み知る人の声こそ 中村里美さん(2014/07/10朝日新聞)
映画プロデューサー・中村里美さん(50歳)
戦争は愛、正義、平和の名のもとで始まり、人々はかーっとなって踊らされる。国は罪なき人が犠牲になっても面倒をみず、戦争を繰り返す。
広島での被爆体験を語り続けた沼田鈴子さん(2011年、87歳で死去)から教わった「戦争」です。原爆で左足を失い、婚約者が戦死した沼田さん。自殺を考える中、被爆地でアオギリの新芽が伸びる姿に勇気を得たそうです。私が統括プロデューサーを務めた映画「アオギリにたくして」のモデルでもあります。平和は空気や水と同じ。一度汚染されたら元に戻すのは難しい。戦争をしていない時こそ平和をつくることが大切――。沼田さんの言葉を受け、米国の中高生に1年で280回、被爆者の声を届けました。沼田さんのように全身全霊で不戦を訴えてきた人が亡くなっていく中、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更が閣議決定されました。戦後69年の歩みを大きく変え、日本は「戦争ができる国」になろうとしています。
いまこそ「戦争の痛み」を知る人の話に耳を傾け、思いを受け止め、そして考えてみる。私もそうでしたが、どんな行動をとればいいか見えてくるはずです。(聞き手・花房吾早子)
なかむら・さとみ 出版・音楽制作会社「ミューズの里」社長。シンガー・ソングライターとして原爆の歌や朗読も。「アオギリにたくして」は自主上映中。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233635.html
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オスプレイ飛来か 15日、厚木基地に(2014/07/10朝日新聞)
米軍の新型輸送機MV22オスプレイが厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)に15日に飛来する可能性があると、防衛省が9日、地元自治体に連絡した。オスプレイは沖縄県の米軍普天間飛行場に配備され、西日本で訓練が行われている。東日本への飛来は初めて。地元の首長らは相次いで飛来に反対する声明を出した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11233640.html
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東日本大震災:福島第1原発事故 農家3戸、芳賀の露地シイタケ 国が出荷制限解除/栃木(毎日新聞 2014年07月10日 地方版)
東京電力福島第1原発事故の影響で県産の原木シイタケの出荷が制限されている問題で、国は9日、芳賀町の露地栽培農家3戸への出荷制限を解除した。露地栽培のシイタケの出荷制限が解除されるのは県内で初めて。出荷制限がかかった2012年4月以来、2年3カ月ぶりの解除となる。県が独自に策定した生産工程管理基準に基づいて生産し、放射性物質の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を安定的に下回ったことが確認され、認められた。今秋から出荷が始まり、市場に流通する見通しだという。【松本晃】
http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20140710ddlk09040122000c.html
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東日本大震災:福島第1原発・正門周辺の大気中の環境放射線量(毎日新聞 2014年07月10日 東京朝刊)
9日正午現在 1.5マイクロシーベルト毎時
http://mainichi.jp/shimen/news/20140710ddm041040114000c.html
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サイエンスカフェ:「真実」掘り起こす務め(毎日新聞 2014年07月10日 東京朝刊)
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを認めた5月の福井地裁判決は、「最大の公害、環境汚染」である東京電力福島第1原発事故後に示された司法判断として説得力のあるものだった。それと同時に、原発から半径250キロ圏内の住民の人格権侵害を認めた背景に、原発事故直後に近藤駿介・原子力委員長(当時)の手で作成された「最悪シナリオ」があることに、ある種の感慨を覚えた。「最悪シナリオ」は本紙記事で初めて世に知られた文書だったからだ。・・・もし、11年のクリスマスイブに「最悪のシナリオ」が紙面化されず、政府内部に眠り続けていたならば、今回の差し止め判決の中身も変わっていたかもしれない。埋もれた「真実」を掘り起こす務めを忘れるな。判決に改めてそう言われた気がした。【長尾真輔】
http://mainichi.jp/shimen/news/20140710ddm013070065000c.html
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特集ワイド:集団的自衛権の行使容認 なかにし礼さんが詩 若者よ、戦場へ行くな(毎日新聞 2014年07月10日 東京夕刊)
詩を書いてもらえませんか−−。集団的自衛権行使容認が閣議決定された1日、作家・作詩家のなかにし礼さん(75)に依頼した。携帯電話の向こうから、力強い言葉が返ってきた。「書きます。何ならすぐにでも」。切迫した思いが伝わってきた。【小国綾子】数日後、なかにしさんから手渡された詩の題名は「平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう」だった。「僕自身も泣きながら、ですから。日本がこんな国になってしまって悲しくて仕方ない。特定秘密保護法を先につくって、次は集団的自衛権。『戦争だから』と自由に発言できない時代はすぐそこです」という。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140710dde012010004000c.html
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ワクチンによる救済:致死的な感染症を引き起こす真菌のカエルツボカビによって絶滅の危機にある両生類が免疫付与により救われる可能性(Nature 511, 7508 2014年7月10日)
真菌病原体であるカエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis、略称Bd)は世界中で多くの両生類の減少に関わっていることが示されている。これまで、両生類がこの病原体に対する抵抗性を獲得できる証拠はほとんどなかったが、今回J Rohrたちは、キューバズツキガエル(Osteopilus septentrionalis)などの複数種の両生類で実験を行い、カエルがこの病原体を回避することを学習したり、Bd反復曝露後に生じるBd誘導性免疫抑制を克服し得ること、また、死んだ病原体を用いてBdに対する免疫を獲得できることを実証した。
http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/54468
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世界遺産守った、原発に「NO」 熊野古道、登録10年(2014/05/13朝日新聞)
紀伊半島の自然と聖地をめぐる熊野古道。そのそばの熊野灘に臨む入り江で、かつて原発建設が計画され、地元の反対で頓挫した。東日本大震災で原発のリスクがあらわになる中、熊野古道は7月に世界遺産登録10周年を迎える。原発反対を唱えた人たちは、いま町おこしに取り組める喜びをかみ締めている。原発建設の計画があったのは、三重県熊野市中心部から北東に約3キロの海岸、井内浦(いちうら)。いま、美しい海はスキューバダイビングのスポットになっている。周辺では1990年に市が大手百貨店などから土地を買い、農村公園を整備した。そこから1キロもない竹林には熊野古道の名所、大吹峠があり、年8千人ほどが訪れる。もし、井内浦に原発があったら。元市職員で反対運動に深く携わった更谷令治さん(74)は「熊野古道は世界遺産にならなかったのでは」と語る。・・・
http://digital.asahi.com/articles/ASG527SSGG52OIPE020.html
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(インタビュー)地域のチカラ 大阪府豊中市で住民の問題解決に取り組む勝部麗子さん(2014/06/18朝日新聞)
社会福祉協議会を中心に地域のチカラを引き出し、住民と一緒に、ごみ屋敷や引きこもりなど「制度のはざま」と言われる問題で苦しむ人たちを助ける――。そんな取り組みで注目されている自治体がある。大阪市の北の人口40万のベッドタウン大阪府豊中市。無縁社会といわれるなか、なぜ住民たちは動くのか。先頭に立つコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)の勝部麗子さんに聞いた。
コミュニティーソーシャルワーカー」というのは聞き慣れない言葉です。「ソーシャルワーカー」と何が違うのですか。
「福祉には、介護保険や生活保護など法律や制度に基づくいろいろなサービスがあります。しかし、どれにもあてはまらず、網の目からこぼれてしまう問題があります。『制度のはざま』と呼ばれ、話題になっている認知症の方の徘徊(はいかい)による行方不明やごみ屋敷、引きこもり、孤独死などがこれに当たります。役所に相談しても、担当する課もありません。だからSOSも出せず、苦しんでいる。そんな人たちをコミュニティー(地域)の住民と一緒に発見し支えていくのが私たちの仕事です」・・・
はじめから「制度のはざま」の人たちの支援が念頭にあったわけではないのですね。
「ごみ屋敷や引きこもりの人がこれほど多いのか、とわかったのは2000年ごろ。福祉委員会が本格的に動き出してからです。でも、全てを住民に背負ってもらうわけにはいかない。そこで04年から社協に配置されたのがCSWです」「CSWはまず、自分が抱えている問題を話してもいいと、相手に思ってもらえる関係づくりから始めます。ほとんどの場合、『放っておいてくれ』と拒まれます。会えないとき、名刺の裏に『心配しています。連絡下さい』と書いてドアにはさんで帰ります。去年、私は500枚はさみました。2年通ってやっと話をしてもらえた40代の引きこもりの方もいます」
ごみ屋敷の住人に対しては、「社会常識が足りない、わがままな人」と思っている人が多いのではないですか。
「高齢で体力が弱ったり、身体や精神、知的に障害があったりする人もいます。親しい家族を亡くした喪失感から心の時計が止まってしまい、片付けができなくなる人もいます。何よりごみが何年もたまるというのは、その間、だれも訪ねる人がいなかった証しで、ごみ屋敷は社会的孤立の象徴といえるかも知れません。周りから『困った人』といわれている人は、その人自身が『困っている人』と考えてほぼ間違いありません。ある高齢の方から『話を分かってくれる人にもう出会えると思わなかった』と聞いたときは、孤立感の深さに言葉が出ませんでした。自己責任を問えるケースはごく少ないと感じています」・・・
そもそも勝部さんはなぜ福祉を志したのですか。
「大学4回生までは教師志望でした。でも、今でいう『貧困の連鎖』で学びのスタートラインにさえつけない子どもの存在を知って福祉に転じました。大阪の釜ケ崎でアルバイトをした経験も強烈でした。経済の安全弁のように使い捨てられ、路上生活をしている日雇い労働の人たちを目にして自分に何ができるだろうと考え、いろいろあって社協に入りました」「30年間引きこもっていた方が心を開いてくれた瞬間や、批判していた近隣住民の方がごみの片付けを手伝ってくれる瞬間に立ち会ったとき、やっていて良かったと思いますね。人はいつからだって変われる。そう信じています」
なぜ住民は動くのでしょう。
「地域の発見力に、CSWの解決力が加わることで、一人ひとりを救うための仕組みができ、多くの人を救うことができるようになりました。住民は『私がかかわることで、この仕組みができた』と感じる。その成功体験が次に向かう力になっていると思います。もう一つは不安です。病気やリストラだけでなく、いつ自分の家族が認知症になるかわかりません。地縁や家族、親戚のつながりが弱くなった今、何かがあると滑り台のように一気に困窮してしまう可能性は誰もが感じています。『支え合う地域になればいい』と思う人は、どこの街にもいます」
かつべれいこ 87年に豊中市社会福祉協議会に入り、現在は事務局次長とCSWを兼務。NHKドラマ「サイレント・プア」の主人公のモデル。監修も務めた。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11195431.html
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バグダッドで自爆テロ続発、ISISが犯行声明(2014/07/09CNN)
グダッド(CNN) イラクの首都バグダッドで6日と7日に自爆テロが発生し10人以上の死者が出た事件で、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)が8日までに犯行を認めた。
http://www.cnn.co.jp/world/35050574.html
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揺れ続けたイラク1200年の歴史(Juan Jose Valdes, Lauren E. James, and Eve Conant, National Geographic News July 9, 2014)
アルカイダから分派した「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS)あるいは「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)と呼ばれるスンニ派アラブ人の武装組織が、イラクのチグリス・ユーフラテス川沿いの広い範囲を制圧してバグダッドへと南下している。こうした動きはすべて、シリアとイラク、ひいてはずっと遠いアジアとアフリカにイスラム教のカリフ国家を建設するという大きな目的に向けたものだ。かつて「文明のゆりかご」と称されたこの地域は、十数世紀にわたって大きな変動を経験してきた。7世紀にイスラム教がスンニ派とシーア派に分裂し、それから1200年を経ても両派の溝は広がるばかりだった。そして、近代のイラクは列強の間で取引の対象となった。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140707002
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地球に似た惑星を連星系で発見(2014/07/09ナショナルジオグラフィック)
地球のような惑星は広大な宇宙にいっぱいあるのかもしれない。そう思わせる観測結果が出た。地球から約3000光年離れた連星系 の片方の星を回る地球に似た惑星を、大阪大学大学院理学研究科の住貴宏(すみたかひろ)准教授と名古屋大学太陽地球環境研究所の阿部文雄准教授、京都産業大学理学部の米原厚憲准教授らが発見した。天の川銀河の中心が見えて「世界で最も星空が美しい」とされるニュージーランド・テカポにあるマウント・ジョン天文台(標高約1000メートル)で、名古屋大学が建設したMOA-II 1.8メートル望遠鏡を用いた重力マイクロレンズ現象の観測で見つけた。宇宙での惑星系の研究史に1ページを記す発見といえる。7月3日付の米科学誌「Science」に発表した。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=00020140709003
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職人探訪/フランスの匠/菓子職人(フランスニュースダイジェスト)
美しいけれどすぐに枯れてしまう可憐(かれん)な花、スミレ。そんなスミレを美しい状態のまま閉じ込めておくことはできるだろうか。南フランス、スミレ祭りでも有名な町トゥレット・シュル・ルー。1949年から続く菓子屋の3代目フレデリックは、名物のスミレを使った菓子を作っている。その中でも有名なのが「スミレの結晶」。スミレの花の砂糖漬けとでも言おうか。美しいままのスミレを、あめでコーティングし結晶化させた、宝石のような菓子だ。店の創業者である祖父が南仏の町、グラースで見つけた200年前のレシピと製法を今日もそのまま受け継ぐ。・・・デリケートなスミレを扱うのは難しくないのだろうか?「スミレといっても、野に咲くものよりも形が大きい特別な物を使用しています。そのため意外と破れにくく、扱いは難しくないですよ」。問題は質の良いスミレを仕入れること。「他の農家と同様、スミレを栽培する農家も経営が厳しくなっています。土地を売れば暮らしが楽になるからと、幾つもの農家が廃業してしまい、スミレの仕入れが難しくなっています」。
http://www.newsdigest.fr/newsfr/colonne/artisan/4614-frederic-fuchs.html
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神話の果てに 避難計画、形だけ/トイレや階段、収容面積に算定(2014/07/09河北新報)
東北の原発立地自治体で策定が進む事故時の避難計画には、実現性に乏しい内容も含まれる。避難所設営では、1人当たりの占有面積の算定にトイレまで組み込むなど、数字合わせに終始した印象は拭えない。「まさに絵に描いた餅」。自治体の担当者からは自嘲気味の声が漏れてくる。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140709_23006.html
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ゆがんだ償い:福島第1原発事故 東電責任一律半額「ADRやる意味ない」 母の死、人ごと(毎日新聞 2014年07月09日 東京朝刊)
3日間で600キロ避難
東京電力の責任を認めさせたい−−。母の死を問う切実な思いを、国は受け止めていなかった。福島第1原発事故の賠償を取り扱う「原子力損害賠償紛争解決センター」が、あらかじめ「東電の賠償責任は50%」と定めていた問題。元気だった母は、13日間で約600キロに及ぶ避難を余儀なくされ、帰らぬ人になった。「人ごとぐらいにしか考えていないのか」。男性はため息をつき肩を落とした。【戸上文恵】男性は福島県南相馬市の無職、遠藤充人(みつひと)さん(76)。市内の特別養護老人ホームに入所していた母キヨエさん(当時92歳)は、認知症で要介護状態だったが、目立った病気はなく、時折訪れるひ孫らと好物のケーキを一緒に食べ、笑顔で会話も交わしていた。
穏やかな生活は原発事故で一変した。翌日の2011年3月12日、市内の別の特養に移動。食料不足などで、さらに同19日から20日にかけ、横浜市旭区の施設にバスで約10時間かけて移動した。横浜市の施設が定員オーバーのため、再び山形市の施設まで約10時間かけてバスで移動。同24日の到着時に肺炎を発症し緊急入院した。・・・毎日新聞の記者から「50%ルール」の存在を聞いたのはその後だ。遠藤さんは「人ごとということか。ADRをやった意味はないよ」とつぶやくと、うなだれた。国は今、原発回帰へと動く。「再稼働はしない方がいいな。もうこんな思い、誰にもさせたくないよ」
http://mainichi.jp/shimen/news/20140709ddm041040100000c.html
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風に吹かれて:/47 映画「原発の町を追われて」/島根(毎日新聞 2014年07月08日 地方版)
市民活動センターで映画「原発の町を追われて」を見ました。福島第1原発事故後、当時の町長の掛け声のもと、埼玉県に避難した町民を追ったドキュメンタリーで、監督は堀切さとみさん。原発の町とは、福島県の双葉町。この映画のことは、前からいい映画だとうわさに聞いていましたが、昨年の出雲市での上映会には行けず残念に思っていました。今回は午後からスクールMARIKO第3回の開催を予定していて気ぜわしくはありましたが、上映後には監督の堀切さんのお話も聞けるとのことではせ参じました。
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20140708ddlk32070358000c.html
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イスラエル、ガザ全域空爆 ハマスに対抗、衝突拡大(2014/07/09朝日新聞)
イスラエル軍は8日未明、パレスチナ自治区ガザに拠点を置くイスラム組織ハマスを標的とする新たな「境界防衛」作戦を開始し、ハマスの軍事拠点など約50カ所を空爆した。ハマス側もイスラエル南部へのロケット弾攻撃を強めている。イスラエル人少年3人の誘拐・殺害事件をきっかけにした衝突は、拡大の一途をたどっている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231418.html
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(声)安倍首相は政治を私物化するな(2014/07/09朝日新聞)大学客員教授 浅野克彦(東京都 68)
安倍晋三首相の「悲願」は日本国憲法を改め、国防軍を保有して戦争のできる「普通の国」になることだろう。首相はその前哨戦ともいうべき解釈改憲を閣議決定した。私も含め多くの国民が反対あるいは疑問を持つ集団的自衛権の行使を、なぜ強引に合憲と決めつけ、周囲の意見に聞く耳を持たないのか。2日付本紙によれば、首相官邸の高官や自民党幹部は、憲法解釈を変える閣議決定について「これは総理の悲願だから」と述べたという。いうまでもなく立憲主義国である日本では、憲法を変える、変えないを決めるのは主権者である国民であり、政府をはじめ行政や司法にかかわる権力側の人々は、憲法を守り、憲法に従う義務がある。このことをどこかに置き忘れ、首相個人の悲願だからといって、解釈改憲を自ら率先して推進することは、政治を私物化していると言わざるを得ない。・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231357.html
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(声)拉致問題、全員を取り戻して(2014/07/09朝日新聞)主夫 小川栄(千葉県 57)
日本政府は拉致被害者らを再調査する北朝鮮の特別調査委員会について、実効性があると判断し、独自制裁の一部解除を決めました。これにより全面解決へと進み拉致された方々が全員戻ってくることができればいいのですが、心配なのは一部の人だけが戻り、あとは死亡したなどと北朝鮮に言われ、中途半端な幕引きがなされることです。それは決して許されません。・・・ 拉致被害者や特定失踪者の親の世代は高齢化し、拉致された方々も中高年となっています。本人や家族の人生を大きくねじ曲げた拉致というのは、何と理不尽な犯罪なのか。一部の人が戻ってきても日本政府は途中で決着をつけるのではなく、最後の一人まで取り戻す覚悟で臨んでもらわないとなりません。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231358.html?ref=pcviewpage
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(声)戦争の悲惨、継承できぬ不幸(2014/07/09朝日新聞)開業医 渡辺佳夫(三重県 63)
集団的自衛権をめぐる憲法論議で思った。戦争体験の記録、特に最も過酷な部分は後世に伝承されず、戦争抑止に役立たないのではないかと。目の前で焼夷(しょうい)弾で焼かれた親兄弟、死体の山の腐敗臭、死骸の目や口からわき出るウジ虫……。これら体験者が記憶する悲しみの極みは、伝達可能な情報に変換できない。体験者の記憶中枢に保存される。しかし、むご過ぎるために、記憶を努めて再生しようとはしない。そして、その人が亡くなるとともに、この地上から消去される。悲しみの極みが後世に伝わらないことが、戦争の歴史が繰り返される理由の一つなのだろうか。戦後間もないころ、我が国の平和憲法や国連の世界人権宣言の起草者たちを突き動かしたのは、憲法学者の学識や正義感ではなく、直接見て知っている悲惨な記憶だったと思う。「戦争はもうやめてくれ」という彼らの叫びは、残念ながら戦後生まれには届かない。それなら少なくとも、戦争を知る先人に敬意を払い、憲法が、戦争を永久に放棄するとした、その「永久」に込められた強い願いを理解する者でありたい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11231356.html?ref=pcviewpage
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