(原子のクニ)原発こりごり 民意代弁(2014/06/20朝日新聞) 脱原発で経営への影響は 同してくれたと そう。損得なしに、社会的に正しいことを追求するのが信用金庫の仕事と常に言ってると、「そういうところなら安心できる。取引しよう」みたいな方もいる。もちろん電力関係の方々とか、逆もいないわけじゃない。それから、「電気が足りなくなったり、電気代が上がったりしたらどうするんだ」というようなことも言われたりする。そこで、「社長違います、電気代が上がってるのは原発をしくじったからで、下げるためには電力自由化が必要です」って話をしている。 原発のコストは高いのか、安いのか 東電の株式と社債を売ったそうだが 直ちに売った。金融の5原則というのがある。一つが公共性。反社会的集団に貸してはいけない。道徳的倫理的法律的におかしなことをやっている反社会的勢力とは手を切るという当局の厳しい規制がある。私どもは当局のご指示通りにやっている。・・・ところで、右翼的な発言がちょこちょこある 原発反対なんてどうせ左翼の一部の人たちと思うでしょ? レッテル貼りして、議論から逃げようとする人が多いんで、私は右翼ですって言ってる。日本の国体を守ろうって。国体を守るってことは日本のふるさとを守るってことでしょう。原発は危険なんです。ふるさとを破壊してるじゃありませんか。 東京)「川内原発再稼働反対」訴え国会前で集会(2014/06/02朝日新聞) インタビュー:原発は国家ぐるみの粉飾決算=吉原・城南信金理事長(2014/04/18朝日新聞) 東京・神奈川を地盤に信金業界2番手の総資産3兆6000億円を持つ同信金は、地銀中位行に匹敵する規模を誇る。そのトップとして、金融業とエネルギーの政策のかかわりあいに関し、どのような本音を持っているのか聞いた。 金融機関のトップが、政治的発言をするのが極めてまれだ。 「金融は、政治にかかわるべきではなないという意見がある。それは本来、権力にかかわることで金融が求めるべき理想がねじ曲げられ、利用されてしまう懸念が生じるために生まれた考えだ」「しかし、金融に限らず企業の目標は、より良い国や社会を構築することだ。すべての企業は、理想の実現のためにある。経営者は、金儲けだけ考えればいいというのはおかしいのではないか」 国論を二分する1つの側に付くことで、顧客からの不評を買わないか。 「消費者のニーズに応えることが企業、つまり消費者主権という考えは間違えていないか。例えば当社は、投機のためのゴルフ会員権購入のための融資はお断りする。そういう資金使途には貸せない。健全性とは何かを考え、顧客にも説明していく。それが金融マンの役割だ」「福島第1原子力発電所の事故で分かったことは、将来の世代に責任を持てないエネルギーということだ。もはや原発は反社会的存在だ。原発を造る金を貸せと言われたら、お断りする」 電力債は、金融機関の運用手段としても重要だ。 「東電の株式と社債は、事故後に売却した。金融機関は公共的な存在だ。東電の株式や社債に投資をするわけにはいかない」 経済界の中には、コストの安い原発を稼働しないと、日本経済が立ち行かないという意見が多い。 「原発のコストの方が低いという人で、いやしくもビジネスマンや経済に携わる者ならば、会計の原則ぐらい勉強していただきたい。コスト計算には、直接原価と間接原価があり、そこで総合原価計算が行われる。原発は、今あるウランを使うだけならば直接原価は低い」「では、その結果の間接原価はどうなのか。 将来の廃炉費用や、使用済み核燃料の保管料や処理費用、工事費や人件費、地代がカウントされているのか。カウントされていない。われわれは今、時価会計で、将来に発生するキャッシュフローをすべて現在価値化し、負債計上している。原発にはそれが入っていない」「1回事故が発生したら、天文学的なコストがかかる。貸し倒れ引当金の積み立ての考え方を入れれば、とんでもない引き当てを積まなければならない。これは、不採算というのではないか。国家ぐるみの壮大な粉飾決算だ」・・・ 大手行は公共性を考えて貸しているのではないか。 「それは、公共性を勘違いしている。東京電力を生かすことが公共性ではない。安全でコストの安い電力サービスを継続的に安定的に保証することが公共性なのではないか。もっと見識を持たなければならない」 (インタビュアー:布施太郎 浦中大我)(布施太郎 編集:田巻一彦) (原子のクニ)脱原発は公益にかなう(2014/06/19朝日新聞) 東京に本店を置き、信金で全国2位の預金量。そのトップが脱原発を唱えている 大震災の年の4月、ホームページに「原発に頼らない安心できる社会へ」というメッセージを出した。仲間のあぶくま信用金庫(福島県南相馬市)さんは、(福島第一原発から半径20キロ圏内が立ち入り禁止の警戒区域となり)営業地域が半分なくなっている。誰も同情しないのはおかしいって話で、敵討ちをせんと、困った人たちをうちで引き取ることにした。 義憤にもかられ、節電したら3割減ったという事実を広めようと。自家発電や太陽光を入れ、エアコンを取り換え、温度を28度に上げれば3割減る、そしたら原発止まるじゃないかと。節電プレミアムという新商品もやった。(省電力・省エネにつながるソーラーパネルなどの設備投資資金で)ローンの金利が最初の1年はゼロとか。マスコミが、「それは原発を止めるため」って書きやすいようにと思って。 もうけはあるのか もうかんない。でも、めちゃくちゃ増えるわけじゃないし、たいしてロスにはならない。しかもパンフレットを作って、原発はとんでもないってことを書いた。商品を売るためにパンフを持って行くと「何でこんな商品やるの?」。そこで「実は原発はとんでもないんで」。つまり「セールス=プロパガンダ」になる。営業活動を通じた脱原発推進運動を同時並行でやれるのが、企業の素晴らしいところだなと。 金融機関って営利的な面があると思うが 違う。会社は一番初めは社会貢献のためにあるはずだった。それがいつしか近代経済学的拝金主義的宗教観、「企業の目的は利益最大にすることじゃなきゃいけない」って風になって。強迫観念だ。でも、マインドコントロールを断ち切って何とかしようと。淫祠(いんし)邪教の類いだ、サタンよ去れ、みたいなことを言わなくちゃならない。 例えば、「我が社では地球温暖化に対応するため砂漠の緑化に取り組んでいます」なんてやってるでしょ? これと同じこと。最大の環境問題である原発に反対で何がいけないのか。商品をやってもまだ止まらないから、次はPPSのエネットへの切り替え大作戦をやった。(電気が足りないと困っている)東京電力がかわいそうだから、ほかのところから電気を買ってあげましょうって。 行動の根底には何があるのか 3代目理事長の小原鉄五郎がいつも「銀行に成り下がるな」と言っていた。銀行は利益を目的とした行動をしていく、しかし信用金庫は公共的な使命を持った公益的な金融機関。中小企業と国民の幸せ、そして地域社会の繁栄という方針を通じて、みんなを幸せにするための金融機関なんだと言っていた。お金は麻薬のように危ないものだから、一歩間違えば人の心を狂わせ暴走させる。 だからお金が人々の幸せにつながるようアドバイスしなきゃいけない。これが本来あるべき金融業務のあり方だ。しかし、日本的な倫理・道徳・価値観を否定し、自由主義的価値観、もうけさえすればいいみたいなことが出てきた。利益を出せないやつはクビだとか、自己責任でだまされたやつが悪いみたいになり、不幸な人を誰も助けようとしない。そんな中に原発事故が起きた。 協同組合組織である信金としての理念が脱原発につながると? 協同組合運動って、ひとの幸せとじぶんの幸せを一緒に考え、苦しんでいる人は助けなきゃいけない。「助けなかったらただの妖怪になってしまう」と妖怪人間ベムも言っている。見て見ぬふりはただの金貸し人間か、偉そうなこと言ったって自分のことしか考えてねーじゃねえかって、天の声が聞こえてくるわけですよ。だけど、マスコミも学者も政治家も役人も誰もやってくれない。ならばたとえ一騎でも立ち向かうべきだと蟷螂(とうろう)の斧(おの)を振りかざした。=吉原氏の話は続きます。(石田一光) ◇ 〈「原発に頼らない安心できる社会へ」〉 東京電力福島第一原発事故について、「原子力エネルギーは一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っている、管理する政府も企業も万全の体制を取っていなかった」などとし、城南信金自身の節電とともに、省電力、省エネのための設備投資への積極的支援を打ち出した。 ◇ 〈困った人たちをうちで引き取ることにした〉 東日本大震災に関する支援として、内定取り消しに追い込まれた被災地の学生らを対象にした「新規特別採用」を実施。岩手県の宮古信用金庫と、福島県のあぶくま信用金庫で働く予定だった計10人を採用した。 ◇ 〈PPSのエネット〉 PPSとは特定規模電気事業者。「新電力」とも呼ばれる。2000年の電力小売り一部自由化を受けて設立された電気の小売事業者。エネットはNTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが出資するPPS最大手。城南信金は、東電との契約を解除し、自然エネルギーや民間の余剰電力を販売しているエネットとの契約に切り替えた。ほかでも切り替えが進めば、東電などがいう電力不足は解消され、原発維持の必要性もなくなると主張している。 http://digital.asahi.com/articles/ 2013参院選:あすのかたち わたしの提言/下 原発政策 城南信用金庫・吉原毅理事長 /神奈川(毎日新聞 2013年07月14日 地方版) 「脱原発は非現実的」とか「電気料金が上がっていいのか」と言う人がいるが、原発が2基しか稼働していない現在、日本のどこが破綻しているのか。一部の官庁と政治家、経済界が主導しているだけで、再稼働は国民の常識から考えてあり得ない。日本にはメタンハイドレートなど次世代資源の開発や省エネ技術があるし、普及もしてきている。エネルギー革命が進行しているのに、再稼働が邪魔をしている形だ。原発はむしろ、経済発展の芽を摘んでいる。 −−原発の是非を巡る議論が、今回の選挙では低調と言われています。 −−これから、どんなことが必要と考えますか。 今の政策は、目先の金もうけ主義で国家百年の大計でなく、近視眼的なように見える。有権者は選択しようがないと思ってしまうかもしれないが、「関係ない」ではダメだ。自分たちに確実に影響してくる問題なのだから。どんな世の中をつくりたいか考えていけば、投票によって変わることもある。主体的に考えていくことを諦めてはいけない。【聞き手・北川仁士】 ■人物略歴◇よしわら・つよし http://mainichi.jp/area/kanagawa |
◇「お金は麻薬」戒めに−−城南信用金庫理事長・吉原毅さん(57) 経団連の米倉弘昌会長が、政府のエネルギー・環境政策の基本方針に「脱原発依存」が盛り込まれたことに、猛反発したと伝えられた。米倉氏や経団連役員は、防護服を着て、線量計の針が振り切れるほど放射線量が高い地を歩いたことはあるのだろうか。この人は、ある。昨年4月に「脱原発宣言」を発表した城南信用金庫(東京都品川区)の吉原毅理事長。昨年11月14日、東京電力福島第1原発事故で立ち入り禁止となった警戒区域内に入った。東日本大震災で被災したあぶくま信用金庫(福島県南相馬市)が内定の取り消しをせざるを得なかった採用予定者を、城南信金が採用した。その報告に福島を訪れた時のことだ。あぶくま信金の支店調査に同行して目にしたのは、「3・11」から時間が止まったままの、人の姿が全く見えない町だった。 「大地震、津波では命を失わなかったのに、動けず、原発事故の避難命令で助けも来ず、餓死などで亡くなった方もたくさんいるとお聞きしました。『福島の原発事故による放射能の影響で亡くなった人は一人もいない』と言った電力会社社員がいましたが、とんでもないことです。現代人は、先祖代々のふるさとを喪失してしまったことの罪の重さ、未来の子供たちへの責任を分かっていない」白い防護服を身にまとい、原発から約3・5キロ、うっすらと建屋が望める場所に立った時のことだ。 「線量計の針が振り切れるほど反応し、ビーッという音が響いた」だが、不思議と海岸近くに移動すると線量計の値は下がった。「放射性物質が風で流れたベルト地帯があるんだと分かりました。あぶくま信金の方に『東京に流れていたら、東京も同じ状況だったかもしれませんね』と言われました。 この時、東京はたまたま直撃を免れただけなのかもしれないと気がついた」「東京の水道水が飲めない状況になり、都民や周辺住民も被ばく者になってしまった。それなのに政府から正確でスピーディーな情報はなかった」。射ぬくような視線で話す吉原さんの語りは止まらない。怒りからなのか、「原発」という単語には力を込める。 「原発を適切に管理し、国民の生命安全を守れるようコントロールするだけの力が、東電、そして政府にはなかった。東電、政治家、そしてマスコミに至るまで、その事実から目を背けてきた。原発を使う資格はもはやないんですよ」吉原さんは脱原発論者ではなく、「原発はクリーンエネルギーと思っていた」。原発事故でその思いは改めたが、事故後も「脱原発」の声はにわかには広がらず、「呪縛」という言葉が浮かんだ。「それほど原子力ムラの力はすごいのか。調べてみると、立地自治体への補助金、研究機関への研究費の助成、マスコミへの広告費……さらに巨額の資金が、原発関連事業に流れて原発が維持されてきた。原発は、事故の危険性や放射性廃棄物などツケを将来に回す仕組みなのに、メガバンクはなぜ融資するのでしょうか。国が保証しているからです。お金によってこの国は支配されている」いすの肘掛けをこぶしでコツコツとたたきながら、一気に続けた。「お金が人の心を狂わせ、暴走させ、止まらなくなる。価値がないのに価値があると思い込んでしまう。だから原発を推進してきたこの国は『原発バブル』と呼んでもいい」 城南信用金庫は、東京都内と、神奈川県の一部に85店舗を持つ。信金業界では2位の大手だが、経済界全体から見れば、無論、力は大きくない。それでも発言を続けてきた。「地域に貢献する仕事」を目指して就職した吉原さんは当初、「銀行の小さいのが信金」というイメージを抱いていた。 だが、支店勤務後に本店企画部に配属され、故小原鉄五郎・元会長の身近で働き、考えが変わった。明治生まれの小原さんから伝えられたのは「お金は麻薬だよ。貸すも親切、貸さぬも親切」という戒めだった。金融機関は、顧客の採算性や将来性を考えて融資をしなければならない。顧客に過剰に融資をするばかりでは、かえって顧客を不幸にする−−という教えだ。 「信用金庫は地域を守って地域の人たちの幸せに貢献するための企業。金もうけが目的の銀行に成り下がってはいけない」と教えられた。同金庫は、バブル期にも土地や株式の値上がりを見込んだ投機性の高い事業への融資はせず、痛手を受けなかった。 原発事故後、小原さんの言葉を胸に、吉原さんはこう考えた。「節電を脱原発につなげていこう。目の前の利益を優先し、『脱原発』と言えない経済界に警鐘を鳴らすのは我々の仕事だ」。昨年4月、城南信金のホームページで「原発に頼らない安心できる社会へ」と題したメッセージを掲載した。「省電力、省エネルギー、代替エネルギーの開発利用に少しでも貢献する」と掲げ、脱原発に向けた11項目の取り組みを提示した。実践として、今年1月、東電との契約を打ち切り、特定規模電気事業者(PPS)の最大手「エネット」(東京都港区)から電気を購入し始めた。省電力の設備投資をする顧客には金利を優遇するローンや、定期預金金利を上乗せする「節電プレミアム預金」などを開発した。地元企業や個人から「よく言ってくれた」と多数賛同が寄せられた。 経済界からは反発もない代わり、西川善文・元三井住友銀行頭取の賛意を除き、ほとんど反応はなかった。「大事故などを起こしてきた企業の経営者は責任を取って辞任し、ゼロからスタートするのが当然です。だが東電は誰もはっきりと責任を取っていない。そんな企業に融資するのは問題だ」。東電の勝俣恒久前会長に至っては、日本原子力発電の社外取締役に天下りした。「東電を認めてしまったら私も『同じ考えなんだ』と思われる。東電と同類と思われたくありません」 官邸前の反原発デモや、7月16日に東京・代々木で行われた「さようなら原発10万人集会」に参加した。野田政権は7月に入って、関西電力大飯原発3号機、4号機を相次いで再稼働させた。「国会議員に原発問題を考え直してもらいたいと国民が声を上げているのにもかかわらず、政府に国会がただ従っている。国政が全く信頼されていないという危機、民主主義の危機です。このままでは、この国の行方は分からない」 一信金の脱原発宣言−−。吉原さんは、小説「ドン・キホーテ」の主人公なのだろうか? 原発事故から約1年5カ月。まだ、城南信金に続く金融機関は出てこない。それでもなお、「脱原発」を企業が宣言した意義は大きいと信じたい。【瀬尾忠義】 ■人物略歴 ◇よしわら・つよし 1955年生まれ。77年に慶応大経済学部卒、城南信用金庫に就職。企画部長、業務本部長などを経て、2010年に理事長に就任。中部電力浜岡原発の廃止などを求める訴訟の原告団にも加わっている。 (おやじのせなか)吉原毅さん 「脱原発」何て言われるかな(2013/02/07朝日新聞) 土日に接待用と言って小唄を練習し、外国の客のためにテープレコーダーを買って英会話もやる。でも、これが全然うまくならない(笑い)。船や橋をつくることで「国を支えている」プライドがあったのか、仕事の自慢話もよくしました。優しいけど堅苦しくて「サザエさん」の波平みたいな感じの人でした。 学校が体育館で開いた保護者説明会で、おやじはすっくと立ち上がり、「学校はなっていない。なぜ事態を放置しているんだ」と発言したんです。社会正義みたいなことを言い出して。私はもう恥ずかしくて、「目立つことするなよ」って思ってた。おやじにはふつふつとたぎるものがあったんでしょう。常に一家言ある人でしたから。 |